寺社古材の行方
奈良に依水園という、庭園と陶芸の美術館がある。ちょっと時間が空いたときにふらりと寄ったのだが……。
裏には東大寺南門や大仏殿や氷室神社が位置する環境なのだが、この中だけは静謐(まあ、ときに団体さんのマイクの声なども流れてくるのだが)な環境で日本庭園を楽しめる。
と、そこで目にしたのが、茅葺きの小舎にこんな縁側。
新薬師寺の古材を使っているのだそうだ。つまり、お寺の一部を修繕する際に外した木材を、転用して縁側に使ったということで、なかなかの年月の経ったカスケード利用だ。縁側なのに座れないほど(笑)。
しかし、単に古材というだけでなく由緒ある神社仏閣から出る古材は、どのようにされているのか。普通に考えれば取り替えるほど傷んでいるわけだから処分するしかないわけだが。
実は、そんな木材もありがたくなく使うケースはある。有名なのは、蝦夷地探検家の松浦武四郎が晩年に建てた「一畳敷」庵だろう。古希を記念して、全国の友人たちに頼んで古刹名所の木材を寄付してもらって建てた書斎だ。90もの寺社や歴史的建造物から集めたという。知られたところでは、法隆寺に熊野本宮、北野天満宮、出雲大社、伊勢神宮などの古材を寄せ集めたらしい。もちろん、現在の建物から切り取ったのではないので、修理の際に出た古材で、保管されていたものだろう。案外、分けてくれるものである。今ならどうだか。
こんなものもある。
奈良県吉野高校(現・奈良南高校)の林業博物館にあった法隆寺と正倉院の古材。どうして手に入れたんだか(笑)。
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