びっくりの世界最大級のバイオマス発電所 (@_@)
イーレックスとエネオスが、新潟県聖籠町のゴルフ場に世界最大級となるバイオマス発電所を事業化することで合意した。2026年度の営業運転開始を目指すという。出力は30万キロワット規模とか。
規模も仰天なのだが、世界初の超々臨界圧バイオマス発電所だというのだから、びっくりだ。この超々臨界圧というのは、温度を600度、圧力26メガパスカル以上という水蒸気を発生させてタービンを回して発電をするもので、私はまだ実験段階の技術かと思っていたんだが、実現可能なのね。
そして肝心の燃料なんだが、燃料の使用量は年間120万トン。ロシアから輸入する木質ペレットに加えて雑穀のソルガム(コーリャン)を考えているという。なんでも家畜飼料用ではなく燃料用になる収穫量が2倍のソルガムがあるらしい。こんな燃料も初めて聞くのでびっくり。
ロシアから木質ペレットを輸入するのは今後難しいだろう。というか、やるべきでもない。となると、ソルガム頼み? 計画では2021年度(つまり今だ)からベトナムとフィリピンでソルガムの栽培するという。これを固形燃料にするという。
そして最大の驚きが、固定価格買い取り制度(FIT)を使わない、という点。これほどの規模になると、FITなしでも採算は合うのか。
しかし、なんだか危うい。木材を使わない、FITを使わないという点は好感が持てるというか、やるなら勝手にやって、ぐらいの気持ちになる。結局は輸入なんだから輸送エネルギーでCO2を排出するだろうし、本当に燃料にロシア産ペレットなしでやって行けるのか、ソルガムの安定供給が可能なのか、よくわからない。農作物だからなあ、草系はエネルギー密度が低いよなあ、とか思ってしまう。ソルガム栽培で農民を苦しめることもないように。
私はバイオマス発電に否定的だが、次々と新たな技術やアイデアで試みるものが出るのは結構だ。この計画も最初から全否定では入らず、もう少し情報が出てくるのを待とう。
最近、バイオマスにメガソーラー、そして大型風力と、いわゆる再生可能エネルギーに否定的な声が高まっている。ま、私もその一端を担っているのだが、一方で全否定するわけではない。というか、気候変動の襲来が間近に迫っている中で、なんとかしなくてはならないのは変わりない。なんだかロシアのウクライナ侵攻で、コロナ禍に続いて脱炭素も吹っ飛びそうな気配はあるが、こちらはこちらで粛々と進めなくてはならない。
ロシア産石油や天然ガスの輸入ストップも、近々にはエネルギーや資源価格急騰や原発の再開など困ったことも起きるだろうが、長い目で見て脱炭素に結びつけるチャンスだと思う。ロシア産がなくても世界経済は回るようなシステムが構築されるだろう。
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