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森と林業と田舎の本

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2022/09/01

林道補助率の改定が狙うもの

たまには、林業政策の速報的、真面目な記事も書いてみよう。

林野庁は、林道の拡幅工事など改良工事を行う自治体への補助率を、これまでの3割から5割に引き上げる検討を行っているそう。
具体的には、林道の「幹線」から枝分かれする「支線」「分線」の補助率だ。幹線の改良補助率は5割。その他は3割というのがこれまでの比率だった。そこを支線や分線の改良補助率も5割にしようということだ。2023年度予算概算要求に関連経費を計上しようとしている。

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ちなみに全国の林道の長さは、19年度時点で合計約13万5000キロメートルだという。随分増えたように思う。私の学生時代は10万キロ行っていなかった記憶がある。なお、あくまで林道だから、作業道は入っていない。あ、写真はどちらだろう(^^;)。比較的立派な道だが、作業道の可能性もあるな。撮影時は確認していなかった。

林野庁は、25年度までに国産材供給量を4000万立方メートル、今よりざっと1000万立方メートルも増やす目標を立てている。そのための林道整備なのだろう。

でも、おかしいな。毎年木材需要は減っていたはずだけど。自給率を上げるために国産材の生産量を増やすという理屈は、本末転倒のような……。外材か減る当てはあるのか。下手すると在庫がだぶついて材価の暴落を招く危険な政策だ。

また林道の改良とは何か。幅員を広げるというのも何メートル幅を考えているのかわからないが、大型車両を通れるようにするのが目的だろう。巨大トラックを入れて木材搬出能力を高めるわけだ。しかし現在の林道は耐えられないから、法面強化や土場や排水施設の設置といった改良や、路面の舗装などを施すらしい。

路面を強化するのはよろしいが、幅員を広げるのは難しい地質の山もあるよなあ、路面の形状も変えないと。幅広くした林道は崩れやすくなる。大規模崩壊を招くかもしれないし、小規模でも常に修復が必要となればコストが跳ね上がり稼働率は落ちる。
補助金出るから必要ないけど太い道を入れよう。そんな声を聞いたこともある。逆に幅広い道でないと補助率が悪いから無理やり広くした、なんて例もある。無駄金と崩壊が増えるだけ。

私は、作業道はフォワーダを走らせ、林道とつながる土場でトラックに積み替える作業は、搬出の効率を悪くするように感じている。いっそ,公道を走れるフォワーダを作った方がよい。いや作業道を走れるトラックであるべきか。

一方で,単価の高い木を数本だけ伐り出す林業もよい。高利益で山の蓄積は減らない。林業とは出す木材量を競うコンテストではなく、儲けを増やすビジネスなのだから。

林道も、その原則に忠実であってほしい。

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コメント

「作業道はフォワーダを走らせ、林道とつながる土場でトラックに積み替える作業」によって生産性が極端に低下するのは、工程数が増えることから計算上も明らかです。林野庁もようやくこの問題を認識してきたのではないかと思います。トラックが直通できる道づくりが必要で、方向性としては間違っていません。あとはコスト、工法、災害への耐性などがどうなるかを注視したいです。

今回の林道改良案が、その路線を狙っているかどうかは怪しいですが、トラックが走れるほどの作業道をつくるのなら結構です。(作業道の補助率は別)
ただ大型トラックを入れたら危険。2トン車ぐらいにしておかねば。

一方でフォワーダを始めとした機械化も推進しているわけで、ちぐはぐの印象はあります。

2トンなら作業道でも走れるわけで、このような取り組みは不要と思います。ある程度、サイズ・重量ともに大型のものを想定していると考えられます。日本には6トンや8トンという増トン車があり、そのようなサイズが林業にも適しているのではないかと考えています。フォワーダは不要なのですが、林野庁は軌道修正はしても過去のあやまちは認めないでしょう。

道の規格を広げれば、林道密度は減るので、長い距離(いわゆる中距離)を木寄せする機械も必要になります。現状のウインチ直引きやスイングヤーダは使えず、ヨーロッパのようなタワーヤーダが視野に入って来るはずです。これでようやく日本のガラパゴス林業から世界標準の林業に近づいてきます。今後木もますます大きくなるので、このような施策は不可欠です。

もちろん、自伐型林業のような小規模経営の場合は、これとは別の方向になります。大規模林業はどうのと激しく批判するのではなく、大規模と小規模の共存共栄を目指して欲しいです。ヨーロッパもそうなっています。

ご指摘ありがとうございます。
私は林野庁も林野行政も全然信用していません。信用してないというより、森の破壊者だと考え、彼らの発言には眉に唾をつけて対応し、裏をかくのが生き残る道だと思っています。
「虚構の森」もありがとうございました。グーグルアースでフィンランドの空中写真を眺めながら、戦慄的な風景に驚きました。フィンランドは「森の国」だとばかり思い、持続的林業の模範国だと思い込んでいました。
彼の国の根本的な間違いは「択伐禁止法」が採用されたことだろうと思いました。
我が国の今回の林道補助率の問題も、つまるところ、木材生産量の拡大を狙い、実質的な択伐禁止志向だと思います。価格が破壊され、山林が放置され、林業が消滅し、森林が破壊される途上だと思います。
彼らは補助金を獲得し、補助金を配布し消化するのが仕事だと信じ込んでいると思います。
結果がどうなろうと知ったことではないのだと思います。

フォワーダ抜きでトラックを林業現場に入れることには賛成なのですが、6㌧だ8㌧だという大型トラックには反対。そうした大量指向が山を破壊してきたのです。単に道の問題ではなく、大量に生産しないと採算が合わないような林業がおかしい。
8㌧トラックを導入した業者は、常に8㌧の荷台に満載しなければいけない。作業道も幅広く長大に開削しなければいけない。日本の小さな林区で、それを前提にすることが間違いです。

拙著『虚構の森』と訳本『フィンランド 虚像の森』をお読みいただきありがとうございました。
フィンランドも、戦争賠償金を支払うために大規模林業を展開しました。そして賠償は終わったのに、拡大した規模を縮めることはできなかった。戦後70年間、大規模に木を伐り続けた結果が、今のスカスカの森です。

あくまでも私の近辺の場合ですが、
林道の新設の場合は市町村の建設課
から入札として発注されます。
落札者はBランククラスの地元土建屋です。
10mあたり100万円位の落札が多く
1回に2000万円の金額で200m位しか
延伸しません。
土木屋さんの飯の種のように感じます。

価格は、地形や規格が影響するので適正かどうかわかりませんが、安くつくればすぐ崩れますからね。

私自身は、林道も山を知っている林業家がつくるべきでは、と思うのですが、実際は土建屋さんの仕事になることが多いでしょう。

6トンや8トンが大型ですか?増トン車のサイズはそんなに大きくないです。自伐型林業の関係者が、大型の機械で山を破壊しているとたびたび主張されますが、あれのどこが大型なのでしょうか?せいぜい中型です。道幅をある程度広げなければ、タワーヤーダは運用できません。使い捨ての作業道を張り巡らせてグラップルとフォワーダで皆伐をする日本型の作業システムこそが諸悪の根源なのだから(トンデモナイ自然破壊)、これを変えばければならないです。そのための適正な林道規格と密度を考える必要があります。ヨーロッパの機械化が大型ならば、日本は中型くらいを目指した方がいいでしょう。

8トンを中型と言うのなら、中型もダメですね。日本は小型林業でやるべきでしょう。それでは採算が合わないというなら、そんな林業が間違っている。しょせんは量に頼る林業です。

2トン車だと10トンに積み替えて市場や合板工場などの出荷先に運ぶ必要が生じます。出荷先が遠くなればなるほど積み替え必須です。それがコスト高の要因になっているのが現状で、森林組合は収益を圧迫しています。価値の高いA材なら2トンでもよいかもしれませんが、A材需要はほぼ蒸発しています。今人を多数雇っている林業事業体では、大きなボリュームを効率よく生産しなければなりません。それがヨーロッパでもアメリカでも当たり前の先進国の常識的な林業です。国産材は需要に対して安定供給ができないことが最大の弱点です。「量に頼る林業」という批判や否定は理解できないです。

それこそ典型的な「業界脳」ですね。林業のためには森や山は壊れてもいい、という。収益のためにはコストを落とさなくてはならない、コストを落とすためには大規模化を進めなくてはならない、その結果、森林生態系を壊し、山崩れを誘発しても仕方ない……。(災害復旧は、国が別枠の予算でやってくれるから?)
海外には平坦地の林業で大型化も進められてますが、山岳地の林業では、否定されつつあります。日本は、世界の潮流から外れていますよ。

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