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森と林業の本

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2023/06/17

「ブラタモリ」吉野編に映る不都合な真実

本日のNHK「ブラタモリ」は、奈良・吉野を訪ねていた。奈良関係の方は色めき立ったかのようだが……。

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冒頭は、吉野山の金峰山寺蔵王堂を見下ろす花矢倉から。お題は「なぜ桜といえば吉野なのか?」なのだが、ここからならば一面の桜の花が見られるはずだった。が、今年は早すぎて散っていたらしい。が、その方が客が少なくてロケはやりやすかったはず。

だが、それ以上にヤバいものが写っていたことに気付いた人はいるだろうか。さっと画面はソレを外すアングルになるのだが……。

あえて、その部分をアップしてみた。

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気がついたかな。尾根筋の商店と寺社の並ぶ通りの背景になっているもの。山の上が切り取られている一画があることに気付いたかな。

もっともわかりやすい図も使われていた。

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これは桜が北斜面に植えられていることを示したのだが、衛星写真を使って加工したものであるが、手前右下に写っているのは……そう、メガソーラーである。元はゴルフ場建設途上地だったが、それを断念した跡地につくられたもの。吉野町は誘致したのに近いのかな。敷地面積は126ヘクタール。そのうちパネルを並べているのは半分ぐらいだろうか。

ここでメガソーラーの問題点を並べる気はないが、少なくても吉野山の一部なのだから景観には配慮してほしかったな。桜を見渡そうと高みに登ると、蔵王堂とともに否応なしに目に入るのだもの。ゴルフ場建設で、すでに地形改変などは行われていたようだが、芝生ならともかく、ゾーラーパネルが白く光る景観は、観光客もがっかりするのではないか。

 

ところで、折しもWedge on lineに『山林王』の土倉庄三郎の事績を連載しているが、こうし記事も書いた。

吉野山の桜を買い取り:文化財保全に尽力

やはり土倉庄三郎の業績の中で、吉野山桜買取は、非常に一般受けするのである。私は、なぜ明治初年に桜が売られようとしたのかという理由として「薪にするから」と記した。これは『評伝 土倉庄三郎』にあったのか、土倉家の人への聞き取りだったのか、今すぐ確認できないが、根拠のないことではない。

ただ、最近目にした本によると、「桜の木を版木にするため」大阪の商人が買いに来た、とある。明治になって印刷物が増える中、版木が足りなくなったのである。桜材は、版木に向いているらしい。

たしかに版木という需要はあるだろう。それも理由として考えられる。でも版木のために吉野山の桜を全部伐ることはないと思うよ……。当時でも1万本以上植えてあったのだから。

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そういやブラタモリでは、吉野山で桜が持て囃されたのは、役の行者が桜の木で蔵王権現を彫ったから、というのも理由に上げていた。これは伝説だなあ。吉野山に桜が増えたのは、室町時代中期だからね。どこまで信じるか……。一方で、やはり秀吉の花見を取り上げておりました。

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