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森と林業の本

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2022/04/24

地球温暖化で森は減るか増えるか

以前、ネイチャーでこんな研究結果を目にした。

ヨーロッパのほとんどの地域で1986~2016年のブナの成長量が1955~1985年より減少しており、最も著しいのが南ヨーロッパで、成長量が20%減少した。
北ヨーロッパの国々(デンマーク、ノルウェー、スウェーデンなど)では、成長量が最大20%増加していた。
南ヨーロッパのブナの成長量が2090年までに最大30%減少し、干ばつが定期的に発生すれば、50%以上減少する可能性がある。
中央ヨーロッパの山岳地帯ではブナの成長量が25%増加するかもしれないが、ヨーロッパ全体では成長量は減少すると予測している。

なるほど、気候変動(地球温暖化)が進めば、必ずしも森林が減るわけではなく、増えるところもあるわけだ。暖かい環境を好む植物がいるのは当たり前。ヨーロッパの場合は、ブナ林が南部は減って北部が増える。その差し引きが問題なのだが……。ここでは、何の木が増えるのか書いていないか。とりあえず自分のところは増えるなら温暖化もいいか、なんて考え出す人も出るかもしれない。

そして、今度は森林総研の研究。

気候変動により森林が拡大する地域、縮小する地域を高解像度で推定
―気候ストレスの影響を地球規模で評価するモデルを開発―

こちらは森林全体の面積推移を予測したものだが、地球全体ではこんな具合。気候の変化で森林分布が拡大・縮小する地域を、約1平方キロメートルの高解像度で推定したものだ。21世紀末における現在(1986~2005年)からの気温上昇が2.6~4.8℃(平均3.7℃)という予測を元に計算している。気温だけでなく、水の分布(降水量など)も変わるだろう。森林火災も多発するかもしれない。
気候条件だけでなく、気候の変化が飢饉などを生み出し、それが戦争を誘発する可能性だってある。戦争になれば森林にも影響がある。さすがにそこまで読んだ予測ではないだろうが。

Photo_20220423122501

ロシア、カナダ、アメリカ(アラスカ)といった北極圏が軒並み森林を増やすという予測結果となった。ロシア、喜ぶのか? 熱帯地域は軒並み減っている。

日本は……わかりづらいが減っているのかな? 森林は今でも多いわけだが、高温に対応できない樹木も出てくる。ただある種が減っても、すぐ割り込んでくるほかの植物もあるはずなので、全体としては減らないか。もっとも増えるにしても、すごい気候災害が伴いそう。

あ、災害で人間社会が影響を受けて、たとえば工業地帯が壊滅するとかすれば、二酸化炭素の排出が減り、気候の変動も自然界とはちがうのようになり、これまた森林にも影響があるはず。海面が上昇して、平野部が沈むことも有り得る。それも二酸化炭素の排出を減らすか増やすか。

予測はわからないことばかり。

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コメント

北極圏は気候変動で森林が増えることはあり得ないです。そもそも北極圏は永久凍土で覆われている地域は温暖化によって溶けて湿地になって、森林が回復する可能性は皆無でしょう。そして湿地から膨大なメタンガスが排出され、さらに降雨量も少ない地域だからいずれ砂漠化し、未知のウイルスが漂う負の連鎖を招くでしょう。

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