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森と林業と田舎の本

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2022年4月

2022/04/30

神保町巡りで「見つけた」もの

東京で過ごした中で、少し空き時間ができることがある。

そこで朝から神保町を巡った。たしか三省堂書店本店が閉店するとか……もう閉まっているかとおもいきや、5月8日が最終日なのだそうだ。

そこで、開店と同時に入って何をするかと言えば、やはり自分の本をチェックするのだ(^^;)。

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絶望の林業』あった。まだ平積み\(^o^)/。

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鹿と日本人 野生との共生1000年の知恵』も動物コーナーにあった。

が……最新刊の『虚構の森』は? 森林本のコーナー、ない。環境本のコーナー、ない。科学の本のコーナー、ない。。。。

で、検索する。

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がーん。在庫なしであった。もしかして、閉店するから補充はしないとか? それとも版元で底をついた?しかし、天下の三省堂書店がこれではイカンでしょ。

その後、農文協の図書センターに行く。

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ありました。『虚構の森』と『森は怪しいワンダーランド』も並んでおります。ちなみに『絶望の林業』は別の棚に平積み。ただ、『獣害列島』がない。。。。

ま、そんなわけで古書店巡りもしてしまい、また本を買い込んでしまった。重すぎる……。

まあ、何かと散財したわけでございますよ。

 

2022/04/29

日本最大級の木造仏像?

実は東京に来ているのだが、泊まったのは門前仲町。そこで朝早く深川不動尊を参拝した。

なかなか見せる工夫をしているお寺だと思ったが、そこで目に留まったのは木造の仏像(不動尊)である。

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これ、座高で3メートル以上ある。天草の楠木の巨木40本以上の寄せ木造りだとか。

日本最大級と書かれてあったが、正確には奈良長谷寺にも巨大木造がある(高さ10メートル以上)から、何とも言えないが、まあ、デカイことは間違いない。

作られたのは平成に入ってからで、決して古いものではないが、こうした木製品のなかでも仏像は迫力ある。しかも触ってよいそうである。今はコロナのため中止だが。


2022/04/28

三つ編みの木

若葉の季節だ。こんな季節は、時間がなくても森の中を歩きたくなる。

そこで発見したのが、こんな3本の木。

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元は一本だったのが、3つ又に分かれて、それがうねうね絡みながら伸びたらしい。三つ編み状態だ。

たくましく育った?

それともひねくれた

2022/04/27

頭がフィンランド~幻の立ち枯れ木

このところ頭がフィンランドになっている。

何冊フィンランドの本を読んだことか。もちろん観光案内的なものもあるが、フィンランドの歴史やら文化論やらフィンランドが舞台ぽい小説まで。フィンランドと言えば、サンタクロースやムーミン、最近ではサウナ発祥の地とかで人気だし、ほかにもオーロラやIT大国だとか世界一の教育先進国……いろいろ言われるが、その経済成長は「北欧の日本」と言われたこともあるとか。基本的イメージはやはり「森と湖の国」。その点はスウェーデンと一緒だろう。

そこで、フィンランドの森について登場したのが「立ち枯れ木」という言葉だ。シルバーパインともある。非常に貴重なんだとか。

そんな名のマツがあるのか。最初、意味がわからなかったのだが、検索してみると、意外なことがわかった。

ラップランド地方などの森に立ち枯れているヨーロッパアカマツのことらしいのだが、枯れて200年~400年経っているというのだ。枝葉が落ちても倒れず、石化した状態だという。写真を見ると、まるで蔵王の樹氷みたいな状態で立っている。そしてログハウスなど建築用材として人気で、一部は日本にも輸入されているらしい。サウナ小屋にも使われる……。

おそらく極寒の地で枯れたから、乾燥しきっているのだろう。水分は冬に凍っては夏に蒸散するから、含水率はどこまで下がるのか。だから腐らず狂わずの幻の建材になる。色も灰色がかった風合いがある。「幻の」とはあるが、日本に輸出されてログハウスになるぐらいなんだから、量的にはそこそこあるのだろう。日本なら、たとえば屋久杉の土埋木みたいな感覚の銘木かもしれない。

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これって、木材的にはどんな状態なのだろうか。細胞はどうなっているのか。絶乾状態になっているのだろう。石化とあるが、まさか本当に珪化木のようになっている? 機能的には、木質の部分を残しているのだろうか。日本の湿気のあるところに置かれるとどうなるか。いまさら水分を吸収するとは思えないし。

ただ日本人の銘木イメージからはちょっとかけ離れているかもしれない。樹木と木材の新たな形だ。

頭がフィンランドになって、この立ち枯れ木が実際に立っている森に行ってみたくなった。

 

2022/04/26

「焼畑が地域を豊かにする」で思い出す

焼畑が地域を豊かにする 火入れからはじめる地域づくり」(未生社 2400円+税

という本が届いた。

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帯文にあるとおり、焼畑を環境破壊ではなく、地域起こしにつながるよ、という本だ。具体的には焼き畑の伝承もしくは復興への取り組みや、それに取り組んでいる人びとを紹介している。編著者は21人に及ぶ。また版元の未生社は、誕生したばかりの京都の出版社。

前書きも版元ドットコムで読める。とりあえず目次を引用すると、(長い!)

もくじ
 ◎第1部 焼畑は「環境破壊」か――みなおされる現代の焼畑
1 今、なぜ焼畑なのか? 新たな可能性を紡ぎだす試み 鈴木 玲治/2 焼畑の現代史――「消滅」から継承・再興へ 辻本 侑生/3 焼畑は「よくわからないけれど面白い」 大石 高典

 ◎第2部 全国にひろがる焼畑の輪――焼畑が豊かにする地域
4 伝統の継承と復興
4-1 継続は力なり――宮崎県椎葉村 焼畑蕎麦苦楽部 椎葉 勝/ 4-2 焼畑から森づくりへ――静岡県「井川・結のなかま」の活動 望月 正人・望月 仁美 聞き手・構成:大石 高典/4-3 蕎麦屋と焼畑――静岡県 焼畑蕎麦にあこがれて 田形 治 聞き手・構成:大石 高典/4-4 焼畑実践の魅力 ――静岡県静岡市 井川における実践から 杉本 史生

5 焼畑カブのブランド化 
5-1「焼畑あつみかぶ」ブランド化の軌跡――山形県鶴岡市温海地域 中村 純/ 5-2 焼畑を活用した資源の循環利用で持続可能な森林づくり――山形県鶴岡市 温海地域 鈴木 伸之助/ 5-3 「灰の文化」が育む赤カブ栽培――新潟県村上市 さんぽく山焼き赤かぶの会 板垣 喜美男

6 村外者、移住者と焼畑実践
6-1 「遊び」で続けた30年――福井市味見河内町 福井焼き畑の会 福井焼き畑の会 聞き手・構成:辻本 侑生/ 6-2 7世代先の森づくり――熊本県水上村 水上焼畑の会 平山 俊臣/

7 教育・研究と焼畑実践
 7-1 焼畑は山おこし・村おこし――高知県吾川郡仁淀川町 山口 聰/ 7-2 焼畑再生という試みのちいさな幾きれか ――島根県仁多郡奥出雲町 面代 真樹/ 7-3 創造=発明作業としての焼畑 焼畑は骨董技術ではない――島根県仁多郡奥出雲町 小池 浩一郎

(コラム)焼畑のやり方として書籍にはまとめられていない、あるいは発明かもしれない焼畑の技法 小池 浩一郎

 ◎第3部  山を焼く、地域と学ぶ――滋賀県?浜市余呉町
8 余呉の焼畑プロジェクトと「火野山ひろば」 増田 和也/9 余呉の焼畑を発展的に受け継ぐ 黒田 末寿/10 暮らしを支えた「原野」――女性たちの語りにみる焼畑と山の草地利用 島上 宗子/11 焼畑と土壌・昆虫・植物 鈴木 玲治/12 在来品種「余呉のヤマカブラ」を選抜採種する 野間 直彦/13 焼畑のヤマカブラを食べ継ぐ――おいしさに気づき、変化をめざして 河野 元子/14 結節点としての焼畑――外部者の関わりが生み出す可能性 増田 和也
(コラム)野ウサギ、ワラビ、サシバ舞う「くらしの山野」――子らと先人は出会う 今北 哲也

【番外編】漫画でわかる! 大学教員が焼畑をはじめてみた 原作・火野山ひろば/漫画・西村 佳美

最後は、漫画でも紹介している。

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さて、ここでは本書の内容は触れない。というか、上記のリンク先などを読んでほしい。代わりに私の思い出話を書く。

私は、20数年前から(1990年代)焼畑に興味を持ち、各地を訪ね歩いている。きっかけは、本書でも少し紹介されているが、村尾行一愛媛大学教授(当時)の「山村のルネサンス」を読んだことだった。ここに焼畑こそ育成林業の出発点であり、農林複合の技術だ、という言葉にピピピピと来たのである。そして焼き畑は森林破壊どころか、森林を育成する、いや森を救うのではないか、という思いから、全国各地の焼き畑をやっているところを訪ねたのだ。
もっとも、当時はギリギリの時代で、どんどん焼畑が消えていく過程でもあった。当時は5,6か所もまだ焼畑をやっているところをルポしたら本が書けるぞ、と思ったのだが、そもそも焼畑をやっているところがない。資料を探すのも、みんな昔の民俗的伝承になってしまっている。

宮崎県の椎葉村を訪ねたら、道が途中で崩れて通れないと言われ、林道づたいの抜け道を地元のタクシーで走り、途中タヌキの交通事故に出くわしたりしつつ到着した。が、そこから焼畑の場所までまたタクシーで走らねばならない。
ようやくたどりついたら、「ああ、遅かったね。もう火を入れて焼けたばかりだよ」……(泣)。

そこで海外の焼畑を求めてボルネオのイバン族の焼畑を訪ねていったら、前日火を入れたばかりだった。。。でも、まだ火は残っていて、そこに野菜の種子を撒くお手伝いをさせてもらった。さらに、別の場所で、わざわざ私のために火入れをやるという。そして私も火付けを体験させてもらう。森に火をつけるのは楽しい!

ちなみに、この当たりの体験談は『森は怪しいワンダーランド』(新泉社)にも一部執筆しているのでご笑覧あれ。

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ボルネオの少数民族イバン族の焼畑。焼いた翌日だが、うっすらと煙が上がっていた。

ほかにも直前に雨が降ったから中止とか。現代的な林業と結びつけた焼畑をやっている宮崎県の相互造林にもお世話になった。そこで諸塚村の焼き畑跡地を訪ねて、アグロフォレストリーの片鱗も見る。そうそう放棄田でやる焼畑実験にも参加した。まあ、これは火入れだけで、森を燃やすのとは違う。

そんな取材というか経験を積み重ねたのだが、結局は本にはしなかった。ちょっと「世間の焼き畑」と「私の焼き畑」にはズレがあったのだ。文献などでも焼畑を扱うのは、民俗学、文化人類学、そして農業技術の面が強くて、ちょっと私のめざすテーマと違っていた。

私は森づくりの環境技術として取り上げたかったのだ。正直、民俗とかは興味ない(^^;)。焼畑やる前に神様に何を拝んで備えて……という作法はドーデモよい。焼畑をすることで土壌がどうなるのか、生態系がどう変化するのかを知りたかった。いわゆる「ファイヤーエコロジー」である。

まあ、本は書けなかったけど、それなりに楽しかった。取材と文献渉猟の勉強になった面もある。記事は、無理やり雑誌にねじ込んだこともあるが、ほとんど発表しないままなのはもったいなかったか。

さて、そこで本書であるが、当時より20年近く経って、今や焼畑の復興ブームらしい。焼畑フォーラム(2017年~)も開催されているらしく、それが契機で本書もまとめられたとか。先進国では唯一と言われた焼畑も、90年代を境に消滅していく。そこで焼畑技術も途切れたのだが、本書によると、2010年以降に再びつむぎ直しつつあるという。
読んでいると主体は研究者なので、焼畑研究そのものが広がっているらしい。私の目のつけどころは早すぎた? いや私のあきらめが早すぎたのか。まあ、私ができなかったことをやってくれたのだからヨシとしよう。
隔世の感があるが、ただ目を通すと、やはり農業と民俗の本になっている。うーむ。

ファイヤーエコロジーの切り口から焼畑を描くのなら、まだ切り込める面があるぞ。人類は、ホモ・エレクトス、ネアンデルタール人の時代から、火入れをしてきた。縄文文化も焼畑で成り立っていた面がある。阿蘇の山焼き、若草山の山焼きに共通点はあるか。地面を焼くことは人類にとって必然なのだろう。これは人類心理学とでもいう分野を切り開けるかもしれない。

とくに世界中で気候変動がらみの山火事・森林火災が相次ぐ時代となったのだ。アマゾンの森林火災と焼畑の違いは何か。なぜヨーロッパの焼き畑は消えて、日本の焼き畑は残ったのか。地球規模の焼き畑論も展開できる。

そして、今や火入れのコントロール技術(コントロールド・ファイヤー)が、今こそ世界中に必要かもしれない。

焼き畑の虫がまた騒ぎそうだ……。

 

2022/04/25

Y!ニュース『広がる盗伐を「伐採届の改定」は……』書いた裏事情

Yahoo!ニュースに『広がる盗伐を「伐採届の改定」で防げるか』を執筆しました。

じわじわと盗伐が全国に広がる気配。完全な違法でなくてもグレーな伐採(たとえば間伐の契約なのにほぼ皆伐になるなど)は増えている。

だから盗伐に関する記事を書きたいと思っていたのだが、ニュースとなると何か新味がないと書きにくい。ぼんやり「増えている模様」ではちょっときついかな。

とネタを探していて教わったのが「伐採届の改定」だ。これ、昨年9月に国会を通っていて、4月から施行なんだが、全然知らなかった。現場でもどれだけの人が知っているのだろう。そもそも市町村現場が知らないといけないのだが……。

というわけで、枕というわけではないが、冒頭導入部として書き始めた。まあ、書類の様式が変わるなんてのは、地味だが。。。

しかし、書いているうちに気づいたのだが、伐採届はその受理・不受理を含めてわりかし行政に権限がある。これまで怪しい伐採案件があっても詰めきれない自治体窓口の人もいただろうが、本気を出せば受理しないという奥の手もあるのだ。
もちろん、理由なく不受理にしたら抗議を受けるが、警察が盗伐被害届を受理しないぐらい(⌒ー⌒)なのだから、のらりくらりと引き延ばせる。内容を精査して幾度も確認したり書き直させたりして、業者の計画の中身を問い詰めたら、怪しい業者ならボロを出すのではないか。終了後もチェックされて嘘がばれたら、補助金は止められるし、現状復帰など行政命令だせるし、いろいろ面倒くさくなる。うるさ型の窓口にぶつかったら業者も怖いはずだ。わりかし武器になるのではなかろうか。

とはいえ、結局は現場のやる気次第なのだが。トラブルはイヤだと中身を読まずに承認してしまう担当者多そうだなあ。

 

 

2022/04/24

地球温暖化で森は減るか増えるか

以前、ネイチャーでこんな研究結果を目にした。

ヨーロッパのほとんどの地域で1986~2016年のブナの成長量が1955~1985年より減少しており、最も著しいのが南ヨーロッパで、成長量が20%減少した。
北ヨーロッパの国々(デンマーク、ノルウェー、スウェーデンなど)では、成長量が最大20%増加していた。
南ヨーロッパのブナの成長量が2090年までに最大30%減少し、干ばつが定期的に発生すれば、50%以上減少する可能性がある。
中央ヨーロッパの山岳地帯ではブナの成長量が25%増加するかもしれないが、ヨーロッパ全体では成長量は減少すると予測している。

なるほど、気候変動(地球温暖化)が進めば、必ずしも森林が減るわけではなく、増えるところもあるわけだ。暖かい環境を好む植物がいるのは当たり前。ヨーロッパの場合は、ブナ林が南部は減って北部が増える。その差し引きが問題なのだが……。ここでは、何の木が増えるのか書いていないか。とりあえず自分のところは増えるなら温暖化もいいか、なんて考え出す人も出るかもしれない。

そして、今度は森林総研の研究。

気候変動により森林が拡大する地域、縮小する地域を高解像度で推定
―気候ストレスの影響を地球規模で評価するモデルを開発―

こちらは森林全体の面積推移を予測したものだが、地球全体ではこんな具合。気候の変化で森林分布が拡大・縮小する地域を、約1平方キロメートルの高解像度で推定したものだ。21世紀末における現在(1986~2005年)からの気温上昇が2.6~4.8℃(平均3.7℃)という予測を元に計算している。気温だけでなく、水の分布(降水量など)も変わるだろう。森林火災も多発するかもしれない。
気候条件だけでなく、気候の変化が飢饉などを生み出し、それが戦争を誘発する可能性だってある。戦争になれば森林にも影響がある。さすがにそこまで読んだ予測ではないだろうが。

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ロシア、カナダ、アメリカ(アラスカ)といった北極圏が軒並み森林を増やすという予測結果となった。ロシア、喜ぶのか? 熱帯地域は軒並み減っている。

日本は……わかりづらいが減っているのかな? 森林は今でも多いわけだが、高温に対応できない樹木も出てくる。ただある種が減っても、すぐ割り込んでくるほかの植物もあるはずなので、全体としては減らないか。もっとも増えるにしても、すごい気候災害が伴いそう。

あ、災害で人間社会が影響を受けて、たとえば工業地帯が壊滅するとかすれば、二酸化炭素の排出が減り、気候の変動も自然界とはちがうのようになり、これまた森林にも影響があるはず。海面が上昇して、平野部が沈むことも有り得る。それも二酸化炭素の排出を減らすか増やすか。

予測はわからないことばかり。

2022/04/23

津田梅子と土倉政子の接点

朝日新聞の別刷「be」の中に「はじまりを歩く」という見開きの巨大連載記事がある。ここに土倉庄三郎が登場していた。

実はこのコーナー、以前「割り箸」の「はじまり」を紹介する中で、拙著『割り箸はもったいない?』に少しだけ触れていたことがある。そのことは本ブログでも紹介したが、私的には第2弾?

今回は、女子高等教育の始まりの物語を取り上げていて、その中心は津田梅子と津田塾大学。そして後半が日本女子大学だ。

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その日本女子大の創設に関しては、当然成瀬仁蔵を紹介しているのだが、そこに広岡浅子が登場する。が、それに付随して庄三郎の名が。

読めるように拡大したものを添付する。

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ちゃんと成瀬に広岡を紹介したのが庄三郎と書いているのは喜ばしい。朝ドラ「朝が来た!」でさんざん広岡浅子が登場した際に、全然土倉に触れていないのはケシカランと私は随分アチコチに書きまくったものだが、ようやく触れるようになったか。広岡の功績をおとしめるものではないが、同じように支援をした土倉庄三郎を無視してはイカンだろう。そもそも女子教育に対する思い入れは、娘を梅花女学校、同志社女学校に入れた時期から強いのだから、浅子より早いほどだ。

そして、もう一つ重要な点として、津田梅子との接点がある。

津田梅子は日本で女子教育を行うために1889年にアメリカのプリンマー大学に二度目の留学をしている。なんと大学と交渉して授業料と寮費の免除を勝ち取っている。そこで出会ったのが土倉政子なのだ。政子は1890年に渡米した。私費留学生である。当然、庄三郎の援助があってだが……年間7000円とか、今なら1億円近いのではないかという仕送りを受けていたらしい。

残念ながら政子と梅子はどんな関係であったのかは記録が見つからない。梅子の留学は1年間だけなので滞米期間はすれ違い気味だが、わずかな日本人女子なのだから、会ってないわけはないのだ。政子はそれから7年間滞在し、97年に帰国する。梅子は帰国後学校づくりに奔走し1900年に女子英学塾を開くが、その準備期間が政子の帰国と日本女子大の設立運動と重なっている。政子が梅子の活動を知らぬわけではないだろう。ちなみに日本女子大学校が創設されるのは1901年だ。もっとも政子は99年に外交官の内田康哉と結婚しているのだが……。

津田梅子の伝記や研究書に目を通して二人の接点を探してみようと思っているが、誰か知りませんか。あるいは代わりに読んでくれ(^^;)。私は読む本が溜まっていて悲鳴を上げているです。。。

2022/04/22

達磨寺の宝はどれだ

野暮用があって、奈良県の王子町を訪れた。そこで寄り道したのが、達磨寺。達磨大師ゆかりの古刹だが、私の目的は境内にある小さな墓である。

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松永弾正久秀の墓だ。戦国時代の梟雄、主君を討ったとか大仏を焼いた大悪人と言われるが、近年評価が上がっている。信長に先んじて新時代を切り開いたとされるんだが、私の母は松永一族の出なので親近感がある。

そこで、ちょいと詣でたのだが、そこで見かけたのがこれ。

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巨大フジである。

フジも林業界では、スギやヒノキに巻き付く嫌われものだが、その花の美しさの方が今や価値がある、かも。これだけデカイ蔓だと、期待してしまう。

次に目に留まったのは、こちら。

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竹だけど、株立ちしている。これは日本の竹にはない特徴だ。熱帯アジア産の竹なのである。伝説では達磨大師がインドから持ち込んだというのだが、達磨大師って日本には来ていないはずなんだか(^_^;)。

誰が持ち込んだのか。外来種という点からも気になる。

さて、この3つの興味あるもののうち、私がもっとも気に入ったのは、どれでしょう。もちろん。。。

 

2022/04/21

切り株の上のロストワールド

ふと見かけた切り株をパチリ。

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何の木かわからないが、伐られて?その切り口が腐食して、樹皮面と芯だけが残って内部は腐り落ちた……というところだろうか。

ちなみに以前「切り株の上の生態系」シリーズというのをやっていて、切り株の面にいろいろな植物・菌類が生育しているのを撮っていた。切り株は地面より少し高いので、周辺の植生などの生態系とはちょっとだけ隔絶した場所である。そこで偶然のように飛んできた種子やす胞子などが発芽して育ち、そこに昆虫なども集まり、新たな生態系をつくっているのが面白かったのである。

これなど切り面が落ち込んで内部に別世界が広がっているかのよう。

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思えば、周囲より高く競り上がっていて隔絶されていると言えば、ギアナ高地。そこを舞台にコナン・ドイルが執筆したのが「ロストワールド」である。そして実際には世界各地に地面が陥没して深さが100メートルを越すような穴が開いている世界もある。そこもロストワールドと呼ばれるのだが、恐竜はともかく見慣れぬ生命体の宝庫とされ、動物も植物も珍種・新種が見つかっている。

この切り株も、小さいながら競り上がって、その中で陥没しているのだから、二重のロストワールドだ。ちなみにそうした世界も地球上には見つかっている。たとえば八丈島の八丈富士の噴火口などは、登った山の頂上が噴火口として陥没していて、その中に森林ができている。ほかにもボルネオ島のキナバル山にも、標高4000メートル級の尾根に深い垂直の谷があり、その下には森林がある。

Src_10407625_20220421222301八丈富士の火口

昔、探検に行きたかったんだけどなあ。それでソロモン諸島のシンボ島のパツキオ火山にも火口洞窟があると知って、出かけたのであった。

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これ、なんとか火口を下りて底から上を見上げたところ。直径60メートル、深さは10数メートルぐらいか。今思えば、切り株の穴から見上げると、こんな景色なのかしらん(笑)。この底より、さらに洞窟をもぐって火口深く侵入したのであった。そこで見つけたのは……!!

一説によると、体長数メートルの馬の顔をした巨大コウモリであった!!(「伝説になった日本人」より)

当時は夢があったよなあ。悲惨だけど、楽しかったなあ。ミクロであっても、隔絶しているところには別世界が広がるのである。

2022/04/20

石の時代から木の時代へ

関西以外の地域でどれほど話題になっているかわからないが、今年は高松塚古墳発掘50周年である。つまり、あの彩色壁画が発見されてから50年が経った。

一時はカビが生えて壁画が消えかかるという失態を見せて大騒動になったが、なんとか修復は終えて作業室に保管されている本物が来月から一般公開が始まろうとしている。で、私も一足先に……。

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もちろん本物ではなく(^^;)、壁画館にある模写されたレプリカである。

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ちなみに私が興味を持ったのは、高松塚より中尾山古墳。近年発掘が進んで、八角形をした古墳だとわかり、これこそ文武天皇の墓ではないかと言われ始めた。今ある文武陵はどうなるの? と思わぬでもないが、飛鳥時代終末期の小さな古墳が新時代を表す。

もともと古墳とは、その巨大さで人々を圧倒し権威づけするのが目的の一つと言われた。だから「仁徳天皇陵」のような世界最大の面積を持つ人工墳丘をつくったのだ。いわば土と石の時代

ところが飛鳥時代から奈良時代へと移る頃には大きさは気にしなくなった。なぜなら権威づけは仏教寺院へと移っていくからだ。木材を使って巨大寺院や宮殿をつくることに力を注いだのだ。ここから木の時代へと入る。
もし日本を木の文化の国というなら(私は疑問を持っているが)、その出発点は、終末期古墳に見られるように石が力を失い、木の建築が力を持ち始める奈良時代に求めてはどうだろう。

明治以降は、金属とレンガ、コンクリートに見られるように再び「(疑似)石の時代」となっていた。もし現代に再び木の文化を謳い上げ「新・木の時代」を築きたいと思うのなら、象徴となる存在は何があるのだろうか。まさか、CLTの木造ビルだというんじゃないだろうな?

 

ちょっと脱線。
飛鳥時代は、石の文化をつくったといえるように石造物が多い。なかでも異色なのが、猿石だ。日本のほかに例のない造形の石造物である。

一般には明日香村にある4体を指すが、猿ではなく「女」「山王」「法師」「男」と名付けられている。

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これは「法師」だったかなぁ。「山王権現」か。

では、この猿石は?

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この猿石をご存じだろうか。実は、明日香村ではない。隣の高取町、もっと言えば、高取城の登城口の一つニノ門の外側に設置されているのだ。

どうやら明日香村から運ばれてきた……有体に言えば盗まれてきたらしい。もっとも盗難というよりは城づくりの過程で、石垣用の石を集めるときにこの手の石造も混ざっていたのではないか。が、これを石垣にしちゃマズいんじゃないの?呪われるぞ、と建築責任者が感じたのか、そのまま登城口に設置して守り神にしちゃった……とまあ、これは私の推測も交えた想像である。

ほかにも京都の料亭に、明日香村の石造物があったりして、これも戦前に売られてしまったものとされる。案外、あちこちに力を失った「石の時代」が四散しているのかもしれない。

 

2022/04/19

植木鉢に隠れていたヒル

庭掃除をしていて、ごっそり眠っている植木鉢を発見したのだが……そのうちの一つを持ち上げると……。

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ぎゃ、ヒルだ。なんで、庭に出るんだ!触りそうだったじゃないか! と、ひとしきり騒いだが、明るいところに置いておくと伸びる伸びる。2匹いるんだ。ぬるぬるてかてか光りながら、黄色の体に縞模様、頭がヘラのようで気色悪い。

これって、たしかコウガイビルというのだった。

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そう思って調べると、なんと! ヒルと名がつくが、ヒルの仲間ではなく、プラナリアの一種であった。そういや、プラナリアの頭と似ている。別にプラナリアが好きなわけではないが、再生実験動物として有名だから、なんとなく愛着が湧く。これ、細かく刻んだら、どの片も再生して数が増えるだろうか……。そのたくましい生命力は憧れる。すると怖さが消えた(笑)。ヒルのような生物だって、「カワイイの法則」が成り立つのだ。

ちなみにプラナリアというか、コウガイビルは吸血もしないし、ナメクジなどを食べるから、どちらかというと益虫。ただし体内にフグ毒のテトロドキシンを持つものもいるというのだが、これを食べる人はいないだろう。体内に寄生することもあるというが、どうやって体内に入れるんだか。ともあり基本的に無害だ。

そのうち姿を消した。なんか、寂しい。というか、もっと観察すればよかった。

気持ち悪がらずに調べると、何かと面白い事実を知る。小さな庭が脳内でジャングルになる。その中でコウガイビルは森の妖怪だ。ただし、可愛く思えてきたら、森の妖精になってもらおう。

 

 

 

2022/04/18

仮説/家づくりは安くなった?

ウェブで打ち合わせしている際に、ふと思いついたこと。

住宅は、昔と比べてものすごく安くなったのではないか。安くしたのではないか、という仮説だ。

何をいう、今は断熱だの耐震だの、どんどん家づくりの単価は上がっているはずだ、と思うのが通常なんだが、別の見方をしてみよう。

戦前までは、自前の家を持つ人は極めて少なかった。多くが長屋暮らし。仮に持ち家があっても、かなり小さく安普請だった。自宅に風呂がある家も少なかった。

たまに自前の家をつくろうとする人は、やはりお金持ちである。だから大工に頼んでも完成まで半年、1年かけられる。木材をゆっくり乾かして、大工の手間賃も長く払って、一軒一軒土地に合わせて、施主の希望に合わせて違う構造の家を手間隙と技術で作り上げた。

今は、多くの人が自前の家を欲しがる。しかも、小さくてもキッチンに風呂付き、トイレは水洗、冷暖房もそこそこ備えている設備が求められる。しかも金持ちではないから安く建てなければならない。先に建築してしまう建売住宅も登場した。

そこで工期を短くして大工の手間賃を減らし、材料は安い金属や新建材。工法も合板などのパネルを多用したり、簡単・安くつくれる方法を開発する。大壁工法もその一つだ。すると木材加工もプレカットにしてしまう。ハウスメーカーのように画一的な家を大量に供給することで価格を落とす。木材価格も安く買いたたかないといけない。さらに長屋ならぬマンションのような集合住宅もつくる。

機能は高く、それでいて安い家。ただ画一的で土地の条件に合わせることはしない。一方で大工は収入が減るから、一軒に長く張り付けず年間何棟も建てねばならない。技術もあまり求められない。建材も大量に同じものを生産して薄利多売にする。木材も外材と天秤にかけたりして買い叩く。かくして誰もがあくせくし、儲からない業界になってしまった。

まあ、国民の多くが持ち家を手にできたという功はあるのだが、そのため無理をしたため、きしみが生じているような気がする。

……というのが、仮説。ちゃんと家を建てる人の収入を今と昔で比べるとか、当時の工事単価とかを調べないと、仮説の実証にはならないし、そこそこ正しい面もあるのかも確認できない。誰かやってくれ(笑)。

でも、みんな喜ばせた結果として、多くの産業が苦しくなってしまった……という可能性もあるかもしれない。どうだろうか。

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2022/04/17

城跡林業? もったいない伐採

高取城に出かけてきた。場所は吉野や明日香村に隣接した奈良県高取町である。知る人ゾ知る、日本3大山城の一つで、かつてテレビ番組で「日本最強の山城」認定を受け、それを町おこしネタにしている城(^^;)。

たしかにトンデモな山奥の高い峰に、なんでこんな大きな縄張りをしたんだ、というぐらいの巨大城郭である。天守閣も大小2つあったようだ。山城というより近世平城の規模と内容を誇る。

で、本丸の一角から下を覗き見たのだが……。こんなものが見えた。

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なんだか丸太の山。それも細かく刻まれている。そこで現場まで下りる。

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こんな感じ。直径80センチ級のスギを何本も伐ったのだろう。伐って刻んで、このように並べたのは、林業家の仕事だろうな。
デカい城跡でインカ遺跡並の石垣が幾重にも連なっているが、不思議なことにその石垣の上の郭などにはスギがぎっしり生えている。おそらく植林したのだろう。さらに、そのスギから種子が飛んだのか天然性のスギも多い。そして太く育ったものも少なくない。が、育てば、石垣を破壊するのである。それで伐採して史跡を守るわけだ。

こんな伐採木もあった。

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これは直径1メートル級。長さもそこそこあって、材質もそこそこ。吉野に近いが並材だろう。でも太さと材積を考えたら悪くない。

それらが使われないまま、刻まれるののは残念だ。まあ、搬出が極めて難しいのは間違いないが。それに国有林で史跡となると、持ち出しも法的に難しいか。

もともと城跡に植林しちゃった時点で、どうなの?と思わぬでもないが、もったいないなあと感じたのであった。

余談ながら、先日明石城跡の石垣保護のための伐採が市民の反対で止められた(知事も素人判断して、止めさせた)が、知らないよ。樹木はどんどん育って石垣なんかすぐ破壊するからね。

 

2022/04/16

タケノコ成り年

満を持してタケノコ掘り。

先週も挑戦したのだが、まったく出ていなかった。本来ゴールデンウィーク前から出るのが我がタナカ山林の特徴なのだが、温暖化の影響が出ているかな、という思いであった。しかし先週は出ていず、本日こそ狙い目。

すると、あるわあるわ。山林に入って30秒後には発見。さらに立て続けに2つ3つまとめて生えているところを見つける。

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昨年は不成り年で、ほとんどタケノコは収穫できなかった。もともとイノシシ害もひどくてイノシシと競争で掘っているのだが、不成り年は2本か3本しか収穫しななかった。タケノコはイノシシも大好物なのである。おかげでイノシシがかじったタケノコを拾って、持って帰ろうかと迷う有様。さすがにおこぼれをもらうのは恥ずかしいので止めたが……。今年は、不思議なほどイノシシの気配もない。

想像するにタケノコ成り年は各地にたくさんタケノコが出ているから、どこでも食べられて、あまり切迫していないのではないか。つまり人間がタケノコ取れないと嘆いている年は、イノシシも食べ物が少ない!と悲鳴を上げて必死に各地のタケノコを漁る。しかし今年は満腹なのかもしれない。なんか腹立つ。

結局、17本掘って、これ以上あってもゆがけないとストップをかけた。かつて1日で40本くらい、数日で100本以上掘ったものだったが……。

そのうちおおきなものをスリランカ料理店に上納して、さらに幾か所かなじみのご近所さんに配る。我が家用は小さなものを6本くらいにした。それでも茹でるのには2つの鍋で長時間かかったのだが……。

多分、数日中にもう一度訪れてタケノコを掘らねばなるまい。放置すると竹林になってしまう。今のうちに駆除……じゃない、収穫すべきなのだ。

当分は、タケノコ三昧の日々になる。

2022/04/15

「広葉樹林化」という名目で

本日の静岡新聞の一面で大きく報道されて、さらにYahoo!ニュースにも転載されたから、すでに読まれた人もいるだろうが、静岡市で幅15メートルの「列状間伐」が行われてしまった。

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この記事の写真を見て、「間伐」だと言い切れる人は少ないのではないか。伐採面積にして2ヘクタールに及ぶという。これが静岡県が導入した「森林づくり県民税」を利用した静岡県の「森の力再生事業」だというから、余計に情けなくなる。事件の概要は記事を読んでいただきたいが、ここでは少し別の情報と観点を。

まず、この事業は県が提案して森林組合が実施したというのだが、当初は誤りを認めなかった。そこで当事者(安池倫成さん)は川勝静岡県知事に手紙を送ったところ再調査することになり、謝罪に結びついたのだという。トップの指導がよい方向に動いたという点では喜ばしい。本当は、トップが現場の判断に介入する形で左右されることはよろしくないのだが……。
それに謝罪したのは、十分に説明しなかったことのようで、作業提案については誤りを認めていないように読める。

さて「森の力再生事業」だが、今回はどうやら広葉樹林化を図るための事業という位置づけのようだ。記事では、獣害などがひどくてヒノキは十分に育たないと判断したから、広葉樹林に変えるということらしい。それが、なぜこんな施業となったのか。
まだ製材用に出荷できる太い木は生えていないように見えるから、ようは事業のための事業、補助金ばらまくための補助事業という意図が透けて見える。

たしかに針葉樹林(人工林)に広葉樹を生やそうと思ったら、光がたっぷり地面に当たるように広い面積を切り開くというのはわかる。しかし、小規模皆伐(たとえば15メートル四方)ならともかく列状に幅15メートルで何百メートルというのはいかがなものか。しかも写真をよく見てほしいのだが、伐採跡の左手には、ほんの1,2列のヒノキを残して、また15メートル幅の伐採地が透けて見える。全体を見たらほとんど皆伐と変わらないだろう。それを間伐だと言い張るのは、おそらく間伐補助金を使うためなんだろうが、これを実行するのは安易で勇気がありすぎる。

お膝元の静岡大学では、人工林の広葉樹林化を研究していて、私も触れたことがある。

広葉樹林化のための更新予測および誘導技術の開発

これは「広葉樹林化研究プロジェクト」の一環で、森林総研主導で全国規模で行われているようだ。しかし、どこを読んでも幅15メートルの間伐は登場しないぞ。それどころか通常の5メートル列状間伐での効果が示されている。静岡県は、どこから「15メートル列状間伐」という技術?を引っ張ってきたのだろう。

広葉樹林化は未確定技術であることを認識しつつ、慎重に行うべきだ。もちろん、現地にも足を運んで。机上のプランニングでは、見えない。

ちなみに、ちょうど今こんなクラウドファンディングも行われている。主催者はドイツに留学して、多様な森づくりの方法を模索して研究しているのだよ。いい加減な方法を安易に取り入れないでくれ。

人工林の樹種多様性を向上し、持続可能な森づくりを目指す!

2022/04/14

衛星から見る伐採面積

森林総研のこんな研究を見た。

衛星画像から過去35年間の国内全域の伐採・植栽箇所を可視化

ようするに、衛星から地上を映した画像で伐採面積を調べたということだ。これまでのような届け出など書類上の伐採地の面積合計……みたいな統計とは違う。さらに再造林がされているかも読み取っている。

1985年から2019年までの毎年の伐採箇所を推定し、伐採後に針葉樹で植栽されているか、また、時系列的に伐採・植栽活動がどのように変化しているかを調べました。その結果、毎年の伐採面積は直近10年で増加傾向にあり、近年の伐採活動の活発化を裏づけました。針葉樹林が伐採された後、針葉樹が再植栽される割合は1980年代から減少傾向でしたが、2010年以降は下げ⽌まり、現在では5–6割程度は再植栽されていると判断できました。本研究成果は、各地域での伐採・植栽活動の把握と森林管理計画の策定に利用されることが期待されます。

伐採面積は、(2010年以降)年間約4万ヘクタールから6万ヘクタールへと増加傾向で、人工林(針葉樹林)が伐採された後、針葉樹を再造林されたと考えられる割合は、2010年以降は約5–6割でほぼ横ばい……という結果だという。

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わたしは年間6万ヘクタールぐらいかいな、とむしろ少ないと感じたし、再造林が5~6割もされているというのも意外。一般に3割ぐらいだろうと言われていたから。ただし、これは2010年以降だから、それ以前の伐採地を目にして、それも脳裏に残しているからかもしれない。

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それでも4~5割は再造林していないわけだ。植えたところも、ちゃんとした森にもどるかどうかはわからないし。森にはもどったが、木材生産できる山ではなくなっているケースもあるだろう。いっそ伐採跡地が広葉樹林(針広混交林)になっている割合も知りたいものだが。それは天然更新ではなかろうか。森づくりの指針にもなる。

ともあれ、書類上の数字は信用できない。かなりいい加減だし、再造林したというのも自己申告で、現地調査したわけでもないから。こんなデータを政策立案にも活かしてほしい。


(International Journal of Applied Earth Observation and Geoinformation 誌に掲載)

年間

2022/04/13

鳥獣害対策の敵は「カワイイ」

新たな朝ドラ「ちむどんどん」、何とはなしに見ているが、日本に返還される前の沖縄という舞台は惹かれる。当時の沖縄の姿は、(私的には)ちょっと穴場であった。そう言えば私は、返還直後の沖縄に行ったことがある。家族旅行なんで、あまり背景を知らないままであったが……。
本日のドラマの最後では、どうやら飼っていたブタを食べることになったらしい。いや、もう料理してしまったらしい。

果たしてドラマとして今後どのように展開するかは知らないが、家畜とペットの間というテーマは興味のあるところである。

最近、イヌネコの殺処分をなくすことの運動が行われている。捨て猫野良猫・捨て犬野良犬を自治体が殺すことをなくしたいというのだが、私はこの手の意見に異議がある。殺処分しないでおけば、野良犬野良猫が増えることになり、それで迷惑を被る人が増えるだろう。そして自治体が手を下すのを止めても、野良で生きて行ける数は限界があってどんどん死んでいくに違いない。何より、イヌとネコばかりを取り上げるが、捕獲・駆除という名の殺処分されているイノシシやシカ、サル、クマ、アライグマ……など野生動物はどうなのか。

イヌネコだけを特別扱いする理由を考察すると、単に人になついてカワイイからというところに落ち着くと思っていたのだが……ふと気づいた。ブタも飼っていればカワイイのだ。人にもなつく。それはペットと同じようになる。いや肉に出荷するつもりで飼っているウシも同じだ。鹿肉は私も食べるが奈良公園のシカはカワイイ。もしかしたら駆除を求められる外来種だって飼育できたらカワイクなってしまうかも。

では、どこに線を引くのか。育てて殺して美味しくいただく食育なんて理屈だけであって、世話をしていた人からすると、やっぱりカワイイはず。美味しく食べたら成仏するなんて仏教思想にハマりすぎ。

結局は、身近にいて情が移るか移らないかの差ではないか。野生動物は身近でないから、駆除しても心が痛まないということか。動物との物理的距離が境目ではないか。仮になつかない動物でも、身近に長くいたら情が移るかもしれない。

さて、どうする?

拙著『獣害列島』では、獣害対策は餌をなくす予防と、餌に触れさせない防護、そして生息数を減らす駆除の3本柱だとした。

ここに、もう一つ条件を付け加えたい。「カワイイと思わないこと」。これなくして獣害対策はできないのではないか。

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イノシシのダンゴ。カワイイと思えばカワイイ。

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でも、こうなると美味しい。

 

2022/04/12

輸入禁止になる「一部の」木材

8日、岸田文雄首相は、記者会見でロシアによる侵攻が続くウクライナで民間人の遺体が多数見つかったことを受け、追加経済制裁を発表した。

具体的には、
(1)石炭輸入禁止へ段階的に削減
(2)最大手行ズベルバンクの資産凍結
(3)ロシアへの新規投資禁止
(4)機械類、一部木材、ウオッカの輸入禁止
(5)資産凍結対象に400個人、20団体を追加
ということだが、私が気になったのはウォッカ……ではなくて「一部木材」という項目。これ、なんなん?

木材全般の輸入禁止ではなく、一部とはどの木材のことなのか。

それを探したのだが、ネット上には具体的な内容がわからない。ようやくフジテレビのニュースに「チップなどの木材」という文言を発見。これでいいのだろうか? ようするに製紙用チップの輸入を止めるということか。製材ではなくて。具体的な輸入量がどれだけあるのかわからないのだが……。

ようやく日本製紙連合会のデータを発見。

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これによると2020年の製紙用針葉樹チップの中にロシア産の記述があった。輸入量1157000BDTのうちの4・9%。つまり56693BDT。このBDTという単位は……Bone Dry ton、つまり絶乾トンらしい。5万6693トンか。この10年で増えてはいるが、そんなに多くはないことはわかる。とくに針葉樹チップは国産比率が高いし。

あまり日本経済に影響ない項目を見つけたなあ。とりあえず制裁しますよ的な禁輸措置か。

こんなことを考えるのは、先日、ウクライナの環境省職員から(間接的に)メールが届いたからだ。少しだけ引用する。

ロシアとベラルーシの経済は、木材や木製品(家具、木炭、紙製品など)の輸出に大きく依存しています。輸出額は年間160億ドルにもなり、その結果得られる財源は、間接的にウクライナへの介入を支援するために使われています。(略)

ウクライナのNGOとして、私たちはヨーロッパやアメリカの政府や活動家とつながりを持っているので、ロシアの木材を禁止するキャンペーンを行っています。しかし、日本についてはパイプがなく活動を展開できていません。

ロシア産の木材を禁止するキャンペーンを国内で支援できる日本のNGOやその他の関係機関をご存知でしょうか?

私にできることは、知っている団体を伝えるとともに、日本とロシア産木材の輸入ルートについて多少教えるぐらいのことだったが……こうした戦い方は、ウクライナ政府としてなのか、NGO、個人として取り組んでいるのかわからないが、考えられる限りの対ロシア活動を行っている必死さが伝わってくる。

実際にロシア産木材・木材製品の主な市場は、ヨーロッパのほかは中国、韓国、日本だ。すでに森林認証制度(FSC、PEFC)はロシアへの認証を停止している。

果たして日本の措置は、どれだけの効果を発揮できるだろうか。


追記・翌13日の朝日新聞によると、「一部の木材」にはチップのほか建材向けに加工される丸太などが含まれる、とあった。

あれ? 丸太輸出はロシア側が1月に禁止したんじゃなかったか。それを制裁分に含めるとは……。それに昨年の輸入額を「107億円にのぼる」とあるけど、貿易とはしてしょぼすぎない? そもそも「建材向けに加工」というのも持ってまわった言い方で、何を指すのか。製材というよりは合板ではないか。疑問だらけである。

 

 

2022/04/11

特用林産物を忘れない

先日のブログで林業産出額について書いたが、ふと、そこで触れたのは木材ばかりであることに気づいた。

木材以外、特用林産物と呼ぶものもある。これは何で、いかほどか。だいたい想像するのは、キノコだろう。分類を見ていると、薪炭も入っていたが、さて算出額は……。

2020年のきのこ類の林業産出額は、2259.6億円(対前年比4.3%増加)だという。生産量では46万2277トンで、前年に比べ6588トン(1.4%)増加している。さらにタケノコの生産量は2万6449トン、前年に比べ416.4トン(18.7%)増加。

2020年の薪炭の産出額は、59.6億円(対前年比2.6%増加)。木炭の生産量は1万2925トンで、前年に比べ1468トン(10.2%)減少。

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まあ、そんなものか……と思ってグラフを見て気づいた。木材に匹敵するほどの産出額なのだ。言い換えると林業産出額という中で、木材は約半分にすぎない。キノコもほとんどが室内で栽培されたものだから、林業というより農業に近いと思うのだが、それが半分を占めるということ何を意味するか。

そもそも林業補助金のほとんどは木材生産のために出されているだろう。キノコ栽培にも多少はあるだろうが、そんな莫大なものではない。せいぜい初期の施設投資の補助ぐらいではないか。何から何まで、コストの7割がた補助金で賄っている木材生産とは違う。つまり木材産出額に対しての補助額は、大雑把にこれまでの推定の2倍近いと思っていいのではないか。

 

ただ、私が興味を持った特用林産物は、実はキノコではない。「その他」だ。キノコ以外には何があるのか。

ここで登場するのが、ロジンとテレピン油、であった。どちらも松脂から採取するものだと思うが、何に使うのだろうか。そして(植物性)蝋がある。

ロジンは、野球などで使う滑り止めのイメージがあるが、ほかに体操やバレエシューズの滑り止め、ヴァイオリンなど弦楽器への使用がある。だが、ここで使い道として多いのは、製紙用の滲み防止剤(サイズ剤)だろう。加えて油ワニス、ラッカー、塗料、顔料の表面コーティング、そしてチューインガムベースにもなるそうだ。
テレビン油は、油絵具の薄め液・画用液としてのイメージが強いかな。実際は塗料やワニスなどの溶剤のほか、医薬品の成分など科学薬品の原料らしい。

蝋は、いわゆるロウソク用はほとんどない。和ロウソク以外は石油系。ハゼなどの実から取る植物性の蝋は、ワックスやクレヨン、CD、コピー機のトナー、整髪料、口紅にグミ……なるほど、こんなところに使われるのか。

渋い生産物だ。しかも輸出している。

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特用の輸出額は、なんとキノコより「その他」がずっと多い。キノコは国内消費用がほとんどなのか。乾燥シイタケ以外は輸出しづらいからかも。むしろ輸入超過だ。キノコ以外の特用林産物の1月末迄の輸出額は1億6800万円で、対前年同期比73%と伸びている。これも林産物輸出の数字を結構左右しているのではないか。

特用林産物。これは曲者だ。一般に意識する「木材生産の」林業の姿を見誤らせる元ではないだろうか。

2022/04/10

奈良公園のコロナ対策の衝立

最近、ちょくちょくと奈良公園周辺に出かけるのだが、奈良すごいぜ、と思うことが増えた。

観光地なのだ。

というと、呆れられるか。奈良は(コロナ禍前は)年間1000万人以上が来訪した日本屈指の観光地である。が、現実には20年ぐらい前は全然観光地ぽくなかった。東大寺だ興福寺だ、その間の奈良公園にはシカがいるよ、といった観光地ではあったが、日常的な町はまったく観光客を寄せつけないというか、寄ってくれないというか。。。駅前の商店街だって、フツーの店ばかり。観光エリア(というよりピンポイントの観光地)と市民エリアがくっきり分かれているようだった。

ところが最近は、すっかり垢抜けしてきた。それも私的にはよい方に。たとえば午後8時を過ぎたら開いている飲食店がないと馬鹿にされがちだが、それは本気で町を歩いていない証拠。よくよく路地まで歩くと、結構店がある。世間がマン防だとかで店が閉まっていた時期でも奈良はしっかり開いていた。だってマン防も緊急事態も発令していないから。(だから大阪からわざわざ奈良まで飲みに来る客が少なくなかった。)

そしておしゃれな店が増えた。昭和の喫茶店しかないのか、と思わせた平成時代だが、令和になって隠れカフェ的な店がそこかしこに見つかる。それこそ、こんな路地まで観光客来ないでしょ!と思わせるところに店がある。飲食店だけでなく、工房あり、ゲストハウスあり。団体客は入りづらいだろうが、一人二人の旅にはむしろ心地よさそう。むしろ、どこにどんな店があるか、と探す楽しみがある。安く長期滞在できるし、町家の風情も味わえる。

おそらく町を歩いて自分で面白スポットを探したいような通の旅人に、奈良は絶対楽しめる。

……と奈良の旅をオススメしたところだが、そんな中で見かけたもの。

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奈良公園の中に野外にテーブルが並んでいて、好きに座ってゆったりできる。春先のサクラの花の季節にはなかなかよい。

が、そのテーブルの真ん中にあるのは……衝立。やはりコロナ対策に向かい合って座った人に飛沫を飛ばさないようにしているのであった。野外で……。なんか無意味だなあ、と思ったのだが、その衝立が杉板であった。アクリル版でないところが好感。こんなところに一工夫?

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聖武天皇陵近く、ほとんど人影のない、そこに道があるとも気づかないような路地にも店があった。

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「自由に落書きしてください」というビル。こうした感性が育っている。

2022/04/09

老齢林ほど成長する!?

5年ほど前に、Yahoo!ニュースで「老木ほど成長する! 森の扱いを考え直せ」という記事を書いた。

一般に老木は成長が鈍り、CO2の吸収能力も落ちると思われていたが、ネイチャー論文を元に「老木の方が成長量は多いのではないか?」とした記事だ。これを元にブラッシュアップして、『虚構の森』では「老木は成長しないから伐るべき?」という章を設けている。

このネイチャー論文のデータでは、世界中の老木(樹齢80年生のもの)を調べたもので、その中には日本の木もあったはずだが、十分な日本の森林データではなかった。

そこに森林総研の研究として、老齢になっても成長を続けている天然林がある が発表された。天然の老齢林である。

論文名は、Aboveground biomass increments over 26 years (1993–2019) in an old-growth cool-temperate forest in northern Japan(北日本の冷温帯の老齢林における26年間(1993年–2019年)の地上部バイオマスの増加)

ブナ、カツラ、ミズナラなどが生育する岩手県内の老齢林で1993年から続けている長期観測のデータに基づいて、地上部バイオマスの変化を調べました(写真)。その結果、この森林では、地形条件にかかわらず2019年までの26年間にわたって、ほぼ継続的にバイオマスが増加していたことがわかりました(図)。また、サイズの大きな樹木がバイオマスの増加に特に貢献していること、期間中に枯れた樹木があると近隣の樹木が旺盛に成長して埋め合わせをしていることもわかりました。
本研究の成果は、炭素の貯蔵庫であるだけでなく吸収する役割も果たしている老齢林が日本にもあることを示したものです。

こちらは森林そのものを扱っている点がネイチャーと違うのかな? 老木だけでなく、若木も含む。枯れた木が腐りCO2を排出することも計算内。ほぼ30年間の観測データが元になっている。

35 屋久島の森はどうだろう?

こつこつ、このような研究結果が各地から出ているんだから、林野庁も「60年生のスギが老齢で、成長しないから伐る」という論法を引っ込めた方がいいよ。

 

2022/04/08

農水省の書店で『虚構の森』

ふとAFCフォーラムという雑誌の2022年4月春号をめくっていると、農林水産省の三省堂書店の売上ランキングが載っていた。

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ちなみにこの雑誌は、日本政策金融公庫の発行で、農業・林業・水産業の雑誌である。だから農水省の地下にある書店の農林水産関連書籍の売上を調べているのだ。この号は2月分の売上がランキングされている。

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見よ、『虚構の森』が7位に入っている。なかなか健闘かな。昨年発行の本が今頃売れだすとは面白い。本当は環境省向きかもしれないが。
もっとも1~5位までは本というより要覧、便覧、名鑑、六法、漁業法解説と、資料的なものだ。なお8位には、『「やりがい搾取」の農業論』が入っている。

そういや『絶望の林業』は、半年ぐらい2位に張りついていた。こうしたランキングを見ると、ある程度、官僚が興味を持っている分野がわかる。

またAmazonの環境問題分野のランキングは、今日は11位である。これまで3,4位から20位ぐらいまでの間を行ったり来たりしている。

ともあれロングセラーをめざそう。

2022/04/07

Y!ニュース「都会にある大木を伐るのは賛成?…」を書いた裏事情

Yahoo!ニュースに「都会にある大木を伐るのは賛成?反対?錯綜する市民の声」を書きました。

神宮外苑の伐採問題から思いついたのだが、わりと時間がかかってしまった。そこに飛び込んできた明石公園の事例。

お外苑の話より、最近になって起きた明石公園のケースの方がわかりやすい。明石城の石垣という「史跡」と「樹木」、どちらを取るか考えさせられる。同じことは各地の城跡で課題になっているはず。でも、たいていは木を伐ることが優先される。世論的には「自然より史跡」なんだろう。ところが今回は市長や知事まで介入して、「樹木」優先となった。果たして「史跡」は今後どうするのか。

それに伐ればいい、という単純な話でもなくなる。

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これはタナカ山林の石垣にかつてあった木々。ここまで石垣の隙間から育った木が太くなると、ホント厄介だ。放置すると石垣が崩れてしまう。しかし伐ると残した切り株部分が腐った頃に大きな穴が空くことになり、それが石垣を崩す心配もある。難しい。伐ったけど(^^;)。

だから安易に「木を伐るな」とも「木を伐れ」とも言いづらいのだ。

 

2022/04/06

九州の盗伐事態は今

宮崎日々新聞に、「悪質業者をリスト化」という短い記事が載った。

ホント短いので丸ごと引用すると、「森林の無断伐採を防ぐため、宮崎県と熊本、大分、鹿児島の九州4県は、立件されるなどした悪質な業者をリスト化し、情報共有する取り組みを始めた。九州の多くの人工林が利用に適した時期を迎え、被害が広がる中、連携を深め、監視を強化する。林野庁によると、同様の仕組みは全国的にも珍しいという。

この記事に私はイラッと来て、思わずコメントをつけたのだが、それも短い。ここで少し詳しく現状を紹介したい。

ちょうど宮崎盗伐被害者の会が警察庁長官宛に提出した文書「森林盗伐の仕組み・利権に関して(情報提供)」が手元にある。

その冒頭を紹介する。
宮崎県は1991年から今日まで杉丸太生産量日本一を30年連続で続けています。しかしながらその一方で、森林の盗伐が横行し、土砂崩れ等の森林の荒廃、河川汚染等の自然破壊が進行しています。盗伐被害者が続出しながらも宮崎県警による犯罪者の摘発、逮捕は今でも微々たるもので、盗伐被疑者は泣き寝入りの状態におかれ、そのことは司法や警察、森林行政に対する不信の拡大を助長しています。特に、21年4月19日、佐藤隆司氏が宮崎県警本部長に就任後は前本部長時代の事件の全てが不起訴となり、盗伐被害者が県警に被害届を提出しても1件も受理されない状況です。なぜこういうことになっているのか、理由は宮崎県警が被害者の供述調書を捏造し、不起訴にする不正な工作を行っているからです。

実は、私も一昨年まではわりと盗伐事件が立件され始めて、風向きが変わったかな、と思っていた。そうした点を当時記事として執筆している。

宮崎盗伐事件の潮目が変わった! 海外からも向けられる厳しい目

ところが昨年宮崎県警本部長が交代した途端、またもや状況は一変、上記にあるとおり立件したものも不起訴になりまったく被害届の受理そのものをストップしてしまったのである。

本部長の意向が、もろに対応を変化させたと言わざるを得ない。ここにも官僚のあまりに短い任期が悪い方向に影響していると思うのだが……。

それと関係あるのかないのか、残念というべきか、この上申書を出す警察庁長官は、中村格である。この人物がどんな手合いかは、ちょっと検索してもらいたい。すぐにわかる。

この文書にある「宮崎県警の対応」をほんの少し、見出しだけ引用しておこう。

 (1) 警察による被害者の追い返し
 (2) 警察官が示談を勧める
 (3) 盗伐現場の実況見分をしない
 (4) 被害届を受理しない、供述調書を捏造する
 (5) その他の問題ある対応
・ 捜査担当の警察官が何人も替わる。その都度同じことを聞かれる。引継ぎがされてなく、被害者への嫌がらせでしかない。
・ 時効まで捜査を引き延ばす。
・ 警察官が嘘を言う。
・ 警察が示談を勧める。示談に合意しないと怒鳴る、家にまで電話して怒鳴られる。
・ えびの警察署では被害の訴えの途中で副署長が電灯、暖房を消し退出。
・ 県警本部では被害者の訴えに対し、事前に連絡がないからと部屋を用意せず玄関で対応。
・ 警察官が名刺を受け取らない、名刺をくれない。資料を受け取らない。
・ 宮崎南警察署では被害者の訴えに対し、逆に「名誉棄損で訴えられる」などと警察官が言う。
・ 高岡警察署に被害者の付き添いで行くと、「出てくれ」と怒鳴られる。
・ 延岡警察署で警官が200万円で示談を勧めた、断るとイスを蹴り打撲を負った。

これが現代日本で? と思われる方、そうです。これが日本です、宮崎県です。ほかの九州各県、いや全国の盗伐が起きている都道府県はどうかも検証が必要だけどね。熊本や鹿児島、大分はどうだろうか。冒頭の記事のように盗伐業者の締め出しに取り組むそうだが。。。

そして、なぜ警察がここまで盗伐案件を取り上げるのを嫌がるのかも考えてほしい。上記には書いていないが、真面目に対応してくれる警察官もいるそうである。が、その警察官はすぐに飛ばされる。次の警察官も再び真面目に対応すると、また飛ばされる。上部組織で何が起きているのかも想像してほしい。さらに県庁は?市町村は? 県森連は?県木連は?素材協は?木材市場は……。

1_20220406211901 宮崎県庁

 

2022/04/05

新興大山主、次々

つい先日の新聞に、森に関する全面広告がいくつも載った日があった。

その中でちょっと目を止めたのは、これ。

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鹿島建設のものである。なぜ興味を持ったかと言えば、ボディコピーのところにあった、「全国に5500ヘクタール以上」という点。それだけの山を所有するようになりました、というものである。

鹿島建設が、とくに林業事業をやっているとか、木造建築を推進しているとかは聞かないから、目的は広告にあるとおりSDGs、脱炭素などの環境貢献的なためなのだろう。

それがどうというのではなく知らないうちに新たな大山主が誕生しているんだなあ、と思ったのである。
先日も記したが中国木材も8800ヘクタール以上の山を持っているそうだ。こちらは製材業だから、事業に若干関係あるが。おそらく、ほかにも異業種で山をたくさん買っている企業はあるのだろう。

林業は儲からない、山林は負道産と言われる一方で、ソロキャンプ用の森がほしいと言って、100坪200坪のマイクロ単位の山林を買う個人もいれば、数百ヘクタール単位で山林取得に動く企業もある。ともあれ新興山主が増加しているわけだ。もしかしたら、こっそり外資が数万ヘクタールの山を買っていた、なんてこともあるかもね(⌒ー⌒)。(外資だと騒ぎになるが、ゼネコンだと気にしないの?)

キャンプ用の山林のような単位はともかく、直接木材に関係ない企業が買った山がどうなるのかちょっと楽しみであり、ちょっと不安。誰か一新興山主一覧でも作ってくれないかなあ。

 

 

2022/04/04

林業産出額と、木材生産量

林業産出額が、5000億円を割り込んだというニュースが流れていた。農林水産省が公表した最新データでは、2020年の林業産出額は対前年比2.9%減の4831億円にとどまったというのだ。

林業産出額は、2018年に18年ぶりに5000億円を上回り翌年も5000億円台だった。それが落ちたわけである。直接の理由は、木材需要が落ちたことに求めているが……。

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ちょっと気になって、木材生産量の推移を調べてみた。すると、農水省の統計にこんな言葉が出ている。

令和元年(2019年)の国内生産量は、3,098万8千立方メートルとなりました。前年と比較すると78万7千立方メートル(2.6%)増加しました。国内生産量は、平成22年から10年連続で増加しています。
これは前年に比べ、用材が12万5千立方メートル(0.5%)増加したこと、しいたけ原木が2万3千立方メートル(8.4%)減少したこと、燃料材が68万4千立方メートル(10.9%)増加したことによります。

令和2年(2020年)の国内生産量は、3,114万9千立方メートルとなりました。前年と比較すると16万1千立方メートル(0.5%)増加しました。国内生産量は、平成22年から11年連続で増加しています。
これは前年に比べ、用材が182万5千立方メートル(7.7%)減少したこと、しいたけ原木が9千立方メートル(3.6%)減少したこと、燃料材が199万5千立方メートル(28.8%)増加したことによります。

なんだ、木材生産量は伸び続けているではないか。

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結局、建材(製材と合板)需要は減っても、それをカバーするほど燃料材が伸びていたのだ。それでも金額的にはマイナスになったのは、価格が落ちたことを意味する。つまり木材生産量は増やしても、全然報われない。売れないから安くしてどんな用途でもかまわず突っ込み、見た目の量を増やしたものの、売上は落ち純益はもっと減る。林業の地盤沈下はより加速する。

おそらく政府の統計としては、今後は産出額をあまり表に出さず、生産量の拡大を高らかに歌い上げるのではないかなあ。

 

 

2022/04/03

バイオマス白書2022が公開

今年も「バイオマス白書2022サイト版」が公開された。バイオマス発電の現況を知るには、貴重な情報源である。

しかし、脱炭素を唱えながらウクライナ戦争もあって石油・天然ガス危機が叫ばれ、またバイオマス発電にも目が向くというのは、どうも釈然としない。

ざっと目を通してみると、昨年稼働を始めたバイオマス発電所は14ある模様だが、40~50キロワット級の温泉施設やイチゴのハウス栽培と結びつけた施設もある一方で、福岡県の刈田バイオマスエナジーの7万4950キロワット、沖縄県うるま市の中城バイオマス発電所なと4万9000キロワット級のようなバカでかいところもある。2極分化しているようだ。結局、燃料はデカくなれば輸入しかないのだけど。

そして輸入燃料のなかでも、パーム油発電は伸びなくなっている。これは反対運動があったからではなく、単に価格が高騰したからだろう。ただ価格の不安定さが露呈したから、今後諦めるのではないか。

ちょっと面白く感じたトピックは、世界3大木質ペレット製造企業は、全て欧米の大手金融・投資会社が所有し、また、消費量第1位(英国の発電企業)と2位のオランダ・ドイツの発電企業)の企業も国際的な機関投資家がほとんどの株式を所有している。

という点だ。木質ペレットは儲かるのだ。もっとも、それはFITや補助金のおかげであり、税金搾取みたいなものだが。

もう一つ、セルロースナノファイバーもコラムで取り上げている。

ここでは、あまり広がっていない事情を説明しながら、それは高価すぎるかからで、もっと大量生産されれば安くなって使用も増える……という、なんというか好意的な見方をしている。が、私はまったく評価していないのだけどねえ。

何もセルロースナノファイバーが悪いというのではない。多少の用途では利点はあるだろう。しかし、それが木材消費を増やしたり、ましてや木材価格を上げる効果は微塵も感じない。あってもナノレベルだ。また利点も、他の方法もあるのでセルロースナノファイバーしかない特徴でもない。

ちょうど欧米にあるフラウンフォーファー研究機構の木材研究所で、サトウキビの搾りかす(バガス)とマツのおが屑からセルロースナノファイバーを製造しバイオプラスチックなどに使用する方法を開発したというニュースがあったが、ようは木材から作らなくてもよいし、高く買い取る必要もないのだ。その点は、バイオマス発電燃料と一緒かな。

とまあ、こうした白書資料を読んでいると、いろいろ頭の中で考える。脳トレみたいなもんだ(笑)。今、森歩きはビジネスにどんな影響を与えるかという命題を抱えているのだが、ネットサーフィンでも同じことができる。いや、ネットの森を歩く効果も考えてみようかな、と思った次第。

 

2022/04/02

明日明後日はラジオ出演多発!

明日明後日は、私のラジオ出演が続く。

まずはTBSラジオで『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』

日曜日21時30分から放送だ。人生を聞く、という触れ込みだったが、嶌さん、なぜか林業の話に執着。私は「こんな絶望的な話、つまんないでしょ」と言ってしまった(笑)。(この箇所が使われるかどうかはわかりません。編集されるはずだから。)
ちなみに放送は、4月3日(日)、4月10日(日)の2回に分けるそう。

この出演は3月初めに行っていて、それについては、「連チャンラジオ出演」で記した通り。

次はTOKYOFMの『いのちの森』。

これは各地の局によって時間などは違うが、東京では朝5時半から (@_@)。だいたいどこでも5時から8時と朝の番組である。リンク先を見てくれたら各局の時間が載っている。なおこちらの出演も3回分に分かれる。

これは以前にも出演したことがあるが、『虚構の森』の話全開であった。

さちらの出演も、こんな感じ。TOKYOFMにて宣伝

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なんだか朝一番と深夜みたいだが、実は翌4日月曜日もラジオに出る。こちらは生出演。

それも奈良県北部で放送されるコミュニティFM「ならどっとFM78.4MHz。12時半から「ゴンザレス井原のPRPFESS salon」という番組。こちらも『虚構の森』を取り上げてくれるというので、ホイホイ出演する(^_^) 。これはネットでは聞けないのかな。

というわけで、明日明後日は、私のラジオデーなのであった。局は、地上波に全国FMにコミュニティFM、さらに時間は早朝あり、深夜あり、そしてお昼ありとバラエティに富んでいるね。

 

そうそう、今晩は調布FMをネットで聞かねば。「谷山浩子の世界」を。。。

2022/04/01

優しい管理~夜桜に思う

気がつけば、サクラは満開の時期を迎えたようだ。

今日は気持ちよく酔って、ふらふらといつもと違う道をたどって我が家に向かう。どうせなら毎日違う道を通りたいと思う私だが……そこで出会ったのが、このサクラ。いい具合に街灯の光を花がうけて薄桃色に浮かび上がっている。

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これ、以前にも紹介したが、側溝に生えているサクラなのだ。幼稚園の横に堂々たる大木になっているが、生えているのは側溝。ほとんど水の流れを遮っているように見えるが、しっかり成長している。ざっと樹齢は50年。そして、誰も邪魔だとは言わずに伐らずに過ごした様子。私は毎春花が咲く季節に観察しているが、夜は初めてではなかろうか。

一応、昼間の根元を紹介すると……。

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かろうじて側溝を梅酢に水を通すおかげで伐られずに済んだようだ。これが側溝の水をせき止めていたら、行政としても伐らずにおられなかっただろうが。でも、道路にしろ側溝にしろ管理責任は市にある。

それを伐らないという判断をしたのは、何代前の担当者かわからない。通報があったのか、なくても見て見ぬふりをしたのか。いずれにしろ、ここまで育って伐るという選択はしつらいだろう。きっと、このサクラを愛でている住民はたくさんいる。ここを徹幼稚園児に中学生も思い出として残すのではないか。

そんな許容度が地方自治には必要だ。優しい管理と言えようか。

 

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