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2022/04/25

Y!ニュース『広がる盗伐を「伐採届の改定」は……』書いた裏事情

Yahoo!ニュースに『広がる盗伐を「伐採届の改定」で防げるか』を執筆しました。

じわじわと盗伐が全国に広がる気配。完全な違法でなくてもグレーな伐採(たとえば間伐の契約なのにほぼ皆伐になるなど)は増えている。

だから盗伐に関する記事を書きたいと思っていたのだが、ニュースとなると何か新味がないと書きにくい。ぼんやり「増えている模様」ではちょっときついかな。

とネタを探していて教わったのが「伐採届の改定」だ。これ、昨年9月に国会を通っていて、4月から施行なんだが、全然知らなかった。現場でもどれだけの人が知っているのだろう。そもそも市町村現場が知らないといけないのだが……。

というわけで、枕というわけではないが、冒頭導入部として書き始めた。まあ、書類の様式が変わるなんてのは、地味だが。。。

しかし、書いているうちに気づいたのだが、伐採届はその受理・不受理を含めてわりかし行政に権限がある。これまで怪しい伐採案件があっても詰めきれない自治体窓口の人もいただろうが、本気を出せば受理しないという奥の手もあるのだ。
もちろん、理由なく不受理にしたら抗議を受けるが、警察が盗伐被害届を受理しないぐらい(⌒ー⌒)なのだから、のらりくらりと引き延ばせる。内容を精査して幾度も確認したり書き直させたりして、業者の計画の中身を問い詰めたら、怪しい業者ならボロを出すのではないか。終了後もチェックされて嘘がばれたら、補助金は止められるし、現状復帰など行政命令だせるし、いろいろ面倒くさくなる。うるさ型の窓口にぶつかったら業者も怖いはずだ。わりかし武器になるのではなかろうか。

とはいえ、結局は現場のやる気次第なのだが。トラブルはイヤだと中身を読まずに承認してしまう担当者多そうだなあ。

 

 

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コメント

補助金(造林補助金)を受けるためには、森林経営計画の対象になっている森林である必要があります。そして経営計画に基づく伐採だと伐採届は事後申請になります。補助金は県職員の検査も必要になりますし、さすがに補助金の入った山で盗伐は無いと思いたいです(甲信越の某県の森林組合のような例もありますが...)盗伐業者もその辺は知っていて、どこの事業体も経営計画にいれていない森林を狙っているのではないでしょうか?(経営計画対象森林が斬られれば計画樹立した事業体から見ても縄張りを荒らされた形になりますし)

盗伐対象となるのは、基本的に所有者が伐る気のない山なので、経営計画はつくっていないと思います。むしろ経営計画を立て補助金も受け取った山の隣を狙うみたいですね。一見、正規の伐採と思わせて、気がつくと隣まで伐っている……。追求されると「誤伐」だと主張できます。
なお盗伐業者の重機類には補助金が出ているケースが多いですね。ほかに市場などの融資もある。だから金がなくても「参入」できるわけです。

結論から申し上げると、「届出方法の改訂」と言う名の行政事務手続きの煩雑さ増加と権限をチラつかせた強制力の行使を担保にした行政力による牽制は、『ナンセンス』と言うか「学習効果の働かない」組織だなあー。という感じです。
他の業界でもその事業の取り纏め役的な組織による横領や本記事ご指摘の警察権を持った組織の不作為なのか?共犯なのか?もはや区別がつかない通り、業界ぐるみの行為(とは言はないまでも)、又は見て見ぬふり?
それは「情報の非対称性」とかになっちゃうんですが。
例が適切がわかりやすいか心許ないですが、
よく資源高のニュースの後に公園のグレーチングが盗まれたとかがニュースになるじゃないですか。
それを「撲滅だ」といって、真っ当な業者の手続きまでも含めて事務処理煩雑にする様なもんですよね。
逆にハッカー対策のホワイトハッカーみたいに日本全国の伐採植林情報を届け出ベースでオープンに開示して、違う事(誤りでも)したら速やかに指摘されるみたいな策とか。
そもそも大型の重機を使って作業しているのにバレないってかなりやばい業界で、各企業の税務申告か林業行政に対する決算内容の申告が金額だけでなく数量も連動していれば作業履歴と取り扱い数量ってそんなに乖離しないと思うのですが・・・

なるほど…経営計画を立てて正規の伐採に加えて盗伐ですか...たしかにそれは...言われて納得です...真面目に境界測量してなんとか取りまとめようとしている事業体が馬鹿みたいな卑怯な方法ですね...

基本的に「伐採届」をいくら厳しくしても、効果は限定的というか本物のワルには無意味でしょう。が、それでもやらねばならないほど現状はひどいのだ、という認識をすべきです。
真面目な業者も手間が増えるだけという不満はあるでしょうが、いくら合法でも本当にその伐採は必要なのかと自問してほしい。再造林したら赤字になるのに伐りたがるのはなぜか。できるだけコストをかけない乱暴な伐採。形だけの再造林。そんな誤魔化しの「合法的伐採」届が横行しています。いっそ「届」でなく「伐採許可証」にして、伐りたい業者の審査をガッツリやるぐらいの覚悟がほしいものです。

地方行政職員の者です。いつも楽しみに拝見しております。
さて、来年度から伐採届がまた改正(森林法施行規則の改正)されますが、主な内容としては「隣接者と境界の確認を行ったことを証する書類」の添付が義務付けられます。
伐採者も行政も多大な事務の増となり、全国的に反対の声があがっているところです。
私はまだ無断伐採が少ない県の者であり、危機感が無いのかもしれませんが、現場の事務を考えると反対の立場です。
常々、行政に鋭い指摘をされ、無断伐採についても記事にして頂いている田中様は、本件どのように感じられるか、ブログ、ブログコメント、ヤフー等どのような方法でも構いませんので、教えて頂けないでしょうか。

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