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森と林業の本

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2023/02/26

明治神宮は恒続林になり得るか

先日訪れた明治神宮。何も鳥居ばかりを眺めていたのではなく、森も見て歩いた。

そして気付く。

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照葉樹林とされている森には、意外と針葉樹(スギやヒノキ)や落葉樹も混ざっていることに。つまり針広混交林だった。スギやヒノキも大木になっていたから木材生産ができるのではないか。

そもそも明治神宮の成り立ちからすると、明治天皇を顕彰するのが目的で、大隈重信は壮麗な杉並木のある神社を望んでいたらしい。しかし、設計を担当した本多静六や川瀬善太郎は、ここの地質ではスギは育ちにくいと反対し、いろいろな資料を作成して大隈を説得した。ようやく納得させて、潜在植生的な照葉樹林となるような樹種を植えたのである。当時、少しはあったスギなども歳月とともに枯れて、残るのは照葉樹ばかり……となるはずだった。本多は、手入れせずに放置しても維持できる森として照葉樹林を選んだというが……。

だが、今日的には意外とスギやヒノキも目立つのである。これは自然に生えたのか?

そもそも川瀬は、日本に森林美学を導入した一人だ。そして森林美学という言葉を生み出したのは本多だとされる。原語は「森林美の保続」だが、それを森林美学と訳すなんてオシャレ。美しい森こそ、もっとも収穫多い森という理念だ。森林美学は、やがて恒続林思想へと発展するが、その要諦は針広混交林で維持に人の手を極小にしつつ木材生産できる森のこと。だから明治神宮は、恒続林のひな型と言えるかもしれない。

ちなみに、まったく手を入れないわけではない。

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今回目立ったのは、こうした切り株である。かなり太い木が多く伐採されている。おそらくナラ枯れ対策だろう。大木ほどカシノナガキクイムシが侵入して枯らしてしまう(ナラやカシ類。スギやヒノキは大丈夫)。写真のバックに写っているのは、カシナガにやられないようラップ巻きしたのかね。

このように、そこそこ伐採など手を入れつつ、明治神宮の森は作られる。伐られた大木は、何かに利用しているのだろうか。

 

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コメント

 明治神宮の森は、疎林のような原っぱに全国からの250種以上、10万本の献木によって造成されたものだそうです。当然針葉樹もたくさん混じって居たことでしょう。

そうですね。全国から献木されたそうですが、外来種や花木は避けたと言います。それこそ地質や気候に合わない木もあったでしょう。それらは植えたか外したかどちらにしても、いつしか枯れたのではないか。
スギも最初から生えていたのは残したそうですが、一度は枯れて、再び生えたのかも。

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