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森と林業の本

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2023/06/07

しぶとい!倒伏一歩手前の生態系

生駒山を登るルートはたくさんあるが、私の通るのはかなりマイナールートが多い。その最中に見かけたのが、この木。

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おそらく強風に煽られて幹がゆさぶられ、根鉢ごと浮き上がったのだろう。生駒山は花崗岩質で土壌がわりと薄いから、根も地表部に広がり、幹-樹冠に風を受けると根から倒れることがままある。この木は完全に倒伏はしていないが、危ういところ。

が、よく見てほしい。この木の樹冠には緑の葉が繁っている。どうやら根が全部切れてしまったようではなく、かろうじて地面に伸びた部分が残っている。おかげで枯れずに済んだようだ。もしかしたら、最近注目の「菌根菌ネットワーク」によって、周辺の草木からも水や栄養をもらっているのかもしれない。

なかなかしぶといではないか。

一方で、完全に倒伏した樹木もある。

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根鉢の大きさは、直径3メートル近い。これは斜面に倒れて梢を下向きにするほどだから、枯れずに済まないように思える。

が、ひっくり返って根鉢の裏側に、早くも草が生えていた。根鉢を舞台にあらたな生態系が生まれるかも? 

自然界では、樹木が倒れると、その上に草や稚樹が生える倒木更新などが起きるが、実は根ごと地面を攪乱するから、そこに新たな草木が生えて、虫や動物が集まってきて……と植生が変わりやすい。それによって極相になっていた森林に、新たな植生の遷移が生まれるかと思えば、樹木の倒伏も重要な森のメッセージだね。

 

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