仰天!「アマゾンの“空飛ぶ川”」
Amazonが空を飛んで配達する……そんな話じゃない。
NHKのBSプレミアムで放映している「コズミックフロント」という番組で、正確には、「アマゾンの“空飛ぶ川” 見えてきた地球規模の水循環」である。3月24日放送。3月30日に再放送。
コズミックフロントは、だいたい宇宙・天体関係の番組だと思っていたら、時々、こんな内容を放送するから気を許せない。これは南米アマゾンで研究されている水の大気循環の話だ。アマゾン川の上空に、アマゾン川の水量より多い水分(水蒸気)の層があり、気流として流れているというのだ。
かなり専門的ではあるが、十分見せる構成であった。取材も日本も含めてブラジルやロシアまで行っている。これは、NHKの独自制作か。
アマゾンとはあるが、実は地球規模の話で、各地にあった。ようは森林が発生させる水蒸気が思いのほか地球環境に影響することがわかってきた。それも赤道をまたぐという、通常の気象学では有り得ないような大気の流れがあることがわかった。
そこで語られるのは、森林に降った雨水のうち約半分は空にもどっていること。一つは光合成に伴う蒸散作用であり、もう一つは遮断蒸散。つまり雨が地面に落ちる前に草木に当たって飛散し蒸発してしまう現象だ。
「森は水を蓄えたり生み出すどころか、消費して総量を減らす」と私は『虚構の森』でも記したが、問題は、木々が消費した水の行方だ。その多くが上空にのぼり、巨大な流れとなって移動したり、あるいはそこで再び雲をつくって降雨となるという。その仕組みには、森による生物ポンプなどの物理現象があるという説が有力だが、その点は割愛。この大気による水の循環が、地球上の熱バランスを保っていることがわかってきた。言い換えると森林の存在は、これまで以上に重要とされる。
そして森林破壊が進むと、降水量が減る現象も指摘されている。アマゾンでは約20%減少し、近年、南米のイグアスの滝の水の量が5分の1に減ってしまったという。
いやいや、なかなか興奮する内容であった。気候変動と森林、といったレベルを超えて、森林を失うと地球上の生命環境がガラリと変わる恐れさえ感じる。大面積(大陸クラス)の森は、やはり水を呼び込み蓄積していると言えるかもしれない。
こうした研究成果、ちゃんと政策に読み込んでている?
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