山林の相続拒否ができる新制度?
山林なんて、買うどころか誰かに押しつけるもの……なんて声がなくもない昨今、国が国有地にする条件などを定める動きがある。
林業などに山林を使えるどころか、固定資産税を取られるだけ、もし土砂流出や山崩れなどを引き起こして他者に損害を与えたら、賠償責任が生じるかもしれない……と思っている人は多いだろう。ここ数年、プライベートキャンプ場をつくるための山林購入がブームになったが、実はこれ幸いと売りたがっている山主もいる。そして購入した人は、数年で飽きて(いや半年かもしれない)後悔して、また誰か買ってくれないかな、いや只でもいいからもらってくれないかな、と思っているに違いない(^^;)。
でも、今の日本の山林を欲しがるのは外国人ぐらいで……首尾よく買わせたら、その山にメガソーラーをつくろうとしていたりして。
さて、読売新聞オンラインの8月14日版によると、政府は相続した不要な土地を手放して国有地にできる新制度をつくろうとしているそうだ。相続手続をせずに放置して、所有者不明土地になってしまわないよう防ぐためである。そこでは雑種地や原野の場合の負担金は20万円とする方針なのだそう。しかし、負担金というのは、ようするに国が買い上げるのではなく、引き受けてやるよ、その代わり手数料を払いなさい、という値段だろう。金を払って山林を処分する感覚か。
ただし森林と市街化区域内の宅地、農用地区域内の田畑は面積に応じて算定するとなっているから、20万円ですべて片がつくわけではなさそうだ。
新制度は、相続土地国庫帰属法が施行される来年24年4月から始まる。相続土地の登記義務化も始まる。その際に相続したがらない土地、買い手の付かない相続土地の国有化を進めることになる。
まあ、所有者不明土地問題解決の一助にはなるだろうが、この法律ですべてが片づくわけではないだろう。それこそ、20万円はらうぐらいなら、外国人に売ってしまえと思う人の方が多いだろうから(笑)。
こんな斜面で、岩だらけで、木は育っていない山だったら、相続したくないよなあ。
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おっ!良いですな。地元では山林(土地も含めて)を売りたい人ばかりです。山林の国有地化が20万円程度で済むのか、一筆20万円なのか、ヘクタール20万円なのか…大変興味があります。太陽光パネルを置かれるくらいなら、国有地化して管理してもらう方が後世の為にもなります。まあ…元々日本国の土地ですので、管理するのは当たり前の気もします。とにかく朗報ですね。ありがとう御座います。
投稿: 山のオヤジ | 2022/08/18 20:59
資産価値のある不動産は相続登記がなされるでしょう。それは売買を可能とするためです。不動産価値のない山は登記にかかる費用を払ってまで相続登記はしないということです。今になって相続登記を義務化をしたところで何代の前の所有者の名義のままの山の扱いをどうするのか技術的にも大きな問題があると思われます。
投稿: フジワラ | 2022/08/19 08:13
この制度は、今後の対応であって、すでに所有者不明になった土地は手のつけようがあいですね。
それに国有化しても、国がその後なんらかの管理や利用をするのかどうかわかりません。案外、国がメガソーラーを建設したりして……。
投稿: 田中淳夫 | 2022/08/19 08:57