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2023/04/30

『やらせと情熱』の真実

このところ読んで、もっとも面白かった本は、「やらせと情熱 水曜スペシャル『川口浩探検隊』の真実」(プチ鹿島著)だった。

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知る人ゾ知る番組、水曜スペシャルの「川口浩探検隊」。このタイトルを聞いただけで、知る人は心ときめく(笑)。いや、顔をしかめる人もいるかなあ。私もどちらかというと後者だったのだが、本書を読んで前者に鞍替えした。

知らない人向きに言えば、ようするに各地秘境に川口浩という俳優が探検に出かけて、そこで驚くべき真実に出会うという……。怪獣発見、原人登場、未開民族の部落に邂逅。あるいは謎の洞窟の奥深くへ潜り、温泉につかるとか。古代遺跡にもぐりこむとか。

こんな探検分野はもっとも好きなテーマでありながら、その描き方に「それはないだろ!」とか「そんな馬鹿な!」とか。ありえねえ~とツッコミを入れながら見る番組であった。

私としては、マジメに探検を追及していたお年頃だったので、そんな描き方に顔をしかめていたのだが、それで見るのを止められない。もはやツッコムのが目的で見るのである。(なお本書は、水スペの後番組的な「プレゼンター」も取り上げている。ここでも洞窟だ怪獣だ、徳川埋蔵金だとやっていた。)

その内側をルポした作品だ。何か際物ぽくある(著者だって芸人だしね)が、これ、かなり本格的に取材をしたノンフィクションである。しかも終極には、「やらせとは何か」と「ある時期のテレビ業界、テレビ業界人の姿」を赤裸々に描く。その点からも評価は高い。

本書にはある。「もともとドキュメンタリーとは一言も謳っていない。エンターテイメントだ」。

なるほど。そこまではわかる。が、仰天したのは「モデルはインディ・ジョーンズだった」と企画したプロデューサーの言葉。そうなのだ、インディ・ジョーンズの映画を真似てつくっていたのだ。まさにドラマ、フィクションなのであった。

ここで具体的な番組の裏側については語るまい。あえて私との関わりに触れておく。

この探検隊は、よく洞窟探検をした。私も同時期にケイビング、つまり洞窟潜りをしていたので、重なる対象もあって、本当の洞窟の状況などを知っている場合も多々あった。また出演者、つまり探検隊員の何人かはケイビングつながりの知り合いでもある。だから撮影の時の裏話もたまに聞いており、それが純な(笑)私にとっては腹立たしい。探検を馬鹿にするな、やらせをするな、と怒っていたのである。

また本書にも登場するニューギニアの孤島の湖にいるとされる怪獣ミゴーは、私も探検に行っていた。ただ現地ではミゴーとはトカゲのことで、怪獣はルイである。これは拙著『不思議の国のメラネシア』にも記している。

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そしてソロモン諸島のシンボ島の火山洞窟に行った後に、水スペのスタッフから電話がかかってきた。これを番組にできないかというわけである。私は派手な演出は仕方ないが、嘘はやめてくれ、本当にあった通りに洞窟を描いてくれ、と注文を付けたら流れてしまったようだワハハ。

ともあれ、懐かしい気持ちに浸れる本であった。連休前に読み終えているが、また手にとるか。

 

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コメント

プチ鹿島さん(オヤジジャーナル?)の
川口浩探検隊を取り上げた双葉社の本
同業者の文春オンラインが
この本を一部紹介しながら
5ページ(5ページ目は写真なので記事は4ページ)のネット記事を
さらに後編もあって、計10ページ

番組のネタばらしを考えていたら
探検隊長の川口浩さんが病気、亡くなり
ネタばらしはうやむやになった話など

文春オンラインでダイジェスト版を掲載していましたか。

最後、本当に「インディ・ジョーンズ」のようにフィクション化する予定だったのに川口さんの逝去で立ち消えになったのは残念でした。フィクションと思えばつっこまずに見られた(笑)。

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