糞虫館で考える生態系
奈良の「ならまち糞虫館」に行ってきた。糞虫ばかりを集めた展示館だ。
以前から行きたかったのだが、個人の営業であり、開館日は毎週土日の13時~18時 だけということで、なかなか足を運べなかった。場所もならまちの中でも、もっとも奥まった一角で、しかも路地奥というエキサイティング(笑)な立地なのである。
館そのものは小さいのだが、なんともマニアックな世界である。ただ展示には見やすくインスタ映えしそうな工夫がされている。
なかなか楽しい。ただマニアックな昆虫オタクの世界かと思いきや、世界的に糞虫は人気なんだそうである。見た目も地味だし、砂粒なのみ小さなものも多いのに、昆虫界のスターなのであった。ファーブルも、スカラベ(エジプト王家の紋章にもなったタマオシコガネ)を愛していたしね。
ちなみに奈良は、日本の中で糞虫の王国(^o^)。なぜなら奈良のシカの糞という糞虫の餌が山ほどあるから。神鹿の糞に群がるのだ。ルリセンチコガネ(オオカセンチコガネの一種で、奈良のものは瑠璃色している)は、奈良にしかいない。ちなみに日本に見約160種いて、そのうち60が奈良で確認されている。
奈良のシカの糞は、1日に1トン出るというが、これを片づけてくれる掃除屋である。ただ冬は糞虫も動きが鈍るから無理なのでは、と思っていたが、展示によると冬も活動して糞を片づけてくれる種もいるようだ。
近年は、ヤマトエンマコガネなど姿を消す種もあるそうで、その理由は謎のまま。これも地球環境問題と繋がっているのかもしれない。
奈良観光でナラシカに親しんだら、糞虫にも注目してもいいかも。
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紹介 『文化昆虫学の教科書』
糞虫もあつかっています。岡山県立図書館にはいりました。
【https://www.honzuki.jp/book/303917/review/270585/】
投稿: 岡本哲 | 2022/01/09 10:31
なかなか楽しそうな本ですね。
糞虫を扱っている本はいくつかあって、いずれも研究者が楽しいです(笑)。
投稿: 田中淳夫 | 2022/01/09 12:11