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森と林業と田舎の本

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2023/05/29

花粉症対策の伐採と土倉の植林

土倉庄三郎は生涯に1800万本の苗を植えたという。年平均30万本だ。これを面積に換算できないかと思って計算してみた。

吉野で植えるとしたら、ヘクタールあたり1万本植える密植である。実際は全国で植えているが、それに準じたと考えると植えた面積は1800ヘクタールになる。ただ記録に残るだけでも吉野以外に数千ヘクタール植えているから、少なすぎる。吉野外は疎植だったのかもしれない。
またこれは自身で植えた山(借地含む)だけだから、各地の篤志家に山林経営を進めて山を買わせ、そこに植林を進めた分もある。たとえば三井家や山県有朋なども庄三郎の勧めで山を所有した。それらを含めたらもっと行くはずだ。

これだけ木を植えた人物は、世界に果たして何人いるだろうか。宮脇昭氏は世界中で3000万本とか言っているが(^^;)。

そんなときに、政府の花粉症対策案とやらが出てきた。

花粉発生量、30年後に半減  農水省対策案、10年で人工林2割伐採

花粉症の発生源であるスギの人工林を10年間で2割ほど伐採し、30年後に花粉発生量を半減させることを目指す。花粉の少ないスギの苗木やスギ以外の木への植え替えも進める。

これは何ヘクタールになるのか。年次ごとに若干の違いはあるが、日本のスギ人工林面積は444万ヘクタールとされる。その2割なら約89万ヘクタールだ。伐採するのは樹齢50年以上のスギを中心とするというが、10齢級以上のスギ林は、スギ林全体の過半に達するから250万ヘクタール前後と見込む。そこから89万ヘクタールを伐採するとなると、3分の1強を伐ることになるのではないか。なにやら恐ろしいことになりそうだ。民有林では伐採拒否があるかもしれないから、結局伐るのは国有林と公有林中心になるかな。

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ところでスギスギばかり言っているが、ヒノキ花粉症はどうするのだ。まさか首相はヒノキ花粉症を知らない? 知ればスギの次はヒノキを伐ると言い出すかもしれない。

だいたい花粉削減を目的に伐るということは、木材の用途は関係ないことになり、市場でだぶついて木材価格を引き下げるのは必定だ。すでにウッドショックの後始末的に価格は下がり続けているから、今後どこまで落ちるか。

89万ヘクタールの伐採跡地には植林が必要だ。今ではヘクタール2000本植えが増えてきたから、約18億本の苗木がいる。10年間だから1年なら約1800万本。くしくも、土倉庄三郎が生涯に植えた木の本数(60年換算)と一緒になった。それを1年で植えなくてはならない。でも妙に数が合致するのが不思議。
もちろん、無花粉スギの苗木を毎年1800万本用意してくださいね。そして、植えた後の獣害ネット張りや、下刈り、徐間伐……とお仕事が続くことも忘れないでくださいね。造林ビジネスは花盛りになるだろう、実行されたら、だが。

しかもこの造林育林は、まったく収益は上がらない。100%税金投入が不可欠だ。伐採にだって補助金抜きではできるまい。さもないと誰もやらない。莫大な税金が森林を破壊するために使われる。

どうせ岸田政権がそんなに長く続くとは思えないので、首相が交代した時点で計画はうやむやになるのではないかなあ。そうであってほしいよ。

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コメント

本当に政治家や官僚は机上の空論が大好きですよね

苗を植えようと思っても、そもそも苗がたりません、苗を生産する人も足りません
ただでさえ、植林する人は少ないのに関わらずです

需要がないのに関わらず、伐採面積を増やすなんて恐ろしいです
見たこともないぐらいの原木価格になるかもしれないですね(笑)

森林関連 これは期待できる?
NHKの鳥取放送局のニュースによると
米子市に製紙工場がある会社が
この工場の一部で木材パルプから
エタノールを作って飛行機の燃料に
これから実証実験なので詳しいデータはないけど
紙の需要が減っている中
新しい産業に繋がるか

鳥取県と島根県がいつも混乱して
どっちがどっちだったかわからなくなり
そこで確認していたら
鳥取県、県知事と同じ名前の米子市議が誕生
この市議、奈良県生駒市出身で
ホントは知事と一文字違うんだけど
訳あって漢字でも同じ名前に
本人によると事故物件
名前の事故物件って

本当に政治家は、思いつき政策が好きなようで。思いつきで書くのは私だけにしてほしい……。

木材から航空機燃料をつくるのも、まだ採算性がわからないし、確実ではないですね。そもそも木材からバイオエタノールをつくる計画は20年前からあるけど、挫折しているので。

無花粉スギの原因遺伝子を新たに特定
国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所、新潟大学、東京大学大学院新領域創成科学研究科、基礎生物学研究所、新潟県森林研究所の研究グループは、無花粉スギの原因遺伝子MS4を特定しました。人工交配によって作製したスギ集団を用いた遺伝分析とスギ参照ゲノム配列を活用して候補となる遺伝子を絞り込みました。得られた候補遺伝子が花粉生産に関わることをモデル植物のシロイヌナズナを用いて検証することに成功しました。MS4は、花粉壁の生成に関わる酵素(TKPR1)を合成する遺伝子であり、この遺伝子のわずか1つの塩基が変異することで無花粉になることが明らかになりました。現在、無花粉スギは、MS4とは別の遺伝子が変異した無花粉スギの雌花に有花粉のスギをかけあわせて無花粉スギの種子を得て苗木を生産していますが、この方法においてMS4を使用する選択肢が得られたことで無花粉スギの新たな育種や生産の増大につながると想定され、花粉症対策への貢献が見込まれます。

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