ナショジオ最新号は丸ごと森林特集
東京では、また本をたくさん買い込んでしまったと記したが、もちろんまだ全然読んでいない。いつ読めるのか、いや読まねばならないのだが。
とりあえず目を通したのは雑誌だ。ナショナルジオグラフィック2022年5月号。
「未来に残す世界の森林」とあるが、実は今号は丸ごと1冊、森林特集なのだ。特集記事の一部は、こちらにも掲載されている。ただ、ほかにもグラビアやコラムなども全部、森の記事。
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世界各地で、猛暑と干ばつによって森林の木が次々に枯れている。しかし、世界の国々が力を合わせれば、被害を最小限に抑えることができる。オーストラリア先住民の人々が伝統的な火入れを復活させて、増加傾向にある大規模な森林火災を抑えようとしている。ガボンの森林では、夜の気温上昇や降雨量の減少によって果実の量が減り、マルミミゾウの生存が脅かされている可能性がある。別の土地へ移植するか、植林を進めるか、遺伝子を組み換えるか、それとも、何もせずに自然に任せるか? 炭素を吸収してくれる森林を助けるには、どの方法がベストだろう?
実に興味深い。100年以上生きるセコイアのアルビノ……ようするに葉緑体がないのにどうして生きられるの?成長するの?
とか、オーストラリアのアボリジニーの焼畑ならぬ火をもって火を制す技術。焼畑を連想する点もいい。
とか、森をつくるゾウ。ゾウが自らの好きな木の実を散布する?
などなど興味深い。
だが、もっとも目が引きつけられたのは、「森を救う四つの方法」だろう。上記にも記されている通り、気候変動が起こる中、いかなる方法があるか。移動させる、植える、遺伝子を組み換える、まではいかにも欧米的発送だな、と思えたが、最後の「放自然に任せる」。これは、ようするに放置するというわけ。これがいい。
「ドイツで新しい考え方が生まれた。森をそのまま放置して、自らの自然の力で治癒させるのだ。」
私の持論にもっとも近い。放置するというのは人の手を加えないこと。すると自然は自分で環境にあった新たな森をつくろうとする。これが安上がりで自然の摂理に則している。時間をかけるだけなのだ。記事には馬搬まで登場するが、なんとなく東洋哲学的。
写真が豊富で図表もあって、雑誌ならではの読みやすさもある。林業抜きに面白い。
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