極彩色の白鳳文化
新薬師寺を訪れた。古寺巡礼……というわけではないが、奈良の名刹をコツコツ回るシリーズ(^o^)。
新薬師寺は、かつて南都十大寺の1つに数えられる七堂伽藍が建ち並ぶ大寺院だった。創建したのも聖武天皇の妃光明皇后である。
今は小さな古刹になっているが、それでも国宝ばかり。本堂はもちろん、本尊の薬師如来、十二神将像などだ。世間的には、伐折羅(バサラ)大将が有名だろう。切手の図案にもなった。いかにも白鳳文化の神髄が今も息づいている。こうした世界に触れると、100年も遅れてつくられた新参者の京の寺や仏像が薄っぺらに思えてくるのだが……。
その本堂の裏に回って意外なものを発見。
なんと、ステンドグラスではないか。えええ。中で国宝の仏像を参拝しているときは気がつかなかったというか、扉を閉めてあったので見えなかったのだ。しかし、国宝の建物に傷に付けてはいないのか。
何でも、本堂を傷つけぬように、扉の枠にはめたのだそうだが……。
いやあ、粋なことをする住職さん(^o^)。
ところで、新薬師寺の研究の過程で、十二神将像にはかつて色が塗られていたことがわかってきている。顔料が表面に残されているのだ。それを復元する研究も行われていて、その結果をビデオで展覧していた。
こんな感じだという。
なるほど。これを白鳳時代には愛でていたのだ。そういや、平城宮の南大門や大極殿も、そもそもは赤いベンガラを塗られた極彩色。復元した建物はその色を使っている。さらに言えば東大寺の大仏も大仏殿も、奈良時代には、極彩色に塗られていた。大仏には髭も描かれていたという。
つまり、昔の人は派手な色が好きだったのだ。何もワビサビだと言ってすすけた風情を楽しんでいたわけではない。
そう考えればステンドグラスもよいかもしれない。木造は自然、なんて思うのは現代人の浅はか、かもよ。天平文化は木肌に顔料を塗りたくって隠したのだ。今で言えば、木材にペンキを塗るようなもの(笑)。それもいいのである。
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