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森と林業と動物の本

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2022年3月

2022/03/31

桜葬~悪貨が良貨を駆逐する

吉野山の如意輪寺と言えば、後醍醐天皇の墓所でもある。そこに桜葬墓地がオープンしていた。

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奈良にも樹木葬墓地が増えてきたか……と思ったわけではない。むしろ頭に浮かんだのは「悪貨が良貨を駆逐する」だ。

もちろんどんな墓地をつくろうと、その墓地に入りたいと思う人がいようとかまわないのだが、少なくても桜葬は樹木葬とは似て非なるものである。そして、そんな樹木葬が圧倒的に増えており、本来の樹木葬が広がらないことを感じた言葉である。「悪貨」というのは私の描いた樹木葬(良貨)ではないという意味だ。

そもそも樹木葬の理念は、埋葬を通して森を整備して環境保全に役立てるという発想から始まっている。だから埋葬地はやがて自然に還るというのが基本だ。「緑の埋葬」ともいう。世界には、樹木葬墓地エリアが自然保護区に指定されたところもある。

ところが現在広がっているのは、環境や森のことを考えたのではなく、単に石の墓標を樹木に置き換えたものとなった。さらに石の墓標も残しつつ樹木を植えたものまで登場した。さらに樹木がない樹木葬墓地まで生まれている。その墓地内にある1本の木だけを墓標として、その周りに石墓が並ぶのだ。私が見て歩いた中には、遠い墓標は中心の樹木から50メートルくらい離れていた。もはや何をもって樹木葬と呼ぶのかわからないようになっている。

そして、その典型が桜葬なのである。

なお樹木葬の特徴としては、やがて自然に還るから、永代供養であることもあるが、樹木をサクラに限ったことで世話が欠かせなくなった。毎年花を咲かせるようにするには肥料もやらねばならないし、剪定も必要だし、毛虫の発生には消毒も求められる。石墓よりよっぽど手間がかかる。それを業者に任せたら金がかかる。

おそらく、こうした墓は、遠からず放置されるだろう。遺族も子の代、孫の代まではともかく、それ以上先になると被埋葬者の生前を知らない子孫となり、墓守を担う期待はできない。しかも人口減社会では遺族もいなくなる可能性が増えていく。本当の樹木葬は、それにも備える意味があったのだが、形骸化というか無視されてしまった。

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これは樹木葬墓地の中につくった桜エリア。森の中に桜を植えた箇所があり、その周辺に埋葬する。これぐらいならいいかな、と思うが……。

ちょっと寂しい。私が入りたくなる樹木葬墓地は、いまだに奈良県内にはない。

 

2022/03/30

儲かるのは構造材?造作材?

ふと思い出したのだが、今から20年以上前、前世紀末だったか先駆的な木材取引システムが開発された。それはネットを使って使い手(工務店)と山の現場や製材所を結んでマッチングするというものだった。最近になって、それと同じようなシステムが出始めているが、実は雛型的なビジネスモデルはずっと昔に考えられていたのである。結果的にこのシステムは上手く機能しなかったのだが……。

それはともかく、このシステムを立ち上げると、木材市場関係者からクレームが来たという。そうした市場を中抜きするような取引をされては死活問題というわけだ。

その時の説明というか説得。「そもそも木材市場は、並材では利益出ていないでしょ。儲かるのは主に造作材とか役物。一方でネットで取引するのは並材。つまり住み分けできます。市場では儲からない部分を引き受けます」

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つい最近まで数寄屋づくりは憧れだった。銘木はびっくりするほど高値。

それで納得したというのだから、まんざら間違っていないということだ。当時は、まだまだバブルの名残があったのか、役物の引き合いが少なくなかったようだ。まだまだ1本100万円の床柱とかが出回っていた。大工も、それを使って数寄屋みたいな和風建築をつくることを誇りとして腕を磨いていた。一方で並材というか柱や梁など構造材に使われるのは外材が圧倒的に多くて、国産材の市場では利益が出にくかった。

ある意味、役物があるから外材比率が増えても脅威を感じなかったのではあるまいか。ところが、徐々にというか、急速にか、大壁工法が席巻し、柱の見えない洋風建築ばかりになり、従来の役物も出番を失った。焦って構造材を売ろうと思っても外材に強度などの材質も、流通も負ける。かくして国産材は、並材でひたすら安売りに走り始めた……。

なんとなく、私の目からはそう映る。

役物に頼るから駄目なんだ。そんな声が聞こえてきそうだが、今振り返ると、私はそちらの方が木を活かしたことになるんじゃないかと思えてきた。木肌を愛で、高く売れる用途こそ、木材を使う価値ではないか。

木の特徴は、見映えだ、というのが私の持論である。見映えが9割。ならば役物か、造作材だろう。

量は少なくても高く売れるから利益率も高い。いわば木を少し伐るだけで儲かる。伐りまくって、山を荒らして、いや森をなくして微々たる利益しか出ない林業なんて下手なビジネスなのである。

もちろん昔ながらの数寄屋づくりの部材などは売れない。今風の役物を生み出さないといけない。しかし、それは加工部門の仕事なんだから、床柱みたいに何十年も木を育てなければ作れないものではない。

山の仕事は、手間隙かけて健全に育てること。ただし手間がかかるとなると何十、何百ヘクタールもの山は面倒見られない。せいぜい1~2ヘクタール程度に生える木、たとえば1000本だけを撫育する。つまり小規模山主にも勝算がある。量で経営しようと思ったら、1000ヘクタールぐらいないと専業にはなれないが、1000本の木から毎年10~20本伐りだすだけの収入で暮らして行ける林業をめざす。
これほど小規模だと山主自ら施業できる。つまり自育・自伐林業だ。加えて山で自ら製材もしたらいい。そして大工に直接売る。利益はどんどん増えるぞ。

所有面積が小規模な日本の林家にも挑戦できるのではないか。しかも丁寧に世話をするためには奥山ではなく里山がいい。里山の小規模林業こそが、希望の林業になるのだ。

どうだろう。

 

 

 

2022/03/29

疎植という選択

林野庁には「森林環境保全直接支援事業」というのがあって、再造林の省力化・低コスト化を支援するそうだが、2022年度の予算案で、これを拡充するという。補助率に掛ける査定係数を引き上げ、通常より4%程度増えるらしい。脱炭素だ森林吸収分だと言っている割には、再造林遅れているからねえ。いや、遅れているというより、「大多数が再造林していない」というべきか。

私はこんな補助金に関することはわからんし興味もないのだが、ふと引っかかった点。省力化や低コスト化は、これまでコンテナ苗の使用だとか、伐採と同時に機械で地拵えだとか言っていたが、いよいよ植林本数を減らす、つまり疎植が入ってきたという点だ。そりゃ、植える本数が減れば苗代も浮くし、労力も減る。

ただ、この拡充の条件に「1ヘクタール当たり植栽本数を同2000本以下に減らし、下刈りの回数も植林から10年間で3回以内に抑える」とあるのである。

もともと植栽本数は、以前は1ヘクタール3000本以上としていて、これは、かなりの密植。吉野林業などは1万本も植えたから、少なめにしたのだろうか。それでも普通に育てる樹木としては密だろう。吉野は密植に適した技術を確立したからできたこと。が、全国一律にしたから技術が伴わない林業地は困ったことになった。それで今は2000本くらいまで補助用件を下げたのだっけ。

それを今回は、もっと引き下げるようだ。さらに下刈り回数も。それだけ造林・下刈りは機械化がほとんどされずに人手に頼っているし、労働力も減っているからか。で、こんな研究結果を出していた。

「再造林の推進」

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植栽本数が減ったらコストが下がるとか当たり前すぎるんだけど(^^;)、さらに下刈りが減って草が生えても成長には影響しにくいと記している。草が杉苗の梢まで覆われなければいいという。(もっとも私は、梢まで草に覆われても、大半が枯れずにゆっくり成長し、いつしか草の背丈を抜くから下刈りなんていらないんだ、という研究も読んでいる。また多少は枯れても、ヘクタールあたり1000本以上は残るから主伐分は十分育つという意見もある。)

これって、ようするに目的が違う。密植の場合は、間伐材が収入になるほか、密に植えて育つのを遅くしたら年輪が密になり、木目が美しく強度も増す……など木質のコントロールにつながった。それは売れる際の金額にも関わる。ようするに収穫する木の目標があったのだ。下刈りをする理由も同じく。昔の林業家なら言わずもがなだろう。

ちなみに植栽本数を減らしたら、炭素蓄積量が減る、森林吸収分が少なくなるという意見には、植える本数が少ないと切り捨てる間伐材も少なくなって、間伐材が腐って排出する二酸化炭素が減るからいいんだそうだ。最終的な森林の姿とCO2吸収量は大きく変わらない……。
それなら、間伐そのものが脱炭素に必要ないじゃないか(^^;)。間伐の手間とコストをかけてやらないでよいことになる。

ほかにも、植栽本数-下刈り・間伐回数-吸収分……コストと省力……と考え出すと、いろいろ疑問が出てくるなあ。

ちなみに再造林の面積は、現状の年間約3万ヘクタールから30年度に7万ヘクタールまで拡大する方針とか。8、9年かけて7万ヘクタール程度か。少々寂しくなる。これでは皆伐地を全部再造林する数字ではないだろう。

いっそ皆伐しなければ、植栽も必要なくなって、コストも人手もいらなくて、森林蓄積は増えて森林吸収量は増えるのではないかな。COPで決めた脱炭素の基準には入らないけど。

 

2022/03/28

なぜ人は「森」に甘いのか

朝日新聞の社説で、森林環境税を取り上げていた。

(社説)森林環境税 国民の理解得られるか

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まず、ようやく森林環境税を論じるようになったか、という思い。これまで、インフォメーションとしての記事はともかく論説にはなかなか取り上げられることがなかった。

今回は、森林環境譲与税が真っ当に使われていないとか、そもそも配分基準がおかしくて森林のない大都市にたくさん分配される……などから切り込んでいる。ここまでは、すでに指摘されている。

私が問題にしてきた期間限定の復興税を焼き直して住民税上乗せで徴収するおかしさに触れている。さらに最初に予算の分配ありきで使い道が不明確であることを取り上げている。

その点からは、まあ、これまでの森林環境税の取り上げ方の中では真っ当かな、と思った。

が、どうしても気に食わない点がある。

森林保護の財源を充実させる狙いは理解できる。

木材価格の下落などで放置される森林が増え、山林崩壊の懸念が高まっている。地球温暖化対策の面でも、森林の機能は重要だ。政府は19年度、所有者に林業経営の意思が無い場合、市町村が代わりに管理する制度を導入した。その財源を確保するのであれば、意義は大きい。

この部分だ。理解できる?意義が大きい? どこが?

森に金を出すのは喜ばしい、財源があれば森林が充実できる、というのでは、もとから森林管理を必要経費と見ているのだろう。林業は産業ではない、という認識か。なにより森林のためには金をかけるのは当たり前としている。これが気に食わん。

ほかの分野なら、補助金バラマキに対してわりと厳しい目を向けるのに、こと森林に関しては甘い。

だいたい国民自体が、森林環境税という明らかな増税に対して文句を言わない。また用途に対しても甘い。1円でも、その使い道が本当に森林のためになっているかと追求しなくてはならないのに、なぜアマアマなの。これは日本人の特徴なのか。あるいは人類みんな同じなのか。

この甘さが、逆に森林を痛めつける。税による事業者を堕落させる。なによりバラマキだから、支出した後の検査がほぼしない。どんな目的外使用でも文句がつかない。

また「放置される森林が増え、山林崩壊の懸念」とか、「地球温暖化対策」のための「管理」とか、ちゃんと検証したのだろうか。「林業を活性化して木材生産を増やせば、森林はCO2の吸収する」とかいう説明に疑問を持たないのか。

なんか、「森」と名がつけば庶民は文句を言わないと見透かしている。


もう一つ私が嫌いな税制度に、「ふるさと納税」がある。これも、自分で稼ぐのではなく他の自治体の税金を横取りする制度だ。しかも自分の自治体に納税させるために「税金の控除」と「返礼品」という名の餌をぶら下げる。これも税金の無駄遣いである。ふるさとでもない、行ったこともない地方に納税すると見せかけて返礼品で儲けるという個人納税者もいやらしい。下品だ。

ふるさと納税も森林環境税も地方税の食い合いだろう。徴税額は減らさず、いや増やして、地方同士を争わせているのだ。

2022/03/27

集成材に化粧フリッチを張る方法

車から、こんなものが出てきた。以前、積み込んで降ろすのを忘れていたのだ。長さは1メードルほど、厚さは1ミリぐらいかな。

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よいこの皆さん(^^;)はわかるだろう。化粧張り用の吉野檜のフリッチである。この薄い板を張れば、中の材の見映えがいくら悪くても関係なくなる。見事な吉野の銘木に化けるわけだ。先日、吉野を訪問した際に、工場を見学させていただいた。

最近は建築が大壁工法となって、柱などが見えなくなったので、化粧張りも流行らなくなった(同時に銘木そのものが流行らない)が、私は、もっと化粧張り技術を応用して現代流の銘木商品を作れないかと思っている。何しろ木材は見た目が9割だ。化粧張りはそれを達成してくれる。同じようなものにツキ板があるが、その厚さは0・2ミリぐらいだから、それよりフリッチは厚くて木質感も増す。部位によって使い分けられるはずだ。

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ただ不思議なのは、角材の四面にそれぞれ別のフリッチを張るはずなのに、いくら目で見ても木目がつながっていて無垢と区別がつかないことだ。これは私のような素人だけでなく、木材を扱うプロでも、かなりの割合で見抜けないはず。断面を見て、初めて集成材かとわかる。

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どうやって木目をつなげているのだろう……というのが昔からの疑問だった。それで尋ねたのだが……。

「目で見て、木目が合うフリッチを選んでいます」。

あああ、そうだったのか。決して、機械で判別するとか、あるいは機械で木目をつなげるわけではなかった。こんなところにも職人の技量が使われていたのだ。以前書いた植物工場で自動生産していると思われるカイワレも、実は人の飽くなき観察と調整の技量が左右していた。

カイワレの作り方・「やりがい搾取」の農業論

化粧張りも一緒だったのか。これには人間の技量のすごさと同時に危うさも感じる。その技量に見合う利益を得られているのか、そして後継者が育つのか。

早く化粧張り技術を活かして高く売れる商品を開発しないとマズい。それも単品ではなく、全体のグレードを上げることになればよいのだが。(たとえば柱のような1本の商品ではなく、建築物そのもの価値を上げて利益を高める。)いっそCLTのパネル一面に化粧張りをして、そのまま壁にできないか。そうしたら内装もいらなくなる。構造材のCLTをそのまま内装になれば、単品の価格は上げても、建築側は手間が省ける分安くできる。化粧張りも、紋様を入れるとか木目の色合いを利用してデザインになるようにする……とか。

とにかく見える用途を考えるべきだろう。

さて、お土産にもらったフリッチは何に利用しようかな。

2022/03/26

仰天!「アマゾンの“空飛ぶ川”」

Amazonが空を飛んで配達する……そんな話じゃない。

NHKのBSプレミアムで放映している「コズミックフロント」という番組で、正確には、アマゾンの“空飛ぶ川”  見えてきた地球規模の水循環である。3月24日放送。3月30日に再放送。

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コズミックフロントは、だいたい宇宙・天体関係の番組だと思っていたら、時々、こんな内容を放送するから気を許せない。これは南米アマゾンで研究されている水の大気循環の話だ。アマゾン川の上空に、アマゾン川の水量より多い水分(水蒸気)の層があり、気流として流れているというのだ。
かなり専門的ではあるが、十分見せる構成であった。取材も日本も含めてブラジルやロシアまで行っている。これは、NHKの独自制作か。

アマゾンとはあるが、実は地球規模の話で、各地にあった。ようは森林が発生させる水蒸気が思いのほか地球環境に影響することがわかってきた。それも赤道をまたぐという、通常の気象学では有り得ないような大気の流れがあることがわかった。

20220325-225805日本近海にもある。

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そこで語られるのは、森林に降った雨水のうち約半分は空にもどっていること。一つは光合成に伴う蒸散作用であり、もう一つは遮断蒸散。つまり雨が地面に落ちる前に草木に当たって飛散し蒸発してしまう現象だ。
森は水を蓄えたり生み出すどころか、消費して総量を減らす」と私は『虚構の森』でも記したが、問題は、木々が消費した水の行方だ。その多くが上空にのぼり、巨大な流れとなって移動したり、あるいはそこで再び雲をつくって降雨となるという。その仕組みには、森による生物ポンプなどの物理現象があるという説が有力だが、その点は割愛。この大気による水の循環が、地球上の熱バランスを保っていることがわかってきた。言い換えると森林の存在は、これまで以上に重要とされる。

そして森林破壊が進むと、降水量が減る現象も指摘されている。アマゾンでは約20%減少し、近年、南米のイグアスの滝の水の量が5分の1に減ってしまったという。

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いやいや、なかなか興奮する内容であった。気候変動と森林、といったレベルを超えて、森林を失うと地球上の生命環境がガラリと変わる恐れさえ感じる。大面積(大陸クラス)の森は、やはり水を呼び込み蓄積していると言えるかもしれない。

こうした研究成果、ちゃんと政策に読み込んでている?

 

2022/03/25

カネノナルキ、金運落ちたか

カネノナルキ、という木を知っているだろうか。金のなる木。成金草ともいう。なんとも下品な名前をつけたものだ。正確には樹木ではなく草本に入ると思うが……。

和名はなんだろうか。多肉植物のベンケイソウの一種である。ベンケイソウ科クラッスラ属で、フチベンケイソウと記したものもある。

実は我が家にはたくさんある。とくにベランダでは多肉植物ばかり育てている。何より簡単だから。水やりは少なくてよいので忘れても助かりやすい。それに土か水に触れると、すぐに根が出て育つから増やすもの簡単。

ただ寒さに弱いので、冬の間は室内に入れておかねばならない。その一つが……。

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いきなり太い枝が落ちた。縁起でもない。・゚゚・(>_<;)・゚゚・。金運が落ちる予告だろうか。

何か折れるようなことをしただろうか、と疑ったが、何もしていない。折れたところを見ると、どうやら自然落下らしい。冬の間は水はほとんどやらなかったが、それ以上に日光不足のせいだろうか。多分、このままじゃ全体が維持できん! と悟って一部の枝を落としたのだろう。植物も自己犠牲精神がある。

ま、あわててベランダに出した。もう暖かくなってきたから。もっとも夜は摂氏2~3度まで下がるのだが。
それに折れた枝も水入りバケツに差して、せっかくだから新たな鉢で育てる予定。

カネノナルキを増やして金運がよくなりますように。

ちなみに写真の鉢植えの一部に写っている大きな葉は、セイロンベンケイソウだ。こちらはハカラメともいう。葉から芽が出るから。。。和名は単純なのだ。こちらも増やして正論を吐けますように。

 

2022/03/24

コンビニバーの哲学を妄想する

先日、大阪に出た際に「コンビニ・バー」なるものを見かけた。ローソンの隣に「お酒の美術館」というバーがあり、両者が内部でつながっているらしい。だからコンビニとバーのコラボなのである。

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ちょうど友人と会っていたので、夕方……というには多少早い時間に覗いてみる。

バーは、わりと本格派。相当な種類のウイスキーボトルが壁に並び、立ち飲みとあったが、小さなテーブルやチェアもあった。それでいて一杯は基本どれも500円と安い。
で、つまみは隣のローソンで乾きものを購入。途中席を立って買いに行ってもいいらしい。つまみを受ける皿は出してくれるし、ドリンクをお代わりしても毎度グラスは交換してくれる。その点は、安直な立ち飲み酒屋とは違うのである。

しかし、この異業種コラボにどんな意図があるのか。コンビニ客などが、陽の高いうちから客が入るとか? しかし、聞いてみると午後3時オープンながら、明るいうちはそんなに客が入るわけではないようだ。「たまに営業マンや外回りのOLが日が暮れる前から来ます」という程度。当時はマン防継続中だったから今は夜遅くまで開けるのだろうが、やはり客は夜来るのが圧倒的らしい。

では、どんな効果があるのか。まずバーは、コンビニに来た客を呼び込めるので、独自の宣伝は必要ない。次につまみなど料理を出さないでドリンクに集中できる。コンビニは酒飲み用という新たな客層と需要を開拓できる……という利点があるように思う。そういや先日の東京で泊まったホテル近くのコンビニは、酒とつまみが豊富だった。

どうやら、コンビニ・バーは各地にオープンしているようだ。ここはローソンとだったが、ファミマと組んでいるところもあるらしい。「お酒の美術館」側の仕掛けたコラボ戦略なのだろうか。ちなみに経営は、京都の株式会社のぶちゃんマンで、関西以外に東京・埼玉など各地にフランチャイズ方式で拡大している。

どの程度成功しているかという点は、私にはわかりかねるが、異業種コラボは、時代の要請でもあるように思う。コンビニも、そろそろ店舗拡大は限界に達している。人口減少時代に単独で売上を拡大するのは難しい。一方で、多様なサービスも限界だ。アルバイトに一体何役させているんだ、と思う。レジだけでなく、おでんやから揚げの調理、チケット発券、納税窓口に宅配便……。

そこで複数の業者が多様なサービスを絡ませることで、顧客満足と売上拡大を狙う。先に分業拡散から一貫生産へと記したが、分業しつつコラボで一貫性を保つことをめざしたのかも。

各人が慣習や既得権に縛られ行動も思考もマンネリ化して社会が行き詰まっている現代に、コラボは意図的に異業種がもたらす刺激狙いかもしれない。もちろん、成功するかしないかは、コラボする同士の才能次第だが。

林業や木材産業も、積極的に異業種と結べばいいのに。何も建築や家具のような関連業界に留まらず、いっそ鉄工所とか飲食店とかファッション業界とか賃貸不動産とかスポーツ産業とか出版業界とか。。。どう交わるかは、私にも腹案はあるが、教えない(^^;)。

まあ、こんなコンビニバーのという発想の源と、効果を酒を飲みつつ考えたんだけどね。駆けつけ3杯、ちょっと回ったか?

 

 

 

2022/03/23

古墳の植生を覗きたい

最近はできる限り毎日ウォーキングするよう心がけている(ようするに散歩)が、このほど歩いたのは奈良市北部の佐紀路の五社神古墳を巡るコース。

推定長267メートルもの巨大前方後円墳だが、宮内庁は狭城盾列池上陵(さきのたたなみのいけのえのみささぎ)」として第14代仲哀天皇の皇后である神功皇后の墓と治定している。なんと70年間も大和王権に君臨して実質政務を執っていたという不思議な女性だ。ただ天皇ではないおかげ?で、この古墳は発掘調査が行われている。

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実際、この古墳には、わりと入り口がいくつもあるんだよね。もちろん、柵はあってすぐに乗り越えられる……いや、私は乗り越えていないが、わりと簡単な柵で、しかも奥へ続く道も見える。あの森の中には道があるらしい。

天皇陵は、安寧のためとやらで発掘もできないが、ここなの発掘記録は貴重だろう。実際、埴輪なども発掘されたようだ。

考古学的なことはおいておき、古墳の生物調査は行われていないのだろうか。古墳、とくに天皇陵は神聖不可侵……と思われがちだが、実は江戸時代までそんなことはなく、どこの古墳も地元民が入って木々や草の収穫をしていたようだ。なかには畑を作っていたケースもある。

明治になって立入禁止になり、わざわざ植林も行うようになるのだが、その後は基本的に手を付けていないはず。ならば植生遷移の見本地として貴重だと思うのだが。

100年、150年も放置されているのだから「潜在自然植生」とやらも成立しているかもしれないし、そうでなくても自然に周辺から種子が飛んできて成立した植生って興味ある。もしかしたらレフュージア(生物種の退避地)として、地域では絶滅している希少な草木や昆虫種などが、古墳丘の中に繁殖している可能性だってある。

発掘のように地面を掘り返すわけじゃないんだから、宮内庁もOKしてくれないか。

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こちらは近くのウワナベ古墳。この地域最大の古墳だが、応神天皇の娘、仁徳天皇の皇后である八田皇女の陵墓参考地となっている。で、こちらも発掘調査は行われた。

よく見てほしいのだが、この木々、どう見てもヒノキだろう。しかも植林した様子がありあり。古墳の中に植林して、どうするつもりなんだろう。木材を収穫するつもりだったのか、あるいは植える苗がスギとかヒノキのような針葉樹しかなかったからなのか。

 

2022/03/22

Y!ニュース「気候変動は花粉症を減らすかも」を書いた裏事情

Yahoo!ニュースに「意外?気候変動は世界の花粉症を減らすかも」を書きました。
前回は18日アップだから、4日目。私の中では異常に早い。

目先の仕事がなくなった、と気づいた途端、Yahoo!ニュースを書き始めるのはいかがなものか……(-_-;)。

まあ、花粉症ネタはいつものことなので。『虚構の森』でも取り上げた点を最新ニュースとともに記したのであった。

悩みは相変わらず写真。私の手持ちや、Yahoo!のライブラリーにあるのはスギ花粉ばかり。もう、この写真は使わずに花粉そのものの写真はないかと思って探したが、花粉症を引き起こす花粉ではなく、ツユクサとかヒマワリとかしか見つからない。

そんなときに見つけたのが、花粉観測ロボ。しかし、写真を見て何かと一目でわかる人は少ないだろう。それに中に女性が写っているものといないものと。両者を幾度も見比べて、やっぱり人がいた方がイイネ、目を引くね、と選んだのであった。

しかし、先に写真を見た人は何の記事や? と思うだろうね。でも、下の花粉を飛散させる直前ぽいスギより斬新と思わない?

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2022/03/21

日本が世界の森を奪っている?

一時期流行った(今も声高の人はいるけど)「外資が日本の森を奪う!」という与太話。

おかげで林野庁も、「外国資本による森林買収に関する調査の結果について」を毎度続けている。可哀相に。たとえば昨年の報告は、こんなの。たった22ヘクタール。しょぼい。。。これまで多くても、せいぜい数百ヘクタールだった。それも1か所1ヘクタール未満もいっぱい。外資名義になっている森林面積の総計は、どれぐらいだろうか。どう見ても1万ヘクタールに達していまい。

そりゃ、外国人も日本の土地を購入することはあって、それが森林である場合もある。そうした現象の善し悪しは勝手に論じてくれたらよいが、それならこの記事を読んでほしい。

海外で社有林拡大 「排出ゼロ」実現 矢嶋進王子ホールディングス会長

ようするに王子製紙グループ(ホールディングス)は、国内外に約58万ヘクタールの森林を保有する。国内が約19万㌶、残りが海外、つまり39万ヘクタールだ。今後も海外で植林地の面積を増やしていく予定で、ブラジルやニュージーランドを中心に30年度までに約15万ヘクタール増やす計画だという。

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大陸国家のブラジルはともかく、ニュージーランドは日本列島より小さな島国。そこに5・8万ヘクタールも森林を所有するということは……ニュージーランドの森を奪っている! と言われないだろうか。もし日本で5・8万ヘクタールの森林を取得されたら、日本第3位の山主となる。三井物産も住友林業も抜く。大騒ぎになるかもしれない……(ならないかも。興味ない国民が大半かも)。

現実に、排出権取引を狙って日本の山を欲しがる外資系企業はあるだろう。なぜなら、日本の山は相対的に安いから。
そして荒れた山を整備してくれたら、果たして文句言えるか?  日本人が持っていると、荒れたままだけど、外資のおかげで真っ当な林業ができてカーボンクレジットの適用もできますよ、と言われたら。でも、整備する手間を考えたら日本の山林の価値は下落するな。

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ちなみに日本製紙グループは、ブラジル・チリ・オーストラリア・南アフリカに計約8・3万ヘクタール(2019年末時点)の植林地を管理している。また住友林業は、現在、インドネシア、パプアニューギニア、ニュージーランドの3ヵ国で約23万ヘクタールの森林を管理しているそうだ。これらが土地の所有なのか管理権だけなのか、HPの情報だけではわからない。

いずれにしても、各国で恨まれないようにね。

 

2022/03/20

秋篠寺・苔の庭

最近、心がけていることは…お寺参り。とにかく身の回りに有名寺院がいっぱいある。

老後の前(の前の前、ぐらい)の趣味?というか、奈良に住んでいるのに、まだ訪ねていない寺がたくさんあるなあ…と思い出したのがきっかけだが、やっぱり年をとってわかる良さがあるのよ(^_^) 。

今回は、いつも近隣を通っているのに中に入ったことのない秋篠寺を訪れた。狭い路地のような道の奥にあるし、そんなに大きくもないのだが、名が通っているのは、やはり皇室の「秋篠宮」のおかげだろう。未成年の礼宮から秋篠宮家を創設したことで知られ、今や皇位継承順位1位の皇嗣である。

で、入って最初に驚いたのは、二重の塀になっており、外側の庭が、見事な苔に覆われていたことだ。

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まだ冬の装いだから色は地味だが、地面が生きている感覚がある。ある意味別世界に入った気分に浸れ、なんだか腐海を連想する。

よくぞ林床にこれほどの苔を育てた。すごいガーデニング技術だなあ、と驚いた(そこか)。どうやったら林床一面に苔を育てられるのだろう。それを維持できるのだろう。苔が覆うことで樹木の生育には影響はあるのだろうか……といろいろ考えてしまう。この技術、売り物にしたら依頼が殺到しそう…とビジネスにつなげて見てしまうのは、私の悪い癖(-_-;)。

ちなみに、まだ受付手前なので、庭だけなら拝観料は要らない。今後、散歩コースにするかなあ。

 

さて、500円払って入った内側もすごい。私は一目で気に入ったよ。なんか、ピンと張りつめた金本堂。これは国宝だった。

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中の仏像群は、本尊の薬師如来などの穏やかさとは別に、帝釈天や十二神像などの猛々しい顔相が目に入る。みんな重文だ。

この寺、気に入ったなあ。

 

ちなみに境内に巨大な石碑があったのだが、これが「欧州大戦供養塔」とある。この呼び方をするのは第一次世界大戦のことか。なんだかウクライナ戦争を連想してしまうのであった。

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2022/03/19

林野庁図書館ニュース創刊。そこに…

林野庁の図書館が、ニュースレターを創刊した。その名も、「林野庁図書館ニュース」。そのままやん。

詳しく読みたい方はリンク先に飛んでもらって、ダウンロードしてください。

ここでは触りを。

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林野庁というか農水省庁舎内に林野庁図書館(正確には、林野図書資料館)があるのは知っていて、実は以前訪ねたこともある。ふらりと寄れたのだ。当時は、土倉庄三郎がらみで明治時代の林業を調べようとしたのだったかな。かれこれ20年ぐらい前? そこまでは行かないか。今は庁舎に入るのも敷居が高くなったので気軽に閲覧することもできなくなった。

ともあれ昔からあった図書館が、今になって(pdfとはいえ)情報誌を発行するとは。それにしても、創刊号で特筆すべきは、新着・注目図書の紹介の中に拙著があったことだ。

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虚構の森』が登場していて驚いた。紹介していただいてありがとうございました。

ここで3年前の『絶望の林業』も紹介してくれ~というのは厭味かもしれない(笑)が、森林・林業関係の書籍は、一般には目に止まりづらく、そもそも存在を知ってもらうのも大変。ぜひ珍品・稀少資料を紹介してほしい。

なお林野庁図書館は国会図書館の支部と書いてある。国会図書館も、敷居が高いんだよなあ。以前、地元の図書館に問い合わせるとレファランスやコピーが届くのに数か月かかると言われた。。。で、国会議員の秘書に頼むと、2日ぐらいで届いたことがある。今は、車で30分圏内の国会図書館関西館に直接出向くようにしている。

我が家の20キロ圏内に、いくつも生駒市・奈良県・大阪府、そして国会図書館と、段階的にそろっているのは有り難い。せっかくある情報に、いかにアクセスするかは今も悩みの種だ。

 

 

2022/03/18

Y!ニュース「ウクライナの森が……の裏事情」を書いた裏事情

Yahoo!ニュースに「「ウクライナの森」が日本に輸入されている裏事情」を執筆しました。

今週は急ぎの仕事もなくてヒマだ、と言ったのに、何か書かなきゃと思う貧乏性。

で、Yahoo!ニュースのネタを考えたんだが、単に私が興味を持っていることでは弱く、ある程度は時事的な要素が求められる。今は、ロシアのウクライナ侵攻一色なので、ほかのことはあまり興味を持たれない。それで、ふとウクライナの森について考えてみたのである。すると、こんなに裏事情が……。だから、タイトルは「裏事情」となり、ブログでは裏事情の裏事情になってしまった。

しかし、写真がなあ……と悩む。ウクライナの森の写真なんて、Yahoo!の契約しているライブラリーにあるだろうか。

が、あったのである。それも大量に。ほかにカラパチア山脈もあった。こちらはスロバキアの国立公園らしいが……。楽しい観光の様子が。

やはり林業的な森の写真を、と考えて選んだが、これは失敗だったかな、とアップしてから思う。暗い雰囲気になって、目を引きつけない。
やはり明るい美しい森の写真にすべきだったか。できればオネエチャンが写っているものに……。

ヴィジュアル選びも悩ましい。

 

 

2022/03/17

森の変遷と森づくりの技を考える

久しぶりに訪れたタナカ山林こと、生駒山にある私の山の土地。

なんだか倒木が増えている。風倒木もあるが、どうも寿命と虫害などで枯れた木が倒れたものも目につく。1本倒れたら、わりと周りの木々もなぎ倒しがちだから何本も倒れたり折れて光が入る。これも植生遷移の過程だろう。もとから雑木林だが、今後どんな林相になるのか考えてみる。

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そんなときにたまたま目についた「人工林の多様性を高める森づくり事例ガイド」。思わず目を通してしまうのだが……。

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まあ、そんなに私が知らないことが載っていた、というほどではなかったのだが……。ちょっと面白いな、と思ったところ。

針葉樹人工林を広葉樹の混じる森にしていくための道のり

「スギ・ヒノキの人工林は日本の本来の森林の姿を考えると、決して「不自然」な樹種ではない。人工林に広葉樹を混交させる考え方自体は妥当だが、スギやヒノキを排除する必要はないと思っている。」
「育ち盛りの若木(スギやヒノキで言うと概ね40~50年生くらいまで)ばかりの時は(若齢段階)、上木を多少取り除いてもすぐに枝が伸びて上空を塞いでしまい、すぐに暗くなってしまう。若齢段階に一生懸命作業をしても、あまり有効ではない。一方、樹高成長が落ち着いた40~50年生以降の人工林(成熟段階)であれば、伐採で多少本数を減らした後、すぐに空間が塞がることはなく、林床の光環境が維持される。」

かつての日本の植生は、基本的に針広混交林だったとすると、現在の落葉広葉樹林・照葉樹林と針葉樹林といった分け方も考え直さねばならないのかもしれない。それは、単に片方を伐り尽くしたか最初から排除した結果かもしれないのだから。逆にスギ林やヒノキ林が混交林になってもおかしくないわけだ。もともと私の森も、戦前はマツ林だったらしいし、今もスギやヒノキが生えているぞ。

そして、一般の間伐のように若い段階で伐るのではなく、成熟してから伐った方がよいというのも、納得。これは残存木の育成ではなく、伐った木を利用するための択伐と思えばよいか。つまり、択伐こそ針広混交林への誘導に適した手法ということになる。

これって恒続林施業を後押ししているかもしれない。奈良県は恒続林となる森づくりを進めようとしているが、その手法はまだ確立していない。ここに鍵があるかもしれない。

それと、保持林業についての記述が多いのも目に止まる。皆伐施業でも、ある程度の残存木を保持して、森林生態系の回復を早める手法だ。まだ日本では言葉そのものが導入されたばかりで一般化していないと思うが、欧米では広がっているみたいだし、私も気にかけている。皆伐はするな、と言っても、どうしても山主の都合(さらに補助金の都合)などで皆伐が求められる場合、保持伐という方法もあることを示せたら、救いにならないか? 

 

あと、文句を付ければ、目次に大台町を奈良県としているのは誤記ね(^^;)。三重県だろう。

それに、どうも各項目ごとに市民団体の役割を見つけようとしているのが鼻につく(笑)。これ、制作したのが「森づくりフォーラム」というNPO法人であるからなんだろうが、高度に専門的な針広混交林誘導技術と長期間にわたる関わりを求められる世界に、アマチュアが入り込む余地はないと思う。プロが仕事としてやるべきだ。もし市民団体でやるなら、その団体もプロになる(たとえば企業化)べきだろう。
市民団体の役割は、せいぜい情報提供を含めた提言や、行政の監視ではないか。

さてタナカ山林は雑木林だから、別に何か目標林型を決めて誘導することは考えていない。もちろん私もプロではないが、所有者というのは長期的な関わりができる(しなくてはならない)立場。今後行う森遊びを考えるのによいかな。

2022/03/16

吉野山とメガソーラー

この写真はいかが。先に訪れた吉野山の花矢倉展望台から撮影したものである。

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中央右上に見えるのが、吉野山の象徴でもある金峰山寺蔵王堂。この手の風景写真は吉野観光のポスターにも使われるアングルだ。大仏殿に次ぐ巨大木造建築で、ちょうど秘仏公開も始まるとかで盛り上がっている。
ただ、この写真の左上に何が写っているかわかるだろうか。

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拡大すると、こんな感じ。そう、メガソーラーだ。もう完成してしまっている。

奈良には、こうして完成したメガソーラーと、生駒山の平群に作りかけて中途で止められたメガソーラー、そして現在計画中だが、まだ工事の始まっていない山添村のメガソーラーがある。いずれも元ゴルフ場計画予定地で、長年塩漬けされていたものの、外資ファンドに買い取られてんいなりメガソーラー計画が動いた例。いずれも50~80ヘクタール級だから、たいした規模だ。

この3つ、メガソーラー建設の進展過程を見るかのよう。山に大きな傷を負ったが、とりあえず平群は止めた。山添も村上げての反対の声が高まり県も支援の体勢に入っているので、止められるかもしれない。が、吉野は……。

最初に完成した吉野山のものは、反対の声が出る間もなく建設されてしまった。しかも最大の景勝地である。今後、ポスター写真を取る際には、トリミングでカットしたり塗りつぶし修正が必要かもしれない。

 

ようやく政府にもメガソーラー建設への疑問が上がってきている。森林を伐採したら脱炭素にならないじゃないか、という素朴にして当たり前の疑問。しかし改正地球温暖化対策推進法に基づき、市町村が再生可能エネルギー発電所を積極的に誘致する「促進区域」設定に努めることになってしまっている。

大岡環境副大臣は、メガソーラーが大嫌いらしく「全域をネガティブゾーン化し、(立地を認める)『ポジティブゾーン』を指定していく」提案を口走ったが、すぐに裏で(ブリーフィングという名で)抑えられたようだ。
この大岡議員は、実は原子力発電に未練を持っている様子だから、そんなに環境派とも言えないけれど。

とはいえ、バイオマス発電に続きメガソーラー。今の再生可能エネルギーの発想も曲がり角に来ている。

ついでに、先日見てきた平群のメガソーラー計画地。どんどんガリ浸食が広がっているよ。

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2022/03/15

『植物展』の森の絵

今日、朝一番に締め切りの原稿と写真を送る。そして、はっと気づいた。

これで、仕事がなくなった(゚o゚;) 。

もちろん長期的にはいろいろ抱えているのだけど、当面の締め切りに焦る案件がないのだ。今週は遊べるぞ!(だいたい仕事と休みの区別がはっきりしないのだが、今日はすっぱり休み!)

というわけで、出かけることにした。目当ては、前々から気にしていたが、行く機会を失っていた『植物 地球を支える仲間たち』展。大阪府自然史博物館で開かれているものだが、そろそろ会期は終わりごろ。行くとしたら、今でしょ! というわけである。ちなみに、これは昨年は東京でもやっていて、NHKや朝日新聞も後援しているわりと大きな催しだ。

あんまり大阪に出るのは好まないのだけど……コロナウイルスと維新の臭いを避けて長居公園まで足を運ぶ。

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このポスターだけでも、地味な植物を題材に大きな展示にするのは、なかなかの苦労があったことを感じさせる。……まあ、派手なのはポスターだけで、全体に地味だったけど(笑)。入場料は高め。それに内容が真面目で、生物マニアの高校生向きかもしれない。

ちなみに私の琴線に触れたのは、青いバラや青いキクとか、巨大花ラフレシアとかではなく、森の絵であった。

先カンブリア紀から古生代、中生代と進んで陸上植物の登場から裸子植物、被子植物へと進化する過程を紹介しているのだが、それは同時に「森の誕生」でもある。その巨大な絵がよかった( ̄∇ ̄) 。

ああ、こんな絵を自宅の壁に並べたい……と思ったのであった。上手い下手ではなく、森の世界に引き込まれる造形。写真を撮って引き伸ばすか。いっそ、自分で描くという手もあるな。合板張り付けて、古生代の巨大シダの絵を描けないか。

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しかしオフなのに森にこだわるのは、仕事にならないか?やっぱり今日は仕事をしているんだよ。休みじゃない。

それにつけてもミュージアムショップのぬいぐるみ。

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やっぱりラフレシアでしょ!

あとは常設展示のこれ。

20220315-131505 巨大ゴキブリ。

見終わってからは、長居公園でゴロゴロしようかと思ったのだが、公園近くで不動産会社やっている友人の所にお邪魔することにした。近況を語り合いながら、陽の高いうちから飲むのは楽しい。やはり今日はオフだ!

2022/03/14

「つなぐ棚田遺産」に「聞き書き甲子園」の選び方

棚田と言えば、最近は何かと環境保全のシンボルになっていて、注目を集めがちだが、同時に保全が難しい里山の一環境。そして「日本の棚田百選」なんぞも選定されている。

そこに農水省農村振興局は、今度は「つなぐ棚田遺産」271地区を選定した。(棚田百選は、134地区)

なんだ、屋上屋を重ねるというか、看板の上に看板を重ねるのか、と思ってしまうが、そのとおり(^^;)。完全に重ねて下の看板を潰している。なんでも「百選」は、せっかく選んだのに、その後保全が進まず荒廃しているところが増えてきたのだそうだ。そこで景観保全などに積極的に取り組む棚田に絞って選び直したとか……絞るはずが、百選の2倍になってるやん。ま、一応は市町村や地域住民などが、棚田の振興や保全に参加することなどが要件となっている。

きっかけは2019年に棚田地域振興法が施行されたことがあるようだ。同法に指定された棚田地域は、通常より手厚い財政支援を受けられるらしいのだ。加えて22年度予算案では「超急傾斜農地」に加算措置が設けられている。それらの予算・補助金バラマキのための指定なのだろう。しかし「遺産」に選ばれた地区でも指定を受けていない棚田が約3割あるという。

一覧は、こちらにあった。

つなぐ棚田遺産~ふるさとの誇りを未来へ~の選定について

ざっと目を通したが、本当?と疑いたくなるのもあるし、逆に有名なあそこが入っていないの? と思うものもある。

いつも思うのだが、この手の選定の候補はどうやって上げているのだろう。おそらく地元からの推薦などが必要なはずだが、たまたまその担当者(市町村? 農協などの団体?)が、この制度を知らない、もしくは興味ないと、候補にも上がらず、その後の選定審査にも引っかからないはず。その方が多いのではないか。

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たとえば私の地元の生駒山も、巨大な棚田地帯があるし、その中で幾か所か保全運動をしている団体もあるが、今回の「遺産」には選ばれていない。推薦がなかったからだろうか。そもそも巨大すぎて一部の保全はしても、全体としては荒れているからだろうか。

そういや「聞き書き甲子園」というのも、今年で20回を迎えている。もともと「森の聞き書き甲子園」だった。森の(技術)名手・名人100人を顕彰するのに合わせて高校生が聞き取りするものだ。名人の顕彰と、高校生への啓蒙が目的だったようだが、回を重ねるごとに川や海も加え、もう名人も尽きただろうに、聞き書きさせるために選んでいるような状態だ。20回って、全体では2000人をはるかに超えているよ。

 

結局、財政支援とか言っても、その手の金で本当の保全活動はできない。もともと活動をしていたケースを多少助けるだけだ。手がける人の手弁当に近くて、時間とともに限界が来て荒廃していく。また新たな選定をしなくてはならなくなりそう。

「百選」の次が「遺産」なら、その上に重ねるとしたら、なんとネーミングするかね。「遺跡」とか「化石」の「発掘」かもね。

2022/03/13

これから流行る?円柱

平城宮跡には、1300年前の建物が多く復元されている。その柱に注目。

2020-10大極殿内部の列柱。

Photo_20220313220701 宮内省の建物。

見た通り、柱は円柱だ。壁のあるところは角材だが、軸組としての柱は円柱。これが平安京に移って寝殿造となるのかどうか。

思えば、円柱こそ木材の使い方としては手間少なく無駄なく、繊維を断裂させずに強度を弱めず、もっともよい使い方のような気がする。それなのに、時代の流れは角材へと傾いていくのだが……単に組みやすい・建てやすいとか保管する・輸送するのに四角い方が都合がよかったからかなのか。建物の利用としても丸より角がある方がしやすかったからなのか。

まあ、それを否定するわけではない。しかし、機能はともかくデザインから考えると、現代には円柱がまたオシャレに感じるのではないか。

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これは、先日訪ねた吉野の会社の社屋にあった円柱。これはヒノキの無垢で無地だ。どこを見ても節がない(゚д゚)。。。ちょっと簡単に手に入らないだろう。幻の逸品というところかな。触ると気持ちいい~。

しかし集成材の円柱とか、無垢で節は気にしないのならば、そんなに製造は難しくないのではなかろうか。

現代の家屋で円柱が使われているのは、せいぜい床の間の床柱に生き残っている程度かもしれないが、それも少なくなった。しかし洋室にも似合うし、構造材とインテリアのデザイン性が両立できる要素があるように思う。ギリシアからローマ建築に至る円柱の建築史を振り返れば、魅力いっぱいだ。何もエンタシス円柱にまでしなくてもいいから。レトロな雰囲気もかもし出しそうではないか。

もっとも製造すれば売れるというものではなく、やはり建築家・設計士に円柱を選ばせないといけない。挑戦する建築家を見つけ出し後押ししてほしい。私は、設計時の建材アイテムに円柱を加えると、内装に幅が広がると思うのだが、どうだろう。

 

2022/03/12

割り箸vs塗り箸を吉野で考える

昨日の続き、というわけではないのだが、大淀町の道の駅には、塗り箸も並んでいた。

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吉野にはサクラはもちろん、梅林もあってウメの木も多いが……この塗り箸が、吉野でつくられたかどうかは不明( ̄∇ ̄) 。塗りができる工房があったかのかどうかも私は知らない。

吉野は割り箸の産地だが、塗り箸を忌避するわけではない。以前の割り箸論争の際は、割り箸vs塗り箸といった構図があったが、今やそのレベルの論争は消えてしまった。それほど割り箸は衰弱したとも言えるが、塗り箸も本物なら木製品なのだから、敵視しなくてもよいのだ。

むしろ木質箸vsプラスチック箸と捉えるべきだろう。

プラ箸は、塗り箸をも駆逐しつつある。厄介なのはプラ箸にも漆塗りぽい塗装をしたデザインのものがあることだ。塗り箸の塗りも、漆はごくわずかで、多くが石油系樹脂などだろう。それでも芯が木質なら、ぐっと堪えるが……。

ところで、ウクライナ紛争(もう、戦争と呼んでもいいかもしれない)では、熊本県のメーカーが、ウクライナ国旗の色(青と黄色)に塗られた箸を売り出して、寄付につなげた。
そして今、別のメーカーによる国連加盟国にウクライナ支援塗り箸を配る計画も進んでいる。箸を架け橋にする運動が世界中に広がりつつある。これが実現したら、国連メンバーの旗色も鮮明になるだろう。

 

なお、道の駅には、今は途絶えた「吉野塗」デザインの盆なども陳列されていたんだよね。。。吉野塗、下市塗とも呼ばれる漆器は、江戸時代に栄えたが、明治期に消えてしまっている。今は骨董で扱われるだけ。一目でわかる黒字に朱赤文様なのだが……陳列されていたのは骨董ではなく、近年の作品のようだ。どこかで復興したのか真似たデザインなのか。

 

2022/03/11

吉野割り箸巡り旅

実は昨日、今日と吉野山に行っていた。もちろん仕事である。

そのスタートに道の駅で腹ごなしをした。何気なく選んだから揚げ定食。で、びっくり。

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ちょ、ちょっと量が多すぎるのではないか。。。このから揚げ。ということが言いたいのではなく、箸だ。

これ、最高級割り箸の「らんちゅう」だよ。フツーの定食にらんちゅう割り箸が出てくるなんて、さすが吉野。
おそらく「らんちゅう」割り箸の価格は、小売りなら包装紙付きで一膳20~40円ぐらいはする。バラで1膳なら5~6円ぐらいはすると思う。もちろん産地だけに、もう少し安い仕入れルートがあるのかもしれないが、通常の中国産割り箸なら1円前後だから、やはり高い。しかし定食価格は1100円だったか、そこに含めたらたいした負担にはならないと想像できる。

ちなみに普及版割り箸「元禄」の国産ものなら、3円程度に抑えられるはず。

気をよくして、ちょうど道の駅では木工市が開かれていたので、木のカップと割り箸を100膳購入。

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カップは1000円だが、この天削割り箸は500円(税込)。やはり1膳5円だ。

その後、泊まった旅館では、まず夜は「らんちゅう」が出て、朝食には同じく高級割り箸「利久」。やっぱり心地よい。

どうだ、割り箸を味わいに吉野を巡らないか。(料理はともかく? いやいやいや。。。女将は「吉野川で採れた鯛の刺身をどうぞ」と言っていたが。)

……もっとも最後の店でお昼に柿の葉寿司とうどんを食べた際に出たのは、どうも中国製らしき「元禄」であった。これは締まらない。

2022/03/10

人跡探索は人生探検?

相変わらず暇があると山に登る……というか、生駒山を彷徨している。

そして道のないところを歩くのだが……。こんなものを見かける。尾根近く。標高は500メートル程度ある。

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これ、明らかに人が植えた並木でしょうな。しかも、この並木の向うにはアジサイが並んでいる。かつて、ここは森ではなくて人が拓いた土地だったのだろう。農地か宅地かはわからないが。

で、いきなりこんなものに出会う。

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これ、別荘? 2階建てだが、1階は倉庫ぽくて2階に寝泊まりできそう。しかも周りにりんごなど果樹が植えられている。最近は手入れした様子はないが、この山の中に別荘つくったんだな、と想像した。しかし、車で入れる道などないから、資材はどうして運んだのだろう……。車道をつくって搬入したが、もう自然に還ったのかもしれない。

今や人跡未踏の地なんて、少なくても日本では探せない。もはや、そんな探検は絶滅した。むしろ人跡探索がテーマになるかもしれない。人跡は人生に通じる。その土地で人は何をしたのかを想像する探検。

古くは城跡や廃村、廃農地、さらに廃鉱山、廃工場……を今は森に覆われた山の中で発見するのは、そこそこ面白い。たまには廃神社など宗教施設もあって、それはちょっと怖い(^^;)。

でも、それをつくった人、利用した人の足どりを想像し、人生を思い浮かべる。これって、わりと贅沢な遊びかもしれない。

 

 

 

 

 

2022/03/09

びっくりの世界最大級のバイオマス発電所 (@_@)

イーレックスとエネオスが、新潟県聖籠町のゴルフ場に世界最大級となるバイオマス発電所を事業化することで合意した。2026年度の営業運転開始を目指すという。出力は30万キロワット規模とか。

規模も仰天なのだが、世界初の超々臨界圧バイオマス発電所だというのだから、びっくりだ。この超々臨界圧というのは、温度を600度、圧力26メガパスカル以上という水蒸気を発生させてタービンを回して発電をするもので、私はまだ実験段階の技術かと思っていたんだが、実現可能なのね。

そして肝心の燃料なんだが、燃料の使用量は年間120万トン。ロシアから輸入する木質ペレットに加えて雑穀のソルガム(コーリャン)を考えているという。なんでも家畜飼料用ではなく燃料用になる収穫量が2倍のソルガムがあるらしい。こんな燃料も初めて聞くのでびっくり。

ロシアから木質ペレットを輸入するのは今後難しいだろう。というか、やるべきでもない。となると、ソルガム頼み? 計画では2021年度(つまり今だ)からベトナムとフィリピンでソルガムの栽培するという。これを固形燃料にするという。

そして最大の驚きが、固定価格買い取り制度(FIT)を使わない、という点。これほどの規模になると、FITなしでも採算は合うのか。

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しかし、なんだか危うい。木材を使わない、FITを使わないという点は好感が持てるというか、やるなら勝手にやって、ぐらいの気持ちになる。結局は輸入なんだから輸送エネルギーでCO2を排出するだろうし、本当に燃料にロシア産ペレットなしでやって行けるのか、ソルガムの安定供給が可能なのか、よくわからない。農作物だからなあ、草系はエネルギー密度が低いよなあ、とか思ってしまう。ソルガム栽培で農民を苦しめることもないように。

私はバイオマス発電に否定的だが、次々と新たな技術やアイデアで試みるものが出るのは結構だ。この計画も最初から全否定では入らず、もう少し情報が出てくるのを待とう。

 

最近、バイオマスにメガソーラー、そして大型風力と、いわゆる再生可能エネルギーに否定的な声が高まっている。ま、私もその一端を担っているのだが、一方で全否定するわけではない。というか、気候変動の襲来が間近に迫っている中で、なんとかしなくてはならないのは変わりない。なんだかロシアのウクライナ侵攻で、コロナ禍に続いて脱炭素も吹っ飛びそうな気配はあるが、こちらはこちらで粛々と進めなくてはならない。

ロシア産石油や天然ガスの輸入ストップも、近々にはエネルギーや資源価格急騰や原発の再開など困ったことも起きるだろうが、長い目で見て脱炭素に結びつけるチャンスだと思う。ロシア産がなくても世界経済は回るようなシステムが構築されるだろう。

 

 

 

 

2022/03/08

「分業拡大」から「一貫生産 」の時代へ

王子ホールディングス……と言えば、いうまでもなく製紙会社グループだが、伐採も一部で行う。つまり原木生産もやっている。そこに加えて、次は製材加工にも乗り出すのだそうだ。梱包材や住宅資材の生産も始めたそうだ。

国内に保有する森林面積は、民間最大の約19万ヘクタール。このうち北海道だけで約12万ヘクタールあるが、木材事業を担う子会社・王子木材緑化が北海道の製材会社・双日与志本林業(改名して王子与志本林業)を2021年に買収した。所有森林で育てた木材を伐採して運び込み、製材加工・販売まで一貫体制を敷くという。

もちろんこれには、収益力を高める狙いがあるのだろう。そもそも製紙だけでは電子化に人口減にと、需要が先細りなのだ。加えて木材の輸送距離を短くすることでSDGs的な観点や、ウッドショックから需要急増中の国産材の利用を促進する意味もあるのだろう。同社は木製パレット用の製材のトップシェアだという。年間で原木10万立方メートル扱う(製材能力は約5万立方メートル)というから、結構な量の木材を消費するのではないか。あまり高そうな用途ではないけれど、そのうち建材も生産するのだろう。

4_20220308162601苫小牧の王子工場

一方で中国木材は、山買いを推進している。もう所有森林は8000ヘクタールを越えたと聞いた。まだまだ手に入れるそうだが、製材会社が木材の生産地も握ろうというわけだ。こちらも国産材シフトか。現在は外材中心の製材で、2019年の生産量は100万立方メートルと桁違い(原木なら2倍と考えて約200万立方メートル?!)だが、国産材の製材はどれだけをめざしているんだろう。こちらの山の木は出口がはっきりしているだけに、生産も計画的になるんだろうな。

今後こうした一貫生産が増えるように思う。大量画一生産から少量多品種生産への流れだ。

これまで生産を拡大するには、分業が不可欠だった。木材だって山主-素材生産-木材市場-製材-ブレカット……と細かく分かれている。そこに問屋も入る。その方が効率的な集材・伐採・販売……などができた。しかし、分業にすれば情報格差も生まれるし、在庫ロスなども膨れ上がる。そしてリングの一角が崩れると、全体が止まる。生産量の縮小が進み出したら、分業による各々の利潤追求が足かせとなり、むしろ効率は落ちる。

資本力のある最大手の動きだけではない。むしろ超小規模な世界の方が顕著かもしれない。漆の生産は、ウルシノキの栽培から漆掻き、精製、そして器の生地づくり職人と漆塗り職人……と分業していたが、それを一人で全部やろうという人が現れている。一つには売り物の漆が信用ならない(混ぜ物している?)とか品質の問題もあるのだが、それ以上に全体を把握してこその作品づくりという意識があるらしい。

034_20220308162701漆の精製中

ほかに養蚕から生糸づくりまでやるとか、コウゾ栽培から繊維の抽出、そして紙漉きまでやる……なんて動きもある。

12_20220308162701養蚕の繭

分業拡大から全工程把握への時代の流れは変わりつつあるように思う。

今後は、林業家が山で自ら伐採して、その木をオーダーメイド製材して天然乾燥、ときにプレカットして、大工に直売する時代が来ると思うよ。

 

 

2022/03/07

ラジオで話した「森の人材」育成の道

栃木県は、宇都宮市内に林業大学校を2024年開校予定だそうだ。奈良県(昨年)ぐらいで終わってほしいと思っていたのに、まだまだ続く。

そこで育成する「林業人材」は、就業希望者向けと、スキルアップ林業従事者向けの研修という。高校卒業者や林業に興味を持つ転職希望者を対象に特化した研修を行うのだとか。なんか、わかったような、わからんような……。林業従事者の定着率が低いことを理由としているが、定着しない理由は、賃金や待遇、仕事内容の問題、そしてキャリアプランがないことなどだろう。基本、新人と20年選手は同じ仕事だったら、辞めたくもなる。
つまり、就職先の問題だ。それなのに就業前の公立学校で研修してもね……。

ちょうど、私も奈良県フォレスターアカデミーで講義をしたばかりなので、つい林業、いや森林の人材育成の方法を考えてみる。奈良県の場合は森林管理職養成が基本で県職などの就職先を出口としているのだからスタンスはかなり違うのだが、それでも最低限必要なのは「森が好き」であることだろう。森が好きで、森を働く対象と見る目を持っていることが条件だ。好きというのは上っ面なイメージだけでなく、ちゃんと現実の森を見る目とそこに対峙する覚悟があること。となれば潜在的な人数が限られているはず。
いくら全国に林業学校を増やしても、そんなに森好きはいるのか。逆に言えば、そんな森への愛のある人材はどうしたら育成できるのか。正直、林業学校で学んではいるものの、そうでない人は結構いると睨んでいる。

ところで先の東京のラジオ出演が終わってから、スタッフから声を掛けられて「林業に就く方法」を尋ねられた。もう40歳を越えて人生を考えた際に、何か手に職というか、自然と交わる仕事をしたいというのである。そして林業はどうかと考えているという。

といっても東京住まいだし、メディアの仕事を辞めるわけでもないので、副業的な方法である。儲けなくてもいいが、趣味に留まらない少し逸脱したような働き方……。

なかなかの難問だ。私は、いまさら木の伐り方を一から覚えて肉体労働に就くのは無理でしょう、週末に通って山に関わる仕事の在り方とは……と、いくつか事例を紹介した。ここでは教えない(^^;)が、ようは勤めるのではなく自ら森の産物を商品として扱うことを仕事とする。その過程では山に通ってチェンソーも扱うこともあるだろうし、山村地域への貢献にもなる。立派な林業である。

私は、林業なんか駄目だ、絶望的だ、と叫んでいるのに、林業参入希望者は増えているとは不思議だ。

先のラジオ出演とは別の番組では、「森に関わるあなたの人生が聞きたい」とかなんとか言われていたのに、やたら林業の、細かなことばかりを質問してくるインタビュアー(♂)だった。私は、いかに日本林業や日本の木がダメダメかを説明して、「こんな話、面白くないでしょ」と言っているのにしつこい(笑)。

で、「どうしたら日本の森をよくなるか」と尋ねるので、いかに森を理解している人を増やすか、という話題に振った。

そして「森のようちえん」を紹介した。「今の大人に教育しても無理。未就学児から森を体感させて身につけさせるべき」、子ども時代から森に親しみ好きになる人材づくりをしよう、そのためには子どもが泥で汚れたりちょっと怪我したくらいで騒ぐな、と吠えたのであった。

そういやフォレスターアカデミーでも、食いつきのよい話題が意外なことに木育や森のようちえんだった。いっそ林業大学校で木育インストラクターや森のようちえん教師を養成してはどうか。それこそ、本当の意味で林業に貢献するぞ。

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パーソナリティのお二人。作詞家の安田祐子さん(左)とフリーアナウンサーの高橋真理恵さん(右)

 

2022/03/06

建築建材展で見たもの

東京では2つのラジオ出演だけではない。……ポンペイ展だけでもなかった(^^;)。

実は東京ビッグサイトで開かれた「建築建材展2022」にも顔を出していたのだ。もっとも、帰る前の、ほとんと30分ほどなんだけど。2月頭のモクコレ(WOODコレクション)もビッグサイトだったのにリアル展示会は中止になったのに、今回はかろうじて開いている。悔しいから、ちょっと覗きに行った( ̄∇ ̄) 。もちろん寄る予定のブースはあったのだけど、そこの写真を撮るのを忘れた(´Д`)。。。。

まあ、そちらの話は別の機会に譲るとしてヾ(- -;)オイオイ、30分で木材関係の建築や建材関係のブースを駆け足ながら見て回った。そこで琴線に触れたのは、これ。

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そう、ツキ板である。ツキ板メーカーや、それを利用する商品などの展示が面白かった。

ツキ板自体は昔からあるものだけど、私は今後新たな木材利用の核になると睨んでいるんだけどなあ。木の価値とは何か、ということを考えると、どうしても表面が重要だ。見た目が9割、なのだから。そこでツキ板の登場なのである。無垢ではなく、集成でもない、ツキ板の役割があるのではないか……。もちろん、これまでのようなツキ板の使い方では限界があるので、新たな技術とアイデアが求められている。

また国産材100種、外材150種の250種もの木材を揃える会社もあることを知った。世界一の品揃えだそうである。また気になる地域としては、福岡の大川だ。ここは単に家具づくりを越えて、「木工万能産地」なる看板を掲げている。たしかに加工はアイデアだ。技術だけでなく、発想がいい。木工と言っても建具もいぐさも扱うしなど、面白い会社が幾つもあった。1社だけ、というのではなく競い合う複合的な産地というのが面白い。

木をいかに加工するか。素材として、さらに商品として。ここがブレイクすると、日本の可能性が開けるのではないか。

ちょうどお会いした林業系ベンチャー・インキュベーション(ようは林業界の起業家の育成)を手がける人によると、山の現場で登場したベンチャー起業は、結局ローカルすぎて林業界に響かないようだ。その会社はなんとか食えるビジネスだったとしても、地域とや林業に影響を与えられない。

となれば……川上に革新的な動きが起きないとすると、川中・川下に期待してしまうなあ。

 

 

2022/03/05

ポンペイ展でもっとも気に入ったもの

ラジオ局2つを掛け持ちで忙しく東京の街を駆け抜けた2日間であった……と言いたいのだが、実は合間を見て国立博物館の「ポンペイ展」を見てきた。だって、午前中が空いていたんだもん。それに前回の東京で見るつもりが、突如腰痛に襲われ(^^;)断念したのであった。そのリベンジ。

さて、予約して朝一番に入ったのだが、比較的ゆったりと見られたと思う。いきなりのヴェスヴィオ火山噴火のCGから始まり、期待が高まる。

そして火山灰に埋もれたポンペイの街跡から発掘された逸品の数々。ポンペイは、もともとローマの別荘地とかリゾート地のような位置づけであったらしい。だからお金持ちが多い上に、ワインなどの生産もやっていて、実に豊かな出土品がある。

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これが西暦ゼロ年代につくられていたのだ。日本では縄文時代中期か後期か。桁違いの歴史と文明を感じる。もっとも、ローマ市民は、“古典”のギリシア文化を愛していたし、それを知らずして教養は成り立たなかった……という説明を読むとギリシア文化まで遡って圧倒される。それに展示をよく見ていると当時のポンペイの町の歴史や人物の素性が語られていて、そこまでわかるか!と驚く。奴隷出身の大金持ちもいたらしい。またポンペイ以外にも火山灰に埋まった街はいくつかあったらしい。

とまあ、いろいろ感じるところはあったのだが、一応は木製品はないかと思って注意した。が、ほぼ皆無。考えてみれば木製品は燃えてしまったのだろう。火山灰に埋もれた時点で。やはり木の時代は後世に残りにくい。

それに、ちょっと期待外れもあった。なぜなら、出土品ばかり並んで、肝心のポンペイの街と噴火については、ほとんど触れられていないのだ。わずかに、この石膏像があるだけ。

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灰に埋もれていた女性の空間に石膏を流し込んで取られたヒトガタだ。

実は、こういう展示を期待していたのだ。どんな街と人が、どんな火山噴火で、どのように埋もれて、それをどんな発掘によって再現しているか……が、そうした事情については極めてわずか。ちょっと映像で見せるだけ。

これは奈良の国立博物館でも感じたのだが、どうも展示が雑だ。というと、失礼か。ようは何を見せるかという発想にズレを感じる。

並べているのは逸品揃いなのだよ。国立の名をかけて出展させたか?と思わせるほど。だが、品が素晴らしいだけに、それを並べておけばいいでしょ、という態度が透けて見える。もっと丁寧に展示品がつくられてここに届くまでのドラマを描けよ、と言いたくなる。火山と噴火物をを説明するとか発掘現場を再現するとか。モノそのものの魅力を見せるだけなら、美術館・美術展にしておけ。博物館なんだから、モノだけを見るのが鑑賞ではない。その世界観を疑似体験させるのが博物館の役目ではないかね?

とまあ,最後にブーたれておく。

そして、もっとも面白かった品を紹介しよう。

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ミュージアムショップで見つけた黒いボールのぬいぐるみ。なんじゃ、こりゃ。……炭化したパンだそう。たしかにパンも出土品にあったなあ。しかし、それをぬいぐるみにするとは。ほかにも石の柱をかたどったぬいぐるみもあって、それは抱き枕なんだそうだ。このお土産をつくった担当者の感性に脱帽したい。

 

 

2022/03/04

TOKYOFMにて宣伝

今日は、トウキョウエフエム、TOKYOFM。

実は初めてではない。この局の「いのちの森」というコーナーに以前も出させていただいている。今回は同じコーナーで『虚構の森』を紹介してもらおうという魂胆f(^_^)。

なんと3回分の放送を収録することになった。最初の話題は「ウクライナの森」について、で盛り上がったのたが……さすがに放送できない。

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この番組は「鎮守の森プロジェクト」なんてのもやっているのだが、私はバッサリ宮脇昭の「潜在自然植生」論を否定してしまった。わりかし自由な番組だ。おかげで『虚構の森』の宣伝もばっちりv(^0^)。

最後に、今一番注目している森に関する動きは? と聞かれた。

ちょっと考えて、それまで皆伐・一斉造林を批判していたので、「最近は多様な森づくりを進める動きが出てきた」ことを話した。恒続林なんぞのことも。
それは誰がやっているのでしょうか、と聞かれたので、今は個人の意識高い系の山主中心だが、今度奈良県では恒続林をつくるための人材育成を始めたことを口走り、フォレスターアカデミーの紹介までする。だんだん拙著だけでなく奈良県の宣伝もやったのである(^^;)。

ちなみに放送は、1カ月ぐらい先になりそう。

 

 

 

2022/03/03

連チャンラジオ出演

東京です。TBSラジオに出演のため。

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私は、インタビューを受ける側なんだけど、インタビュアーである嶌信彦氏は高齢のためコロナ対策もあって、リモートで行う。

なんか立場が反対ぽいが、まあいい。寝不足のなか私はしゃべくりまわったのであった。

「人生インタビュー」という触れ込みだったが、なんだか林業の話が多い。でも暗い林業の話はもういいかな。もっと明るい話をしようよ。放送は4月になりそう。

ちなみに明日もラジオ。今度はエフエムね。

2022/03/02

確定申告と森林環境譲与税

確定申告の時期だ。私のような個人事業主の苦しみ月間なのである。

私はいつも3月に入ってからやる。締め切りが3月15日だから遅いのだが、一気呵成にやる、という主義なもんで(^^;)。

だが、今年はおかしいことに気づいた。なんと確定申告書が届いていないのである。毎年2月には郵送されてくるものなのに。

あわてて税務署に電話する。するとつながらない。相談が殺到する時期だから自動音声が繰り返される。が、私の場合は申請内容の相談ではなく、書類が届いていないよ!という抗議なのである。そこで何度も何度もかけて、辛抱強く待って、ようやくつながった。そこでもたらい回しがあったのだが、届いていないなら送るよ、とあっさり。ただし、今からだと10日ぐらいかかるよ、と。

おい、締め切りまで2週間だぞ。早く送れ!怒鳴ったら、まあ、早急に……とのんびり声。でも市町村に行けばあるんじゃない?とヌカす。

それは知っているが、全用紙がそろっているわけではないことを私は以前経験しているのだ。しかも私付きの個人番号、整理番号なども必要だろ。とにかく送れ、と言って、でもとりあえず市役所にも行く。間に合わないと困る。

すると、かろうじて私向きの書式の用紙Bと収支内訳書が手に入った。そこで税務署とのやり取りを雑談的に話したら……。

「今、税務署はわざと送らないケースが増えていますよ」と。「電子申告にしてほしいので、わざと送らないらしいんです。市役所にも届く用紙もかなり減らされています」。え~、冗談じゃないぞ。いまさら電子申告のやり方を調べる余裕はない。だいたい私は、昨年の控えと突き合わせながら書き方を考えるのに。「整理番号なんて、なくても大丈夫ですよ」とも。

ムカッとしたわけだが、とりあえず申告準備をすることにした。そこで昨年の申告用紙を見ると、書き方に間違いだらけ(^^;)。一目でわかる計算ミスもある。しかし、これで通ったんだから、わりといい加減でもいいか。いちいち計算せずに「思いつき」で書くか。。。本当に重要な間違いがあったら、問い合わせてくるだろう。その時に修正すればいい。

というのが現在の状況です。はい。

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さて、ようやく本題に入るが、山ほどの支払い調書を整理している最中。私の場合、拙文が入試問題や問題集に使われたケースが多く、それで印税分が何十枚にもなる。1点1000円とか2000円といった少額ばかりなのだが、それは仕方ない。そこでもオカシナ点はいっぱいあって、支払い調書を送ってきていない会社も多数ある。計算は明細書でいいか? ……その問題はおいといて、いつも気になるのは源泉徴収額だ。

私の場合、印税や原稿料は、たいてい源泉徴収されているのだが、その額は以前は10%だった。だから計算も楽だった。ところが今は端数がつく。なぜなら10,2%なのである。つまり支払額が1000円なら、源泉徴収されるのは102円なのだ。そして支払われたのが、898円となる。

これで計算がややこしくなり、数字も細かくなる。(間違えても見つからないみたいなので、テキトーに書いても良いってことだよね。。。)

しかし、この0,2%の増税の意味を知っているだろうか。これは復興税、正確には「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」(復興特別所得税)なのだ。2011年度より課せられている。

平成23年12月2日に公布され、平成25年1月1日から施行されます。源泉徴収義務者の方は、平成25年1月1日から令和19年12月31日までの間に生ずる所得について源泉所得税を徴収する際、復興特別所得税を併せて徴収 (国税局)

ただ、復興税にもいろいろある。復興法人税はもう廃止されている。ややこしいので書かない。いろいろあるのだよ。私もわからん(泣)。給与所得と私のような営業所得とは違うらしい。とにかく私は0,2%とられている。

そして防災施策対応の復興特別住民税も1000円とられている。ただ、これは2023年に終了する。ならば来年以降は1000円安くなるの?と言いたいところだが、ここが国のいやらしいところだ。減税しないのである。そのまま取り続けるのである。

そして復興特別住民税は、名前を変える。森林環境税に。そして各自治体にばらまく森林環境譲与税の財源になる。年間約600億円だ。震災の際は、特別増税もいたしかたないと思わせるが、それをスルリと森林環境税に切り換えるなんてセコイではないか。

と、確定申告書を送ってこない税務署への怒りは、勝手に増税する国税庁、財務省にも向けられるのだよ。

 

2022/03/01

BLOGOSが閉鎖

BLOGOSを知っているだろうか。Yahoo!ニュースのようなネットニュースサイトである。

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2009 年10月に開設された政治、経済分野を中心とした「日本初、提言型ニュースサイト」だそうである。そして私も記事を定期的に掲載されてきた。私の記事の一覧はこちら

もっとも、私の記事は、一部に書き下ろしもあるが、ほぼブログ記事の転載だ。随分前に転載依頼があって、無料で書き散らしているブログ記事を転載するならいいか、と思って了承した。たしか2013年ごろだったと思う。当時は、まだネット記事自体が新しくて、Yahoo!ニュースにも書き始めたばかりだったが、こちらは転載中心で、ギャラも支払われない。当時は余技だったのである(笑)。

でも、やはりブログより拡散力はあって、いまでもたまにSNSで紹介されたりする。ブログは今や時代遅れぽいが、何の、自分の管理できる拠点として重要なのだ。

ただブログなら許されるかと思って書いた(そもそも、「思いつきブログ」だ。)ものも、公のニュースサイトとなると、気をつけねばならない。そこで転載時に改めてチェックして書き改めることもしばし。言葉遣いに気をつけて(^^;)、裏を取っていない情報にはその旨記して。

一時はかなり盛んだったと思うのだが、それが急に「5月31日に閉鎖します」という連絡が来た。もともとLINEが経営母体だが、そのLINEがソフトバンクと経営統合したことも関係あるのかもしれない。だいたいBLOGOS閉鎖の記事がYahoo!ニュースで流れているよ。。。それに、LINE社は、ほかにLINE NEWSやlivedoor ニュース、Kstyle、Peachy、Fanthology!などのニュースメディアを持つ。こちらは一次情報を扱うようだ。ほとんど知らんけど。

新規拡散の時代から、いよいよ淘汰・集中の時代に入ったのかなあ、と思う。

 

そう言えば、国土交通省が道の駅2カ所の登録を抹消 採算に見合わない道の駅の登録抹消ラッシュも という記事もあった。「道の駅」が潰れる時代が来たのである。

道の駅は、トイレなどが24時間空いていて、地域の道路情報などを流す場として設けられたが、今や町おこしの拠点、自動車観光の拠点扱いとなっていた。地域の産物の販売も行われるからである。しかし、各市町村で乱立気味で、道の駅間が数キロしかないところや、交通量が極めて少ない道沿いにまで設けられるようになった。やたら豪華なところもあるが、それは維持費も大きくなる。

それらが閉鎖されるようになったのだろう。もはや拡大の時代ではなく、淘汰され拾取選択の始まったのだ。時代は縮小と再構築である。

 

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