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森と林業と田舎の本

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2022/03/30

儲かるのは構造材?造作材?

ふと思い出したのだが、今から20年以上前、前世紀末だったか先駆的な木材取引システムが開発された。それはネットを使って使い手(工務店)と山の現場や製材所を結んでマッチングするというものだった。最近になって、それと同じようなシステムが出始めているが、実は雛型的なビジネスモデルはずっと昔に考えられていたのである。結果的にこのシステムは上手く機能しなかったのだが……。

それはともかく、このシステムを立ち上げると、木材市場関係者からクレームが来たという。そうした市場を中抜きするような取引をされては死活問題というわけだ。

その時の説明というか説得。「そもそも木材市場は、並材では利益出ていないでしょ。儲かるのは主に造作材とか役物。一方でネットで取引するのは並材。つまり住み分けできます。市場では儲からない部分を引き受けます」

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つい最近まで数寄屋づくりは憧れだった。銘木はびっくりするほど高値。

それで納得したというのだから、まんざら間違っていないということだ。当時は、まだまだバブルの名残があったのか、役物の引き合いが少なくなかったようだ。まだまだ1本100万円の床柱とかが出回っていた。大工も、それを使って数寄屋みたいな和風建築をつくることを誇りとして腕を磨いていた。一方で並材というか柱や梁など構造材に使われるのは外材が圧倒的に多くて、国産材の市場では利益が出にくかった。

ある意味、役物があるから外材比率が増えても脅威を感じなかったのではあるまいか。ところが、徐々にというか、急速にか、大壁工法が席巻し、柱の見えない洋風建築ばかりになり、従来の役物も出番を失った。焦って構造材を売ろうと思っても外材に強度などの材質も、流通も負ける。かくして国産材は、並材でひたすら安売りに走り始めた……。

なんとなく、私の目からはそう映る。

役物に頼るから駄目なんだ。そんな声が聞こえてきそうだが、今振り返ると、私はそちらの方が木を活かしたことになるんじゃないかと思えてきた。木肌を愛で、高く売れる用途こそ、木材を使う価値ではないか。

木の特徴は、見映えだ、というのが私の持論である。見映えが9割。ならば役物か、造作材だろう。

量は少なくても高く売れるから利益率も高い。いわば木を少し伐るだけで儲かる。伐りまくって、山を荒らして、いや森をなくして微々たる利益しか出ない林業なんて下手なビジネスなのである。

もちろん昔ながらの数寄屋づくりの部材などは売れない。今風の役物を生み出さないといけない。しかし、それは加工部門の仕事なんだから、床柱みたいに何十年も木を育てなければ作れないものではない。

山の仕事は、手間隙かけて健全に育てること。ただし手間がかかるとなると何十、何百ヘクタールもの山は面倒見られない。せいぜい1~2ヘクタール程度に生える木、たとえば1000本だけを撫育する。つまり小規模山主にも勝算がある。量で経営しようと思ったら、1000ヘクタールぐらいないと専業にはなれないが、1000本の木から毎年10~20本伐りだすだけの収入で暮らして行ける林業をめざす。
これほど小規模だと山主自ら施業できる。つまり自育・自伐林業だ。加えて山で自ら製材もしたらいい。そして大工に直接売る。利益はどんどん増えるぞ。

所有面積が小規模な日本の林家にも挑戦できるのではないか。しかも丁寧に世話をするためには奥山ではなく里山がいい。里山の小規模林業こそが、希望の林業になるのだ。

どうだろう。

 

 

 

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