頭がフィンランド~幻の立ち枯れ木
このところ頭がフィンランドになっている。
何冊フィンランドの本を読んだことか。もちろん観光案内的なものもあるが、フィンランドの歴史やら文化論やらフィンランドが舞台ぽい小説まで。フィンランドと言えば、サンタクロースやムーミン、最近ではサウナ発祥の地とかで人気だし、ほかにもオーロラやIT大国だとか世界一の教育先進国……いろいろ言われるが、その経済成長は「北欧の日本」と言われたこともあるとか。基本的イメージはやはり「森と湖の国」。その点はスウェーデンと一緒だろう。
そこで、フィンランドの森について登場したのが「立ち枯れ木」という言葉だ。シルバーパインともある。非常に貴重なんだとか。
そんな名のマツがあるのか。最初、意味がわからなかったのだが、検索してみると、意外なことがわかった。
ラップランド地方などの森に立ち枯れているヨーロッパアカマツのことらしいのだが、枯れて200年~400年経っているというのだ。枝葉が落ちても倒れず、石化した状態だという。写真を見ると、まるで蔵王の樹氷みたいな状態で立っている。そしてログハウスなど建築用材として人気で、一部は日本にも輸入されているらしい。サウナ小屋にも使われる……。
おそらく極寒の地で枯れたから、乾燥しきっているのだろう。水分は冬に凍っては夏に蒸散するから、含水率はどこまで下がるのか。だから腐らず狂わずの幻の建材になる。色も灰色がかった風合いがある。「幻の」とはあるが、日本に輸出されてログハウスになるぐらいなんだから、量的にはそこそこあるのだろう。日本なら、たとえば屋久杉の土埋木みたいな感覚の銘木かもしれない。
これって、木材的にはどんな状態なのだろうか。細胞はどうなっているのか。絶乾状態になっているのだろう。石化とあるが、まさか本当に珪化木のようになっている? 機能的には、木質の部分を残しているのだろうか。日本の湿気のあるところに置かれるとどうなるか。いまさら水分を吸収するとは思えないし。
ただ日本人の銘木イメージからはちょっとかけ離れているかもしれない。樹木と木材の新たな形だ。
頭がフィンランドになって、この立ち枯れ木が実際に立っている森に行ってみたくなった。
« 「焼畑が地域を豊かにする」で思い出す | トップページ | 三つ編みの木 »
「木製品・木造建築」カテゴリの記事
- 春日大社一の鳥居(2025.01.20)
- ウイスキーをスモーキーに(2025.01.18)
- 生駒の居酒屋の階段(2025.01.10)
- 木質ペレット、新規需要を百均で見つける(2025.01.09)
「海の向こうの森」カテゴリの記事
- 理想の林業~台湾の公有林がFSC取得(2024.12.27)
- 台湾の農作物と枯れる竹(2024.10.06)
- 阿里山の林業史をたどるギャラリー(2024.10.02)
- 東洋一だった嘉義製材所の目玉は(2024.10.01)
- 阿里山のスギ林(2024.09.30)
サウナ用の薪
フリーズドライ状態なんですね。
スモーjクサウナにしろあまり煙がでないのかもしれませんね。
投稿: 岡本哲 | 2022/04/28 04:36
シルバーパインを薪にしたらもったいなさ過ぎる(-_-;)。あくまで建材でしょう。
投稿: 田中淳夫 | 2022/04/28 10:09