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森と林業と田舎の本

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2023年4月

2023/04/30

『やらせと情熱』の真実

このところ読んで、もっとも面白かった本は、「やらせと情熱 水曜スペシャル『川口浩探検隊』の真実」(プチ鹿島著)だった。

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知る人ゾ知る番組、水曜スペシャルの「川口浩探検隊」。このタイトルを聞いただけで、知る人は心ときめく(笑)。いや、顔をしかめる人もいるかなあ。私もどちらかというと後者だったのだが、本書を読んで前者に鞍替えした。

知らない人向きに言えば、ようするに各地秘境に川口浩という俳優が探検に出かけて、そこで驚くべき真実に出会うという……。怪獣発見、原人登場、未開民族の部落に邂逅。あるいは謎の洞窟の奥深くへ潜り、温泉につかるとか。古代遺跡にもぐりこむとか。

こんな探検分野はもっとも好きなテーマでありながら、その描き方に「それはないだろ!」とか「そんな馬鹿な!」とか。ありえねえ~とツッコミを入れながら見る番組であった。

私としては、マジメに探検を追及していたお年頃だったので、そんな描き方に顔をしかめていたのだが、それで見るのを止められない。もはやツッコムのが目的で見るのである。(なお本書は、水スペの後番組的な「プレゼンター」も取り上げている。ここでも洞窟だ怪獣だ、徳川埋蔵金だとやっていた。)

その内側をルポした作品だ。何か際物ぽくある(著者だって芸人だしね)が、これ、かなり本格的に取材をしたノンフィクションである。しかも終極には、「やらせとは何か」と「ある時期のテレビ業界、テレビ業界人の姿」を赤裸々に描く。その点からも評価は高い。

本書にはある。「もともとドキュメンタリーとは一言も謳っていない。エンターテイメントだ」。

なるほど。そこまではわかる。が、仰天したのは「モデルはインディ・ジョーンズだった」と企画したプロデューサーの言葉。そうなのだ、インディ・ジョーンズの映画を真似てつくっていたのだ。まさにドラマ、フィクションなのであった。

ここで具体的な番組の裏側については語るまい。あえて私との関わりに触れておく。

この探検隊は、よく洞窟探検をした。私も同時期にケイビング、つまり洞窟潜りをしていたので、重なる対象もあって、本当の洞窟の状況などを知っている場合も多々あった。また出演者、つまり探検隊員の何人かはケイビングつながりの知り合いでもある。だから撮影の時の裏話もたまに聞いており、それが純な(笑)私にとっては腹立たしい。探検を馬鹿にするな、やらせをするな、と怒っていたのである。

また本書にも登場するニューギニアの孤島の湖にいるとされる怪獣ミゴーは、私も探検に行っていた。ただ現地ではミゴーとはトカゲのことで、怪獣はルイである。これは拙著『不思議の国のメラネシア』にも記している。

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そしてソロモン諸島のシンボ島の火山洞窟に行った後に、水スペのスタッフから電話がかかってきた。これを番組にできないかというわけである。私は派手な演出は仕方ないが、嘘はやめてくれ、本当にあった通りに洞窟を描いてくれ、と注文を付けたら流れてしまったようだワハハ。

ともあれ、懐かしい気持ちに浸れる本であった。連休前に読み終えているが、また手にとるか。

 

2023/04/29

連休中の本は『かわいい隠れ家』

世間はゴールデンウィーク初日らしい。私は連休明けの原稿締切りに追いまくられているのだが……しかも、その合間に昨年執筆した原稿の請求書を書いているという……指摘されるまで支払いされていなかったことに気付かない私は、きっと大物だろう( ̄^ ̄)。

ところが、請求書をPdfで送ろうとしたら、スキャナー(を兼ねたプリンター)の調子が悪い。全然スキャンしてくれない。数か月前に修理に出して、ようやく帰って来たのに、またいろいろ不具合が出る。メーカー的には買い換えろ、ということらしいのだが。

それでもようやくスキャンできた。そこで、調子を確認するためにいろいろスキャンしてみる。せっかくだから、これ。

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かわいい隠れ家』という本。世界の隠れ家的建物を紹介しているのだが、なんと丸太の山と思ったら小屋だったのだ。これがホントのログハウスで、隠れ家になるわ! なお内部は青が基調のスタイリッュなリビング仕様。仕事場にもなる。この写真にやられて購入してしまった。

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ほかにも材木を積み上げたようなハウスや板を張り合わせて隙間だらけの小屋、森の中に浮かぶ繭……など素敵な隠れ家ばかり。

いいよなあ。これを眺めつつ、連休を過ごすか。。あ、原稿書かなくちゃ。

 

 

2023/04/28

NZのノラ猫ハンティングは中止

子どもたちにノラ猫を捕まえさせて賞金も出す、そんなイベントがニュージーランドのカンタベリー地方で企画された。

これは子供たちに、野良猫を銃で殺すことを競わせるもの。最も多く殺した子どもには、124ポンド(約2万1000円)の賞金が出る。そんな「ノース・カンタベリー・ハンティング・コンペティション」というイベントだ。

が、案の定というか世間の反発で中止に追い込まれたという(^^;)。

なんというか、反発する人が多数出るだろうな、とは容易に想像できるのだが、こんな企画をしたことがすごい。

もともと猫は、生態系に及ぼす悪影響が高い外来種とされるが、子どもにノラ猫ハンティングとは過激……と思ってしまうが、若干事情はちがう。もともとニュージーランドはオーストラリア以上に生物層が特殊で固有種ばかりの島だが、そこに持ち込まれた旧世界(ユーラシアなど)からの動物が野生化することで大きな被害を出している。

とくにノラ猫は深刻で、在来(固有)の鳥類やコウモリ、トカゲ、ネズミなどに大きな影響が出ている。絶滅に追い込まれる種も多い。そこで従来からニュージーランドではノラ猫を、毒物や罠、銃を使って駆除し、個体数を抑えているそうだ。

だからこそ、子どもに銃を使わせて害獣を「殺せ!」と競わせる土壌もあるのだろう。市民の理解もそれなりにあると思われる。

……それでも、猫を殺すというと、反対意見が続出するのは、なぜ?

一応の理由としては、飼い猫と区別がつきにくいから。う~ん、苦しい言い訳だ。本音を言えばいいのに。

つまり、「猫はカワイイから殺しちゃダメ」と。カワイイものは守れ、カワイクなければ殺してもいいよ、と。ちょっと感情的、いや差別的な論理だ。もっと言えばレイシズムに通じる。嫌いな民族を浄化する!発想と紙一重。

今回のイベントも、猫以外、たとえば野生の鹿や野豚を子供たちに撃つ競技は、予定通り実施されるという。鹿もカワイイと思うけどね(笑)。ノブタだって……見様によっては(笑)。

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ボルネオの「猫の街」のお土産。この猫(の木彫り)はカワイイ?カワイクない?

 

2023/04/27

Y!ニュースに「雑草という名の草はない」…を書いた裏事情

Yahoo!ニュースに『名言「雑草という名の草はない」世界は本当にあった』を執筆しました。

もちろん、朝ドラ「らんまん」を見たから。まず7時30分からのBSで見て、8時からの総合で見て、昼の12時45分を見て確認した(^_^) 。

このところ「らんまん」は引きつける展開になっている。実在の人物がモデルとなると芯が通るのだろうか。この名言も、脚本家がソラでつくれないだろう。

さて、この記事には、2つの注目点がある。まず一つ目は、公開時間が朝の7時であったこと。今日は朝から出かけるので、昨夜のうちに書き上げて、予約した。朝にいつもは昼前なのに朝にしたのは、通勤途中に読む人がいるのではないかという推測を試してみるため。

もう一つの注目ポイント。それは記事の終わりの部分。

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執筆者の本を紹介する欄があるのだが、ようやく『山林王』に変えた。もともと申請するのが遅くなったのだが、申請してからも1週間以上かかるのだ。つまり「吉野山にサクラを植えた理由と守った山林王」を書いたときには間に合わなかった(泣)。。。

もともとリアル書店には並びにくい本なので、ネット書店が頼りだよ。

というわけで、Yahoo!ニュースではいろいろ実験しているのである。

 

 

 

2023/04/26

今年最後のタラの芽

我が山でタラの木を発見した。もはや高さは3メートル近く伸びている。

その梢部分が二股になって、その両方が芽ぶいていた。タラの芽。美味しそう。。。。しかし、この芽はもう採れないな、諦めるか……と思ったが、放置しても育つだけで、しかもタラの木はとげだらけだから邪魔だろう。そこで最後のタラの芽を採取しすることにした。方法は簡単。幹の下から切り倒すのだ。上手くいけば伐採断面(目の高さ)から来年は芽が出るかもしれない。そうしたら低くて採りやすい。

というわけで鉈を振るったのであった。そして無事2つの芽を採取した。

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少し開いているが、十分食べられる。それは美味しく天ぷらに……。

が、気付いたのだ。倒した幹部分にもう一つ芽が出かけていることを。まだ小さいから食べるのには適していない。が、上手くやれば伸びて育つかも。いわゆるフカシである。そこで短く芽のある部分を刻んで水の張ったバケツに。

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しばらくすると……。

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かなり伸びてきた。これこそ今年最後のタラの芽になるだろう。いつ収穫しようかな。今週末ごろかな。

 

 

2023/04/25

「環境不動産」と「環境利益」

不動産業界に「環境不動産」という言葉があるそうだ。一般に環境性能が高い、たとえば省エネとか再エネ、建築時の環境負荷、解体時の環境負荷が低い……といった建築物を呼ぶそうだ。「環境不動産(Environmental Real Estate)」

そこに高知県が、独自に「環境不動産」として認定制度を創設したそうだ。そこでは木材、とくに県産材を使っていること。そして認定されると、容積率緩和や不動産取得税の免除が行われるという。

ちょっと条件を見ると、延べ床面積300平方メートル以上、1平方メートル当たり0.15立方メートル以上の木材使用、県産木材使用率が60%以上―の非住宅建築物と4階建て以上の住宅……。

もともとある建築環境総合性能評価システム(CASBEE)では、自然エネルギーの利用や雨水、太陽光の活用など92項目のチェックポイントがあるが、県独自の基準もあって、林業・木材産業の持続性確保、脱炭素社会の実現、室内での木材使用、室外での木材使用、地域経済の活性化(県産材を使うこと?)といった5つの観点で評価。高評価だと認定し、さらに良ければ税などの優遇もあるという仕掛け。

おそらく高知県は、住宅よりは非住宅の建物、それなりの大きな建築物を対象に木造化を推進しようという意図なのだろう。以前より高知県は木造建築物への税の軽減を国に要請してきたというから、その動きをプッシュする狙いだろう。

まあ、あの手この手をやるという点では頑張っているね(^_^) 。反対派しませんよ。あまり木造建築物が増えてはげ山まで増やす心配は……まずない(笑)。そんなに増えないだろうから。

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ただ、木材を使えば環境によいという単純思考に、私はイマイチ引く。これも量の経済、もっと言えば量の林業を指向しているからだ。林業を経済的に捉える点からは、本来は利益率とか純益を基準にしてもよいのではないか。

1軒の木造建築物を建てることで使った木材の量と原木からの歩留りを計算できないか。1本の木を無駄なく使ったことを示し、それらが生み出す経済効果とする。原木から製材(あるいは集成材)にするまでの歩留りを示し、その時に出た端材を処分していたら減点、とか。極端に言えば、製材時のおが屑を商品化していたら、それを歩留りと利益に加えて計算してもよい。

一時期流行ったウッドマイルズ(木材の移動によるエネルギー消費を数値化)のように、使われる木材の経済的貢献指標を示せたら地域経済への寄与率も出るだろうに。木材環境利益、ウッドプロフィットとか名付けて。みんな自身の利益を隠すから難しいか? 

2023/04/24

「らんまん」も林業もオタク世界?

本日4月24日は、「植物学の日」である。それは牧野富太郎の誕生日であるから決まったとか。

そして朝ドラ「らんまん」。このところ、面白くなってきた。とくに先週は東京で国立博物館を訪れ植物学者たちとの出会いは感動的ですらあった。里中芳生と野田基善との出会い。どちらも当代随一の植物学者なのに、見知らぬ田舎出の若者に植物への愛好者というだけで「友よ」と呼び合える。(ちなみに里山のモデルは田中芳男であり、日本の生物学(植物・動物を含む)創成期を牽引した大物だ。後に貴族院議員や大日本山林会の会長もやっている。)

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身近に自分の興味が通じる友がいなくて寂しい思いをしていた人が、初めて出会った同好の士と意気投合する様子は、いわば狭い分野に熱中するオタクが仲間を見つけた歓喜に似ている(笑)。実際、SNSでも「もらい泣きした」という書き込みが多いのは、よく似た経験をした(あるいはまだしていないが、同士が見つかることを熱望している)人だろう。いくら自分が(そのオタク分野のことを)熱く語っても周りは関心を持ってくれない。聞き流される、邪険にされる。語り合う相手のいない寂しさ。
今はネットでつながりやすくなったが、かつて自分一人しかこれに興味を持つ人がいないのかと孤独感にさいなまれた人もいるのではないか。それを追体験することで感動する。

が、同じようにSNSには「らんまん」に対する批判というか、面白くないという意見もあふれていることに気付いた。

彼らは、植物学はもちろん、オタク的な世界から遠い人たちなのだろう。ドラマとしてだけ「らんまん」を見て、この発言が気に食わない、あの人物の反応はおかしい、さらに時代背景を理解せず差別的なドラマだとまで批判を並べている。

ここで「らんまん」がドラマとして面白いかどうかはおいといて、かくも二分する点が私には面白い。

実は、先日まで大分を訪問して林業関係者に取材していたのだが、取材が終わった後も談話を続け、さらに酒が入ったら何時間も話している内容が、ほぼ林業のことばかり、という経験をした。久しぶりかもしれない。「もう絶望的な林業はどーでもよい」と嫌っていたのに、なんだ、まだ未練があるの?とさえ自身に対して思ってしまう(´Д`)。

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同時に、おそらく通じない人も多いだろうな、と思う。いや絶対に多い。

ここで重要なのは、通じない人の方が多いということ(笑)。世の中、林業に興味のない人の方が圧倒的に多いのだ。

そういや、先日私がYahoo!ニュースに書いた「花粉症対策が日本の森を破壊する」記事に対して、花粉を出すスギ林なんか破壊したらいいんだ、という反応がそこそこあった。スギどころか森林にだって興味がない。災害が起こるのは困るが、それは森林を守る理由にはならない。林業なんて小さな業界がどうなってもいいじゃん、むしろ森は嫌い、という人は意外と少なくない。

そういう人たちが世間の一般なのだ、ということを自分に言い聞かせておかねばならない。さもないと世の無理解に悲憤慷慨するだけだ(笑)。ちがうって、林業が好きなことが世の潮流から外れているのだよ。自分が世間から外れているのよ。

 

2023/04/23

無垢製材の巨大スパンを見る

実は、昨夜まで大分に行っていた。温泉はつからず山の中ばかりを歩いたのだが……その話はおいといて、ちょっと脱線して見学したのがこれ。

レゾナック武道スポーツセンター。これは現在の名前で、以前は大分県立武道スポーツセンター。また昭和電光武道スポーツセンターだった時代もある。そこで見たのが、こんなホール。巨大体育館と武道場がくっついた建物と思えばよいが、中が木構造となっている。(外観は、リンク先のHPを見てくれ。)

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わかるだろうか。スパン、梁が木材なのだが、最近はこんな体育館やドームも増えてきた。ただ、これは無垢の製材なのだ。集成材を使っていない。なんと最大スパンは70メートルある。日本、どころか史上最大だそうだ。

証拠に、少しアップしたものを。

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アーチトラスに使われているのは、120ミリ×240ミリで長さは2~4メートル材だそう。一般的に流通している製材寸法だ。部分的には3本をH型に組み合わせているという。ボルトでつないでいるところが確認できるだろう。もちろん大分県産材を使っているのがジマン。なお乾燥度とヤング率は4つの種類に分けて適材適所に使ったらしい。

ついでに紹介すると、内装も凝っている。

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竹を多用している。コンクリートの壁も竹を並べるだけで和風になる。なおテーブルやイスは多分ファイバーボードによる組み立て家具だ。

こんなのを見ると、やれ大規模集成材だ、CLTだといわなくても木造建築はできる。主構造はもちろん鉄筋コンクリートと鉄骨だが、十分に木質をオモテに出している。その方が木材としての歩留りもよいだろう。ちなみに使われた木材量は985立方メートルであった。

まあ、余った時間で温泉つかるか別府の地獄巡りするか、と迷ったあげくにこんな建物見学してしまうのだからヤダねえ。

 

 

2023/04/21

霊園をつなぐ人物

先日の東京で訪れた先で見たもの。

彫像がある。

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ここは野外美術館?と思わせるが、そもそも誰だかわかるだろうか。

新渡戸稲造と原六郎である。知っているかなあ。どちらも大物であるが……。背景をよく見ると気付くだろうが、ここは霊園だ。多磨霊園(多摩ではなく多磨なのだった)。墓地なのに彫像が目立つ。ほかにも

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これって完全に芸術的な彫刻だろう。なんたって、これは岡本太郎の墓にあった。

多磨霊園を芸術鑑賞とかピクニック気分で訪れる人もいると聞くが、なるほど、これならわかる。


紹介した彫像とこの墓はいずれも某人物につながる。(岡本太郎はちがうけど)

さて、誰でしょう。科学者、財界人、政治家。これらとつながる人物を5文字で答えなさい。

ヒント。新渡戸はアメリカで結婚したが、日本人の出席者は、一人だけ。そして台湾で活躍した。原六郎の嫁さんは20歳以上年下の犯罪者で、内田は最低と言われつつ外交で活躍できたのは西太后の友達の嫁さんのおかげ。

 解答は「山林王」に記されている。

2023/04/20

EUの森林破壊防止法

欧州議会、つまりEUが、森林破壊防止法を承認したというニュースが流れた。この法律を知っているだろうか。

実は、かなり前から動きを把握していて、本気?やる気? と注目していたのだ。同時に懐疑的でもあった。できるのだろうか、と。

森林破壊防止法とは、何も違法木材対策ではない。森林破壊に関係した農林畜産物など産品のEU域内への輸入を禁止するというものだ。それが各国の法律に合致していて合法だとしても。

EUに販売する商品は、2020年以降に森林を破壊して、あるいは森林を破壊した土地で栽培されたものでないことを証明および「検証可能な」情報の提出を義務付けるというものだ。違反すれば罰金が科せられる恐れがある。

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何を意味しているのか。まず知っておきたいのは、森林破壊は地球温暖化につながる温室効果ガス(主にCO2)排出の約1割を占めると計算が出ていることだ。そして森林破壊の約80%は農業生産拡大のための土地転換が原因とWWFは指摘している。だから世界的な森林破壊の原因をつくっている産物の輸入を止めるというのが目的なのだ。

EUは、貿易に関連する森林破壊の16%を占める。ちなみに中国は24%、米国は7%、日本は5%の責任がある。これを止める、つまり森林破壊を止めるために、EUは域内で販売されるさまざまな生活必需品から森林破壊の要因を排除すると決めたのだ。

具体的には、どんな商品を対象とするか。並べてみるとドキッとする。大豆、牛肉、パーム油、ココア、コーヒー、ゴム、木材、木炭、革製品、チョコレート、家具である。これが世界貿易にどれほどの意味を持つか考えてほしい。人口4億5000万人の巨大市場EUのバイニンクパワー、購買力は、馬鹿にならない。それを圧力に変えたのである。おそらく対象国の多くはアジア、アフリカだ。南米も入るだろうか。それらの国に森林保全というよりは脱炭素を迫るというわけだ。

ちなみに発動まではまだ少しある。今後、加盟国の批准を経ないと正式に成立しない。また施行した場合、順守に向け大企業に18カ月、中小企業には24カ月の猶予期間を与えるとしている。ただし、パーム油輸出国のインドネシアとマレーシアは批判している。EU向け輸出を停止する可能性まで示唆した。しかし欧州委員会は2011年以降に結んだ通商協定には環境や労働基準に関わる国際条約の批准を義務付ける条項を盛り込んでおり、今年6月には相手国が条項に違反した場合には貿易制裁措置を講じるとの新方針を示している。

EUは「持続可能な開発という理念」を輸出しようとしているとさえ言えよう。

さて、日本はどうだろう。違法木材対策さえいい加減なのに、さらに追及されかねない。それなりに日本の食品はEUに輸出されているし、木材だって自慢できる代物ではない。もしかしたらEUだけでなく世界標準になるかもしれない。

クリーンウッド法の改正でも、付帯決議で木材利用の拡大を入れている。国産材は違法じゃないから、なんだそうである。

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ほんまかいな。

8代目?木製時計

先日、愛用の木製時計の電池が切れて、交換しようと思ったらネジがバカになっていてできなかった話を記した。その後日談。

やっぱり購入してしまった、新たな木製時計。ただし。

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少し仕様がちがう。そう、写真を見て気付くかもしれないが、金属も使っているのだ。むしろ母体は金属製。これなら電池交換もできるだろう、という思惑だ。なおバンド部分も縁取りというか、多分芯部分は金属で、そこに木材をはめ込んでいるように思える。

木製時計の欠点を克服するには木と金属の合体になるのか。思えば「建築物なんて鉄骨やコンクリートの周りに木の板を張っておけば木造建築だ」とうそぶいていた私にぴったりではないか?

と満足感を示したいのだが……大問題?があった。

重いのだ。重い。これって金属製だから当たり前か。フツーの腕時計と同じように重い。しかし、ここ10年以上も木製時計を愛用していた私には、重すぎる。軽さが木製の特徴だっただけに、これは気付いて愕然とした。

う~ん、この点だけで木製時計じゃない、と感じてしまう。腕に触る部分は、金属もそんなに違和感ないのだが。

ちなみにデザインが派手なのはわざと。金属併用時計でも、もっと地味で見た目木材ばかりというのもあったが、せっかくだから一新するつもりでキラキラ目立つものを選んだ。

買ったばかりで文句をいうのはナンだけど、これでよかったのかと考えてしまうな。

2023/04/19

自家製お茶づくり

こんなお茶をつくった。左が材料。

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わかるだろうか。この黄色のお茶。そう、キハダだ。キハダの樹皮を砕いてを煎じたもの。

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こんな感じ。水は、多分1・5リットルぐらい入れたから、ちょっと多すぎて味が薄くなるかな、と思ったのだが、出来上がったのを口に含むと苦いの何の(´Д`)。。。でも、これがキハダの価値だ。苦みがキハダの特徴でもある。

実はキハダのお茶もあって、そちらはキハダの葉などを利用する。そちらもほろ苦くはあるが、その苦みが癖になるとも言える。が、キハダの本丸とも言える樹皮は……ベルベリンをたっぷり含んだ整腸剤になる、そう。

そこで当分キハダの煎汁をお茶として飲んでみようと思う。まずは胃薬をこの茶で飲む (゚o゚;) 。。。

乾燥させたキハダの樹皮は頂き物だが、最初はその独特の風合いが気に入って部屋のインテリアぽく飾っていた。しかし、いつまでも置いておくと効力?が落ちるかも、と案じて、やっぱり今のうちに本来の使い道をしようと思ったから。

ベルベリンは、腸の蠕動を緩めたり、腸内の腐敗や異常発酵をおさえる作用があるので下痢止めなどに使われる。修験道者の飛躍・陀羅尼助丸の主成分でもある。そして目薬にも使えるという。陀羅尼助を目にねじ込むのか?

もちろん、現在はそんな使い方を推奨されていないが、かつては目薬用陀羅尼助も売っていたらしいよ。ヤニ目やカスミ目にキハダの煎汁を垂らしたのだそう。ほか腫れ物、切り傷、火傷などにも効いた、とされる。もっとも、より実用的なのは、眠気止め。修行者など修行中の坊さんがこっそり使っていたらしい。

私は、当面毎日飲んで胃腸を整える。そして……また強いジンを飲む(笑)。

 

2023/04/18

メルカリで・・・・を売る時代

メルカリでは何でも売れる、といわれているが、とうとう……。

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愛知県蒲郡市は、昨年からクリーンセンター(ようするに粗大・大型ゴミ集積場ですな)に持ち込まれた車いすや電子ピアノなどをメルカリで販売しているそうだ。また保育所などで使われなくなった子ども用の椅子8脚セットやトランポリン用遊具など63品を出品、その約7割が購入され、売上額は計8万4800円だそう。

そこに加わったのが、伐採木である。市の草木破砕処理施設に持ち込まれた伐採木約100キロを「メルカリ」内の「メルカリShops」に出品した。価格は1000円。伐採木は約半年間乾燥させており、約100キロを1セットとして出品。詳しくは書かれていないが、剪定木や支障木だろう。もしかしたら枯れ木もあるのかもしれない。ナラ枯れ木はないよね。自治体初とか。落札されたら、どうやって輸送するのか。輸送賃はどちらが負担なのか。遠方になったらバカにならない金額のはず。

基本的には薪用だろう。100キロで1000円なら安いから希望者はいるはず。ほかにも使い道はあるだろうが。

実は、私も実験的にメルカリでアカウント作って販売してみたことがある。しかし、結局、面倒くさい(^^;)。発送を自分でしなくてはならんし、そもそも売上金はポイントとして貯められるだけで、それを現金で受け取るには手続き手数料が高すぎる。結局、メルカリで購入に使うのがもっとも実利的なのだが、それってメルカリの思うつぼじゃん、と気付いてやめてしまった。

今回も蒲郡市は、売れた金額をポイントで受け取るのか。それなら何を購入するのか。

でもニュースになったから、売れるかな。

 

 

 

2023/04/17

Y!ニュース「花粉症対策が日本の森を破壊する」を書いた裏事情

Yahoo!ニュースに「花粉症対策が日本の森を破壊する」を執筆しました。

最初に告白しておきます。タイトルに「花粉症」をつけたのは、みんな注目してくれるだろうと思ったから(^^;)。

まあ、冒頭に触れた煽り発言「木造建築を増やせば増やすほどはげ山になる」というのが最大の隠れテーマかな。これまでも気候変動対策などを目的に掲げて木材生産増は行われてきたが、再造林は遅々と進まない。それっておかしいだろ、ということを指摘したくて、ちょうど最近のニュースである「花粉症対策にスギの伐採を増やす」問題をくっつけた。

まあ、わからずにやってんだか、わかってやっているんだか、何も考えずにやってんだか……。もはや 堂々巡り地獄巡り。林業界の地獄絵かもしれん。

『絶望の林業』の次のタイトル、思いついた。

『地獄の林業』。どう?

 

2023/04/16

バイオマス白書2023年版が公表

NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク(BIN)による「バイオマス白書2023」が完成しサイト版が公表された。

バイオマス白書2023 サイト版

ぜひ目を通すべし。

簡単に紹介すると、「はじめに」が、バイオマス発電の終わりの始まり? である。ちょっと抜き書きすると、

新しいものにチャレンジする際に失敗はつきものだが、着手前から無理があるとわかっている事業が、これまでも多数行われてきた。税金が投入されるのであれば、不適切な資金の使い方に対する責任は追及されるべきだと考えられる。

ヨーロッパでは再生可能エネルギー目標達成に向け、導入しやすいバイオマスが増加し、森林への圧力を高めていた。欧州委員会のシンクタンク、JRCのレポートは1.2億トンの木材が出所不明、と指摘しており、違法伐採木材などの事例が環境団体から告発されていた。

経済産業省は燃料種ごとのバイオマス発電燃料の温室効果ガス規定値を提示したが、輸入木質ペレットによる発電は、化石燃料による発電の30%以上を排出する(トピックス1 図2)。これは国際エネルギー機関(IEA)が提唱するパリ協定の目標達成のために必要とする電力一単位あたりの排出量(SDシナリオ)の2倍以上である。つまり輸入木質バイオマス発電では、パリ協定の目標を達成できないのである。

ちょっと聞き慣れない言葉もあった。

1. FIT/FIP制度の概要

2022年度から、売電収入に「プレミアム(補助金)」を上乗せした金額が売電事業者に支払われるフィード・イン・プレミアム(FIP)制度が開始された。また、FIT制度が認められる区分・規模においても地域活用要件が課せられるようになった。

2023年度から、一般木質バイオマス発電の区分は2,000kW~1万kWの規模ではFIPのみとなり、2024年度からは50kW以上の規模でFIPが選択可能となる。

なんと、FIT以上にプレミアム補助金が支払われるのだそう (@_@)。泥棒に追い銭か。

自慢ではないが、私は20年以上前からバイオマス発電のCO2削減効果は極めて薄く成り立たないと指摘してきた。それは論理的に合わない、という意味であったが、今や論理も何も、違法行為のオンパレコードで、むしろCO2の排出量を増やしながら進行している。そして、そこに税金が注ぎ込まれ、業者は大儲けしている有様だ。結局、短期的に業者だけが儲けて、実際にはCO2をまき散らし、自然も破壊して将来を潰している。

同じく批判が広がりだしたメガソーラーや風力発電は、問題はいろいろあるにしても、FITの切れる20年後もメンテナンスさえしていれば稼働し続ける。つまり発電できる。しかしバイオマス発電は、FITが切れた途端に燃料価格と売電価格が釣り合わなくなり、確実に行き詰まる。おそらく業者は発電プラントを捨てるだろう。廃墟として放置されるか、解体して鉄屑になるか。あるいは稼働を止めないように自治体などが際限なく補助金を注ぎ込み続けるか。(もちろん、CO2の排出量を増やしながら。)

こんなグラフも掲載されていた。

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私はカスケード利用の廃材以外のバイオマス利用は悪だと思っている。それも熱利用であり、発電なんぞは馬鹿げている。一体、現在の日本でどれほどの廃材が出るか。まったく大雑把な試算だが、せいぜい年間20万~30万立方メートルではないか。そのうち輸送エネルギーコストが引き合うのは何分の1か。つまりバイオマス発電所としては1、2基動かすのが精一杯の量しかバイオマスはないはずだ。それなのに。

かろうじて、脱炭素に意味あるかな、と思わせるのは、バイオ炭ぐらいか。これはバイオマスによって作られた炭、つまり木炭などを燃やすのではなく、土壌改良材などとして農地に漉き込むことである。土壌と混ざれば、その木炭は半永久的に炭素を固定したままとなる。もちろん農業にも貢献する。4パーミル・イニシアティブという考え方もある。

マツタケと4パーミル・イニシアティブ

ご参考に。

2023/04/15

古書街で大人買い

駆け足の東京行の、隙間時間に歩いた神保町の古書街。

農文協・農業書センターでも買い物をしたが、やはり古本屋も駆け足で覗く。

そこで発見したのだ。エライ本を。いや雑誌を。

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「探検」。ほう、こんな同人誌みたいなもの。と思ってパラパラめくったらエライものだった。何たって編集の中心者は今西錦司なのだ。そして刊行時期は、昭和17年8月。つまり戦争勃発時である。噂には聞いたことのある幻の雑誌なのだった。(正確な編集者は、発行元の朋文堂の新島章男)。

巻頭の記事は、「探検の前夜」とある今西の寄稿。そこには「『探検』が出版されるときいて私はうれしい。しかし私自身、その発行を見ずに探検に出掛けるのである。」と記されている。編集中ならこの年の春ぐらいか。

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ここで気付くだろうか。昭和17年の今西と言えば、大興安嶺山脈の探検に出発しているのだ。満州と蒙古の境界に広がるタイガ、針葉樹林の大秘境だったところである。ほとんど人跡未踏の地を戦争中に探検したのだから恐れ入る。

実際、3号にはこの大興安嶺山脈探検の手記が多数載る。執筆者は、今から見たらそうそうたるメンバーばかり。今西以外でも泉靖一、犬飼哲夫、加納一郎、吉良龍夫、梅棹忠夫、藤木九三……取り上げるのも探検論から探検史、技術、情報、そして地域もモンゴル、長白山地、極地、ニューギニア、ミニヤコンガ……なんと幅広いことか。

その中でも、私が「もしや」と探して見つけた記事と執筆者はこれ。

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執筆者の一人に土倉九三とある。そう、土倉庄三郎の孫だ。鶴松の子である。彼は、当時まだ18,9歳の学生なのだが、今西門下で探検に参加しているのである。

4冊で5000円。一瞬躊躇したが、ここで1冊だけというのも酌なので、ここは大人買い。今度は迷いはなかったよ。古書は、見つけたときに手に入れないと、次がない。店主も「これだけの上本が出てくることはもうないよ」と太鼓判。

ちなみに他の本も購入したから、結構高くついた……。

でも、記事を十分に読みこなせるかどうかはこれからだな。

 

2023/04/14

本日のいただき物

本日のミッションは、おいおい報告するとして、望外のいただき物。

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ジンである。「榊」とある。

和歌山の醸造所でつくられた。1969年創立のプラム食品株式会社が2019年5月に開設した「紀州熊野蒸溜所」である。この「榊」シリーズには何種類かあるようだが、その中でも最高級、桐箱入り。使われるボタニカルは25種に及び、南高梅、温州みかん、ジャバラ、三宝柑、イチジクとユズ、スダチ、山椒、わさび、生姜。それに加えて榊や柿の葉、そこに吉野杉も加えて作ったドライ・ジンだそう。

そもそも私のジン好きを知って、そこに吉野杉を使っているジンということでいただいた。

さっそく口を開けようかと思ったが、53度という高アルコールであるので、ちょっとストップ。体調を整えてから味わいたい(^_^) 。

ちなみに写真に写るアジサイは、たまたま私が生けたものがあったので一緒に撮影したのであって、ジンのボタニカルには使っていない。アジサイは毒を含むから、入れたら大変だ。

 

2023/04/13

農業書センターの陳列

突然、東京に来ている。ちょっとあわただしくしているのだが、それでも隙間時間に寄り道。それが農業書センター。

神保町で移転した新たな店舗に初めて入った。そこでも探すのは、やはり「山林王」だ。

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おお、一冊だけ。平積み。本を購入した後で、店員に「著者です!」と声をかけた。そして自分の本を示す。

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こうなった(^-^)。

「絶望の林業」売れました、とのことです。『山林王』を売ってほしいのだが。

 

 

2023/04/12

「本草綱目」とごちゃ混ぜの学問

このところ朝に早く目が覚める。年のせいか きっと夜明けが早くなり、光が差し込むからだろう。そうに違いない。しばらく布団の中で粘っても仕方なく起きる。すると、7時15分からBSで「あまちゃん」を見ることになる(^_^) 。

面白い。いやあ、何度目かになるのに新鮮だ。今のところ、本番の朝ドラ「らんまん」より面白い。

と言いつつ、本日の「らんまん」は別の面白さがあった。『本草綱目』が登場したのだ。中国の植物全書というべきか、正確には薬学書だろう。主に植物の利用について網羅している。完成は1600年以前なのだから、まだ江戸幕府も成立していない時期に1800種以上の植物を調べ尽くしたのだからすごい。そして日本は、それを明治になっても使っていたということからも、空前(絶後)の書物だったのだろう。

日本では、まず『本草綱目』に載っている植物が日本のどの植物かを決める「名物学」があったそうだ。(植物だけではなく動物も含む)当時は、中国にあるものは日本にもある、と思い込んでいた、地理的な植生の違いは想定外だったのではないか。つまり、現代の外来種問題も想定外だろう。

それでも日本独自の植物も発見してやがて「大和本草」(貝原益軒著)という本も出た。絵入りにもなった。さらに研究も進んで「本草学」へと進化したのだろう。日本の薬学書・植物図鑑というべきか。ただ私が興味を持つのは、植物を利用の観点から研究した本草学も、幕末頃にはより存在の面白さそのものを突き詰めた「博物学」へと発展していたことだ。そこには植物だけでなく動物、鉱物、そして妖怪まで含んだコレクション的な学問?になっていく。今なら生物学から岩石学、地質学、民俗学まで引っくるめたような世界。

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松山本草(森野藤助)

もちろん、明治になって西洋から近代科学としての「植物学」「動物学」「岩石学」「地質学」……あるいは「民俗学」「民族学」「文化人類学」などが導入されることで本草学は姿を消していくのだが、博物館という言葉は残されるように、何か魅力的。

私としては、もっと「博物学」を現代に蘇らせられないかと思う。だって、楽しいもの(^_^) 。学問というよりオタクのコレクションと観察日誌みたいで、好奇心だけの世界だ。植物学も、さらに分類学や生理学、生態学へと細分化されていくのだが、それは研究者に任せて、もっと広く全部ごちゃまぜの自然に対する興味を包含する学問分野があってもよいと思う。それが学問かどうかもわからないが……。牧野富太郎は、まさに本草学から入って、博物学を飛び越えて植物学、そして植物分類学へと発展させたのだろう。

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和州吉野郡中物産志(畔田翠山)

実は幕末に現れた紀州藩の畔田翠山は、全国を歩いて本草学を究めた巨人だが、その書物をひもとくと、植物以外も多く登場する。多いのは魚類だが、昆虫もいるし、さらに動物も登場する。オオカミとヤマイヌは別になっている。ツチノコも記載がある。さらに山女なども記されているから、その頃は妖怪もいたのだろう。。。。

それは本草学から博物学へと進んでいるのだが、なかには植物の生える環境を記したものもあって、もう一歩で生態学へと発展したのではないか、と思わせる記述もある。興味は高まれば学問に昇華する。私は、勝手に牧野富太郎がやりたかったのは博物学だったのではないかと思っている。それが植物分類学へとオタク度を強めていったのではないか。

でも、素人の楽しめるごちゃ混ぜの博物学も残しておいてほしい。

 

2023/04/11

街路樹の脇の紫の花

奈良県内を車で走っていて、とある住宅街を通り抜けたのだが、信号待ちしている際に目に入ったのがこれ。

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街路の植樹桝に植えられているのは、多分ナンキンハゼぽいのだが、その下はなんだろう。ツツジのような低木が植えられている。が、気になったのは、その中に見えるフジ色の草花。単なる雑草??? にしては、かなり旺盛に繁茂している。

ヘアリーベッチだ。和名ナヨクサフジだが、ようはマメ科の外来種で、雑草対策の被覆植物として重宝されている。耕作放棄地に生やすと、背の高い草木が生えなくなるのだ。アレロパシーが強いから多種を寄せつけない。しかもベッチそのものは夏には枯れる。また蜜も採れるから養蜂家が積極的に植える動きもあった。最近は河川敷に増えているので、外来種だから余計に問題になっていたのだが。私もYahoo!ニュースに記事を書いている。

超有用な外来植物の野生化が進む……日本の自然に影響はあるか

花が多く咲くから蜜量も多い。レンゲが各地で壊滅している(外来害虫のため)中、ヘアリーベッチは代替になるんじゃないかと言われている。私も、そんな有用性は認めつつも、分布の拡大が急速に拡大していることに憂慮する。

何しろ外来種。そして他の種を蹴散らす。繁殖力も強い。つまり生物多様性を奪って、自らだけが大増殖する可能性がある。耕作放棄地なら、もともと放棄されている土地だが、街路にまで増えだしたら、今後個人の庭や公園にも侵入してくるだろう。その時に排除できるか?

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これまでは河川敷などが多かった。種子が上流から流されて来るケースもあるのだろう。だが、狭い街路の植樹桝まで増えてくるとなあ。かなり危険な予感。そのうち街路樹の彩りはヘアリーベッチになるかもしれない。どうする?

2023/04/10

高額本を買うまでの軌跡

先月末、ヒマにあかせて?大阪で開かれた「毒展」に行った。古今の毒に関する展示……ということだったが、つまらなかったのなんの。小さな見本とパネル展示だけかよ。。。

ま、それはよいとして、帰りに一杯飲んでからジュンク堂書店に寄ったのだが、そこで見つけた本がある。おっ、と手にとる。日本の植民地だった台湾、朝鮮半島、樺太、満州の森林開発の事情の研究書だ。本土の森林政策にも触れている。面白そう。今調べていることにも直結する資料にもなる。分厚いけど、買うか……と裏返して価格を見ると。

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5400円+税。つまり5940円 (@_@)。ほぼ6000円!

まてまてまて。。。。。毒展でも安くはない入場料だったし、その後のお酒でも金を使っている。そこに6000円? これは衝動買いするには厳しい。だいたい自宅に買って読んでいない本が何冊、いや何十冊、いや何百冊あると思っているのか。いや、しかし。

一度は棚にもどす。で、また手にとる。自分の特に読みたいページを探る。ざっと50ページか。全体の8分の1じゃねえか。そこに6000円払えるか? また棚にもどす。いやしかし。落ち着け。

隣の棚には『山林王』も発見するのだが。この本、『山林王』を2冊買ってもおつりが来るぞ。

さて、どうする。また手にとる。少し読む。このまま立ち読みで済ませるか。そりゃ無理だな。図書館にでも入ってくれたらいいが。発売日を見る。今年の2月20日だった。1刷。まだ図書館には入っていないだろうな。いつ購入してくれるかどうかわからん。ずっと先になるだろう。

書店内を歩き回ってほかの本も見る。それぞれ興味のわく本はあるのだが。だが。また元の棚にもどる。落ち着け。

震える?手で本をとる。さて、決心するか。

まてまてまて。その時は酒を飲んでいた。酔っぱらった頭で決断するのはマズいのではないか。後々後悔する可能性はあるぞ。

落ち着け。

ふと、閃いた。来週、また大阪に出るではないか。その時は酒を飲んでいない頭で判断してもよいのでみないか? クールダウンさせた頭で改めて本を手にとってから決めるべきだ。衝動買いばかりして、積ン読にしてはまさに毒だ。

ようやく落ち着いて、書店を出た。急いで買い求めないでもよい本だからな。うん。我ながら見事な決断だ。無駄を省いて生きるのだ。

……という段取りを踏んで、帰路についたのであった。

そして、昨日がその日であった。

買った。「帝国日本と森林」 勁草書房 中嶋弘二編著(執筆者は7人)

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この日は思い切り散財するノダ\(^o^)/。

もちろん読みます。絶対に読みます。全ページではなくても。台湾だけでも。樺太・北海道も興味ある。戦前の日本の林政を知るにもよさそうだ。払った金額が読書を後押しするよ。

皆さん、この本に比べたら『山林王』なんて安い本だよ。きっと内容は同じぐらい濃いしヾ(- -;)。

 

 

2023/04/08

「フィンランドの森林ムーブメント」に、なんと!

ふと目についた「フィンランドの森林ムーブメント 罵倒や脅迫に若き気候活動家はどう対応」という記事を読む。

もはや私はフィンランド・オタクと化していて(笑)、フィンという単語が出たら反応する。そこに「森林」もくっついているのだから、飛びつかないわけはない。

この記事は、フィンランドの森林保護や気候活動家の現状を紹介していて、どうやら罵倒や脅迫を受けることが多いらしいのだ。日本でも環境関係の運動には白い目を向ける人は少なくないが、より北欧では直接的で激烈な様子だ。

で、目を通し始めてびっくり。私の名前が出てきたから (゚o゚;) 。

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ここで引用されているのは、この記事。

フォレストジャーナル「フィンランド林業の光と陰【後編】国内で反対運動? 不振の日本林業は何を学ぶべきか」

フォレストジャーナルの記事だ。これは後編で、前編ではフィンランドのDX林業を取り入れていて、いかにフィンランドの林業は進んでいて成功しているかを紹介した。だが、その成功の裏にあるもの、いや成功したからこそ発生した事態を後編で取り上げた。そこに現実のフィンランドの森林の実情や伐採反対運動の展開を紹介した。

もちろんネタ元は『フィンランド 虚像の森』である。本書は、フィンランドで出版された『私たちの後の森』の翻訳だが、原著はベストセラーになり文学賞も受賞している。当然、北欧では広く知られているだろう。なんでも出版後にスウェーデンでも同種の本が出たという。つまりスウェーデン林業も同じような森林破壊が進んでいるのだ。
いずれにしても、そうした事態が進行していることは地元でもあまり知られていなかったらしい。ましてや北欧林業を「成功のロールモデル!」と信じ込んで奉っている日本の林業関係者のほとんどは知らなかったはず。その意味で本書は北欧のイメージを撃つ書となった。

同時に、この問題に取り組む地元の活動家もいることは本書にも登場するからわかる。このYahoo!ニュース記事は、そうした活動家の身に起きていることを紹介している。なかなか厳しいバッシングがあるようだ。その点は日本より激しいかもしれない。思えば日本の場合、森林保護を訴えたとしてそれ自体を反対する人はそんなに多くはないだろう。「そりゃそうだけど」程度であり、単に市民運動を毛嫌いする人や自分の生活には関係ない、と無関心なレベルではないか。
しかしフィンランドでは、森林保護は林業の否定に結びつきがちで、自らの生活を否定されたように感じるのかもしれない。それは日本より林業が身近だからだろうか。

こんなフレーズもある。

「活動家はメンタルヘルスを崩す人もおり、問題視されています。燃え尽き症候群になる人もいます」
「森林は感情的になってしまうトピックですしね。」

森林は感情的になるトピックか。言い得て妙だ。そう、論理的ではなく感情的に反応するのだ。私も、最近は燃え尽き症候群かな(笑)。別にバッシングは受けていない(気付いていない?)けど、森林状況は悪化の一途で好転の気配が見えない。暖簾に腕押し的な気分になり、発信すればするだけ体力気力を消耗する……みたいな状況。

ちなみに、対処法もたくさん並んでいるが、刺さるのはこれ。

森林の中で時間を過ごす

その通り!(笑)
ちなみに、この記事の筆者は、鐙麻樹さん。肩書は、北欧ジャーナリスト・写真家・ノルウェー国際報道協会役員となっている。
そういや何年か前にノルウェーに行った際、向こうで現地の建築家にインタビューしてくれと言われ、ノルウェー語はわからんし、英語だってトラベル英語レベルだから、インタビューは無理、誰か通訳を雇おう、でもノルウェーに知り合いはいないよ……という時に、鐙さんの記事をよく読んでいたのでこの人に依頼できない? と考えていたことを思い出した。結局、別の理由でインタビューの件は解決したのだが、逆にちょっと残念でもあった(^_^) 。オスロに行きながらムンク美術館に行けなかったことと並んで心残り。
やっぱりフィンランドに行きたいなあ。ノルウェーもスウェーデンもデンマークもアイスランドも。北欧マニアか(^-^)/ 

スギのCO2吸収能力

昨日は森林総研だったので、今日は東京大学(笑)。

スギ林は30分ごとに、しかも1年で、どんだけ二酸化炭素を吸ってるのか  

発表のポイント
日本の森林の代表的樹種であるスギの森林スケールの光合成・蒸散速度を年間を通じて観測しました。
一枚の葉の光合成反応から森林と大気との間での二酸化炭素の乱流拡散までを再現する精緻なコンピュータ・シミュレーションモデルを作り、観測データと比較しました。
シミュレーションモデルによる計算実験で、スギ林の二酸化炭素吸収のメカニズムが明らかになりました。例えば、冬に葉の光合成能力が落ちるのは、年間を通じてスギ林の生産性を保つためには必要不可欠であることを解明しました。

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この図を見ても、なかなか理解しづらい。フラックスとはなんぞや、から考え込んでしまう。

これ、実はYahoo!ニュースに書けないかと思って論文を読み込んだのだけど、途中で挫折した(^^;)。結構複雑で専門的で難解で地味。ちょっと一般向きではないかなあ。

しかし日本の全国土面積の12%が、「スギ」に覆われているという最初の指摘は大きい。国土の1割以上、森林の2割近くが1種の樹木なのだ。そのスギが大気との間で、二酸化炭素と水蒸気をどれくらい、どのようにやり取りしているのかを明らかにする研究である。

結果として、ヘクタール当たりの年間炭素吸収量・蒸散量は、観測値でそれぞれ5.6炭素トン・875 mm、計算値で7.5炭素トン・884 mmとなった。ちょっと差があるので、どちらを採用すればよいのだろう。また素人には多いのか少ないのかわかりにくい。ほかの樹種、とくに天然林のような多様な混交林の数値と比較してほしいところ。

結論としては、年間を通じてほとんど葉の光合成能力や葉量が変化しないように見える常緑針葉樹のスギであっても、その季節変化、特に冬の低温による光阻害に対する防御機構を考慮しなければならない……ということのようだ。誰か、優しく解説してくれないか(^_^) 。

なお、論文本体は、こちら。

Implications of seasonal changes in photosynthetic traits and leaf area
index for canopy CO2 and H2O fluxes in a Japanese cedar (Cryptomeria
japonica D. Don) plantation




2023/04/07

シカ生息数の増減を決めるのは何?

森林総合研究所の研究発表に、

ニホンジカの過去10万年の個体数増減を解明 人間の捕獲による管理が増減を決める

というものがあった。獣害の中心となっているシカの生息数の増減を調べたものである。それが過去10万年も遡っているのでびっくり。しかも方法はDNA解析だというのだ。なぜDNAから生息数がわかるのかという点については本文を読んでいただきたい。まあ論文そのものは英語なので、いよいよわからんのだが……(^^;)。

ともあれ結果、現在のシカの数は、過去10万年間で最⼤、あるいはそれに近い⽔準まで増加しているのだという。

北海道の有効集団サイズは、約2000〜3000年前と明治時代以降に⼤きく増加し、現在は過去最⼤の⽔準と⽐べるとやや少ないと推定されました(図)。⼀⽅、兵庫県の有効集団サイズは、約8万年前、約1500年前、及び明治時代以降に増加し、現在は過去最⼤の⽔準となっていると推定されました(図)。さらに、これらの増加したタイミングの多くは、⾷料としてのシカの利⽤が減少した時期や禁猟により捕獲数が減少した時期と⼤まかに対応する⼀⽅、気温や降⽔量が⼤きく変化した時期やオオカミが存在していた時期との関係は明確ではありませんでした。

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推定されたシカの有効集団サイズ(上段は北海道、下段は兵庫県の結果。左列のグラフは過去400年までの推定値を示す。右列のグラフは400年前から10万年前までの推定値を対数表示で示している)。いずれも、左ほど現在に近くなる。

そして、
シカが過去に⼤きく増加したタイミングの多くは⼈間による捕獲圧が低下した時期と⼀致していた
気温や降⽔量の変動やニホンオオカミの絶滅とは関係が明確ではない
シカによる影響を許容範囲に収めるためには⼈間による継続的な捕獲が重要であることを歴史的な観点から⽰した(人間によるシカ管理が必要)

と結論づけている。

ええと、内容に異論をつけるほど私も詳しく考察したわけではないのだが、シカの増減が人間の捕獲圧で決まるというのは、ちと疑問。

銃や車を持たない時代、シカの捕獲圧が今より強かったようには思えないのだ。とくに江戸時代は肉食も広がっていなかった。いや、その後もシカ肉需要は大きくなったことはない。やはり食うならイノシシかブタ、ウシだろう。捕獲は、あくまで獣害対策であったはずだ。

私の感覚では、人が与えた影響は、捕獲以前の生態系破壊ではないかと思う。森林をなくしたり疎林にしてしまえば、シカの生息条件は悪くなる。見通しがよければ狩猟でも逃げ場がなくなる。直接の捕獲よりも、その方がシカの生息数に甚大な影響を与えると思うのだが。すると現在の森林は、10万年間でもっとも健全ということになってしまうか。

ちなみに私が奈良のシカのことを調べた際に、実は江戸~明治の春日山原始林はかなり傷んでいて、スカスカ状態であったらしい。だから、ナラシカも今ほど生息数は多くなかった。春日山は神の山でナラシカは神の使いだから狩猟なんかとてもできない(でも、薪炭をとったり焼き畑は行われていたらしい)から捕獲圧はなかったはずだ。

いっそのこと、森林をどんどん破壊するのが、シカを減らすのに有効ではないかなあ。

ちなみに シカ個体数を減らすにはメスの捕獲が効果的

こんな研究もあるよ。

シカ生息数の増減を決めるのは何?

森林総合研究所の研究発表に、

ニホンジカの過去10万年の個体数増減を解明 人間の捕獲による管理が増減を決める

というものがあった。獣害の中心となっているシカの生息数の増減を調べたものである。それが過去10万年も遡っているのでびっくり。しかも方法はDNA解析だというのだ。なぜDNAから生息数がわかるのかという点については本文を読んでいただきたい。まあ論文そのものは英語なので、いよいよわからんのだが……(^^;)。

ともあれ結果、現在のシカの数は、過去10万年間で最⼤、あるいはそれに近い⽔準まで増加しているのだという。

北海道の有効集団サイズは、約2000〜3000年前と明治時代以降に⼤きく増加し、現在は過去最⼤の⽔準と⽐べるとやや少ないと推定されました(図)。⼀⽅、兵庫県の有効集団サイズは、約8万年前、約1500年前、及び明治時代以降に増加し、現在は過去最⼤の⽔準となっていると推定されました(図)。さらに、これらの増加したタイミングの多くは、⾷料としてのシカの利⽤が減少した時期や禁猟により捕獲数が減少した時期と⼤まかに対応する⼀⽅、気温や降⽔量が⼤きく変化した時期やオオカミが存在していた時期との関係は明確ではありませんでした。

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推定されたシカの有効集団サイズ(上段は北海道、下段は兵庫県の結果。左列のグラフは過去400年までの推定値を示す。右列のグラフは400年前から10万年前までの推定値を対数表示で示している)。いずれも、左ほど現在に近くなる。

そして、
シカが過去に⼤きく増加したタイミングの多くは⼈間による捕獲圧が低下した時期と⼀致していた
気温や降⽔量の変動やニホンオオカミの絶滅とは関係が明確ではない
シカによる影響を許容範囲に収めるためには⼈間による継続的な捕獲が重要であることを歴史的な観点から⽰した(人間によるシカ管理が必要)

と結論づけている。

ええと、内容に異論をつけるほど私も詳しく考察したわけではないのだが、シカの増減が人間の捕獲圧で決まるというのは、ちと疑問。

銃や車を持たない時代、シカの捕獲圧が今より強かったようには思えないのだ。とくに江戸時代は肉食も広がっていなかった。いや、その後もシカ肉需要は大きくなったことはない。やはり食うならイノシシかブタ、ウシだろう。捕獲は、あくまで獣害対策であったはずだ。

私の感覚では、人が与えた影響は、捕獲以前の生態系破壊ではないかと思う。森林をなくしたり疎林にしてしまえば、シカの生息条件は悪くなる。見通しがよければ狩猟でも逃げ場がなくなる。直接の捕獲よりも、その方がシカの生息数に甚大な影響を与えると思うのだが。すると現在の森林は、10万年間でもっとも健全ということになってしまうか。

ちなみに私が奈良のシカのことを調べた際に、実は江戸~明治の春日山原始林はかなり傷んでいて、スカスカ状態であったらしい。だから、ナラシカも今ほど生息数は多くなかった。春日山は神の山でナラシカは神の使いだから狩猟なんかとてもできない(でも、薪炭をとったり焼き畑は行われていたらしい)から捕獲圧はなかったはずだ。

いっそのこと、森林をどんどん破壊するのが、シカを減らすのに有効ではないかなあ。

ちなみに シカ個体数を減らすにはメスの捕獲が効果的

こんな研究もあるよ。

2023/04/06

古絵葉書から植生を読む

友人のカメラマンから生駒山のケーブルカーの絵葉書 (の写真)が送られてきた。おそらく戦前、100年ぐらい前ではなかろうか。
生駒のケーブルカーは、大正7年(1918年)開業。日本最古のケーブルカーである。複線であることも日本唯一ではなかったか。(正確には、近鉄生駒鋼索線と呼び、宝山寺1号線、2号線と分かれていたはず。)写っているのは宝山寺線で、宝山寺駅で乗り換えて山頂までつながる山上線が単線で存在する。開業時は参拝客と山上遊園地客を運んでいたが、今や日常はほとんど通勤線になっている。それほど宝山寺の周りに住宅が建ち並んだ。

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私が気になるのは、鉄道より背景の植生だ。どうやらマツが多い。木も密度も低そうでスカスカに見える。生駒山は、江戸から明治にかけて草山だった記録がある。樹木がなく草ばかりだったのだ。薪炭や肥料として草を生やしたのだろう。大正年間は、徐々に樹木が生えてきた頃か。

撮った場所はわかるが、今とはかなり違う。同じ場所から撮ってみようと思ったが、すでに住宅が建ち並んでいるから無理か。

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近いところでは、こんな感じ。踏切がある。今は住宅ばかりが目立って植生は目に入りづらいが、どうも竹林が多い。マツから落葉樹、照葉樹に移り変わった……と言えたら教科書的でよろしいのだが、実際は飛び越えて宅地化と竹林化が進んでいる。

そういや、アニメ「コクリコ坂から」には横浜の山の手の景観が描かれていたが、マツばかりだった。終戦間もない頃は、そうだったのだろう。それをしっかり描くとは、なかなかのこだわりだと思った。戦前の生駒を舞台にアニメを描くときは気をつけてね……って、そんな作品、誰がつくるんだろうか?

 

2023/04/05

書店の棚とカテゴリー

大坂のジュンク堂書店難波店を覗いてきた。

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ありました。4冊。感謝(^人^)。何冊入荷したのかわからないが、多少は売れているようだ。

ただ、これは「森林学・林業」の棚なんだね。ここには私の本がいつも並んでいるから有り難いのだが……。『山林王』は、内容的には森林学というよりノンフィンクションや伝記コーナーだと思うのだけど。調べたところ難波店の在庫は4冊だから、全部この棚にあるなあ。こっそり動かすわけには行かないし。

ぜひ探すときは、こちらのコーナーにも。店員への声かけもしようかと思ったが、周りに誰もいない。

そういや、Amazonの場合は『山林王』を自伝・伝記カテゴリーに分類している。それはそれでよいのだが、自伝・伝記カテゴリーにはアイドルの写真集とか芸能人、著名人のエッセイ、さらには体験的ハウツー本(ダイエットとか)まで含まれるので、順位が上位に来ないのだよ……。こちらもノンフィクションのカテゴリーにも入れてもらえんのだろうか。

ちなみに楽天の場合は、「人文・思想・社会」とか「歴史」「伝記」と3つのカテゴリーに入れている。紀伊国屋webでは、ノンフィクションその他。

難しいなあ。棚やカテゴリーの分類は難しい。

 

2023/04/04

人気?カレリア応用科学大学は大学にあらず

フィンランドがNATOに加盟したかと思えば、その立役者にして人気の若きマリン首相が選挙で敗北、どうやら退任する模様だ。なかなかフィンランド情勢は複雑で目が離せない。

まあ、そんなことを思うのも昨年発行の『フィンランド 虚像の森』のおかげなのだが、最近もう一つ注目株としてカレリア州がある。フィンランド読みではカルラヤのはずだが。この州には、どちらも森林林業研究機関がいろいろあるらしい。とくに注目株はカレリア応用科学大学。すでに本ブログでも昨年こんな記事を書いている。

林業でフィンランドブーム?  

そこでは北海道の北の森づくり専門学院が、北カレリア県のリベリア林業専門学校と提携しており、また長野県と伊那市に北カルヤラ県とカレリア応用科学大学から視察団を受け入れたとある。

このカレリア(カルラヤでなくていいの?)応用科学大学が、今度は日本福祉大学と大学間連携協定を結んだという。福祉大学がなぜ森林系の大学と?と思うが、どうやら木造建築関係らしい。なにやら引っ張りだこ。

カレリア応用科学大学(フィンランド)との大学間連携協定の締結 

2023年3月23日(木)、日本福祉大学とカレリア応用科学大学(フィンランド)は木造建築における研究・開発・イノベーションの協力・発展に関する協定を締結しました。

フィンランドは、建築や工学分野においても「持続可能な林業の推進」や「建築物の木造化・木質化の実現」に成功した国として有名です。近年、日本においても国産材の活用先として高齢者福祉施設や保育施設、学校施設などで積極的に木造化・木質化に取り組まれています。

 「最先端の環境建築」、「自然と共生した都市デザイン」、「先進的な林業」に関するフィンランドの知見を活用することにより、健康科学部福祉工学科(建築バリアフリー専修)の教員、学生への実践的な知識・経験の蓄積が期待されます。

 

なおフィンランドでは大学と応用科学大学は別である。いわば実践的な職業教育大学ということなのかな。日本で言うところの大学校とか高等専門学校である。大学と名がつくので勘違いしてしまう。在学中から起業する学生もいる。日本で提携するのは、林業大学校であるのもそのせいか。福祉大学は別だけど。

まあ、日本でも地方大学には、実学と就職口を売り物とするところも多いから、そんな大学はカテゴリー的には応用科学大学なのかもしれない。

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カレリア応用科学大学、かな?(Googlemapより)

別に腐すつもりはないのだけど、基礎研究より応用科学という実学を求めるのは日本の高等教育界隈の風潮だろうか。実学実学と言えばいうほど未来を狭めるように思えるのだけど。

2023/04/03

木製時計を愛した末路

これまでも本ブログで幾度か紹介してきたが、私は木製時計を愛用している。軽くて肌触りもよく、見た目もスタイリッシュ?で、お気に入りだ。

が、常に情けない思いにさせられている。

とにかくトラブルが多い。まず故障する。とにかく木製のバンドの止める部分が割れるなどして切れてしまう。これは〇国製だからだろうと、次は日本のメーカーに注文すると、中国からの宅配便で届く (゚o゚;) 。そして意外とマシンの故障も多い。今どき、液晶時計など滅多に壊れないのに、ゼンマイ式か? と唸りたくなる。それでもメーカーが半端な安物使ったんだな、とムカつくしかないが、肝心の木製バンドが不都合起こすなど、木製時計の時計たる由縁の部分も怪しい。

そこで価格やデザインだけで選ばず、メーカーブランドもこだわりだした。木製時計の老舗メーカーならいい加減な製品ではあるまい……。ただ日本製は絶対にダメ(-_-;)。中国製は問題外。イタリア製はなかなかよかった。が、最終的にバンドが外れてつなげなくなった。そこで今はアメリカのTruWoodにした。これはよい。数年間まったく問題なし。

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が、昨日急に針が止まった。

これは故障ではない、電池切れだ。そう判断して、時計店に持って行った。

すると店長が念入りに点検する。そして「ネジが壊れていますね……」。

えっ、と見せてもらう。裏の天板を外す(その中に電池がある)には、4つのネジを外さないといけないが、どれも錆び付いているのか外れてなくなったのか。「プラス(+)ドライバーでは開きません」。

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「多分、安い金属ネジを使ったか、空気に触れる前のステンレスネジをねじ込んだか。これを修理するには本社工場に送らないといけませんが、木製となると直せるかどうかわかりません。ネジを受ける金具も設置せず木材に直接ネジをねじ込んだ場合は、取り外すと壊れる恐れがあります」。

……ようするに、電池交換は無理だろうということか。しかも、これは本機の欠陥というよりは木製時計全般の欠点である可能性が高い。なんと、木製時計は電池交換できない? そこそこの価格をしたのに、電池寿命2年くらいでオシマイなのか。

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ちなみにもう一つのTruWood木製時計。こちらも調べてみると、ネジが錆び付いていた。こちらはまだ動くが電池が切れたら寿命か。

どうしようかな。木製時計、もう使用するの止めようかな(泣)。ちなみにTruWoodは、木製時計を1台購入するたびに10本の木を植えます、と宣言している。これも私が選んだ理由なんだけど、木を植えても時計は次々と買い直さなくてはならないなんて、どうよ?

いっそTruWoodで金属製時計を買うか(爆)

 

2023/04/02

古代建築復原のジレンマ

昨日に続いて、平城宮跡歴史公園のお話。

紹介した通り、平城京時代の宮城の建物復原工事が進んでいる。これは文化庁事業だから、国の金で奈良の名所を作ってくれるのだから有り難い。

その復原には、なかなかのこだわりがあって、何より当時の建物に忠実に再現しようとしている。と言っても設計図が残っているわけではないので、どうしても想像が入る。そもそも、どんな建物の形状だったかさえ記録がないのだ。

そこで数少ない文書の記録を元に、発掘調査の結果や奈良時代の建物が残っているところ(たとえば唐招提寺とか)、あるいは中国の寺院などを参考にしつつありうべき姿を想像する。そこには建築技術やデザインの研究もあって、この復原を通して建築の歴史なども解明していこうという試みでもある。

Photo_20230402171101朱雀門

2_20230402171101大極殿

6_20230402171101大極殿南門

現在は、南門の隣の東楼を建設中。そして建築だけではなく、その素材や加工道具も重要となる。縦ノコはないし、カンナもない。

使用された木材は考古学的にヒノキとしている。太さは80センチ程度。私は、おそらく1メートル以上はあったと思うのだが、それでは現在は木材が集まらないからこのぐらいに想定したのだろう、と思っている。面白いのは、背割りをしないこと。

通常、丸太をそのまま乾燥させたら縦に裂けるので、先に背割りを入れることで防いでいる。が、奈良時代は背割り技術がなかったとされているからだ。だから、ゆっくりじっくり乾燥させて、なんとか裂けないようにしている。(でも近くで見ると、小さな割れがいくつか入っているよ。)

ここまで、忠実にしようとしているのだが……。実は決定的な問題があるのだ。

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建築現場の説明版。よく見てほしい。筋交いとか、耐震壁とか、免震装置、そして構造補強鉄骨フレームという言葉が登場するだろう。耐震壁というのは、だいたい厚物合板。免震装置はゴムや金属バネ、そして土台はコンクリートだ。もちろん奈良時代にあるわけない。

実は私も以前取材で合板や免震装置などを見学している。合板は外材製ぽかったなあ。

なぜなら、奈良時代そのままの建築だと建築基準法違反になるから。というよりも、危険すぎるから。ひ弱なのだ。だから見えないところに、こうした装置を組み込んで強度を確保している。

古代の建築技術はすごい! といって喜んでいる建築家もいるんだが、そんなことない。当時は極めて耐震も耐火も弱かった。おそらく直径1メートル以上の巨木を使うことで、重さと太さで強度を確保していたのだろう。それでも、危ない。実際、奈良時代の大仏殿は、建ててしばらくして傾いたり軒が落ちたりしている。

それにしても、古代の建築デザインや大工道具までこだわりつつ、鉄筋やコンクリート、合板を使わないと復原できないというのは、ジレンマだねえ。

2023/04/01

樹木をこの形に剪定したわけ

まだまだ仕事がなく、のんびりしております(^^;)。

というわけで、散歩をせっせとしているわけだが、こんな場所を知っているだろうか。

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直径80センチから1メートルくらいかな。みんな円柱形に何十本も並んでいる。それもキッチリ列になっている。こんな剪定の仕方はアリか。何を意味しているのか。

さて、どこの公園か。奈良県民なら、ああ、と思うかもしれないが。

ヒントは、背景に小さく写っている建物。……そう、大極殿だ。

そう、ここは平城宮跡公園。徐々に奈良時代の都の建物を復原しているのだが、とにかく広い。そして、建物の遺跡の数も多数。とりあえず表面だけ発掘して、礎石などは見つかっているが、本格的調査はまだの場所が山ほどある。

人も、青空の桜のシーズンだけにかなり多く来ているのだが、広いから(笑)、全然目立たない。みんな桜の樹の下に点在しているだけみたい。130ヘクタールだからなあ。

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さて、円柱は、かつての建物があった場所の礎石のある場所を示している。つまり、昔は、ここにこんなぐらいの柱が建っていたんだよ、と示しているのだ。すべての建物を復原できないし、こうして樹木で示しているのだ。それが、なかなか公園の絵になっている。

ここを歩いていると、鬱屈した気分も、少し晴れるよ。

 

 

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