衛星から見る伐採面積
森林総研のこんな研究を見た。
ようするに、衛星から地上を映した画像で伐採面積を調べたということだ。これまでのような届け出など書類上の伐採地の面積合計……みたいな統計とは違う。さらに再造林がされているかも読み取っている。
1985年から2019年までの毎年の伐採箇所を推定し、伐採後に針葉樹で植栽されているか、また、時系列的に伐採・植栽活動がどのように変化しているかを調べました。その結果、毎年の伐採面積は直近10年で増加傾向にあり、近年の伐採活動の活発化を裏づけました。針葉樹林が伐採された後、針葉樹が再植栽される割合は1980年代から減少傾向でしたが、2010年以降は下げ⽌まり、現在では5–6割程度は再植栽されていると判断できました。本研究成果は、各地域での伐採・植栽活動の把握と森林管理計画の策定に利用されることが期待されます。
伐採面積は、(2010年以降)年間約4万ヘクタールから6万ヘクタールへと増加傾向で、人工林(針葉樹林)が伐採された後、針葉樹を再造林されたと考えられる割合は、2010年以降は約5–6割でほぼ横ばい……という結果だという。
わたしは年間6万ヘクタールぐらいかいな、とむしろ少ないと感じたし、再造林が5~6割もされているというのも意外。一般に3割ぐらいだろうと言われていたから。ただし、これは2010年以降だから、それ以前の伐採地を目にして、それも脳裏に残しているからかもしれない。
それでも4~5割は再造林していないわけだ。植えたところも、ちゃんとした森にもどるかどうかはわからないし。森にはもどったが、木材生産できる山ではなくなっているケースもあるだろう。いっそ伐採跡地が広葉樹林(針広混交林)になっている割合も知りたいものだが。それは天然更新ではなかろうか。森づくりの指針にもなる。
ともあれ、書類上の数字は信用できない。かなりいい加減だし、再造林したというのも自己申告で、現地調査したわけでもないから。こんなデータを政策立案にも活かしてほしい。
(International Journal of Applied Earth Observation and Geoinformation 誌に掲載)
年間
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