吉野山とメガソーラー
この写真はいかが。先に訪れた吉野山の花矢倉展望台から撮影したものである。
中央右上に見えるのが、吉野山の象徴でもある金峰山寺蔵王堂。この手の風景写真は吉野観光のポスターにも使われるアングルだ。大仏殿に次ぐ巨大木造建築で、ちょうど秘仏公開も始まるとかで盛り上がっている。
ただ、この写真の左上に何が写っているかわかるだろうか。
拡大すると、こんな感じ。そう、メガソーラーだ。もう完成してしまっている。
奈良には、こうして完成したメガソーラーと、生駒山の平群に作りかけて中途で止められたメガソーラー、そして現在計画中だが、まだ工事の始まっていない山添村のメガソーラーがある。いずれも元ゴルフ場計画予定地で、長年塩漬けされていたものの、外資ファンドに買い取られてんいなりメガソーラー計画が動いた例。いずれも50~80ヘクタール級だから、たいした規模だ。
この3つ、メガソーラー建設の進展過程を見るかのよう。山に大きな傷を負ったが、とりあえず平群は止めた。山添も村上げての反対の声が高まり県も支援の体勢に入っているので、止められるかもしれない。が、吉野は……。
最初に完成した吉野山のものは、反対の声が出る間もなく建設されてしまった。しかも最大の景勝地である。今後、ポスター写真を取る際には、トリミングでカットしたり塗りつぶし修正が必要かもしれない。
ようやく政府にもメガソーラー建設への疑問が上がってきている。森林を伐採したら脱炭素にならないじゃないか、という素朴にして当たり前の疑問。しかし改正地球温暖化対策推進法に基づき、市町村が再生可能エネルギー発電所を積極的に誘致する「促進区域」設定に努めることになってしまっている。
大岡環境副大臣は、メガソーラーが大嫌いらしく「全域をネガティブゾーン化し、(立地を認める)『ポジティブゾーン』を指定していく」提案を口走ったが、すぐに裏で(ブリーフィングという名で)抑えられたようだ。
この大岡議員は、実は原子力発電に未練を持っている様子だから、そんなに環境派とも言えないけれど。
とはいえ、バイオマス発電に続きメガソーラー。今の再生可能エネルギーの発想も曲がり角に来ている。
ついでに、先日見てきた平群のメガソーラー計画地。どんどんガリ浸食が広がっているよ。
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