「山買います」ビジネスの成否
こんな記事が目に止まった。福井新聞だ。
「放置されている山買います」材木屋の挑戦 建材やバイオマス燃料として販売、福井県鯖江市の井波木材
ようするに、福井県内の民有山林を買い取り、建材やバイオマス燃料として販売する事業を始めたのだそう。
・山林の購入金額は1ヘクタール当たり8千円で、合計千ヘクタールまで買い受ける。
・取得した山林の木を使って、ハウスメーカーや工務店などへの住宅用建材販売、木質バイオマスボイラーの導入施設向けに燃料のペレット生産を予定している。
・昨年11月末ごろから売却希望者の募集を始め、1月上旬までに約30件の相談が寄せられている。面積は1ヘクタール未満が多く、親から相続したが管理できず手放したいとの理由が多いという
とあるが、まだ成約までは行っていないのかな。ヘクタール8000円だとすると800万円の資金で1000ヘクタールか。まあ、放置林だったら、これでも喜ぶ人は多いだろう。その後の固定資産税も払わなくてすむから。逆に言えば、買い取った山林の納税が必要だ。
私も山買いをしている人に聞いたが、「一銭にもならない」と言っている山を何十ヘクタールか安く買い取り、その山をじっくり探索すると、必ず売れる木がそれなりに見つかるそうだ。元山主も知らないところに、素性のよいスギやヒノキが生えているのである。それらを伐って出せば、買い取り金額ぐらいは十分に出る。残った山も、それなりに使い道を見つけて安くても出せば金になり、それが全部利益になる……という話であった。
この記事の井波社長によると、バイオマスを狙っている面が強そう。発電ではなくて熱利用のボイラー燃料だが。伐って出し、ペレット製造するコストと、売り先は確保して採算が合うと睨んだのだろうね。そこが重要。
もう一つの心配は、伐採跡地だ。雑木林なら萌芽で更新できるが、人工林も少なくないと想像する。その場合は伐採跡地をどうするのだろうか。放置で大丈夫か。
そのうち全部バイオマス発電所行きや~!とならないことを望む。
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