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森と林業の本

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2022/04/12

輸入禁止になる「一部の」木材

8日、岸田文雄首相は、記者会見でロシアによる侵攻が続くウクライナで民間人の遺体が多数見つかったことを受け、追加経済制裁を発表した。

具体的には、
(1)石炭輸入禁止へ段階的に削減
(2)最大手行ズベルバンクの資産凍結
(3)ロシアへの新規投資禁止
(4)機械類、一部木材、ウオッカの輸入禁止
(5)資産凍結対象に400個人、20団体を追加
ということだが、私が気になったのはウォッカ……ではなくて「一部木材」という項目。これ、なんなん?

木材全般の輸入禁止ではなく、一部とはどの木材のことなのか。

それを探したのだが、ネット上には具体的な内容がわからない。ようやくフジテレビのニュースに「チップなどの木材」という文言を発見。これでいいのだろうか? ようするに製紙用チップの輸入を止めるということか。製材ではなくて。具体的な輸入量がどれだけあるのかわからないのだが……。

ようやく日本製紙連合会のデータを発見。

Figure02

これによると2020年の製紙用針葉樹チップの中にロシア産の記述があった。輸入量1157000BDTのうちの4・9%。つまり56693BDT。このBDTという単位は……Bone Dry ton、つまり絶乾トンらしい。5万6693トンか。この10年で増えてはいるが、そんなに多くはないことはわかる。とくに針葉樹チップは国産比率が高いし。

あまり日本経済に影響ない項目を見つけたなあ。とりあえず制裁しますよ的な禁輸措置か。

こんなことを考えるのは、先日、ウクライナの環境省職員から(間接的に)メールが届いたからだ。少しだけ引用する。

ロシアとベラルーシの経済は、木材や木製品(家具、木炭、紙製品など)の輸出に大きく依存しています。輸出額は年間160億ドルにもなり、その結果得られる財源は、間接的にウクライナへの介入を支援するために使われています。(略)

ウクライナのNGOとして、私たちはヨーロッパやアメリカの政府や活動家とつながりを持っているので、ロシアの木材を禁止するキャンペーンを行っています。しかし、日本についてはパイプがなく活動を展開できていません。

ロシア産の木材を禁止するキャンペーンを国内で支援できる日本のNGOやその他の関係機関をご存知でしょうか?

私にできることは、知っている団体を伝えるとともに、日本とロシア産木材の輸入ルートについて多少教えるぐらいのことだったが……こうした戦い方は、ウクライナ政府としてなのか、NGO、個人として取り組んでいるのかわからないが、考えられる限りの対ロシア活動を行っている必死さが伝わってくる。

実際にロシア産木材・木材製品の主な市場は、ヨーロッパのほかは中国、韓国、日本だ。すでに森林認証制度(FSC、PEFC)はロシアへの認証を停止している。

果たして日本の措置は、どれだけの効果を発揮できるだろうか。


追記・翌13日の朝日新聞によると、「一部の木材」にはチップのほか建材向けに加工される丸太などが含まれる、とあった。

あれ? 丸太輸出はロシア側が1月に禁止したんじゃなかったか。それを制裁分に含めるとは……。それに昨年の輸入額を「107億円にのぼる」とあるけど、貿易とはしてしょぼすぎない? そもそも「建材向けに加工」というのも持ってまわった言い方で、何を指すのか。製材というよりは合板ではないか。疑問だらけである。

 

 

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