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森と林業の本

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2023/02/21

ツキノワグマのお食事事情

こんな記事があった。結構、ドキドキというかショッキングな結果だ。

クマ目線でとらえたクマの食生活~首輪に内蔵したカメラでツキノワグマの食生活を撮影~

この研究は、東京農工大学大学院グローバルイノベーション研究院の小池伸介教授、学生の手塚詩織氏と長沼知子特任助教(どちらも当時)、アメリカのイリノイ大学のMaximilian L. Allen准教授、東京農業大学地域環境科学部森林総合科学科の山﨑晃司教授らの国際共同研究チームで行われたもの。ビデオカメラを内蔵した首輪を野生のツキノワグマに装着し「クマ目線」で食べ歩きの行動を撮影することに世界で初めて成功したというのだ。(アメリカの哺乳類学誌「Journal of Mammalogy」オンライン版に掲載)

ビデオカメラを取り付けた首輪を装着したのは、18年5~6月に関東地方で捕獲したオス2頭とメス2頭。日中に15分間隔で10秒間の映像が撮影されるように設定し、1頭当たり平均41日間撮影した。首輪を回収して映像を分析し、4頭から30種類以上の食べ物を特定することができた。糞分析法と比較したところ、クマの咀嚼や消化の影響で種類の特定が難しかった食べ物の種類を映像から明らかにできた。

その映像もアップされていた。「ツキノワグマのお食事

わかったのはサクラ類の果実を主食としつつ、個体によってさまざまなものを食べていることだ。なかにはニホンジカの幼獣やニホンカモシカの成獣、そしてツキノワグマの子どもを食べている(オスによる子殺しの現象と推定)ことも判明。

Photo_20230221105701

これって、画期的かも(結果ではなく、研究が)。最近はクマの草食化が言われていて、植物食なら山に餌が十分あるから食うに困らなくなり、生息数が増えたと言われている。私は、人工林も放置が進んで広葉樹の侵入が増えているし、草が生えれば実もつける。それらがクマの餌になっているのではないか、それが数が増えた理由の一つではないかと想像していた。
今もそれ自体に異議はないけど、同時に野生動物も多く食べていたことが証明された。それもシカやカモシカだけでなく、同族まで。ただ、クマがシカを襲って仕留めるのは、そんなに簡単ではない。やはり幼獣狙いか、怪我している個体、もしかしたら屍肉かもしれない。
おそらく獣害対策で行われるシカやイノシシの駆除個体も、その場で埋められたとしてもクマの餌になるだろう(簡単に掘り起こせる)。

ツキノワグマにとって(おそらく北海道のヒグマも)、現代の日本の自然は餌が豊富なんだと思った方がよい。

なお、初夏は案外餌が少ないらしい。春の若葉や草の実と秋の果実の端境期だから。むしろ秋のドングリで栄養つけて、丸1年活動を支えているという。冬はもちろん春から夏も、前年のドングリの栄養頼みで生きているのか。
そこに昆虫や動物肉が手に入ったら、ボーナス的栄養源かもしれない。それで生き長らえることもあるだろう。肉食の最大の利点は、栄養(カロリー)が高いことで、少量食べてもエネルギーが得られることだ。人間は肉食し始めて、脳を発達させ余暇を手に入れたというしね。

ともあれ、動物の食性と生態は、まだまだ謎が多い。獣害対策にも応用できるだろうか。

 

 

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ナラシカ・動物・獣害」カテゴリの記事

コメント

某協会は拡大造林の影響でクマの生息地が脅かされている!と言っていますが、拡大造林当初はともかく、今は結構クマの餌は山に多いですよね…だから生息数が増えて人里に降りてくる。もちろん人里のほうが簡単に美味いものが手に入るというのもあるでしょう。この推論がすべての地域に当てはまるものでは無いでしょうが、山が荒らされているから仕方なく人里に降りてくるんだ!という主張をすべて受け入れていたら、いつまで立っても有害駆除されるクマは減らないと思っています。

私は、アホな団体は相手にしないことにしています(笑)。地域差はあるにしても、確実に生息数は増えていますよ。それを認めた上で対策をとらないと、目先を追うばかりになってしまう。

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