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森と林業の本

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2021/12/14

雑誌のweb化と書店消滅

「グリーンパワー」が12月号を持って発行を停止し、来年度からはwebで公開していくという。これは有料なのかな。。。

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「グリーンパワー」は公益財団法人森林文化協会(朝日新聞社の外郭団体)の発行する機関誌という位置づけだが、書店売りもしていて文字通り森林文化を扱っている。具体的に言えば、林業も含む森林、環境、文化と人間社会との交わり部分を重視した雑誌だ。森林科学・環境化学からベタな林業経営や農山村の地域おこしまで。
実は、私の扱うテーマとかなりシンクロする。森林ジャーナリストは森林文化を扱うのである。林業はその一分野にすぎない……と繰り返してきたが、その路線を重ねているかのような雑誌であった。

以前は私も連載を持っていたし、終了後も単発で時々執筆していた。ただ徐々に厳しくなる。経費が出なくなったので取材ものは書けなくなり、論説中心になってきたし、編集者の交代も繰り返されて遠ざかっていたが……。今回も「情報をいち早くお届けするために」などとweb化を説明するが、まあ、経営難なんでしょう(笑)。財団と言っても昨今の金回りは厳しくなっているはず。

折しも、こんな雑誌特集も。

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創の特集「街の書店が消えていく」。ああ、実感するなあ。身近な書店がないもの。全国の書店数はざっと8000になったと言われ、1996年の2万7000からすると3分の1以下だ。出版の総売上も、ピークの3分の1。ただし書籍は4割減ほど。ようするに雑誌の落ち込みが激しい。これが街の書店を直撃したわけだ。

一方で電子本は伸びていると言われるが、その9割はコミックである。雑誌の電子化も進んでいるが、サブスクが多いから利益が出ているのかどうか。web広告頼りになりがちだ。また電子書籍はあまり売れていないよう。実際、私が出した電子書籍も全然部数は伸びていない。まあ、紙版の焼き直しだから静観しているが、書き下ろしだったら、たまらん。

紙でなくても電子版で読まれたら……と思いがちだが、書店がなくなって紙の本を買わなくなった人が、電子版を購入するようにはならないらしい。そのまま本を買わなくなるのだろう。読むのはネットの細切れ記事ばかり。
出版社と取り次ぎは対策としてネット化を進めるが、すると書店はいよいよ追い詰められる。そこで書店は本以外のグッズを置いたりカフェを併設してその収入を当てにするが、今度は本よりグッズの方が儲かるものだから、徐々に本を置かなくなる(泣)。

……とまあ、書き手として業界の先行きには関心を持ち続けているのだが、ふと目に止まったのが、「出版界の総売上は約1兆4000億円」という数字。そして出版組合の健康保険の加入者は約8万人とか。これが従事者数に近いとされる。

これって、林業界より大きい(笑)。林業の売上はどこまで含めるかによるが(市場以降の流れ、製材~プレカット~建築業界は外すべきかと)、木材とキノコを中心とする林産物と森林利用では1兆円に達していないんじゃないか。林業従事者数も4万人あまりだし。

林業界は出版業界の半分ぐらいの規模? 古くさい流通問題を抱えている点も、下流と上流の情報がイマイチつながっていない点も、ものづくり生産者への還元が少ない点も似ている。

林業界は、出版業界の状況も参考にできるかも。生き残りの模索事例になるかもよ。電子本ならぬ電子木材を売り出すとか(笑)。ヴァーチャルウッドと呼ぶべきか。

私は、生き残るために林業界ライターにはならないけど、出版業界ライターになろうかな。。。

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コメント

津雲むつみ『俺は男で!』の連載されていた月刊セブンティーンも電子化となりました。女子がよんでいるのを男子にもまわしてくれていましたが、そんなこともなくなっていきそうです。

Amazon(ネット書店)で買え、ということですね(^o^)。
私もたまに少女漫画を買ってしまう。

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