林業雇用の壁は「ハラスメント」
林野庁が、12年ぶりに「林業労働力の確保の促進に関する基本方針」を変更した。
相変わらず「求人を出してもなかなか人が集まらない」と林業従事者数の減少、つまり人手不足を嘆く経営陣は多いのだが、それに応えるための変更だという。詳しくはリンク先を読んでいただきたいが、変更後の基本方針の中心は
▽再造林推進に向けた人材の確保・育成
▽安全対策の強化
▽地域間の労働力マッチング
▽女性や外国人材の受け入れ強化
などとのこと。
正直、そんなに面白くないのだが、なかなか読ませるのは、パプリックコメント欄だ。
そこには不満が充満し「ハラスメントが横行している」といった声が多く並んでいるのだ。
「労働安全の項目ですからセクハラやパワハラ対策というワードをぜひ加えていただきたい」
「「女性労働者」の記載に、セクハラを入れて欲しいです。本当に悲惨で危険です。」
「経験年数だけは長い先輩から、技術指導とは言えない教育を与えられて、日々命を秤に載せているのが日本の林業の現状です。」
「林業学校やアカデミーが開校されておりますが林業現場の経験が少ない講師が講義を行い、いざ就職すると学校と事業体とのギャップで離脱している生徒や研修生が全国的に多くいます。」
「就業規則も整備されず、ハラスメントが横行し、必要十分な教育も訓練も実施しない等、時代の変化とは無縁な林業界と己の価値観に固執する事業主たちに期待できることは、ほとんどありません。」
「事業主はパワハラやセクハラのセミナーを受けて社内環境の改善を常に考えていく必要があります。ハラスメント関係に関して、他産業にかなり遅れをとっていると思います。」
「外国人技能実習制度は、労働力の確保を目的としたものではないことから、「基本方針」への記載は適切ではない。また、制度目的と実態が乖離していることや、人権侵害の温床にもなっている。」
なんというか、現場からの怒りに満ちた悲鳴が伝わってくる。とくにセクハラが常態化しているのは、自衛隊だけではないということだ。
これらを受けてか「ハラスメント防止対策の徹底」も明記してある。だた、こんなのは林野庁の仕事というよりは、労働の基本中の基本である。ばんばん労基局に訴えて、厚労省が出向いた方がいいんじゃないか。
まあ、基本方針にどんな文言を加えようと、それを現場経営者が実行するのかどうか怪しいのだが、ホント、雇用環境の基本なんだよな。私も、そこそこ酷い環境について聞いている。
まずはパワハラ、セクハラを止めることからだね。業界がブラック業界認定を受けないように。
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