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森と林業の本

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2022/08/19

「外資が森を奪う」理由は水から光へ

林野庁などで、外国資本の森林土地の買収に関する統計が出た。

外国資本による森林取得に関する調査の結果について

若干増えたみたいだが、大勢は例年とそんなに変わらないだろう。たしかに円安もあって、日本は買いやすくなっている。とくに森林土地は安い。購入したくなる外国人も増えるに違いない。

それが、何の問題か、日本人が持っている土地だって扱いメチャクチャじゃねえか……という議論はさておき、その理由として挙げられているのが少しずつ変わってきた。

ここで少し振り返りたいのだが、日本で外資が日本の森林を購入している、と騒がれ始めてかれこれ10数年経つ。当初言われていたのは、「水を狙っている」だった。森林は水源林であり、森林を購入して井戸を掘って水を汲み出して中国に運ぶのだ、と騒ぐアホがいたのである。

それが、やがて中国人が移住して自治体を乗っ取るとか、自衛隊基地を監視しているとかの飛ばし記事が横溢し始めた。そんな説を唱える輩も、それを信じる連中も頭悪いなあ、と思っていたのだが、近年はそれが再生可能エネルギーになってきた。

私なんか、再生可能エネルギーのため、とか書かれると、ははん、木を伐って燃料にするおか、バイオマス発電所を建てるのか、と思ってしまうのだが、実はそれはあまりない。燃料は海外から運んでくるのが安上がりで簡単だからだ。

そこで登場するのがメガソーラーの建設ではないか、という疑いだ。たしかにメガソーラーは数十ヘクタールの土地が必要で、それはたいてい山林で、また経営母体に外資が多いという事実はある。

多少、現実味のある発想ではある。水の次は光というわけか。正確に言うと、日本のような気象条件で日光を求めるのは馬鹿げていて、狙うのはFITの電力価格である。電気代を吸い上げようというわけだ。

ただ、これもあまり適切ではない。外資は、メガソーラーをつくるために面倒な手間をかけて山林を集約して買うことはあまりない。
そもそもメガソーラーの適地となっているのは、たいていゴルフ場もしくはゴルフ場建設予定地であることが多い。バブルの頃に強引な地上げをして土地を取得したものの、バブル崩壊で建設できなかったり、開場したものの経営難に陥ったところ。それを外資が買い取っている。そんな場合、ゴルフ場予定地の買い取りとなり、なかなか表向きは森林購入とはならないだろう。

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吉野町のメガソーラーもゴルフ場建設予定地だったそうな。蔵王堂がすぐ側。

 

 

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森林学・モノローグ」カテゴリの記事

コメント

うちの山に送電線を立てている電力会社の人に聞いた話では、炭酸ガスの排出権が目的だと言ってました。

最近は、そんな目的?予想も増えていますね。
しかし、日本の森なんて、全然面積がない。そもそも排出権取引に乗せる仕組みもいい加減。Jクレジットが今度改正されるそうですが……。

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