バイオマス発電所の燃料アンケート
国際環境保護団体FoE Japanは、再生可能エネルギーのバイオマス発電事業者に対して、バイオマス燃料の持続可能性に関するアンケートを実施した結果を公表した。
これに目を通すと、なかなか味わい深い(^^;)。
ちょうど「再生可能エネルギー」に関する講演を行ったばかりなので、余計に考えさせられる。実はこの講演主催団体は、気候変動対策に再生可能エネルギーを推進していたのだそうだ。が、このところ、メガソーラーにしろ風力にしろ何かと批判が起きてきたので、改めて見直したいという意向だった。そこに私は、バイオマス発電も加えて話をしたわけである。
さてアンケート結果は、ぜひリンク先に飛んでじっくり読んでいただきたいが、私も詳しくチェックし考察する前に感じた点に触れておく。
まずアンケートを実施したのは、FITの認定を受けた発電出力1万kW以上の主な発電設備(187設備)を有する発電事業者154社(2022年5月19日~6月10日)。そして回答があったのは56社(61設備)。それらの会社が利用しているもしくは利用予定の燃料の内訳は、輸入木質ペレットもしくは木質チップが36社、PKS(パーム椰子殻)が30社、国産木質チップが21社、その他が2社となっいる。
ここで気をつけたいのは、出力1万kw以上であることだ。気づいた人もいるだろうが、これまで日本各地に「林地残材を使って発電します。だから林業に貢献します」と言って建てられたのは、だいたい5000~6000kw級なのだ。そこが入っていない。
実は、5000kw級以上というのは、林地残材を使うという前提だった。すると、この規模にしないと採算に合わない。これ以上だと燃料の残材を集めるのが難しいとされた。
ところが、現実はこのクラスでも燃料となる木材は6万トン、10万立方メートル以上必要なのだが、なかなか集められない。集めやすい林業地の道沿いは1、2年目で底が尽き、その後はより奥地から集めることになる。それでは採算が悪化する。だから産廃をこっそり混ぜている業者も多数いるようなのだが、開き直って1万トン以上にすると、今度は一般木材を燃料にしても採算が合う。FIT価格は安くなるが、燃料を海外調達する前提となるからだ。つまり、記事にもあるPKSや木質ペレットである。そこに石炭混焼も加えている。それがアンケートの対象なのだ。
さて、この前提の上で出た結果だが……回答率が低い(-_-;)。それにまだ稼働していないところも含むから、現状と言えるのかどうか。(事業者の)希望的予定なのかもしれない。
このあとは、皆さんも分析してみてほしい。私も、じっくり考えてみるよ。
ちなみに、このページから飛んだ別のところにあった言葉。
面白いねえ。
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