日経に『フィンランド 虚像の森』書評
日経新聞9月24日に『フィンランド 虚像の森』の書評が掲載された。
有り難い。私の本じゃないけど(笑)。
フィンランド 虚像の森 アンッシ・ヨキランタほか著 自然との共生の難しさ
「森と湖の国」とされる北欧フィンランドは、日本と同じような広さに約550万人が暮らす。国土に占める森林の割合は約3分の2で日本とほぼ同じだが、林業が盛んで自然共生の模範とされることもある。ところが現地の若手ジャーナリストや作家らによると、伐採された自然林はうまく再生されず、生態系は崩れ、景観は破壊されているという。日本とも共通する悩みが山積みなのだ。
森林が深く傷ついたのは、第2次世界大戦で旧ソ連に攻め込まれた「冬戦争」による。巨額の賠償金を負って、大規模伐採である「皆伐」と一斉造林が進められた。ヨーロッパトウヒやシラカバの林は、高く売れるヨーロッパアカマツに置き換えられた。
湿地帯に排水路を設けて土地改良を試み、植林したことで数字上の森林面積は増えた。ところが良質の材木はなかなか育たず、苗木を食べるヘラジカは繁殖しすぎ、湿地の生物は絶滅の危機にさらされた。本書に収められた多くの幻想的な写真もその実情を伝える。
それでもフィンランドは林業がひとつの基幹産業として成立し、観光とも結びつき、良材のみ伐採して森は維持する「恒続林」の取り組みも導入されてきた。山間部に森林が多く事情の異なる日本にも示唆を与える。(新泉社・3520円)
内容的には、アカマツが高く売れるからかどうかは定かではないし、皆伐や恒続林の定義もちょっと違うのだが、気にしないでおこう。そんなの業界内だけの興味だ。読者にはあまり関係ない(笑)。本の主題は別のところにある。日本林業にも触れている点がいいね。
今後も、書評はいくつか載る予定。
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