下水汚泥より落ち葉を
政府内で下水汚泥を肥料として活用する取り組みの検討会が開かれた。参加するのは農水省だけでなく国土交通省に自治体、肥料メーカー、農業団体など関係する部署組織だという。
なぜかと言えば、昨今は肥料不足だからである。まず化学肥料の材料であるカリやリン、アンモニアなどは、みんな輸入である。それが海外から入ってこない、価格が暴騰したという事情がある。とくにリン鉱石は、日本にはほとんどないから自給は難しい。
そうかといって有機肥料も増えないのだ。なぜなら有機肥料の材料とも言える魚粉、海藻、骨粉、家畜・家禽の糞、油粕……などもほとんど輸入。ウクライナ危機だけでなく、円安も影響して輸入しづらい。
一方で下水汚泥はリンや窒素といった肥料成分を含む。これまで輸入した少なからぬリン分の含む肥料は下水に流れ込んでいるからだろう。また有機成分も多い。事実、一部が肥料として利用されているが、割合としては1割ほどだ。そこで肥料の国産化を推進しようという検討会らしい。それ自体は結構なのだが……。
下水汚泥よりいいものがあるではないか。
秋になれば目につく落ち葉。これをもっと活用できないか。現在、市街地の街路樹が落とす葉は、ほとんどが焼却処分されている。これは行政として、あるいは町内会のお仕事として落ち葉を集めて袋詰めしてゴミの日に出している。
それなら集める手間はほとんど済んでいるのだから、それを仕分けして落ち葉だけを別のところに運んで寝かせばいいのではないか。半年でほとんど腐葉土になるし、もう1年ぐらい寝かしたら、よい土、よい肥料になるよ。
写真は私の住む町で行われていた落ち葉かき。森の中のようだが、実は住宅地に隣接した棚田と雑木林だ。彼らは、自分の田んぼ用の腐葉土をつくろうとしているのだろうが、積んでおくだけで肥料になるのだから簡単だと思うけどな。
そして、その寝かせる場所としてもっとも適切なのが山林だと思うのだ。落ち葉や剪定枝などは産業廃棄物ではない。そして、1年2年後、完熟堆肥として売り出せば、副収入を得られると思うのだ。積んでおけばカブトムシやコガネムシの幼虫は大発生するかもしれないが、妙な有害昆虫の発生源にはならないだろう。
そして、こうした堆肥は高く売れる。葉っぱには、リンもカリも窒素も含む。意外と完熟腐葉土の堆肥はあまり出回っていない。
ちなみにホームセンターで売っている腐葉土の多くは海外産だし、実は完熟させていない。わざと?葉の形を残す状態で販売している。その方が早くつくれて早く売れるし、客も葉の形が残っていると腐葉土ぽいと喜ぶからだ。だけど、そんな腐葉土を入れても土壌改良以上の効果は出づらい。たまに化学肥料をまぶした腐葉土もあるそうだが。
こちらは、森の落ち葉を山でしっかり完熟させた腐葉土。
我が家も、今年から落ち葉や剪定枝のほとんどをゴミに出さないで、庭で土に還るまで積んでおくようにした。
下水肥料よりイメージもよいと思うよ。
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