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森と林業の本

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2022/02/07

ホッケの将来から森を憂える

ふと寄ったお店の鮮魚コーナー(いや干物コーナーか)で見かけたホッケ。ちょっと目を引きつけられた。

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3枚399円とは安い、ではない。その小ささ。20センチくらいしかないのではないか。近年、大型ホッケが滅多に見なくなり、小型化が気になっていたが、さすがにここまで小さいと、別物だろう。身厚なホッケを食す楽しみはない。こんなの一人で1枚とか2枚食べたって、満足できるのか。
そういや隣のサンマの干物も小さい。こちらは3枚299円とさらに安い。

近年はホッケもサンマも不漁だ不漁だと騒がれているが、少しでも量を稼ごうと、幼魚まで漁獲している。だが成熟していない魚を獲ってしまえば、再生産(繁殖)できなくなり、より数は減っていく。不味くなる。価格は落ちる。
サバも、地球の裏側から運ばれるノルウェーサバの方が近海物より美味しい。だって大型で脂がのっているから。国産近海物は小さくて脂がのる前の若輩である。そんな魚を食べても見劣りする。それにノルウェーサバは、単に大きいだけでなく、冷凍技術も進歩しているから長時間・長距離輸送しても味は落ちていない。消費者にとっては鮮度や距離よりも味だ。

今、漁業に必要なのは養殖ではなくて、禁漁だろう。幸い魚類のほとんどは、ほんの5年10年も禁漁にすれば生息数は回復する。それさえ待てないというのは、あまりに近視眼、目先しか考えていない証拠だ。日本の水産業が衰退して当然である。

これを林業に当てはめたら、単に若木(この場合、スギなら40~60年生)を伐るというよりも皆伐で森林蓄積をゼロにすることと同義だろう。再造林率が3割と低い上に、植えても数十年待たねばならない点は、どんどん森林生産力を減らしていることになる。しかも脂ののっていない若魚の味がイマイチなのと同じで、若木の材質もイマイチで高値にはなりにくい。あげくにチップにしたり燃料にしたり。木材生産量を増やしても利益は伸びない一因だ。

価格調整の手段は,何より出荷調整。言い換えると伐採量を調整すべきだろう。ウッドショックは、木材価格を上げる方法を教えてくれたようなものだ。不足したら値段は上がる。B材C材も安売りしないで、加工に工夫してA材と同じように使いだす。これを意図的に行うことだ。

でも、漁師が幼魚も水揚げするように、林業家も少しの高値で我先へと木材を生産して、結果的に価格を落としているんだろうな。 

 

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コメント

昨秋に我が家の食卓に並んだサンマ…イワシと見間違う様な小さな秋刀魚だったのは私の稼ぎが悪くて食費を削減された訳では無かったのですね!(笑)たまに釣りに行く港の漁師さんが「近年魚が減ってなぁ〜」と嘆いていたのは乱獲も大きな原因のひとつだったのですね。

地元でも、桧柱口単価の高騰でバッサバッサと皆伐が進んでいます。多くのそれは50年〜60年生の若木…人間で言えば鼻垂れ小僧クラスなのです。いわゆる完満で無い歩留まりの悪い木の伐採をすれば、その約30%はチップやバイオマス行きになり、木材生産量は増えても林業の振興にはならないて思われます。
需要と供給…伐採量の調整は40年以上前から声が上がっていましたが、未だに達成できていない遅れた産業なのです。歴史は繰り返す…を実感しています。

植林をしても素材生産が行える様になるまで約50年かかり、作業地を求めて奥へ奥へと森林作業道を延ばしている現状を考えると、近い将来には採算が取れる範囲での施業が難しくなりそうです。
今後は適正に整備された山林から、歩留まりの良い優良材を搬出できる林業地が貴重になるのではないでしょうか。

現在の林業における木材の歩留り低下は目を覆うばかりですね。みんなバイオマスに流して見た目の歩留りは上げていますが……。金額ペースの山主のえる歩留りを考えてみるべきかと。

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