大工の数が減れば建築も変わる
ふと目にした記事によると、大工の数が減っているとのこと。昨年末の国政調査結果の公表からである。
それによると、2020年時点での職業分類「大工」の人口は29万7900人。2010年の10万2120人と比べると10万4220人減った。過去20年では半減している。ものすごいスピードの減り方。さらに正規雇用の大工は10万人を下回り、一人親方の割合は拡大した。しかも高齢化も進んでいる。建築業界全体より絶望の大工業界だろう。
大工に林業従事者人口の減少ばかりではなく、製材業者だって減っている。ようするに一蓮托生だ。
ちなみに2022年の新設住宅着工戸数は、86万戸(前年比100.4%)、ただし着工床面積は、69万平方m(前年比97.7%)。
このうち木造住宅は47.8万戸(同95.1%)で45200万平方m(同93.0%)。戸数はかろうじて横ばいだが、面積は減っている。なんだか微妙に木造の量が頭打ちしているよう感じる。
すでに新築工事に大工不足が指摘されているが、今後どこまで広がるか。
国は、やたら木造建築物を増やそうとしているが、足元が危うい。木造建築も、今後より工業化を進めないと、建てようにも建てられなくなるだろう。そうなると、木造建築の定義を変えてくるかもしれない。構造は鉄やコンクリートでも、内装外装を木材にしたらよしとするのではないか。
建築工法も変わる。新築は、設計や工程を自動化することが考えられるが、リノベーション、あるいは修理は難しい。一軒一軒条件や要望が違う。それを担う大工がいない。
数少ない熟練大工は、リノベを専門にするようになるかもしれない。新人は、マニュアルどおりにつくれる新築専門(^_^) 。
それぐらい先を読まないとね。
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