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森と林業の本

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2023/05/22

組子復活の起爆剤になったのは?

福岡で訪れたところは数あるが(そもそも観光旅行を兼ねたトークショー出演であったのだが、3日間ぎっちりと視察旅行になったのはなぜ?)……そのお土産の一つがこれ。

20230522_163814

組子の部品だ。木下木芸を訪ねると、もう完成したので、余分なこれらは捨てるというのでもらってきた。こんな薄く細かな木の組み合わせ作業をどれぐらい行うかと言えば。 (゚o゚;) (゚д゚)

1_20230522165701

これぐらい。ここにあるのは壁の1面なので、実際にはこの数倍つくらねばならない。それが完全手作業だ。

実は、これと同じぐらいの大きさの組子の壁の1枚が、失敗したので壊すという。何か一列か間違えてずれたので、全体のバランスが崩れたとかなんとか。捨てるなんて、ください! 担いで帰ります!と宣言したのだが、現実には担げる大きさではないわな。山陽新幹線に積めない(泣)。(その前に駅までも運べない。)

いかにも日本の木工芸の粋とでも言える細かな技術で素晴らしいが、これ、一時期滅びかけていた。というのも、主な需要の欄間や茶室、床の間などが1990年代にほぼ消えたからだ。和室がなければ成り立たない……そう思えたのだが、それがいきなりの復活。約10年ぐらい前だ。

その起爆剤となったのが、こちら。わかるかな?

2_20230522165701

JR九州新幹線の超豪華寝台列車「ななつ星in九州」の内装である。デザインを手がけた水戸岡鋭治氏によって組子が選ばれた。
私は、いくら有名になったと言っても、たった1車列(7台編成)だけでは、一過性の需要だし、乗る人は限られているから組子を目にする人も少なく波及効果はないのではないか、と思っていた。
それがそうでもないらしい。乗らなくてもマスコミ報道で有名になって、どんどん飛び火して、全国各地にと似た豪華列車がつくられ、また組子も採用される。列車以外にバスや駅舎、町並みにまで応用されるようになり、大きな需要を生み出したそうである。

そして行き着くところの作品がこれ。

3_20230522165701

これも水戸岡氏のデザインだそうだが。スケッチを渡されて、そこから作り上げるのが職人の創意工夫だ。組立式茶室by組子。

技術は変わらなくても、用途が変わればデザインも変わる。そして人気が復活する。

もっとも職人養成が進まないから、将来は厳しい……というのも現実だ。さて、どうする?

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