そろそろ、立ち直らなければ。
このグラフを見ていただきたい。
林産物輸出額の推移なのだが、これから何を読み取るべきか。
私が注目したのは、緑の部分だ。2020年から突然登場して、しかも伸び調子。輸出総額の約1割を占めている。これは有望ではないのか。その品とは、木製家具である。
これまで林産物輸出=木材輸出であた。製材も多少はあるが、多くは丸太の、それもB材C材が中心だ。価格は安く、安いから売れるという日本産業の凋落を示すような代物だと思っていた。
だが、家具とは? 家具は輸入一辺倒かと思っていた。事実、ニトリなどの家具は中国やベトナムで作っているものが多い。国内製造としても、肝心の木材は外材となりがちだ。なぜなら家具になるのは広葉樹材が中心だが、国産は微々たる量しかないからだ。スギやヒノキの家具は、量も貧弱だが性能的にも期待されていない。
だが、家具は加工品であり、量と比して価格は高い。売上に貢献する。もちろん原木で売るよりずっと利益率が高い。そして木肌を前面に出すから愛着を持ってもらえる用途だ。本当に日本製の木製家具の輸出が増えているの? 何かからくりはない?
そう思って調べてみると、どうやら本当に国産家具の人気が高まり、海外、それも中産階級以上で売れているようなのだ。
なぜか。どうやらメーカーの努力によってデザインなどが評価され始めたらしい。実際、木材加工の技術は、日本が世界的にも高いという評価がある。木工職人の数も欧米などよりずっと多い。ただ家具作家の一点ものの作品となってしまい、販売ルートも確保していなかった。
だから高品質でデザイン性も高い。にもかかわらずブランディングが未熟で安い…。富裕層はイタリア製などの超高級家具を買うが、その一つ下のランクで価格も安いが、品質的には高級家具に近い。デザインもかなり富裕層ウケするように磨かれてきた。
なかには海外輸出を前提に、デザイナーも一新してブランディングを進めたメーカーもある。そのおかげで海外のバイヤーから関心を集めてきたことが、輸出実績も出たのであった。
なんとも悩ましい話ではあるが、家具そのものが評価されているのであり、妙なからくりはなさそうだ。それに安いと言っても原木で売るのに比べるとはるかに利益は出るだろう。
ただ国産広葉樹材は供給が不安定で、量もないから、結局は外材に走る可能性もある。その中で未利用のコナラ材なども取り入れた家具も生み出されている。あるいはスギやヒノキで高級家具をつくる挑戦も行われている。
コナラ材の椅子(ワイスワイス)
吉野杉の曲面椅子(スタジオジグ)
さらにフランウッド(ケボニー)化することで、スギも広葉樹材なみのハードウッドにするという手もあるかもしれない。ケボニーの家具も、ノルウェーでは作られている。その分野も期待できるかもしれない。
久々にまともに日本林業の明るい話題だと思えた。これまで「輸出が増えています~」と言ったら曲がった丸太ばかりを捨て値で売っているし、「木材生産量が増えました!」というのもバイオマス燃料として燃やす用途ばかり。「国産広葉樹の利用も注目されています」と自慢するが、なんのことはない、使い道は製紙チップや菌床用のチップがほとんど。クソのような商売やっているな、と思ったのだが、日本の木工技術で世界に売り出せるなら、そこにこそ希望がある。
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