万博の木造建築は世界最大か
2025年大阪・関西万博の運営を担う日本国際博覧会協会は、会場となる人工島「夢洲」に建設する1周約2キロのリング状の大屋根を木造でつくる予想図を発表、世界最大級の木造建築になる予定だとか。屋上からは海を見渡せる予定。この大屋根を「会場のシンボル」と位置付けている。
総工費は約350億円。来春から工事が始めるそうだが、出展されるほとんどのパビリオンは、大屋根の内側に配置される。大屋根をデザインは、建築家の藤本壮介氏。一部が水上にせり出し、建築面積約6万平方メートル、高さ12~20メートルとなっている。
よく世界最大の木造建築というと、奈良の東大寺大仏殿が上げられる。あるいは高さだと京都の東本願寺阿弥陀堂とか。しかし、単純に大きさを言えば、海外にもっと大きなものがたくさんある。記憶では、スペイン南部のセビリアに誕生したメトロポールパラソルという複合ショッピングセンターとか、アメリカオレゴン州のティラムーク航空博物館とか。今回の建築物の大きさは、それらとちゃんと比べてほしい。
ところで以前の大坂万博では、大屋根を鉄骨でつくり、それがシンボルの予定だった。ところが、そこに岡本太郎の「太陽の塔」が屋根をぶち抜いて設置したため、もはやシンボルは「太陽の塔」になってしまったが……。実際、万博後に残されたのは、大屋根ではなく塔となっている。
今回は、終了後に解体して移設することも考えて、組木工法で建てるそうだ。世界最大級の木造建築物をどこに移設するのか……。
そもそも肝心の材料の木材はどこから調達するのか。国産で、という声は強いが、果たして調達できるか。太さは集成材だから気にしないとしても、また特需を生み出すのだろうな。本当は、そうした特需を利用して構造改革を勧めればよいのだが、今の老衰している日本に、そんな発想や余裕はあるだろうか。
いっそ、太陽の塔に相当する斬新なモニュメントを提案する人が出てきてほしい。かつての万博は、ある意味エネルギッシュで、型破りな発想も取り入れる余地というか余裕があった。
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