木質バイオマスエネルギーの利用動向
林野庁が、「令和3年木質バイオマスエネルギー利用動向調査結果」というのを発表している。
これがどういうものか、意図や調査内容は、リンク先に載っているから見ていただきたいが、その結果の概要(読んだのが「概要」なんで、「概要の概要」になるか。)は、こんな感じ。
木材チップの量は 1069万3,197トン(前年比 2.7%増加)
内訳は、「間伐材・林地残材等」に由来する木材チップは 411万3674トン(前年比5.2%増加)
「製材等残材」に由来する木材チップは 177万6774トン(前年比 6.1%増加)
「建設資材廃棄物」に由来する木材チップは 401万427トン(前年比4.5%減少)
輸入チップ、輸入丸太を用いて国内で製造」が、40万5517トン(前年比33.2%増加)
まあ、バイオマス発電が増えているわけだから、その燃料として使われる木材(国産)も増えているのは想像がつく。が、ちょっと違和感。
まず「間伐材・林地残材等」が増えているというのは、そのまま字面どおり信じてよいのか。だって、現場では山を丸ごと皆伐して、全部燃料にして「林地残材です」と言っているからね。間伐材だって、燃やすしか使い道のない間伐材なの? という疑問がちらほら。
「製材等残材」というのも、おかしいなあ。だって国産材の製材は増えていたっけ?
令和2年は減っているよ。翌3年は、ウッドショックで国産製材需要も増えたかもしれないが。単に元年レベルにもどっただけかもしれない。
そもそも日本の木材需要は減少傾向にある。それを燃料木材で嵩上げしているのだから、林地残材が増えた、製材残材が増えた、と言われても疑ってしまう。燃料用に伐ったのではないのか。
そして「建設資材廃棄物」というのは、ようするに解体した建築物から出る廃材なんだろうが、本当に燃料にしてよいのは、これだけだと思っている。燃やすほかに使い道がほぼないからだ。が、減っているだと。建築廃材を燃やすことに文句がつきやすいのは知っているが、それで減ったわけではないだろう。
そして、圧倒的に伸びているのが輸入チップと輸入丸太由来なのだが……量としてはそんなに多いわけではない。
根本的なことを言えば、各事業所にアンケートを送ってオンラインで回答を得たものだけの集計なので、その精度は怪しげで、回答しなかった事業所のことを考えれば……ああ、考えたくない(^^;)。
厳密な分析は、皆さんでやってね。
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