中国の植林方法は、誰が教えたのか
梅田のサントリーウイスキーハウスで中国の専門家と会って、飲みながらいろいろ話を聞いたのだけど、こんな話題が出た。
中国の東北から西域では植林が盛んに行われている。日本人がわざわざ金を払って植林に行くツアーもある。ただ、見ると植林する予定地だけが砂漠になっていて、その周辺には緑が茂っているのだという。つまり日本人が来るところだけ、わざと砂漠にしている?
さらに植え方がヘンだと感じたそうだ。まず、すでに生えている在来の樹木や草木を全部刈り取り、何もない裸地にしてから苗を植える。
たいてい乾燥地帯なので、そんなことをしたら土地はますます痛めつけられる。半砂漠では、表土を少し掘ると、うっすら湿っていて水分があるものだ。ところが、その表土を耕してしまうと乾燥が進み、土が風に飛ばされて失ってしまうのだ。それが黄砂にもなる。
しかも植えるのが外来種であることも多く、必ずしもその土地に合うかどうかわからない。ポプラのような水を多く吸い上げる樹種だと、いよいよ環境破壊になるだろう。つまり日本人の植林ツアーは中国で砂漠を増やしているのだね( ̄∇ ̄) 。
ここで気になるのは、こんな植林の方法はどこから伝わったのか、誰が教えたのか、という点。その質問に驚くべき答が返ってきた。
日本人なのだ。それも戦前である。日本が満州国を作り上げ、大挙して移住したが、そこで森林を伐採して開墾して農地づくりが進められた。満州が原野という景観になったのは、この時代なのである。さらに日本人だけでなく、ロシア人や漢人も含めて、鉄道を敷いては、その線路周辺を切り開いた。かくして満州では、ほとんど森林が消えた。
ただし林業関係者もやってきて、伐った跡地に植林することを教えた。その方法が、従来の表土に生える草木を全部剥がして植えること。
その流儀が満州⇒東北部に残り、今の中国人も同じ方法で植林をしているのだという。つまり日本の植民地林業が、今も中国の自然を破壊していることになる。
では、日本人の行う植林方法はどのように身についたのか。それは明治以降に主にドイツから持ち込まれた技術だった。
いわゆる土地収益説に基づく法正林づくり、つまり木材栽培業である。
なんと、ドイツでは廃れた古い林学が、日本を経由して中国に残っているとは。日本も、いまだに法正林思想から抜け出ていないが、まだ湿潤な日本列島ならなんとかなる面もある。だが、乾燥地帯では恐ろしい結果を生むことにならないか……。
燻製盛り合わせのオードブル。まったり飲みました。
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