谷山浩子コンサートと「フィンランド」
東京で訪れていたのは、深川不動尊や神保町の書店や土倉取材やメトロポリタン美術展だけではない。実は、谷山浩子デビュー50周年記念のコンサートに行っていた。よくチケット手に入ったなあ。
なんとオールリクエストというトンデモ企画で、その場でリクエストを受け付けて(半券の抽選)、歌うという。しかもソロではなく今回は4人(シンセ、ベース、バイオリン、ドラムなど打楽器系)の演奏もついている。全3000曲といわれる曲の楽譜が全部あるわけでなく、また知っているのは谷山一人の曲もある。それをその場でキーや曲調を伝え、多少練習したりアカペラもあったりしつつ、演奏・歌唱という離れ業。それがスゴイ。最初は多少の戸惑いがあるように見えても、そこで新曲をつくってしまったかのごとく引き込んでいく。ある種のジャズセッションのようでもあり、演奏家のプロの実力を見せつけられたかのように圧倒される。こんなこと、できるんだ……。そして、この場でしか演奏されることのない曲なのである。
さて、そのリクエストの中にはなかったのだが、ほぼ同時発売のベストアルバム「ネコとコバン」の中に「フィンランド」という曲がある。
珍しく谷山の作詞作曲ではなく、「空飛ぶモンティパイソン」の歌の訳詩なのだが、今フィンランドにハマっている私にはいたく響く(笑)。
初めて聞いたときは「ヘンな曲」と思ってしまった(今もそうかも)だが、妙に癖になる。イギリス人にとってのフィンランドのイメージなのかなあ、偏見に満ちてない?と思ってしまった。「いつかはいきたい憧れの国」であるのだけど、「どこかにある国」。「海外旅行の行き先として忘れられてる」とか。ちなみに「山はそびえたち」とあるけど、多分、そんなに高い山はないと思う……。
今の日本ならフィンランドと聞いて連想するのは、サンタクロースにムーミン、そしてサウナ発祥の地でしょう。そしてウクライナ戦争からかつてのソ連フィンランド戦争(冬戦争)を連想したり、急遽NATOに加盟すると言い出した問題で注目を集めている。私も今は、伝説の狙撃手シモ・ヘイヘの伝記を読んでいるが、マイナーであるのは事実だ。
しかし林業関係者の間では、わりとフィンランドは人気なのではないかと思う。日本と面積が近くて、森林率も7割前後と似ている。それなのに林業は国の基幹産業で、木材生産は日本の2倍以上あって、木材製品輸出で大いに外貨を稼ぐ。そして森林蓄積を増やしている……なんだか「林業を成長産業に」と叫んでいる日本からすると、理想の国、理想の林業を展開しているように思えないか。実際、研究者もよく訪れているし、フィンランドの大学にある森林科学系の学部学科に留学している日本の林学徒は多い。
さて、どんな国なのかなあ。私も憧れてしまったよ。いつか行きたい国に仲間入りだ。
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