土倉庄三郎の研究?「大和の国のリーダーたち」
『大和の国のリーダーたち』(京阪奈情報教育出版)という本が出たと知らされた。
奈良県立大学ユーラシア研究センター編、とあるが、ようするに奈良県立大学で行われた講義を元にした本のよう。近代奈良に現れた産業界のリーダー格の人たち8人を取り上げているのだが、その中に土倉庄三郎も加わっている。
その章は、「土倉庄三郎-不動の人」として編集責任者の中島啓介氏の執筆。
さすが学者らしく、私も知らなかった庄三郎の登場する文献を引っ張りだしてきて紹介している。そして吉野林業やインフラ整備、教育支援、自由民権運動などを取り上げて解説。ただ、林業のとらえ方も私とは違うところもある。それに庄三郎の行動をすべて家業である林業、そして吉野林業とつなげて分析しているのは違和感がある。道路や水路整備はともかく、自由民権運動を吉野林業の発展のために取り組んだ、とされてしまうとなあ。
私自身、以前は庄三郎の行動は、結果として土倉家が儲かるようにつながったのではないか、と感じていたこともあるのだが、『山林王』の執筆を通して、かなり見方を変えた。今で身、むしろ反対ではないかとさえ思う。そう言えば、本書の文献には私の前著『樹喜王 土倉庄三郎』が入っている。(『山林王』とは出版時期がかぶっているから、当然ながら参考にはできないはずだ。)
まあ、それはよいのだ。ちょっと驚いたのは、これを「土倉庄三郎研究」の助走とするという文言があること。つまり、学問として研究対象とするらしい。これまで、私以外誰も土倉庄三郎の思想や行動履歴に手を付けていなかっただけに、ついに現れたか!という思いなのだ。
これまで部分的、たとえば板垣退助との関わりとか、『吉野林業全書』の成立とか、部分的に土倉庄三郎を研究する人はいたが、人物論として全人格的に論じる研究はなかった。だから喜ばしい。
私としては、もう先鞭をつけたので、後は研究者sがそれぞれの切り口で土倉庄三郎を研究してくれたらよい。私は、もう一線から外れるつもりだ。もともと私は、吉野林業を解読して描く道標として土倉庄三郎に目をつけたのだが、やがてミイラ取りがミイラになったように庄三郎という人物に魅せられてしまったのである。それにブルーオーシャンというか、誰も手を付けていない、未知の人物だから興味を持った面もある。今後大きな新事実などが出てきたらフォローはするだろうが、老兵は去る、つもり(^^;)。
私の興味は次に向かっている。人物としての面白さ、ドラマチックな生涯は、庄三郎以上と思っている。土倉龍次郎である。
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