スギ林にセンダン植林
大分行は、結構疲れたが、いろいろ見学してきた。ここで一つ公開しておこう。
臼杵林業のスギ林で見た、ツリーシェルターを使って植林されていた。植えたのは、センダンである。早生樹の一つとして林野庁イチ押しの樹種だが、それをこんな植え方しているとは。
センダンは広葉樹ながら20年で樹幹30センチ級に育つといわれ、しかもケヤキに似た材質で木工素材として使えるから高価が期待されている。
が、実は硬すぎて(広葉樹は早く生長すると硬くなる)、木工には使いづらい面もあるのだ。しかも育つのは水分が多くて明るい場所。しかし明るいと日射のために乾燥しがちだ。適地が難しい。だから耕作放棄地などが向いているのではないか、とされるのだが……。
あえてスギ林の中。全体に暗いので育ちが遅くなるだろうから、材質は柔らかくなるかも、というわけだ。別に早く育たなくてもいいし、と開き直ると面白い。またセンダンは3つに樹幹が分かれがちなので、直材を取るには「芽かき」作業が必要とされるが、なんと暗いところでゆっくり育つと、ほっといても真っ直ぐな幹になるというのだ。
おまけにスギ林の針広混交林化ができる。そのうち上層木のスギを伐採搬出したら、明るくなって育ちがよくなるが、その頃にセンダンを収穫できたら、針広混交林の木材生産……恒続林も可能になるのでは、と期待するわけだ。
早生樹をこんな使い方するのもアリかも。
« ぬる湯? | トップページ | 小丸太は海の恋人? »
「林業・林産業」カテゴリの記事
- 見えないカルテルが、木材価格を下げる(2025.01.13)
- 理想の林業~台湾の公有林がFSC取得(2024.12.27)
- 林野庁の考える「再造林」(2024.12.18)
- 「林業と建築の勉強会 」から学ぶ(2024.11.23)
- 高知の立木市場と密植への挑戦(2024.11.19)
コメント
« ぬる湯? | トップページ | 小丸太は海の恋人? »
成長が遅れるなら良いですが、この照度でセンダンが枯れずに生き残るのか。今後が気になる植林地ですね。センノキやナラなどは成長が悪すぎると釘も効かなくなるほどだそうですが、あくまで家具ということなら、それもよいのかもしれませんね。
投稿: 0 | 2022/11/30 08:40
このケースでは、植えて1年以上経ちますが、上方生長がよくて幹が1本だけ直材になっていますね。
さて、材質がどうなるかはもう少し育ってからのお楽しみ。
投稿: 田中淳夫 | 2022/11/30 10:12