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森と林業と田舎の本

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2022/02/11

日本林業は「法隆寺以来」持続的?

おバカな記事を読んでしまった……。

林野庁が、国際熱帯木材機関(ITTO)を通じて木材生産国での「日本型木材利用システム」の普及支援を始めたのだという。

この、日本型木材利用システムってなんだ? どうも持続的な林業と木材利用を意味している書きっぷりなんだが……。

まず長期間育成して収益を上げられる体制を構築する戦略や、公共建築物木材利用促進法によって低層の公共建築物の木造化を進め、国内消費を促進するためのネットワークづくり。官民で連携して消費拡大への取り組みの経験を踏まえ、協議会設立や利用促進に向けた国家戦略づくりなど。。。

木材生産国(これ、東南アジア諸国を指しているらしい)で都市化が進む中、国内では建築物などに木材が十分活用されていない傾向があり、「早く収入が欲しくて木材が二束三文で買いたたかれる」ので、適正価格で売る仕掛けづくり……。

おいおい。その問題点は、そのまま日本に通じる。補助金と税金で建てる公共建築に法外な木造建築を増やした経験でも伝えるつもりか。林業打ち止めのつもりで木を全部伐って二束三文の金を得て、そのまま再造林せずに放置する林業やっているのはどこの国だ。育ててる待て数百万円かけてつくった森をバイオマス燃料に叩き売りしているのはどこの林業だ。

すでに昨年はベトナムでスタートしており、今年はあと2カ国で始めるというのだが……。
日本よりひどい林業やっている国を見つけて説教垂れるのかい。いっそのこと、ベトナムが短期間に立ち上げて世界中に輸出を成功させた家具産業の極意を教えてもらった方がいいのではないか。

極めつけは、「日本はずっと前から森林の『持続的利用国』。法隆寺以来だ」と来年のG7サミット(日本が議長国)で、紹介したいと林野庁幹部が言ったらしい。

どうして法隆寺が森林の持続的利用なのかわからん。こんなこと国際会議で口にすると、恥をかきそうだ。

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そもそも1400年前、法隆寺を建てる木材をどこから調達したのかわかっていない。ただ当時の輸送能力からすると、遠くではなく近隣の生駒山系か金剛山系だろう。(大和川上流部の飛鳥は、すでにはげ山だった。)そして、これらの山に今は巨木の森はない。江戸時代には木の生えていない草山になっていた。回復したのは戦後だ。全然持続させていない。

ブラタモ「法隆寺」編で考える木材の出所

Zyunkan

これは森林・林業白書に載せている「循環型林業」イメージ図で、これがお好きらしくて林野庁関連の資料にはアチコチに登場する。

だが私は、これが循環型とはとても思えない。環を描いているようでも、その途中で皆伐して森がなくなっているのだから。すぐに再造林したとしても、最低限の森らしくなるのに10年ぐらいはかかる。その間は草原みたいなもので、別の生態系になってしまう。そこに棲んでいた動物や昆虫、草本性植物や苔、シダ、地衣類……などは近所に避難する別の森が残っていればよいが、滅んでしまった可能性がある。一度滅べば、樹木が繁ってももどってこない。そのほか二酸化炭素吸収や木材商品などの描き方にも違和感はあるが、突っこまないでおこう。

 

スギやヒノキ、(ベトナムの)アカシアの木を使ったデザインコンテストもやるとか。まあ、これぐらいが関の山かな。

 

 

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コメント

日本で持続可能な林業(森林伐採)など歴史上存在していないはずなんですよね…結局伐り過ぎてヤバくなったら伐採制限。件の法隆寺にしても当時の自社仏閣の建築ブームで森林は枯渇したんですよね。遷都も森林が荒廃したのも一つの理由とか。その後江戸中期、明治初期、戦後と略奪してハゲ山だらけになったら保全しての繰り返し。という歴史が意外と知られていないんですよね…林野長は知っているのでしょうけど

日本で持続可能な林業(森林伐採)など歴史上存在していないはずなんですよね…結局伐り過ぎてヤバくなったら伐採制限。件の法隆寺にしても当時の自社仏閣の建築ブームで森林は枯渇したんですよね。遷都も森林が荒廃したのも一つの理由とか。その後江戸中期、明治初期、戦後と略奪してハゲ山だらけになったら保全しての繰り返し。という歴史が意外と知られていないんですよね…林野長は知っているのでしょうけど

なんか、日本は森と共生していた、なんていう「日本スゴイ」幻想を持っているんですね。何の根拠もなく。
単に湿潤温暖な気候に助けられただけじゃないか。

でも、それを自分で口にするのは恥ずかしいことです。日本人はそんな美徳も失ってしまった(> <;)。

大和なる雪の山々紀元節 井上弘美

どのへんの山だったのでしょうか。

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