林業産出額と、木材生産量
林業産出額が、5000億円を割り込んだというニュースが流れていた。農林水産省が公表した最新データでは、2020年の林業産出額は対前年比2.9%減の4831億円にとどまったというのだ。
林業産出額は、2018年に18年ぶりに5000億円を上回り翌年も5000億円台だった。それが落ちたわけである。直接の理由は、木材需要が落ちたことに求めているが……。
ちょっと気になって、木材生産量の推移を調べてみた。すると、農水省の統計にこんな言葉が出ている。
令和元年(2019年)の国内生産量は、3,098万8千立方メートルとなりました。前年と比較すると78万7千立方メートル(2.6%)増加しました。国内生産量は、平成22年から10年連続で増加しています。
これは前年に比べ、用材が12万5千立方メートル(0.5%)増加したこと、しいたけ原木が2万3千立方メートル(8.4%)減少したこと、燃料材が68万4千立方メートル(10.9%)増加したことによります。
令和2年(2020年)の国内生産量は、3,114万9千立方メートルとなりました。前年と比較すると16万1千立方メートル(0.5%)増加しました。国内生産量は、平成22年から11年連続で増加しています。
これは前年に比べ、用材が182万5千立方メートル(7.7%)減少したこと、しいたけ原木が9千立方メートル(3.6%)減少したこと、燃料材が199万5千立方メートル(28.8%)増加したことによります。
なんだ、木材生産量は伸び続けているではないか。
結局、建材(製材と合板)需要は減っても、それをカバーするほど燃料材が伸びていたのだ。それでも金額的にはマイナスになったのは、価格が落ちたことを意味する。つまり木材生産量は増やしても、全然報われない。売れないから安くしてどんな用途でもかまわず突っ込み、見た目の量を増やしたものの、売上は落ち純益はもっと減る。林業の地盤沈下はより加速する。
おそらく政府の統計としては、今後は産出額をあまり表に出さず、生産量の拡大を高らかに歌い上げるのではないかなあ。
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