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森と林業と田舎の本

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2022年9月

2022/09/30

新聞に「山崩れと林業政策の関係」

朝日新聞に「てんでんこ」という災害関係の連載が長く続いているが、今週は「山が崩れる」シリーズ。

この記事の出色なのは、はっきり林業との関係、それも林政問題に触れた点だ。

これまで単発で、「山の人工林が皆伐されたから山が崩れたのでは」といった記事はあったが、その背景に林野庁の「林業の成長産業化政策」や「木材自給率50%をめざす」「平均林齢の若返り=皆伐再造林」といった政策があることを記した新聞ではなかったように思う。
記事の内容を個別に見れば、多少不満もあるにはあるが、とにかく書いてくれた\(^O^)/。

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一応、ネット先のリンクを張っておくが、有料記事なんだよな。。。「てんでんこ」

なお皆伐してもすぐ崩れるのではなく、根株が腐る10年~20年後が危険と指摘する。(私が学んだところによると5年から崩れだす、というものだったが、地質や地形などケースバイケースだろう。)
つまり皆伐が全国に拡大し始めて約10年が経つ今、もっとも危険な時期を迎えたことになる。今後、皆伐地、とくに作業道が縦横無尽に入った山は相当危険だろう。ちなみに記事には「崩れにくい工法を学び、実践している。しっかり排水措置も取ったが、想定を上回る大雨が降ったのが一番の原因」と皆伐した業者の弁解を載せている。こんな言葉信じられんよ。どんな工法なんだ、皆伐しても崩れない工法って。だいたい結果責任だよ。崩れたら責任とるべきだ。

なお、私がさらに許せんのは、こうして山が崩れた後の復旧工事は公共事業として税金で行われること。施業者にも負担させるべきだろう。そうしたら怖くて皆伐なんかできなくなるから。

私がチマチマと雑誌やネットに書くよりは、影響力があることを期待する。

 

2022/09/29

『虚構の森』3刷とKindle化

ようやく表示されるようになった。

何がって、Amazonにおける『虚構の森』のKindle。出るぞ出るぞと言われつつ、出る出る詐欺だった (゚o゚;) 。

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なんと、Kindleの方が安い。個人的には複雑な気分だけど(^^;)、まあ、お求めやすくなりました。

面白いのは、紙本の方は「環境問題」に分類されているのだけど、電子本は「ノンフィクション」分類であること。私的には、科学分類などもいいと思っているのだけど、結構アバウトに決めているらしい。そういや『絶望の林業』は、林業ではなくノンフィクションのカテゴリーだった。

加えて、紙本は、3刷されました。1年弱で3刷というのは、なかなか好成績。意外と売れるんだなあヾ(- -;)とか思ってしまった。

しかし、驚くのはネットなどに出る感想というか書評などの内容が、おい、本のどこを読んだんだ!と言いたくなるほど雑なものがあること。いやあ、その雑な読み方を正して「もっと考えようよ」と呼びかけるつもりの本なのだが、その前段階で読解力不足の人が多数。

そもそも、ここに書いている学説を丸ごと信じたり、逆に否定しようと必死になること自体が趣旨に反する。(もちろん、しっかり意図を捉えた評もあるし、それを踏まえての批判なら歓迎する。)

やっぱり大学の授業で使ってほしいな(笑)。

 

追記・Kindleの価格決定権は、Amazonにある。版元にも著者にもない。またAmazon以外のネット書店にもなく、紙の本とおなじ価格。
Amazon、やばいよ。優越的地位を独占している。

2022/09/28

Y!ニュース「ウクライナ戦争で木材増産……」を書いた裏事情

Yahoo!ニュースに「ウクライナ戦争で木材増産。それが世界の森を破壊するを書きました。

テレビで流れるウクライナの戦闘シーンを見ていると、各地で森にも火の手が上がっていることを知ることができる。戦火で火事が勃発するのは自明の理だが、こうして失われる森も戦争被害に入っているだろうか。

今回悩んだのは、ウクライナが保護林を解除して森を伐っているという話から始まったのだが、そこで登場したのがフィンランド。フィンランドの林業会社はぼろ儲けをしているらしい。

この話題を入れるのなら、やはり冬戦争の経験を書かねばならないだろう。それは『フィンランド 虚像の森』を取り上げることである。Yahoo!ニュースの編集部は、執筆者が書いた本を紹介する、つまり宣伝を嫌う。そこで、どのようにしたら触れられるか……と考えた結果、少々脱線しつつも冬戦争のことに触れたのである。実際、フィンランドがソ連と戦った冬戦争は、ロシアのウクライナ侵攻と酷似する。ただウクライナには西側諸国から武器弾薬が届く。簡単に休戦することはないだろう。ミリオタは興味持つんじゃない?

国内のことも触れて、森林認証や違法伐採、盗伐まで広げる予定だったが、結果的には無理だった。

 

2022/09/27

山村カフェの魅力の秘密

川上村に行ってきた。実は、わりと重要なことがあったのだが、それは改めて。

ここでは帰りに寄ったカフェのご紹介。

川上村には「匠の聚」(たくみのむら)と名付けられた地区がある。そこに芸術家たちが移り住んで創作活動を行っている。アーティストを招くという手の村おこしは各地にあるのだが、ここが一味違うのは、ギャラリーとカフェが付属(さらにコテージもある)している点。ちょうどギャラリーで木工の昆虫展(松本一平作品展)が開かれていると案内を目にして、ちょっと寄り道してみたのだ。

しかし、幹線から離れてうねうね山道を登って行って、おいおいこんな奥まで来たら遭難しちゃうよ、的な感覚に襲われたところで、急に峠に出て眺望が開ける。そこにあるのが「匠の聚ギャラリー」。

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昆虫は、こんな具合。かなり巨大でオーム(王蟲)の子どもみたいなのもあるから、ジブリの世界みたい(^^;)。なかなか精巧で、しかし細かな足や触覚まで一刀彫とは恐れ入る。

ちなみに、このギャラリーはコンクリート打ちっぱなしで地下にある。この空間自体がアートだ。

そしてカフェコーナー。村では珍しい若い女性もいる(⌒ー⌒)。

4_20220927195701奥吉野の山並み。

1_20220927195701抹茶スムージー。

メニューまでオシャレだ(笑)。

山村の魅力を売り物にしようと、よく自然いっぱい、地のものを食べて飲んで……という世界観があるが、それだけではきつい。都会から来た人は一時はそれを楽しむかもしれないが、多少とも長居をすると飽きてくる。もっと洗練された世界にも触れたくなる。もちろん地元の人なら尚更だろう。

その点、このギャラリーは、一瞬「山村」を遮断してくれる。もしくは窓枠の外にある遠くの景色にしてくれる。さらに一角にある「小西保文アトリエ記念館」(小西は亡くなられた住人で、世界的な画家)を覗くと、なんだかニューヨーク・ブルックリンの画廊か!みたいな空間が広がっている。目の前に生のキャンバスがあるのだ。その絵からは、都会の薄汚れた臭いがする。

それが心地よい(^o^)。山と森ばかりだと飽きる\(^o^)/。

田舎の土地が自然を売り物にするのはいい。いや、それ抜きに売るものはないはずだ。しかし……それだけだと一過性になってしまう。その点、オシャレなカフェがあると点数高いよ。

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オマケの展示。村で働く人。

2022/09/26

日経に『フィンランド 虚像の森』書評

日経新聞9月24日に『フィンランド 虚像の森』の書評が掲載された。

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有り難い。私の本じゃないけど(笑)。

フィンランド 虚像の森 アンッシ・ヨキランタほか著   自然との共生の難しさ 
「森と湖の国」とされる北欧フィンランドは、日本と同じような広さに約550万人が暮らす。国土に占める森林の割合は約3分の2で日本とほぼ同じだが、林業が盛んで自然共生の模範とされることもある。ところが現地の若手ジャーナリストや作家らによると、伐採された自然林はうまく再生されず、生態系は崩れ、景観は破壊されているという。日本とも共通する悩みが山積みなのだ。
森林が深く傷ついたのは、第2次世界大戦で旧ソ連に攻め込まれた「冬戦争」による。巨額の賠償金を負って、大規模伐採である「皆伐」と一斉造林が進められた。ヨーロッパトウヒやシラカバの林は、高く売れるヨーロッパアカマツに置き換えられた。
湿地帯に排水路を設けて土地改良を試み、植林したことで数字上の森林面積は増えた。ところが良質の材木はなかなか育たず、苗木を食べるヘラジカは繁殖しすぎ、湿地の生物は絶滅の危機にさらされた。本書に収められた多くの幻想的な写真もその実情を伝える。
それでもフィンランドは林業がひとつの基幹産業として成立し、観光とも結びつき、良材のみ伐採して森は維持する「恒続林」の取り組みも導入されてきた。山間部に森林が多く事情の異なる日本にも示唆を与える。(新泉社・3520円)

内容的には、アカマツが高く売れるからかどうかは定かではないし、皆伐や恒続林の定義もちょっと違うのだが、気にしないでおこう。そんなの業界内だけの興味だ。読者にはあまり関係ない(笑)。本の主題は別のところにある。日本林業にも触れている点がいいね。

今後も、書評はいくつか載る予定。

2022/09/25

古材はクールか?

たまたまつけたテレビがBS1で、COOL JAPAN〜発掘!かっこいいニッポン〜

をやっていた。そしてテーマは「中古〜Second-hand〜」。この番組は、外国人の目から見た「日本のクール」を紹介する番組だが、そこでは日本人は中古品をよく利用すると思われているのか。

ただ画面に映っていたのが古材だった。古い家屋を取り壊した際の太い木材を別の建築、あるいは木工に活かしていることを取り上げている。

それでそのまま見ることに。途中からなんで、あまりはっきり番組の全容はわからないが、NHKのHPで紹介されているのは、こんな感じ。
中古天国ニッポンを外国人たちが深堀り!▽リサイクルショップの品ぞろえと品質に、外国人もびっくり!▽「これが中古品なの!?」数十年前のピアノはピカピカに再生され、海外でも人気。▽100年以上前の古民家の木材は、高価格で取り引きも。モダンな空間にぬくもりを与える古い木材の魅力を探る。▽「こんなものまで中古品として売れるの!?」驚きの中古品市場は、外国人たちにはどう見えるのか?

BS1で9月26日(月)午後5:00再放送予定。録画予約しようかな。

ところで、日本は基本的にそんなに中古品市場が大きいわけではないし、リサイクルが進んでいるわけではない。はっきり言って先進国の間でも落ち目である。むしろ精神文化的にも禊ぎとかいって、新しいものを好む。

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日本はサーマルリサイクル、つまり熱利用が多くて、ようするに焼却処分をリサイクルと呼んでいる誤魔化しである。それも熱利用というわりには燃やして出る熱のうち何%を利用しているのか怪しい。さらにゴミ焼却場ではほとんど発電していないし、バイオマス発電では全然熱利用はしないとちぐはぐだ。

だが、古材では? 日本の建築廃材はほとんど焼却されている(それも建築リサイクル材と呼ぶが)。しかし、一部の古い家では立派な木を柱や梁にしていることから木材再利用が可能である。その例外を見ると、なかなかクールなのだろう。かなりきめ細やかに古材を仕分けして、その利用法も多岐に渡る。古民家インテリアのようにもなる。

欧米では、あまり古材利用は行われていないのか。古い家屋やアンティーク家具のように古い木材の味を楽しむ文化はあるはずだが、古い建築材を別のものに作り変えるような使い方はしないのかもしれない。(知らんけど。)

以前、古材バンクを取材したことがあるが、あまり有効に機能していなかった。最近は解体も重機で破壊してしまいがちだし、在庫の場所や経費が馬鹿にならないし……。が、クールと見られているのなら、古材の再生ノウハウを広げる可能性はないのか。

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お寺から出た古材。数百年経っている。

1_20220925162901ホテルの壁面。

1_20220925162902居酒屋の外観。

 Photo_20220925162901デザイナーズ家具。

2022/09/24

「アバター」の森の世界のモデル

映画「アバター」を見た。今、テレビCMもじゃんじゃん流れているが、12月公開の「アバター2」の宣伝でもあるのだろう。リマスター3D版である。

私は2009年公開時の「アバター」は見ているし(本ブログにも記した)、その後のテレビ放映でも見たと思うのだが、今回見ようと思ったのは、やはり当時の美しい森や植物、動物の映像の記憶があって、それをもう一度、じっくり見たいと思ったから。もうストーリーはわかっているし、選んだのが吹き替え版なので字幕に目を奪われずにじっくり映像だけに集中できる。そして3D(見たのは4DXで振動があるだけでなく座席がボコボコ動いたりするし、アチコチから水滴や風が吹きつける)で、その世界観を感じてみたかったのである。

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結果は、まさしく惑星パンドラの森を体感できた。やっぱり3Dだわ。そして、登場する奇妙奇天烈な植物や虫、動物も可能なかぎり観察できた。もちろん架空の世界と生き物で、人間が想像でつくったものである。どのように造形しているか考えてしまう。

実は、奇妙な植物のように見えて、同じようなものが地球上にあることに気付く。だいたいモデルがあるのだ。それらをデフォルメしたり、いくつか合体させたりとして作り上げたのだろう。

そしてモデルとしているのは、多くは動物である。無脊椎動物の刺胞動物門や環形動物門、あるいは珊瑚虫などが頭に浮かぶが、名前まではわからない。素人が見たら植物ぽく思えるが、それをそのまま植物に仕立てたか。一方で(哺乳)動物類はそのまま地球の動物をそのまま変形させたみたいで、ちょっと想像力が足りないぞ(笑)。

なお設定は、パンドラの樹木は根でみんなつながり情報交換しておりシナプスみたいに全生物がつながっている……なのだが、これ、最近は地球でも、植物は交信していると言われて始めている。なかなか含蓄がある。かくしてガッツリ映像美を楽しんだのであった。

……まあ、戦闘シーンも4DXだから迫力あったけど、ま、どーもいい。むしろ飛行シーンが気持ちよかったかなあ。

 

2022/09/23

「風のロウソク」はFSC印

バッタもんを扱う店があって、そこには中古も含めてなかなか面白い商品が並ぶので、私は時折覗きに行くのだが、今回また素敵なものを発見。

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わかるだろうか?何やらおしゃれなパッケージだが、ようは角材である。ただ、「wind candle」と書かれてある。直訳すると風のろうそく?
その正体は、写真を見てほしい。下部に穴があって、そこにある導火線に火をつけると、やがて全体が燃える仕掛け。煙突効果で炎が植えに吹き上げるのか。ロケットストーブの原理と似ている。
タンコロ、丸太などでは木ろうそくとか、丸太コンロとか、最近ではスウェーデントーチなんて名で売られていたりもする。私も本ブログで紹介している。

それを、もっと小さく楽しめる形態に改良したものか。導火線の奥には何があるのはわからない。ロウソクのような着火剤が詰められているのではないかと思うが、簡単な加工で、なかなかのアイデア商品だ。着色してカラフルにしてある。

大小あるが、1時間半ほど燃え続けるということで、試したくなった。問題は場所だ。試すのも夜の方がいいのかな。

が、より注目すべきは、この材料。ポップをよく読んでほしい。

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なんとFSC材を使っているのだ。そういや製造国を確認していなかった。よーくラベルを観察すると、「メイド イン EU」とある。ヨーロッパであることは想像していたが、冠詞などからフランスかな。ラテン系の言語ぽい。なお日本語の説明文にもFSCであることを記すとは、なかなか担当者もわかっていらっしゃる。

夏が過ぎて、価格も暴落、いや大幅値引きしている(元の価格、ちょっとぼりすぎ)ところを見ると、またバッタ屋に流れているところを見ると、売れ残りだろうが、そのうち試してみよう。

 

2022/09/22

柑橘の新利用法を考える

我が家の柑橘類の収穫を始めた。

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庭には何本もの柑橘類が植えられている。その実を全部取ったら数百になるだろう。ただし、厄介なのは種類がマチマチなこと。温州みかんにユズのほか、不知火(デコポン)にハッサクに夏みかん。レモンもある。清美オレンジもあったっけ。どの木にどの実がなるかがいま一つわからない。これも父がやたらめったら接ぎ木をしたせいだ。

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とりあえず枝に重くぶら下がっているものを収穫してみた。これは温州ミカンだろう。これだけで30ぐらいあるか。多分、10分の1ぐらい。でも、早く取りすぎたら熟していない種かもしれないし、そもそも食べきれない。もともと毎年腐らせていた。ユズやレモンはなんとか利用できるが、大量のミカンとハッサクがなあ。

一つ味わってみたら、そこそこ甘いのだけど酸味も強い。追熟させた方がいいかな。

今年は、生食だけでなく何か利用法を考えようと思っている。果汁を絞るのが一番簡単だけど、芸がないな。そのままスピリッツに漬ける。輪切りにして乾燥させる。写真みたいに。あるいは房を取り出してパン生地に練り込む……どれも手間がかかりそう。。。
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放置して、鳥の餌という手もあるのだけど。庭改造もテーマになりそう。

 

2022/09/21

神津島のハイマツからジンをつくる?

週末訪れた伊豆諸島の神津島には、天上山という標高577メートルの火山があるのだけど、なんと6~7合目以高は、森林限界になっている。植生は膝の高さにしかない。

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しかも山頂周辺は岩石地帯で、砂漠もある。まるで3000m峰を登ったみたいな気分である。なんとハイマツまであるのだ。(種としてはクロマツだろうけど。)海風が強いからだろうが、不思議だ。

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こんな具合に岩に張りついている。

そこで気になったのが、ハイマツの実である。

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私は考えたのだよ、この実をスピリッツに漬け込んだら、ジンになるのではないかと(^^;)。神津島の特産品が誕生するぞ。島に酒造メーカーがないのはちと弱いが、梅酒など果実酒のようなつくり方ならできるはず。度数60度ぐらい(コロナウイルス消毒用アルコールとして作ったけど、売れていないから買い集めたらいい)のスピリッツを仕入れて、ハイマツの実をボタニカルとするのだ。ジンの味を決めるのはジュニパーベリーだが、その日本名はセイヨウネズ、ネズマツとも言うではないか(ネズはビャクシン科だけど)。実際実は爽やかなヤニ臭さがあって、似ていなくもない( ̄^ ̄)オイオイ

最近、日本の酒造メーカーがこぞってクラフトジンを作り出している。日本酒の消費が頭打ちで、何か新商品を考えたら、蒸留酒となるのだろう。その中でウイスキーに向かうメーカーはあるものの、熟成に最低でも数年かかる。その点、ジンはハーブのような植物性材料を漬け込むだけだから、早い。しかもボタニカルの種類によって個性を出せるから差別化しやすいからこぞって参入すると睨んでいる。

サトウキビをつくる南洋の島でラム製造が流行ったこともあるが、寒い本土では真似できない。そこでジンに行き着いた?

……というような読みをしてみた。

ちなみに私も、新たなお気に入りのジンを発見。

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ケイデンヘッド社のクラシックジン。クラシックとは? と試しに購入したが、イギリスで誕生した頃のジンの味を保っているとの評判。これがガツンと来るのだよ。度数50度と高いからだけど(^^;)。これに神津島ハイマツの実を入れてみようなかな。

追記・クロマツではなくネズそのものではないか、との指摘。ハイマツではなくハイネズだった。

2022/09/20

Y!ニュース「次世代森林産業展のベクトル…」を書いた裏事情

Yahoo!ニュースに「次世代森林産業展のベクトルはローテク・ローコストかも」を書きました。

まあ、せっかく東京まで行ったのだから、何かまとめないとね(本目的は娘との旅行だったとしても……)、というわけで、改めて会場で見たものを振り返り、もらった資料を読み、自分が興味を持ったものは何かと考え直し……その結果である。こうした執筆のための振り返りで、改めて全体を総括するのはよろしいですな。自分の勉強にもなる。

もちろん、フィンランドもオーストリアも注目するものはあったし、セミナー内の発言にも面白いものはあった。なかには笑えるものも。たとえば、「デジタル森林浴」。大雑把に言えば、ホール内に森林の映像を全方向に映して、そこで森林浴気分を味わうというもの。たしか20年以上前に、同じような試みを取材したことがあるなあ、という感想を持ったのだが、今回は「疲労回復効果」などを計測している。そして本物の森林環境と同じような効果があった……のだと。そうか、じゃあ、森林なんて要らないね! という結論である(⌒ー⌒)。

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しかし結局、印象深かったのは、DLTと富士岡山運搬機だったわけだ。何もこの二つを宣伝しようという意図はない。念のため。(ただ木場にDLTのショールームがあるとあったので、一度覗いてみたくなった。)

そして、もう一つの大きな収穫は、会場で会った多くの人たちとの会話である。思っていた以上に多くの知り合いがいて、また先方から声をかけていただいた。やっぱりリアルなイベントは、オンラインでは得られないものがある。

それにしても、こんなに多くの人と対面するのは何カ月?何年?ぶりだろう。普段の私は、生駒引きこもりでほとんど他人と直接会わない話さない生活だから。もしかしたら、これでコロナに感染したかも……これが最大の収穫?(> <;))ヤダー

 

2022/09/19

次世代森林産業展と週末

いまさらだが、15日に次世代森林産業展に行ってきた。東京の新橋からゆりかもめに乗って、竹芝桟橋すぎてお台場のフジテレビ社屋を眺めながら着いたのが、東京ビッグサイト。

私にとっては長野から3年ぶりだ。規模は縮小して野外展示もなくなったが、全体に新技術的な商品やシステム、つまり次世代を感じさせる展示が多くてわりと満足した。

なかでも覚悟を決めて?乗り込んだのが、フィンランドの北カルラヤ県の出展ブース。

20220915_114136国旗に注意!

う~ん,外国人ばかりだ。それにパネル展示ばかりで面白みに欠ける。それでも覗き込むと、さっそく話しかけてきたのが、プロジェクトマネージャーのタンヤ・カハコネンさん。でも、手加減なしの英語だった(^^;)。必死で聞き取るが、なかなかわからん。とても『フィンランド 虚像の森』の話はできない。そもそも原題知らないし。事前準備が足りねえ……。本も持って行っていなかったしなあ。実は別のブースに『フィンランド 虚像の森』は展示されていたのだが、そちらから持ち込めばよかったかな、と後から悔やむ。

ともあれ、フィンランドの林業は北カルラヤ県が中心で、デジタル化を進めていることはわかったv(^0^)。北海道の北の森づくり学院との提携も展示されていたよ。

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ほかには、こんなロボットも展示実演。全体にAIやICT関連の新商品、新サービス展示が多かったかな。ただパネル展示が多くて実物が少ない。隣に地質調査系の見本市が開かれていたが、そちらの方が派手で見応えあったのは秘密。。。そして思いがけず多くの人に出会う。声をかけていただいたり、久しぶりに会う人々も多い。おかげで名刺が品切れしかけるほどであった。

さて、私にとって、この見本市はオマケでヾ(- -;)、実は翌日から娘と伊豆諸島に旅立ったのである。もともと調布飛行場から小型飛行機の旅をするというのがメインだったのだが……訪れた神津島は楽しめました。こんなすごい島があるとは思わなかった。なんたって標高500mそこそこの山なのに、森林限界があり、さらに山頂には砂漠が広がっているのだもの。

それなのに……翌日も堪能してから夕方帰るはずだったのに、台風のため帰り便が欠航の恐れがあり、すると日曜日も月曜日も帰れなくなると言われて、急いで朝から船で帰ることに。夕方着いたのは、お台場のフジテレビが見える竹芝桟橋だった。。。そして新橋に出る。

なんだか2日前の場所にもどってきた気分(-_-;)。

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せっかくだからお土産披露。森林産業展でいただいたトミカの「日立建機 双腕重機アスタコ」と、帰りの船「さるびあ丸」。気になるのは、さるびあ丸の社旗だ。
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東海汽船の社旗なのだけど、これってノルウェーの国旗と酷似している。

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ついでに言えばスウェーデンやフィンランドとも似ている。赤を除けば、フィンランド国旗だよ。いよいよ一周した気分なのであった。

2022/09/18

林野庁予算のグリーン成長総合対策って

来年度予算の林野庁の要求額は、対前年度当初予算比で17.8%増の3505億9300万円。チラリと中身を見たのだが、目に止まったのが、この項目である。

森林・林業・木材産業グリーン成長総合対策等・155億円。

これって、林業界のグリーン成長って、何?
カーボンニュートラルを見据えた森林・林業・木材産業によるグリーン成長を実現するため、川上から川下までの取組を総合的に支援……と書かれてあるが。わからんぞ。で、少し検索してみた。

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こんな絵が出てきたのだが、いよいよわからん。

木材加工流通施設の整備、路網の整備、高性能林業機械の導入、間伐や再造林、都市部における木材利用の強化、輸出を含む新たな需要の創出、「新しい林業」経営モデルの構築、国民運動の展開等、川上から川下までの取組を総合的に支援します

<政策目標>
国産材の供給・利用量の増加(3100万m3 [令和2年度]→4200万m3 [令和12年度まで])

この内容のどこがグリーンなのか。今までどおり、ではないのか。改めて予算項目に入れること? 木材の伐採を増やして供給を増やして、木材利用して輸出もして……どこが脱炭素なの? さらにグリーン成長……の中に「林業・木材産業循環成長対策」というのがあるのだが。

木材需要に的確に対応できる安定的・持続可能な供給体制の構築のため、木材加工流通施設の整備、路網の整備・機能強化、高性能林業機械の導入、搬出間伐、木造公共建築物等の整備等や、再造林の低コスト化に向けた取組への支援等、森林資源の循環利用確立に向けた取組を総合的に推進します。

これのどこが、いままでは違うんだよお(泣)。逆に言えば、これまで、このような増産や整備、コスト減の取組はしていなかったというとこか。いや、グリーンではなくCO2排出し放題だと認めるのか。

「新しい林業」に向けた林業経営育成対策というのもある。

<政策目標>
○ 主伐の林業生産性向上(5割向上[令和12年まで])

やっぱりわからん(笑)。どこが新しいのか。ようするに伐って、伐って、森林を減らしてCO2の吸収能力を落として……それがグリーンなのか。名目変えたら要求額増やせるってことかな。

 

2022/09/15

フォレストライズ2022!

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本日はここ。

2022/09/14

プレジデントオンラインと『虚構の森』3刷

雑誌「president」のネット版「プレジデントオンライン」に『虚構の森』の記事が連載されることになった。

第1回目は、「115年前から32ヘクタールも拡大」温暖化で沈むはずのツバル諸島の面積が増えているという不都合な事実

本日アップされました。

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20220914_163603元記事はこっち。

記事そのものは、『虚構の森』の記事を編集部が再編集したもので、私は関わっていない。もちろん内容は変わらないが。

3回連載なので、1、2日おきにアップされるはずだ。さて、どの記事を選ぶかな……。意外や、森はあまり登場しないよう(笑)。
逆に言えば、編集部が一般受けしやすいと思われるテーマを選んだら、そこに森はあまり登場しないということなのよ。それが世間の動向であり、私は、こうした機会を通して、一般人の興味の幅を伺っているのである( ̄^ ̄)。

そもそも『虚構の森』は必ずしも森林問題の本ではないよね。思考実験の事例集のようなもの。ただ、とりあげた事例に環境問題、森林問題が多いというわけだ。

ところで、この連載に合わせたかどうかはともかく、『虚構の森』3刷決定しました! パチパチパチ

さらに電子化も行われます!(一足先に『絶望の林業』もKindle化しました。)

どうだ、著者だけでなく編集者も「この本は売れないだろうな……」と内心?思っていたのにヾ(- -;)、だらだら、いや、ゆっくり売れているではないか。

 

追記・残り2本も紹介しておく。

中国の経済成長が日本人の喘息を悪化させている…年間500万トンの黄砂を生む「砂漠化」の根本原因
実は発ガン性が続々と否定されている…「農薬は危険」と思い込む人が知らない農薬の最新事実

2022/09/13

Y!ニュース「大規模な伐採……」記事にコメント

Yahoo!ニュースにこんな記事が掲載されている。

大規模な伐採、豪雨により「土砂崩れが多発」 見直し求められる林業政策 #災害に備える

内容は、各地で大規模な皆伐が行われており、それによる山崩れが多発していることを報告したものだ。

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へえ~、私以外にYahoo!ニュースに林業系の記事を書く人がいたのか……と、そこに感心していたらイカンのだが、コメントを求められたのでつける。いわゆる「オーサーコメント」(Yahoo!ニュース執筆者が専門を活かしてつけるコメント)である。

筆者の西岡千史氏は、「1979年、高知県生まれ。2006年、早稲田大学第二文学部卒。「THE JOURNAL」「週刊朝日」「AERA dot.」編集部記者を経て、現在はフリーランスの記者として活動している。」とあるから、朝日新聞記者からの転進かな。あるいは朝日系の契約記者か。まあ、それはどうでもよいのだが、全国各地を歩いてよく調べている。それもそのはず、これはYahoo!ニュースオリジナル記事のようで、経費も出たのだろう。

ただ、相変わらず「安い輸入材に押され」日本の林業はダメになったとか書くのは、まだ勉強不足(笑)。以下のような文もある。

林業の専門機関によると、2018年に木材生産のために主伐された森林約8万7000ヘクタールのうち、皆伐面積は5万ヘクタール前後だという。皆伐面積は少しずつ拡大する一方、豪雨時には皆伐跡地から土砂崩れが多発している。再造林も主伐面積のうち約3万ヘクタールにとどまっている。

どの専門機関だろうか。主伐と皆伐を分けているのだね。定義上の違いはわかるものの、ほとんど同義だと思うのだが。それに対する林野庁の見解も相変わらず。

さて、私のコメントは400字しかないので、林業による山地崩壊について触れるのは止めて、国の唱える「林業の成長産業化」なるレトリック指摘に絞った。結果、ほとんど林野庁批判に費やしてしまったよ。ご笑覧あれ。

 

2022/09/12

国産材の「安定供給」試論

林業振興、あるいは日本林業の弱点という話題になると、「国産材は安定供給ができない」という意見が出る。

ようするに注文する側(木材消費側)からすると、木材が欲しいときに、どこそこの業者あるいは市場が、さっと供給してくれるのを願っている。注文したときに、いつも同じように在庫がないと使いにくい、だから外材に流れる……という意見である。いつでも注文したら、さっと揃えて納品してくれるのなら国産材を使うよ、と言いたいらしい。

そこで対策として国産材の供給力を増やす、大量供給することで品切れを抑えるという発想になるのだろう。それが安定供給だと。

まあ、たしかに国産材が安定供給できていないのはその通りで、それが国産材需要が伸びにくい理由の一つなのもその通りだと思うが、その対策が大量供給というのは安直ではなかろうか。

「安定供給」を文字通り捉えたら、出荷量が安定していること。毎年、季節にこだわらず、できる限り同量出荷されて在庫もあることだ。

だったら、何も量を増やすことと同義ではない。出荷量を安定させればよいのなら、林業現場(事業体ごとか、市場など産地レベルか)で計画的な生産をすれば、可能である。むしろ闇雲に増産して供給力を増やしたら、常に在庫を多く抱えることになり、それは値崩れを起こしかねないし、少なくても在庫コストが上がる。また大量生産は林道・作業道の開削や機械類の購入、人件費……などのコストも上げる。そして資源量の減少と山地崩壊の頻発も招きかねない。

一産地の生産量が小さくても、そこからは常に一定量が出荷されることを周知させれば、発注する側も計算できる。そこだけで足りなければほかの産地と抱き合わせることで量を確保すればよい。ちゃんと、どこにいくら在庫があるか、という情報を告知されていれば融通できる。どうしても足りない分は外材でもよいが、スポットで購入せず計算して輸入すれはよい。山側もその方が供給側もコスト減になって利益を確保できる。

そうなれば国産材全体の生産量を増やさなくても、確実に品は捌ける。むしろ供給量が絞られた方が、売り手市場となり価格決定権を手にできるだろう。それなら外材を頼ると言い出す建設業者もいるだろうが、今や外材自体が手に入りにくくなっている。価格も高い。そんなに思い通りにできないのだ。使用するのは国産材か外材か、はたまた鉄筋コンクリートかと悩むのは発注側に任せておこう。林業側が言いなりに増産しなくてよい。むしろ売り手市場にすべく駆け引きしなくてはならない。

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OPEC(石油輸出国機構)は、常に原油生産量を、世界の需要量の少し少なめに保とうとしている。その方が高値を維持できるからである。現在、ロシア原油の禁輸を進めたことで石油が足りないと欧米はOPECに圧力をかける……いや、増産をお願いしているが、なかなか応じないのは、まさに駆け引きしているのだ。最大の産油国サウジアラビアは、アメリカの懇願で多少の増産はしたが、景気悪化で石油需要が減少しそうと読むと、すぐに減産に切り換えた。したたかである。

木材が高値で困る、という買い手、つまり建設業界の言いなりになる必要はない。むしろ「40年前は、今の5倍した」と脅せばよい。

各社バラバラで疑心暗鬼の塊の国産材市場に、そんなディールは望むべくもないが、決して増産だけが安定供給ではないのである。

そして木材生産量を絞ることは、森を大きな炭素の在庫に仕立てることである。(木を伐らないとCO2吸収量は減る、なんて林野庁のデタラメを信じてはいけない。)伐採量を減らし皆伐を少なくすれば、森林生態系は守られ、生物多様性の維持、山地崩壊など災害の防止にも貢献するだろう。

ま、そんなこと論じても、自分は損したくない、自分だけ儲けたい……と業者は連帯などどこ吹く風と抜け駆けするのだろうけど。。。

 

 

2022/09/11

次世代森林産業展、覗き見に

今日は、朝から大和葛城山に登ってきた。

疲れた。1000mに届かない、初心者向きハイキングコース! のはずが、なんだ、このきつさは! 急坂のレベルではなく道の落差が半端ない。

というわけで疲れています。

とりあえず本日書いておくのは、今週15日に東京ビッグサイトで開かれている次世代森林産業展2022FORESTRISE(フォレストライズ)を覗きに行ってくることになりました。もし同じく参加もしくは出展している方で、私に気づいたらお声をかけてください。

思えば3年前、この前身の展示会、長野県で開かれた木材フェア(だったっけ?)で『絶望の林業』を販売したのだった。あ、講演もしたのだった。なんと書店で発売前にもかかわらず300冊を売り切ったと記憶しております。

どこか見て面白いブースがあったら教えてください。フィンランド大使館も出展しているみたいだけど(⌒ー⌒)。

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写真は、葛城山登山口で見かけた、木造3階建ての水車小屋。よくわからんけど。

 

2022/09/10

琵琶湖疏水と土倉家

京都市中の琵琶湖疏水沿いを歩いた。

驚いたのは、そこにある夷川発電所は、今も現役で発電中らしいこと。土木遺産にも選定されている。観光的にも有名な蹴上発電所だけではなかったのだ。常時出力280kWで、有効落差は3.42mだという。カワイイ(笑)ものである。

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写真は、鳩を撮ったのではなく、その背後の銅像目当て(^^;)。

琵琶湖疏水を作り上げた北垣国道、当時の京都府知事の像である。当時、東京遷都によって寂れた京都の町を産業振興で立て直すため、琵琶湖の水を引き込んで発電事業を展開したのだった。

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実は、北垣と聞いて頭に浮かぶのは、土倉家である。とくに庄三郎とはじっこんの間柄。庄三郎を追うと、何かと登場する。長女富子を原六郎と結婚させたのも北垣の紹介だった。

そして、もう一つ琵琶湖疏水とも関係があった。こちらは次男龍次郎になる。龍次郎は、台湾で産業振興のため発電所を計画して、台北電気株式会社を設立。当時としては大規模な落差15m程度のダムを築いて行う水力発電所を計画していた。

その株式は土倉家が出資するはずだったのだが、本家は拒否したらしい。その理由ははっきりしないが、庄三郎が、林業以外の事業はダメと言ったという説もある。しかし、庄三郎自身が多方面に出資していたから理屈に合わない。
むしろ長男鶴松に家督を譲った時期なので、鶴松の判断だろう。彼自身がいくつも新事業を展開していた(全部失敗する)から、余裕がなかったのかもしれない。

そこで龍次郎は琵琶湖疏水の京都電燈株式会社に出資してもらうよう交渉する。その話はまとまり掛けていたようだが、台湾総督府の後藤新平民政長官が、電力事業は民間ではなく公がすべしと判断して、事業を全部買い取っている。かくして龍次郎の計画は頓挫した。

そんなわけで、琵琶湖疏水と土倉家はニアミスしているというか、まんざら関係ないわけではないのである。

そんな因縁をつらつら考えつつ、鴨川まで歩いたのであった。

2022/09/09

「冒険の森」のパイ

奈良県王寺町に「冒険の森」がオープンしている。

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「冒険の森」とは、簡単に言えば森の中のアスレチックだ。わりと立木の上にルートが作られることが多く、ちょっと体力も勇気も必要。ただしガイドがしっかりついて安全面には気をつけている。

もとはフランスで広がった「フォレストアドベンチャー」が日本に持ち込まれ、そこから独立したのが「冒険の森」。自然共生型アウトドアパークというキャッチフレーズだ。単なる遊具としてのアスレチックと違うのは、わりと地域起こし的な視点があって、森を利用した地域づくりが謳われる。どちらも合わせると、全国で何十か所になったか。どんどん増えている印象。

それ自体はいい。また高さ10mぐらいの木の上を渡り歩くなど、子供の遊び場というより大人の愛好家が多い。

私も、以前はこの動きを推奨していたのだが、全体のパイ、つまり需要はどれほどあるのかと考えてしまった。全国に両方を合わせると60ぐらいあるのではないか。とくに関東圏は多い。冒険の森は関西圏中心。ほかにも「ポケモンの森(ポケモンワンダー)」とか「ツリーピクニック」なんてのもある。私も、それらを「私が期待する森の利用法」を書いている。

たとえば奈良には,山添村に「冒険の森」がある。その運営母体が王寺町にもつくったわけだが、王子町は奈良県でも人口が増加しており人気の地域だ。大阪にも近い。それだけに集客は期待できるだろうが、逆に森の区画は狭い。周りは住宅地になってしまっている。
山添村は大和高原にあり結構遠い。果たして食い合わないか? さらに遠い十津川村には「空中の村」という同じくフランスから導入した施設があり,こちらはアスレチックというよりのんびり木と木の間を歩いたりお茶したり読書したり寝転がれたりする趣向。遊ぶより癒し、と大人向きを極めた感じ(笑)。経営者がフランス人という点も興味深い。もちろん、中身のコースの違いなども重要だろう。

今後はコンセプトの住み分けと、内容次第だろうね。スリルがある方が人気がありそうではあるが、その分ガイドがしっかりしないといけないし、コストは増える。ガイドの質も問われるし、宿泊させた方が落ちる金も増えるはず。

さてさて、健全な競争をしてもらいたい。

2022/09/08

我が山林に支障木伐採

以前より連絡がありつつ、延期が続いていた関西電力の支障木伐採。我が山林にようやく来た。天候やら緊急事態やら何やら延期を繰り返していたのだが、とうとうやってきて、私も立ち会った。

以前より電線に絡んで危険を感じている木がいくつもあったので、一掃を期待していたのだが……。

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写真は、電線の上に大きな枝が伸びている。かなり太くて重そうなので、そのうち台風の風などで折れて電線を直撃するのでは……と心配していたのだが、伐れないのである。伐るには大事すぎて、時間も労力もないとのこと。伐るのは、現に電線に絡んでいる小枝だけ。せめて太い枝先を落として軽くできないのかというが、それも無理。基本、木を伐るのではなく枝払いなのであった。

しかし、もっと心配しているところがある。

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太いコナラが枯れている。そして電線にのしかかろうとしているのだが……伐れないのである。今回の作業区域から10mほど外れているから。
さらに、その奥は、こんな感じ。

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深いジャングルに吸い込まれるように伸びる電線……というわけではないが、枝と枝の間に伸びている状況で、極めて危険。が、こちらも作業区域から外れている。

立ち会ったものの、何の希望も通らないのであった。

ちなみに隣の土地の持ち主は立ち会ったのだが、その横の土地は共有地となり、誰も立ち会わない。そして道沿い以外は伐るな、とのこと。そこも深く樹冠の中を電線が伸びる。

ほかにも条件はいろいろあり、たとえば電線の支線、引き込み線に絡んだ木も手を付けない。将来伸びて厄介になるとわかっていても、伐れるのは現在電線にかかっている枝や蔓だけ、というのだ。これには、法的な権限の点と、労力の点があるそうだ。いくら危なくても、契約した以外は伐れないし、どんどん拡張して仕事を増やすこともできない、というわけだ。……なんか目先の処理だけという点は、林業に似ているのであった。

なかなか望みどおりにはならない。知らんゾ、次の台風で断線しても(-_-;)。

 

2022/09/07

『森林列島再生論』で知る林業のダメさ加減

日経BP社より出た『森林列島再生論』読了。各所でよく広告を見かけるので、版元も力を入れているのかな、と思う(^o^)。

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まず目次を示そう。

グラビアとはじめに
森林列島を巡る旅を始めるにあたって
第1章 森林列島再生論序説
第2章 森林と建築をつなぐ
第3章 木材と建築生産、情報システムをつなぐ
第4章 森林と金融をつなぐ
第5章 森林とエネルギーをつなぐ
第6章 森林とサプライチェーンをつなぐ
第7章 森林列島を巡る旅を終えて
おわりに

Amazonにも、かなり詳しい内容が記されているので、参考にするとよい。

その上で記すのだが、タイトルに「再生論」とあるように、日本の林業を立て直すにはどうすべきか、ということが論じられている。だが、まず読むべきはその前の現状の日本林業の分析である。そのダメさの理由がよく描かれていて面白い(^^;)。

とくに建築の分野からの指摘は、耳の痛い人も多いのではないか。たとえば無策の象徴として取り上げるのが、梁や桁といった横架材のほとんどが輸入材に取られている点。主に強度の問題ではあるが、それはもっとも高く売れる商品を国産材は逃していることを意味する。国産材が担っているのは、そのほかの安い部材にすぎない。そして仕口だけのプレカットは、歩留りを落として木材全体の価値を下げてしまう。さらに大工に頼った施工図の限界……。

金融の説明は白眉。前半の森林経営における経理・金融に関しては林業関係者なら絶対に知っておくべきだろうが、一般人はスルーしてもよいかと思う。しかし後半のキャッシュフロー予測による「売り手市場への転換」は外せない。現在の買い手市場こそが、日本林業の問題点であることを浮かび上がらせる。そして要は情報であることに行き着くのである。苦境と言いつつ、素材生産や運送、製材、プレカットは赤字ではないのに、林業(森林と山主)だけにしわ寄せがあり赤字をかぶるのはなぜか。結局は情報の差なのだ。
金融力で森林の未来をデザインできるか、という項目は、改めて金融の視点の重要性を感じさせる。

さて、それらを踏まえての「再生論」は、著者の手がける「大型パネル」という建築構法の転換に行き着く。その点は、私もすでにYahoo!ニュースに記しているから、そちらをどうぞ。

建築のコンビニおにぎり?大型パネルが林業を振興する理由

国産材の有利さは「場所メリット」だ、という指摘は、まさにその通り。それしかない、と言い換えてもよい。国内で利用する場合、国産材は距離の強みがあり、それは時間の強みでもある。消費者の要望にスピーディーに対応できることこそが、国産材がメリットだ。そして場所メリットを活かすには、建築情報と森林資源情報を連結させる必要があるとわかるだろう。

本書では、3本の矢を示している。

3本の矢を放てば、森林が数百兆円の国富となる
① デジタル技術による国産材サプライチェーン1000カ所構築
② 木材を廃棄せず、木質バイオマス燃料に安定供給
③ 丸太や製材ではなく、サッシ、断熱材を組み込んだ木造建築部品として輸出

再生に必須なのは、やはり情報であり、サプライチェーンマネジメントの構築なのである。バラバラの動きは、全体の利益を削ることにほかならないのに、なかなか連係しないというかお互いを疑心暗鬼に見ている林業現場にある。

この点については、私は20年も前から様々なチャレンジがあって、ことごとく失敗してきているのを見てきている。そして絶望している。だが著者らは「大型パネル」でなし遂げようとしているのだ。少なくても建築側は協力的になってきているようだ。林業側は? そこで指摘するのが、国産材業界の閉鎖性。それを用語の特殊性で部外者を拒否しているとするのは、なかなかの見立てである。私は「業界脳」と一括しているが。

私としては、本当に機能するかどうか、もう少し推移を見守りたい。

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ただし木質バイオマスエネルギーに関して、私はまったく期待していない。いや、無駄と思っている。その理由を書き出すときりがないのだが、実は答は本書にある。木質バイオマス燃料を安定供給するために必要な条件として上げられているものが、ことごとく非現実的だからだ。全木集材のために架線集材をしようとしたら100ヘクタール単位の伐採地が必要になるだろう。乾燥のために半割して桟積みしようとするとどれほどの労働強化か。さらにチッピングのためのエネルギー損失。何より価格が引き合わない。FITによる電力価格吊り上げも眉唾なのだ。20年後にはバイオマス発電所はコスト割れとなるから廃墟になるか、税金投入するかのどちらかである。そのどちらもがクズだ。
ものになるのは、せいぜい小規模な熱利用と自家発電ぐらいだろう。

林業の再生を考える場合、何よりの課題は人材だろう。実は機械などのハードやシステムなどのソフトを替えるのは難しくないし、すでに進んでいる面もある。が、それを運用する人間の問題が大きくかぶさってきている。新しい試みへの抵抗勢力や、とにかく補助金しか興味のない発想。それを日本の現場が克服できるかどうか。私の言葉で言えば、「業界脳」を払拭できるかどうかにかかっている。

 

2022/09/06

FSCジャパンの正職員募集

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FSCジャパンより、こんな案内が届いた。

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森林認証制度であるFSC(森林管理協議会)の日本支部、FSCジャパンの正職員募集である。詳しくは、リンク先へ。資格としては英語を含むコミュニケーション力は必要とはいうものの、日本各地に加えて海外出張も盛んなよう。森林や林業に関わりたいが、今の現場に腐っている人には魅力ある職場ではないか。

私が応募するつもりはない(^^;)。働きたくないし。そもそも「書類はパスワードをかけて」送れとあるが、私にはメールへのパスワードの掛け方がわからん(泣)。この点で、スキル不足だ。

というものの、実はこのところ何かと森林認証と縁がある。10月末には某地域の森林認証協議会で講演を依頼されている。

日本への森林認証導入時は、私もしゃにむに勉強したのでそれなりに詳しかったのだが、最近の事情は少し疎くなっているので、改めて調べている最中だ。なかには不都合な真実に触れることも……。

現在の日本では、FSCとともにPEFCの二本立てになっている。日本独自のSGECも、PEFCに加入することで世界的な認証の仲間入りになった。これによって内容もそこそこ変わったようだ。しかし、全体に低調になってきたように感じる。具体的なメリットがいまだに見えず、また活かそうとする動きも鈍い。日本人は、認証に対する意識が低いのかもしれない。それだけに広報の役割を、もっと強化しないとマズいだろう。手取り足取り教えないと動かないのだよ、日本人は。

 

2022/09/05

産経にフィンランド本の書評

産経新聞に、『フィンランド 虚像の森』の書評が載りました。

発行後、1カ月経たずに載せてくれるのは有り難い。実は産経の路線に本書は合っているのでは、と思っていたのだ。

まず、森と湖の国フィンランド。衰退著しい日本の林業関係者から理想化されることも多い森林大国だが、その資源管理の実態は持続可能なものとはいえず、森の荒廃も進んでいた。

とあるように、日本が理想とするモデルを否定するのが好き。そして、転機は第二次大戦後、ソ連が要求する膨大な賠償金の原資として行われた大量伐採だった。

これは冬戦争のことであるが、こちらに触れてくれるのも、想像していた(^o^)。好きそうだもの。私が解説で冬戦争に少し詳しく触れたのも、ウクライナ戦争が始まった今、冬戦争は日本人の琴線に触れるのではと思ったからだ。

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ちょっと書評に補足してフィンランドを巡る戦争について説明しておこう。第2次世界大戦初期に、ソ連はフィンランドに攻め込んだ。だが5日で落ちると言われた首都ヘルシンキ攻略は失敗し、国境線沿いでフィンランド軍の頑強な抵抗を受ける。これが冬戦争だ。
フィンランドは4カ月間の厳冬期を戦い抜き
戦略的には優位に経っていたが、孤立無援の中で武器も尽き、講和に持ち込む。そして領土の1割割譲と莫大な賠償金を支払うはめになった。

ところが、そのときドイツがソ連に攻め込んだ。そこでフィンランドはドイツと結んで再びソ連軍と戦い始める。これを継続戦争と呼ぶ。一時は割譲した領土以上に進軍し、レニングラードに迫る勢いとなった。ここに「大フィンランド構想」も登場するのだが、やがてドイツ軍は敗退し始める。これはヤバい、とフィンランドはさっさとソ連と講和する。またしても領土と賠償金を支払う条件で。

だが、ヒトラーは激怒し、今度はドイツ軍が進駐していたフィンランド国内で破壊工作を展開、ドイツ-フィンランドの戦いとなってしまった。これがラップランド戦争である。

まさに3つの戦争を戦い抜いたが、ヒトラーの自殺によってドイツが降伏した際、フィンランドは連合国に敵対した敗戦国認定を受けてしまった。つまり日本と同じ立場なのだ。戦闘からの引き際はよかったのだが、外交的には失敗だったのだろう。

かくして敗戦国フィンランドは、焦土から復興するために、林業を活用するのである。それが今に続く大規模な皆伐-一斉造林型の施業法を根付かせてしまった。戦争の影響は長く続くのだ。

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膨大な丸太が伐り出されて工場に運び込まれる。

さてウクライナは孤立無援ではない。しかし引き際とともに戦後処理には細心の注意を払ってほしい。

 

 

 

2022/09/04

木質バイオマスエネルギーの利用動向

林野庁が、「令和3年木質バイオマスエネルギー利用動向調査結果」というのを発表している。

これがどういうものか、意図や調査内容は、リンク先に載っているから見ていただきたいが、その結果の概要(読んだのが「概要」なんで、「概要の概要」になるか。)は、こんな感じ。

木材チップの量は 1069万3,197トン(前年比 2.7%増加)
内訳は、「間伐材・林地残材等」に由来する木材チップは 411万3674トン(前年比5.2%増加)
「製材等残材」に由来する木材チップは 177万6774トン(前年比 6.1%増加)
「建設資材廃棄物」に由来する木材チップは 401万427トン(前年比4.5%減少)

輸入チップ、輸入丸太を用いて国内で製造」が、40万5517トン(前年比33.2%増加)

まあ、バイオマス発電が増えているわけだから、その燃料として使われる木材(国産)も増えているのは想像がつく。が、ちょっと違和感。

まず「間伐材・林地残材等」が増えているというのは、そのまま字面どおり信じてよいのか。だって、現場では山を丸ごと皆伐して、全部燃料にして「林地残材です」と言っているからね。間伐材だって、燃やすしか使い道のない間伐材なの? という疑問がちらほら。

「製材等残材」というのも、おかしいなあ。だって国産材の製材は増えていたっけ? 

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令和2年は減っているよ。翌3年は、ウッドショックで国産製材需要も増えたかもしれないが。単に元年レベルにもどっただけかもしれない。
そもそも日本の木材需要は減少傾向にある。それを燃料木材で嵩上げしているのだから、林地残材が増えた、製材残材が増えた、と言われても疑ってしまう。燃料用に伐ったのではないのか。

そして「建設資材廃棄物」というのは、ようするに解体した建築物から出る廃材なんだろうが、本当に燃料にしてよいのは、これだけだと思っている。燃やすほかに使い道がほぼないからだ。が、減っているだと。建築廃材を燃やすことに文句がつきやすいのは知っているが、それで減ったわけではないだろう。

そして、圧倒的に伸びているのが輸入チップと輸入丸太由来なのだが……量としてはそんなに多いわけではない。

根本的なことを言えば、各事業所にアンケートを送ってオンラインで回答を得たものだけの集計なので、その精度は怪しげで、回答しなかった事業所のことを考えれば……ああ、考えたくない(^^;)。

厳密な分析は、皆さんでやってね。

 

2022/09/03

極彩色の白鳳文化

新薬師寺を訪れた。古寺巡礼……というわけではないが、奈良の名刹をコツコツ回るシリーズ(^o^)。

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新薬師寺は、かつて南都十大寺の1つに数えられる七堂伽藍が建ち並ぶ大寺院だった。創建したのも聖武天皇の妃光明皇后である。

今は小さな古刹になっているが、それでも国宝ばかり。本堂はもちろん、本尊の薬師如来、十二神将像などだ。世間的には、伐折羅(バサラ)大将が有名だろう。切手の図案にもなった。いかにも白鳳文化の神髄が今も息づいている。こうした世界に触れると、100年も遅れてつくられた新参者の京の寺や仏像が薄っぺらに思えてくるのだが……。

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その本堂の裏に回って意外なものを発見。

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なんと、ステンドグラスではないか。えええ。中で国宝の仏像を参拝しているときは気がつかなかったというか、扉を閉めてあったので見えなかったのだ。しかし、国宝の建物に傷に付けてはいないのか。
何でも、本堂を傷つけぬように、扉の枠にはめたのだそうだが……。

いやあ、粋なことをする住職さん(^o^)。

ところで、新薬師寺の研究の過程で、十二神将像にはかつて色が塗られていたことがわかってきている。顔料が表面に残されているのだ。それを復元する研究も行われていて、その結果をビデオで展覧していた。

こんな感じだという。

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なるほど。これを白鳳時代には愛でていたのだ。そういや、平城宮の南大門や大極殿も、そもそもは赤いベンガラを塗られた極彩色。復元した建物はその色を使っている。さらに言えば東大寺の大仏も大仏殿も、奈良時代には、極彩色に塗られていた。大仏には髭も描かれていたという。
つまり、昔の人は派手な色が好きだったのだ。何もワビサビだと言ってすすけた風情を楽しんでいたわけではない。

そう考えればステンドグラスもよいかもしれない。木造は自然、なんて思うのは現代人の浅はか、かもよ。天平文化は木肌に顔料を塗りたくって隠したのだ。今で言えば、木材にペンキを塗るようなもの(笑)。それもいいのである。

 

2022/09/02

世界一の木造ビルは日本製

大林組が、オーストラリアで建てるビルが、世界一らしい。

オーストラリアにて木造ハイブリッド構造として世界で最も高い「アトラシアン・セントラル新築工事」を受注

1_20220902203301HPより拝借。

高さ182m、地上39階建てで、ホテルや店舗エリアを含む複合施設で、7階から上階が鉄骨とCLTによる木造ハイブリッド構造。木造というべきかとうかわからないが。無理して、完全木造をめざす必要はないよ。

ん? 7階から上……つまり6階まではフツーなのかな。鉄筋コンクリートか。

また建設中に排出されるCO2を通常の50%以下に抑制することを目標とし、完成後は100%再生可能エネルギーでの稼働させるらしい。なんだか、木造よりも、こちらの方がすごいじゃないか。でも100%再生可能エネルギーって、何を使うんだ? まさか屋上に風車とか。ソーラーパネルを張るだけでは絶対に足りないと思うし、ゴミを燃やして熱供給、さらに下水で発電でもするか? まあ、単純に市場から再生可能エネルギーの電力を購入するだけだろう。

大林組は、なかなか木造や環境問題に熱心だ。「日本初の高層純木造耐火建築物」11階建て(高さ44m)も建てている。また以前は、こんな機関紙も発行している。

『季刊大林』58号は森林特集

私の聞く評判は全然そんなことはないのだが……(^^;)。コレコレ

 

2022/09/01

林道補助率の改定が狙うもの

たまには、林業政策の速報的、真面目な記事も書いてみよう。

林野庁は、林道の拡幅工事など改良工事を行う自治体への補助率を、これまでの3割から5割に引き上げる検討を行っているそう。
具体的には、林道の「幹線」から枝分かれする「支線」「分線」の補助率だ。幹線の改良補助率は5割。その他は3割というのがこれまでの比率だった。そこを支線や分線の改良補助率も5割にしようということだ。2023年度予算概算要求に関連経費を計上しようとしている。

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ちなみに全国の林道の長さは、19年度時点で合計約13万5000キロメートルだという。随分増えたように思う。私の学生時代は10万キロ行っていなかった記憶がある。なお、あくまで林道だから、作業道は入っていない。あ、写真はどちらだろう(^^;)。比較的立派な道だが、作業道の可能性もあるな。撮影時は確認していなかった。

林野庁は、25年度までに国産材供給量を4000万立方メートル、今よりざっと1000万立方メートルも増やす目標を立てている。そのための林道整備なのだろう。

でも、おかしいな。毎年木材需要は減っていたはずだけど。自給率を上げるために国産材の生産量を増やすという理屈は、本末転倒のような……。外材か減る当てはあるのか。下手すると在庫がだぶついて材価の暴落を招く危険な政策だ。

また林道の改良とは何か。幅員を広げるというのも何メートル幅を考えているのかわからないが、大型車両を通れるようにするのが目的だろう。巨大トラックを入れて木材搬出能力を高めるわけだ。しかし現在の林道は耐えられないから、法面強化や土場や排水施設の設置といった改良や、路面の舗装などを施すらしい。

路面を強化するのはよろしいが、幅員を広げるのは難しい地質の山もあるよなあ、路面の形状も変えないと。幅広くした林道は崩れやすくなる。大規模崩壊を招くかもしれないし、小規模でも常に修復が必要となればコストが跳ね上がり稼働率は落ちる。
補助金出るから必要ないけど太い道を入れよう。そんな声を聞いたこともある。逆に幅広い道でないと補助率が悪いから無理やり広くした、なんて例もある。無駄金と崩壊が増えるだけ。

私は、作業道はフォワーダを走らせ、林道とつながる土場でトラックに積み替える作業は、搬出の効率を悪くするように感じている。いっそ,公道を走れるフォワーダを作った方がよい。いや作業道を走れるトラックであるべきか。

一方で,単価の高い木を数本だけ伐り出す林業もよい。高利益で山の蓄積は減らない。林業とは出す木材量を競うコンテストではなく、儲けを増やすビジネスなのだから。

林道も、その原則に忠実であってほしい。

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