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森と林業の本

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2022/03/05

ポンペイ展でもっとも気に入ったもの

ラジオ局2つを掛け持ちで忙しく東京の街を駆け抜けた2日間であった……と言いたいのだが、実は合間を見て国立博物館の「ポンペイ展」を見てきた。だって、午前中が空いていたんだもん。それに前回の東京で見るつもりが、突如腰痛に襲われ(^^;)断念したのであった。そのリベンジ。

さて、予約して朝一番に入ったのだが、比較的ゆったりと見られたと思う。いきなりのヴェスヴィオ火山噴火のCGから始まり、期待が高まる。

そして火山灰に埋もれたポンペイの街跡から発掘された逸品の数々。ポンペイは、もともとローマの別荘地とかリゾート地のような位置づけであったらしい。だからお金持ちが多い上に、ワインなどの生産もやっていて、実に豊かな出土品がある。

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これが西暦ゼロ年代につくられていたのだ。日本では縄文時代中期か後期か。桁違いの歴史と文明を感じる。もっとも、ローマ市民は、“古典”のギリシア文化を愛していたし、それを知らずして教養は成り立たなかった……という説明を読むとギリシア文化まで遡って圧倒される。それに展示をよく見ていると当時のポンペイの町の歴史や人物の素性が語られていて、そこまでわかるか!と驚く。奴隷出身の大金持ちもいたらしい。またポンペイ以外にも火山灰に埋まった街はいくつかあったらしい。

とまあ、いろいろ感じるところはあったのだが、一応は木製品はないかと思って注意した。が、ほぼ皆無。考えてみれば木製品は燃えてしまったのだろう。火山灰に埋もれた時点で。やはり木の時代は後世に残りにくい。

それに、ちょっと期待外れもあった。なぜなら、出土品ばかり並んで、肝心のポンペイの街と噴火については、ほとんど触れられていないのだ。わずかに、この石膏像があるだけ。

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灰に埋もれていた女性の空間に石膏を流し込んで取られたヒトガタだ。

実は、こういう展示を期待していたのだ。どんな街と人が、どんな火山噴火で、どのように埋もれて、それをどんな発掘によって再現しているか……が、そうした事情については極めてわずか。ちょっと映像で見せるだけ。

これは奈良の国立博物館でも感じたのだが、どうも展示が雑だ。というと、失礼か。ようは何を見せるかという発想にズレを感じる。

並べているのは逸品揃いなのだよ。国立の名をかけて出展させたか?と思わせるほど。だが、品が素晴らしいだけに、それを並べておけばいいでしょ、という態度が透けて見える。もっと丁寧に展示品がつくられてここに届くまでのドラマを描けよ、と言いたくなる。火山と噴火物をを説明するとか発掘現場を再現するとか。モノそのものの魅力を見せるだけなら、美術館・美術展にしておけ。博物館なんだから、モノだけを見るのが鑑賞ではない。その世界観を疑似体験させるのが博物館の役目ではないかね?

とまあ,最後にブーたれておく。

そして、もっとも面白かった品を紹介しよう。

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ミュージアムショップで見つけた黒いボールのぬいぐるみ。なんじゃ、こりゃ。……炭化したパンだそう。たしかにパンも出土品にあったなあ。しかし、それをぬいぐるみにするとは。ほかにも石の柱をかたどったぬいぐるみもあって、それは抱き枕なんだそうだ。このお土産をつくった担当者の感性に脱帽したい。

 

 

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