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森と林業と田舎の本

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2022/02/27

木器時代があった!『「木」から辿る人類史』

『「木」から辿る人類史』(ローランド・エノス著 NHK出版)。

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これ、発売後すぐに購入(21年9月)して、さっと半分ぐらい詠んだのだが、なぜかそこで止まって、ほかの本を読みだしたりして長く放置、年を越えてハッと我に帰って(^^;)、このほど読み終えた。近頃何かと流行りの人類史に樹木と木材の視点から切り込んでいて、なかなか面白いのだよ。(だったら、なぜ途中で投げ出した?)

目次は、こんな感じ。

第1部 木が人類の進化をもたらした(数百万年前~1万年前)
 第1章 樹上生活の遺産
 第2章 木から下りる
 第3章 体毛を失う
 第4章 道具を使う

第2部 木を利用して文明を築く(1万年前~西暦1600年)
 第5章 森を切り拓く
 第6章 金属の融解と製錬
 第7章 共同体を築く
 第8章 贅沢品のための木工
 第9章 まやかしの石造建築
 第10章 文明の停滞

第3部 産業化時代に変化した木材との関わり(西暦1600年~現代)
 第11章 薪や木炭に代わるもの
 第12章 一九世紀における木材
 第13章 現代世界における木材
 第4部 木の重要性と向き合う
 第14章 森林破壊の影響
 第15章 木との関係を修復する

一般に人類の文明は石器時代から始まるように語られる。これは旧石器時代と言われる原人の時代も含めてそうだ。だが、石は後世に残るからであって、その前に木の道具時代があったはずだ、木は腐るからわからないだけで! という主張から始まる。まさに木器時代。石を割って使う前に木のこん棒を使ったし、木の槍もあったはず。また火を使いだしたのも木材があってこそ。だから土器も木がなくてはつくれなかった。石器の槍だって柄は木製だし、何から何まで木のお世話になっているのだ。
そう言われれば、なるほど納得。(だったら、なぜ途中で投げ出した?)

そして石器から金属の時代に入っても、木材は欠かせない存在として文明を支え続ける。金属精錬には薪や炭が欠かせないし、石造建築だって木材の骨組みなしに建てられない。たとえば壮大なゴシック建築も、ほとんどが木造だった。なんとイギリスの古代遺跡ストーンヘンジも、元は木造だった可能性を示している。
さらに驚いたのは、イースター島の文明だ。一般にモアイ像をつくるために森林を破壊して船を失い、農地を失って滅んで行ったとされるのだが、よくよく調べると森林がなくなったのはヨーロッパ人が入ってかららしい。結局はヨーロッパ人が持ち込んだ疫病で、先住民はほとんど死に絶え、さらにヒツジが放されたことで森林植生を失った、というのだ。通説を否定するので、もう少し検証が必要だが、なかなかいい線を突いていると思う。

一方で木組みなどの技術の発展やエネルギー源としての価値を熱量計算までしている。歴史だけでなく理系技術の知識も遺憾なく発揮。やがて植林の発達などから林学・林業の発達過程とその限界も描く。そしてコンクリートなどの登場や気候変動対策でバイオマスエネルギーを利用することの矛盾……。果たして、現代社会は、木の復権の時代なのか。それとも破壊を続けるのか。

人類と木の利用に関する通史として、実に面白い(だったら、なぜ途中で挫折していたんだ)。

 

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コメント

これ、いらん自分語りがおおいんですよね。洋書としての頁数わせだったと推測しています。日本でなら編集者がばさっと削ることでしょう。

読みましたか?
文章は、わりと平易で内容も面白い視点なんですよ。だから読みやすい……はずなのに、なぜ途中で投げ出していたんだ(笑)。

何が欠けているのか。あるいは多いのか。それがわかると、私も読まれる本を書けるのだが。

 購入して読んでいます。弁護士読みなので要点以外読み飛ばしてしまいます。

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