無料ブログはココログ

森と林業と動物の本

« ネットとAmazonの『虚構の森』 | トップページ | 驚くべき年輪 »

2022/01/07

糞虫館で考える生態系

奈良の「ならまち糞虫館」に行ってきた。糞虫ばかりを集めた展示館だ。

以前から行きたかったのだが、個人の営業であり、開館日は毎週土日の13時~18時 だけということで、なかなか足を運べなかった。場所もならまちの中でも、もっとも奥まった一角で、しかも路地奥というエキサイティング(笑)な立地なのである。

館そのものは小さいのだが、なんともマニアックな世界である。ただ展示には見やすくインスタ映えしそうな工夫がされている。

2_20220107162301 7_20220107162301 12_20220107162401

なかなか楽しい。ただマニアックな昆虫オタクの世界かと思いきや、世界的に糞虫は人気なんだそうである。見た目も地味だし、砂粒なのみ小さなものも多いのに、昆虫界のスターなのであった。ファーブルも、スカラベ(エジプト王家の紋章にもなったタマオシコガネ)を愛していたしね。

ちなみに奈良は、日本の中で糞虫の王国(^o^)。なぜなら奈良のシカの糞という糞虫の餌が山ほどあるから。神鹿の糞に群がるのだ。ルリセンチコガネ(オオカセンチコガネの一種で、奈良のものは瑠璃色している)は、奈良にしかいない。ちなみに日本に見約160種いて、そのうち60が奈良で確認されている。

奈良のシカの糞は、1日に1トン出るというが、これを片づけてくれる掃除屋である。ただ冬は糞虫も動きが鈍るから無理なのでは、と思っていたが、展示によると冬も活動して糞を片づけてくれる種もいるようだ。
近年は、ヤマトエンマコガネなど姿を消す種もあるそうで、その理由は謎のまま。これも地球環境問題と繋がっているのかもしれない。

奈良観光でナラシカに親しんだら、糞虫にも注目してもいいかも。

« ネットとAmazonの『虚構の森』 | トップページ | 驚くべき年輪 »

ナラシカ・動物・獣害」カテゴリの記事

コメント

紹介 『文化昆虫学の教科書』

糞虫もあつかっています。岡山県立図書館にはいりました。

https://www.honzuki.jp/book/303917/review/270585/

なかなか楽しそうな本ですね。

糞虫を扱っている本はいくつかあって、いずれも研究者が楽しいです(笑)。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« ネットとAmazonの『虚構の森』 | トップページ | 驚くべき年輪 »

May 2025
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

森と筆者の関連リンク先

  • Yahoo!ニュース エキスパート
    Yahoo!ニュースに執筆した記事一覧。テーマは森林、林業、野生動物……自然科学に第一次産業など。速報性や時事性より、長く読まれることを期待している。
  • Wedge ONLINE執筆記事
    WedgeおよびWedge on lineに執筆した記事一覧。扱うテーマはYahoo!ニュースより幅広く、森林、林業、野生動物、地域おこし……なんだ、変わらんか。
  • 林業ニュース
    日々、森林・林業関係のニュースがずらり。
  • 森林ジャーナリストの裏ブログ
    本ブログの前身。裏ブログとして、どーでもよい話題が満載(^o^)
  • 森林ジャーナリストの仕事館
    田中淳夫の公式ホームページ。著作紹介のほか、エッセイ、日記、幻の記事、著作も掲載。