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森と林業と田舎の本

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2023/06/21

「森林投資」最新情報記事にツッコミを

こんなサイトを見つけた。

脱炭素化のカギを握る森林投資、成長を後押しする「林業テック」とは? 

どうやらこのサイトは、「HEDGE GUIDE」 という金融・投資情報を扱うもので、その一環で「今注目の森林投資!」という具合に取り上げたらしい。

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そこで語られる森林投資とは、「生産性の高い林業用の森林地や木材製品、関連技術・サービスを提供する企業などへの投資を行うことです。森林投資の方法は直接投資やETF(上場投資信託)、REIT(不動産投資信託)のほか、近年は「森林ファンド」や「森林カーボンクレジットファンド」など、ESG(環境・社会・ガバナンス)の要素を配慮した森林投資商品も多数販売されています。」「機関投資家による森林投資は1980年代に北米で始まり、世界各国に広がったとされています。

とある。ただし、その後に続く「森林投資では苗木の段階から育てた材木を売却し、利益を得るまでに10~15年を要します。」にはえっ? と思ってしまう。苗木から10年~15年で売却するほどに育つのか。(それだって長すぎるというニュアンスで書かれているが。)

これはアメリカの例かもしれない。それでも早すぎる。ファルタカのような早生樹種だろうか。どう急いでも30年、できたら40年、いやいや60年にしてよ、と思ってしまう。ただ森林カーボンクレジットオフセット制度」の紹介もあるから、15年でカーボンクレジットとして売却するのかもしれない。

いずれにしろ、長期保有に適した投資対象と指摘する。またインフレ環境下でも長期的に安定したリターンを期待できる実物資産として魅力がある、のだそうだ。
世界的には「森林・林業セクターへの資金流入はエネルギーと金融に次いで3番目に多く、224億400万ドル(約3兆586億円)に達している。

なお林業テックと呼ぶ、最新技術のスマート林業も紹介している。リモートセンシングで森林資源をリアルタイムで計測して計画を推進できる、だから、どんどん効率がよくなって、生産性も上がるから投資対象になりやすくなったというわけだ。計測だけじゃあねえ……。

一方で「フィンランドは、早くから積極的に森林再生に取り組んできた国の1つです。同国においては過去50年間にわたり、胸高直径が一定以上の生木(成長中の木)が増加しており、近年は森林の成長率が年間伐採量を30%上回っています。
というのはなあ。年間成長量が年間伐採量の30%上回っているというのは、自慢になるのだろうか。それなら日本はどうか。数値は忘れたが、100%くらい上回っていない? 

むしろフィンランドは、林業が盛んで成功しているからこんなに伐って成長量がヤバくなっている、日本は林業が衰退しているから伐採量が成長量を大きく下回っている、と思ってしまう。

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フィンランドの林業現場。『フィンランド 虚像の森』より

やはり、金融目線で記すと、林業や森林の実態から外れて机上の論理になってしまうように感じる。

ただ私は、森林投資を否定的に見ているわけではない。むしろ大いに推進してほしい。木材を建材として使うのなら15年では無理だと思うが、カーボンクレジットとか、長期安定資産としてなら15年毎に取引(転売)を重ねて、大きく太らせることも可能かもしれない。いっそ美しい森を所有することのブランド価値を売買する、さらに銘木を1本単位で知財として扱う手段を考えられないか。
そして林業界に巨大資本が流入するようにできれば、身動きとれない現状を打破できるかもしれない。

 

 

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