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森と林業の本

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2022/07/21

小笠原諸島で見つけた鳥類の骨の話

「日本の研究.com」に、こんな研究結果が載っていた。

外来種駆除後の鳥の増加は「回復」ではなかった! —小笠原の鍾乳洞で見つかった骨が明かす鳥類相変化—

詳しくはリンク先を読んでいただきたいが、概要を引用すると、

国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所と小笠原自然文化研究所の研究グループは、世界自然遺産に指定されている小笠原諸島の南島の鍾乳洞で多数の鳥類骨を発見し、人間が小笠原に住み始める前の海鳥相を明らかにしました。その結果、現在の南島では繁殖が確認されていない固有性の高い海鳥類(オガサワラヒメミズナギドリ、オガサワラミズナギドリ、シロハラミズナギドリ)が、過去には最も普通に見られる種類だったことがわかりました。(中略)
南島をはじめとした小笠原の島々では、ノヤギやネズミなど外来種の駆除を進めた結果、オナガミズナギドリ、アナドリ、カツオドリといった海鳥が増えています。しかし、これらの種は在来種ではあるものの、もともと主要な種ではなかったことがわかりました。これらは世界的に広く分布する移動性が高い種です。つまり、増えやすい種類だけが増えており、人間の入植前の海鳥相とは全く異なる状態に変化していたのです。(後略)

さらに簡単にまとめると、外来種を駆除しても昔の生物種が全部もどってくるわけではない、ということか。

まあ、それはその通りでしょう。が、私がこの記事に目を止めた理由は、全然違うところにある。それは小笠原諸島父島の南に付属する南島の洞窟で鳥類骨を発見していた…という点なのである。 もちろん、この研究よりはるか前に!

ここ、私は40年前に行ったぞ。そして鳥類骨を発見していたぞ! と叫び、いや言いたいのである(^o^)。

南島は、島全体が天然記念物に指定されていて、そこに上陸するのも1日の人数制限があるし、歩ける範囲や時間も決まっている。無人島なのでツアーに参加しないと渡れない。

だが、学生時代の私たちは、カヌーをチャーターして渡り、制限もなく、丸1日島で過ごして全島歩き回って探検した。主な目的は洞窟探しだが、地質や動植物への興味もあった。規制がなかったからこそできたのだ。

 

それで当時の写真を探してみる。

1_20220721165701

この写真だけだと、砂漠に椰子の木か、と思わせる。全島石灰岩で断崖絶壁に囲まれているが、内陸部は砂の盆地であり、美しい日本離れした景色が広がっている。

そして洞窟は大小無数にあった。その中に鳥が住んでいたのである。

1_20220721165702

上陸ポイントの鮫池を臨む大鍾乳洞。

Photo_20220721165901

これは匍匐前進するような狭い洞窟の奥。鳥の鳴き声が聞こえたので、フラッシュを焚いてみた。カツオドリだろう。

2_20220721165701

そして、骨!周辺には羽毛が散らばっていた。

当時私は、母島のオガサラワラオオコウモリ探しをしていて、母島の洞窟でも無数の骨を発見したので、すわ、コウモリがいた証拠!と色めき立ったのだが、持ち帰って鑑定してもらうとオオミズナギドリが大半だった。そしてがっかりしたのである。なんだ、鳥類の骨か、と。しかし、鳥類の骨としても貴重だったかもね。もっと調べたら絶滅危惧種のものも混ざっていたかもしれない。ちなみに当時は、それが新種だとわかっていなかったらしい。今ならどうなるか。

そしてほかにもすごいものを幾つも見つけたのだが……学生の悲しさか、その価値がわからなかった。写真ももっと撮っておけばよかった。

5_20220721165701

これは、たまたま私の雄姿も写っていたので(^^;)。バックは扇池。その周辺にはカタマイマイの半化石がいっぱいあった。
しかし若いぞ。髪が長いぞ。痩せているぞ。

 

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コメント

田中さんの若かりし頃の雄姿、「藤岡弘、さん」かと二度見してしまいました。

オガワサラオオコオモリは1970年代に自然保護シリーズの切手になっています。

http://www.yuubinsyumi.com/shopdetail/000000000949/

若いときは、格好良かったんだよ……というのは年寄りの繰り言(^^;)。

オガサワラオオコウモリの切手、記憶にありますね。でも額面20円で、現在は40円で売買されているのかあ。

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