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森と林業と田舎の本

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2023年7月

2023/07/31

変わる常識~『罠猟師一代』を読む

古本屋で見つけた『罠猟師一代』(飯田辰彦著 鉱脈社)を購入した。

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豊富な写真で主にイノシシ猟を紹介しており、その後の解体なども記されているからだ。それに宮崎県の出版社という点も面白そうであった。
ただ出版年度が2006年で、その前年に雑誌『岳人』に連載したものらしい。つまり取材したのはさらに前、2004年以前となるから、今から20年近く前だ。それは気になったのだが、とりあえずリアルな獣害駆除の様子や山の狩猟文化に触れられるかな、という思いであった。

が、どうやら獣害駆除ではなかった。むしろ獣肉を売る、プロのハンターであった。シカ猟も登場するが、シカ肉は美味しくなく、高くも売れないとほとんど扱わないらしい。シシ肉狙いなのだ。

それはよい。

が、ちょっとなあ、と思わせる描写が次々に出てくる。それは著者が悪いのではなく、猟師の問題ということでもなく、時代の差なのであるが……。

たとえば、いきなり採れたイノシシの解体を山の中で行う。それも沢の水を使う。自家用なら自己責任になるが、売り物にする場合は、これは今ならアウトである。衛生面もそうだし、沢を汚すことはその流域の問題にもなる。内臓を持ち帰っている点はよかったが。

その後はすぐに料理になるのだが、そこで生肉を食べる。そして、これが一番美味い!と記されると……。今や生肉食はNGだろう。E型肝炎ウイルス媒介の心配もあるし、出血性大腸菌など危険な病原菌がいっぱいいるからだ。また寄生虫も馬鹿にならない。解体する最中にそれが人に感染する場合がある。

かくゆう私も、昔はシカ肉をいただくと刺身にして食べて、これが美味い! と言っていたものだが、今では怖い。

そして「あとがきに代えて」が問題だ。

日本の山の疲弊を訴えているのだが、それは林業や人工林ではなく、人工林を増やした天然林破壊のことである。「安い外材」で林業が衰退する話もあるが、林道建設や無茶な植栽などを批判する。針葉樹では保水力を失う、といい、野生動物の減少を愁う。獣害は人間側の都合とする。獣害は、天然林を減らして餌がなくなったから里に下りてきたからだ、とする。早晩、山からいっさいの野生動物が姿を消す、という。

今ならイノシシもシカも増えすぎて困っているが、餌不足どころか餌が豊富になったから数が増えている。里山の方が奥山より生活しやすいから出没することが知られてきた。

山の全面積の数%でもいいから、雑木の山を復活させろとあるのだが、もともと日本の山は60%以上が天然林・里山林なのである……。そして人工林の中にも、結構な広葉樹が生えている。完全にスギ、ヒノキだけの山など、まずない。むしろシカが増えて林床の草木を食べてしまうから、そうなった場合もある。

この20年の間に認識がガラリと代わり180度別の見解になったことを感じる。

 

2023/07/30

池の新参者

またもや我が家の池に新たな生物を発見。

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枯れた睡蓮の葉の上に、何やら乗っかっているものが。これって、巻き貝。今までいただろうか。少なくても私は確認していない。

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見たところタニシに思えるが、この手の種名はまったく自信がない。どうやって入ってきたかもわからない。鳥が足にくっつけて飛んできたのか、あるいは大昔に池に入れたタニシが生き長らえていたのか。この池は、少なくても40年の歴史がある。

最近はトンボがよく産卵もしているし、そのうちヤゴが繁殖するかもしれない。すると金魚は食われないか? あるいはタニシかもしれない二枚貝に何かミョーな虫が寄生しないか。ホタルの幼虫はカワニナを食べるが、タニシとカワニナの違いがわからない(^^;)。

ともあれ、我が家もネイチャーボジティブ(生物多様性増加)に貢献しているようである。

 

 

2023/07/29

超絶技巧展

大阪、あべのハルカス美術館で開かれている「超絶技巧、未来へ! 明治工芸とそのDNA」展を行ってきた。

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以前もあって、これで三回目? いずれも楽しめるので好きなのだが、サブタイトルから明治時代の工芸作家が中心かなと思っていたら、むしろ現代作家が中心であった。たとえば看板にあるスルメ。これは一枚板から彫り出したものだ。吊っている洗濯ばさみまで同じ木である。足は立体的にうねっているし、とてつもない技巧である。

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これ、板の上にチョウチョが水を飲んで集まっている様子。が、これも全部木。水に見えるところも木。しかも着色していない。全部木の色を行かした蝶の羽である。

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アップにするとこんな感じ。ミスに見えたのは、盛り上がった木を磨き上げている。アゲハチョウの羽の色も天然木で表現できるのか。

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この髑髏も木。表面の紋様は木目ではなく、全部彫ったもの。しかも薄いのだ。髑髏の中はもちろんくり抜いているし、透けて見えるほど薄く彫っている。

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これは鉄作品。龍が三匹。鱗一枚一枚を張り合わせており、手足も含めて全部動く。

これは工芸というよりアート作品だが、ここまでの表現が可能なんだなあ。

 

2023/07/28

『樹盗』書評の裏事情その2~取り締まり

先に『樹盗』の書評を書いたことを記した際に裏事情!と付けたのはよかったのだが、なぜかタイトルに「その1」を足してしまった。
多分、気分的には1回で終わらないほど書きたいことがあるぞ、という意味なんだろうが、書いた私自身が忘れていた……。

改めて「その2」を書こうと思ったのだが、気になる情報としては、DNAによる盗伐木の特定である。そんな技術があるのか!

最初は押収された(盗伐のある疑いの)木材片からDNAを採取し、盗伐された切り株から採取したDNAと照合するという技術だったのが、押収した木材の生えていた場所をDNAから特定することができるようになったという。そのためには膨大なデータベースが必要だろうが、盗伐されるのが国立公園など広大な林野だから、ある程度特定できたら、そこは禁伐地とわかるのだろう。

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さらに木材に含まれる化学物質を同定することで化学分析による樹種特定の手法も編み出したとある。ともあれ、そのためのラボを民間で設立して運営しているらしい。そうした所にも金が出ることも日本とは違う。

盗伐される前の取り締まりも、森の中で伐採されそうな木(直径の太いもの、瘤パールのあるものなど)の周りに幾台もの自動撮影カメラをセットしたり、林床に磁気式センサーを隠して、盗伐者が現れたら警報が届くような装置も開発している。犯人特定に対する取組が並々ならないのだ。対応は、国立公園のレンジャー、フォレスターらしい。
アメリカだから、犯人も武装している可能性がある。銃を持つ相手と立ち向かうのだからレンジャーたちも必死だ。

日本に盗伐取り締まりはないに等しい……。

と書評原稿に書いていたが、編集部からクレームが来た。日本にもクリーンウッド法などができて、それなりに盗伐を止めようとしているじゃない、と。私は激しく反論し、このクリーンウッド法がいかに骨抜きというか抜け道を最初から用意してあるフェイク法制であること、そもそも促進法、理解増進法であって何の罰則もなく、キャンペーンみたいなものであり、取り締まりは事実上ゼロであることを。

と説明して、ようやく納得させたのであった。そこでクリーンウッド法の恐ろしさを私は感じたよ。とりあえず「法律」があれば、日本人は守るだろう、抑止効果があるだろう、と世間は思い込ませることができるのだ。それがこの法律をつくった目的であったか! 
実際、つくったのは東京オリンピック直前で、五輪施設には認証材を使うという原則をごまかすために大急ぎで拵えた法律だ。世界の目を欺くのが最初から目的だったのだろう。

そして日本には、アメリカやカナダのような意欲的なレンジャーもいないのだ。とりあえず犯罪行為ということで矢面に立つのは警察だが、被害届さえ受理しない(受理したら捜査をしなくてはならなくなるから嫌がるのだろう)。受理しても立件しない。立件しても検察が不起訴にしたり、差し戻す。みんな仕事が大嫌いなのである。結局、裁判では刑事事件に持ち込みにくく民事になるが、何千本もの盗伐があっても取り上げるのは数十本。だから有罪となっても十数万円の罰金。これならやり得!

アメリカでも、盗伐の摘発は法律的にはハードルが高く、また有罪になっても罪は軽いと記されている。それでもレンジャーたちは挑み続ける。日本は最初から逃げ腰だ。

……ああ、「その2」も、やっぱり書くのは本のことではなく、日本の盗伐問題になってしまった。

 

 

2023/07/27

庭のブルーベリーと水中花

庭にブルーベリーが実ったようだ。

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この木は父が何年も前に植えたはずなのだが、まったく成長しないし、もちろん実もならなかった。高さは50センチくらいである。

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枯れはしないので放置していたのだが、今年になって、ついに実るとは。

何が違ったのか。単に年月の問題かもしれないし、私が比較的水やりをするからかもしれない。

もともと私が庭を引き継いで?から、これまでの日本庭園プラス農園風から里山プラス田園風への転換を図っている。ようするに極力手間をかけない自然の姿を再現。おかげで草ぼうぼうだ(笑)。雑草も背を低くするだけで残すし、様々な種を混在させるようにしている。草木だけでなく昆虫も増えた。見る人によっては、荒れた庭というかもしれないが、これが私の好みなのだよ。いわばネイチャー・ポジティブな庭。

ところで、今朝の朝ドラ「らんまん」で、ついにムジナモが登場した。水生の食虫植物という希少種で、牧野富太郎の名を一躍有名にした大発見なのだが、花まで咲かせて映していた。これ、ドラマの制作者も苦労したのではないか。もともと絶滅危惧種で花は滅多に咲かない、短期間で消える種である。これをドラマのために撮影するのは大変だったはず。

それにちなんで? 我が家の庭の池の花も紹介しておこう。

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ムジナモに似ている気もするが、こちらはオオカナダモ(アナカリス)の花。別に珍しくない(笑)。南米原産である。なぜか、我が家の池にいるのは、池に入れた金魚などにくっついて勝手に入ってきたのか。あるいは鳥が運んだのか。いずれにしろ日本の侵略的外来種ワースト100の一つで、外来生物法では要注意外来生物に指定されている。そんなオオカナダモが花を咲かせているのだ。

ただ我が家では、オオカナダモが池を覆うほどに繁茂しており、それが金魚に隠れ家を提供しており、鳥から見えなくして襲われる危険を減らすと思って放置している。隙間から金魚の赤や白が動いているのは涼やかでよろしい。

なお池にはテグス糸を張ったおかげか、鳥の襲来も減ったようだ。金魚も春から夏にかけて急に太りだし、よく育っている。小赤が、そこそこの大きさに育つと、赤に白、黒が混ざっていて池を彩るのは楽しい。また睡蓮も花を咲かせる。

ただし秋になると大半をすくって排除する。さもないと池面に盛り上がるほど繁茂するからね。

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「らんまん」のワンシーン。これがムジナモの花。

ムジナモもオオカナダモも、モ(藻)とあるが、立派な被子植物だ。

 

2023/07/26

カーボンクレジットと林業振興

某総合商社から聞き取りを受けた。と言ってもリモートである。

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内容は、ようするに林業振興。と言っても、切り口としてはカーボンクレジットなのである。この部署ではカーボンクレジットを取り扱っていて、自社森林も含めて各地で森林を預かりカーボンクレジットとして売買できるようにしているのだが、知れば知るほど、これぐらいでは日本の林業の建て直しにならない、やはり木材生産を中心とした林業そのものを建て直さなくてはならないのではないか……ということからの聞き取りである。

建て直しなどという難題ではあるが、私もサービス精神旺盛であるから(^^;)、あえて受けてみた。私も何か新たな情報を得られるかもしれないというスケベ心がある。これも仕事か。

一つわかったのは、カーボンクレジットを購入したい企業は山ほどあるということ。それなのに供給できていないわけだ。日本にはこんなに森があるのに。潜在的には2500億円ぐらいはあるらしいのだが、現実は20億にも届かないという。そう聞いたら、うちの山をカーボンクレジットにしてくれ!という山主の声が殺到しそうなのだが、そうはならない。

その上でだが、私からの助言。「林野庁の言うことを信じちゃダメだよ」。

木を伐って炭素を貯める、なんて非科学的なことを言われてもね。数字も誤魔化しだらけだ。なお、この会社もバイオマス発電所を運営しているらしく、バイオマス発電に無理があるか、再生不可能なのかはわかっていた。それに再造林が進まないのは金がないから、と言われているが、経費は9割まで補助金で賄えるし、実はその9割の金額で造林できちゃうという現場の声も知っていたみたいだ。

それに林業振興を進めれば進めるほど、森林を伐採するからカーボンクレジットは減るのである。両立できない。

「林業不振の方が脱炭素になるよ」というのが、私の助言なのであった\(^o^)/。

 

 

2023/07/25

『樹盗』書評の裏事情その1

『樹盗』(リンジー・ブルゴン[著]  門脇仁[訳]築地書館)の書評を共同通信からの依頼で書いた。

どうやら掲載が始まったようだ。下野新聞、沖縄タイムス、山陰中央新報など。。。私もまだ掲載紙を全部確認できていない。

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樹盗とは、盗伐のこと。なんか盗伐と記すとダサいが、樹盗にしたらオシャレに感じてしまう。伐って盗むというより生きた樹木を盗む方が感覚的に伝わるものがありそうだ。

そんなことよりこの本、なかなか濃い内容なのだ。そもそも分厚いし(笑)。が、書評の文字数はあまりに少ない。書きたいことの5分の1しか書けない。せめて倍は欲しい。だから、ここでぶちまけよう……かと思ったが、それはそれでよろしくない。まだ掲載していない新聞も多いだろうし。

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私の読書跡。

ただ、いくつか注目すべき点を指摘しておこう。もっとも大きな点は、舞台がカナダとアメリカであること。盗伐とか違法伐採は発展途上国の仕業で、欧米や日本はそんなことやっていないよ、植林された森から切り出す木材はみんな合法だ! と自慢げに言うどこぞの(林野庁か?)ボンクラこそ読んでほしい。

すでに『フィンランド 虚像の森』で北欧で進む非持続的な林業の世界を暴かれたが、北米だって酷いもんだ。年間10億ドルに達する違法木材が流通しているそうだ。

が、私が書評後半で取り上げたのは、日本の盗伐の話。日本も酷いんだぜ、ということを記さないと、また「日本は大丈夫だ」なんてほざく輩が現れるから。クリーンウッド法を、まるで海外から入ってくる違法木材を食い止める法律のように説明する輩がいるが、全然機能していない。むしろ国産材対象の法律をつくるべきではないか。
たとえばEUの森林破壊防止規則を国産材に厳密に適用してみろ。現在流通しているうちの半分も扱えなくなるから。国産材の大半にトレーサビリティがなく、産地偽装の塊なのである。さらに皆伐地の3割しか再造林していないということは、7割が非持続的な木材である。そして盗伐もしゃれにならないほど多い。

……ということを書きたかったのだが、いかにも文字数がない。そもそも本書の書評ではなくなってしまう(ーー;)。

なお北米の盗伐スタイルも少し違う。大木をこっそり伐ると、その中の高く売れる部分を切り取って持っていくそうだ。とくにレッドウッドのバールと呼ぶコブを狙う。その杢の美しさから高く売れるから。ほかに苔も「盗む」そうだ。なかなか森林資源を細かく価値を見定めている。日本のようにデタラメに伐って傷だらけの木材を安く大量に売り飛ばすのとは違う。

ちなみに著者は、わりと盗伐者に同情的だ。これもなあ。

 

2023/07/24

再エネは、FITからFIPへ

覚書。

これまで再生可能エネルギーの価格と言えばFITだった。固定価格買取制度。再エネ指定された発電方法の電力は、高めに設定された固定価格で買い取ってきた。が、このほどFIP制度が生まれた。フィードインプレミアムである。2020年6月にFIPの導入が決まり、2022年4月からスタートしていたのである。どちらを採用するかは業者側が選ぶらしい。

もう昨年から施行されていた? 知らなかった。いやあ、情報がどんどん更新されるから、しっかりチェックしておかないと時代遅れになるわ。

現行のFITでは、電力会社が再エネ電気を買い取る際の1kWhあたりの単価(調達価格)を固定している。対してFIPのしくみは、あらかじめ「基準価格」が、再エネ電気が効率的に供給される場合に必要な費用の見込み額をベースに設定される。これがスタート時点ではFITと同じだったから、業者も違いがわからず、目立たないため話題にならずに知られなかったのかもしれない。

一方で「参照価格」も定められる。市場取引などによって発電事業者が期待できる収入分のことで、参照価格は市場価格に連動し、1カ月単位で見直される。

この「基準価格」と「参照価格」の差を、「プレミアム」として再エネ発電事業者がもらう。つまり再エネ発電事業者は、電気を売った価格にプレミアムが上乗せされた合計分を、収入として受け取ることになる。プレミアムは、1カ月ごとに更新される。市場原理を取り入れるから、電気料金は上がり下がりするし、全量買取でもなくなる。各業者の経営もおんぶに抱っこではなくなるか。

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ヨーロッパなどでは導入が進んでいるようで、まあ固定価格よりは電力料金が抑えられそうだから、日本でも導入したのだろう。現在は、どんどん電力料金が上がっているから、業者にとっても有利だから切り換えも進むのかもしれない。

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ただFIPの対象は、規模の大きな業者のようだ。小さな所はFITのままで、大規模なメガソーラー、風力、バイオマス発電……などほど、FIPに移行する。

しかし大規模な再エネほどインチキ(脱炭素に結びつかない)になるという実態を見ると、むしろ地球環境的には悪化するんじゃないか。とくに大規模バイオマス発電なんて、再生可能とちゃうで。石炭火力より二酸化炭素出しよる。またソーラーなどもヨーロッパは森林を伐採して設置するメガなのはペナルティがあるらしいが、日本は野放し。

2030年度までに再生可能エネルギーを日本の主力電源とし、全電源の36~38%をまかなうという目標を掲げている。FITにしろFIPにしろ、再エネ拡大路線は続く。

今からFIPを勉強しておいた方がよさそうだな。

 

2023/07/23

貿易で世界を動かしたのは森林だった

「物流は世界史をどう変えたのか」(玉木 俊明著 PHP新書)を読んだ。

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簡単に目次を紹介しよう。

第一章 フェニキア人はなぜ地中海貿易で繁栄したのか
第二章 なぜ、東アジアはヨーロッパに先駆けて経済発展したのか
第三章 イスラーム王朝はいかにして国力を蓄積したのか
第四章 ヴァイキングはなぜハンザ同盟に敗れたか
第五章 なぜ中国は朝貢貿易により衰退したのか
第六章 地中海はなぜ衰退し、バルト海・北海沿岸諸国が台頭したのか
第七章 喜望峰ルートは、アジアと欧州の関係をどう変えたか
第八章 東インド会社は何をおこなったのか
第九章 オランダはなぜ世界で最初のヘゲモニー国家になれたのか
第十章 パクス・ブリタニカはなぜ実現したのか
第十一章 国家なき民は世界史をどう変えたのか1 --アルメニア人
第十二章 国家なき民は世界史をどう変えたのか2 --セファルディム
第十三章 イギリスの「茶の文化」はいかにしてつくられたのか
第十四章 なぜイギリスで世界最初の工業化(産業革命)が生じたのか
第十五章 アメリカの「海上のフロンティア」とは
第十六章 一九世紀、なぜ西欧とアジアの経済力に大差がついたのか
第十七章 社会主義はなぜ衰退したのか

この本は、いろいろな点で面白いのだが、私にとっての肝は、世界の物流(貿易・交易)を動かしたのは木材だ、という点である。

ピンと来ないかもしれない。食料や織物ではないのか。武器は、人の移動は重要ではなかったのか。

いや、その前段階として、ほとんどの輸送行為は船によって行われるのである。もちろんシルクロードのような陸上輸送もあるのだが、量的には多く運べないし時間もかかる。労力も大きくて物品は高くなる。だが、船さえあれば、水運を使うことが大きな物の移動を可能にした。

そして船は近代までほとんど木造だった。つまり木材がなければ船・舟はつくれず、物流も難しくなるのだ。

一世を風靡した地中海貿易は、フェニキア人やギリシャ、ローマ、エジプト人が行ったが、それはレバノン杉の船がつくられたからである。だが中世になって地中海沿岸の森林は伐採し尽くして、船がつくれなくなる。そして衰退すると、次に勃興したのは北の地中海ともいうべきバルト海と北海だった。その周辺の北欧諸国やプロイセン、ポーランドなどは森林帯国。しかもライン川などがありオランダは内陸深くつながっている。また麻などのロープや帆布も北方の国々で生産されていた。

それがオランダを巨大な交易国に引き上げる。またイギリスも自国の森林を伐り尽くすと、大陸から輸入するようになる。
そういや東インド会社はイギリスとオランダが有名だが、スウェーデンやフランスにもあったそうである。これもバルト海交易の一環であるのか。

この点は、「木材と文明」(ラハヒム・ラートカウ著)参照のこと。

結果的に、森林地帯を掌握し木材による船をつくり水運を握った国が豊かになるのである。

 

 

2023/07/22

テーマは二転三転

一カ月以上前に依頼を受けた原稿。

ちょうどヒマ。というか、急ぎの仕事はない。分量は多くないし、テーマは基本的に自由。そこで再造林放棄問題について書こうかと思った。その時、同類の記事をいくつか書いていたが、そこからこぼれ落ちた情報や切り口を入れてたら新しい記事になる。

さらさら。あっさり書けて、安心して放置していた。最後の推敲は、納品前にすればよい。

で、そろそろ迫ってきたので読み返した。全然面白くない。いや、原稿としてのレベルは保っていると思いますよ。我ながら。でも面白くないし、結局は繰り返し書いてきた再造林記事のひねくった二番煎じだ。

そこで、思い切って書き直すことにした。どうするべ。あまり全面的に変えると時間がない。そこで脱炭素問題を絡めることにした。木材を使えば炭素蓄積、の嘘。木を伐って若返らせることによる吸収力アップ、の嘘。そこに再造林もしていないのに、と付け加えたら似たようで新しい記事にあるではないか。

さらさらさら。あっさり書けて、安心した。締め切りに間に合ったぞ。そして読み返した。面白くない。

つまんねえよ。いや、原稿としてのレベルは保っているし、前回よりよくなったと思いますよ。我ながら。でも、気に食わん。こんな記事書いて飯食っているのかと、どこかの自分が言っている。

書き直すことにした。さあ、時間はないぞ。締め切りは近いぞ。

ギリギリ追い詰められて、頭はキリキリ緊張感。とうとう世界情勢まで持ち出して記事を書き直す。面白い。どんなテーマにしたのかはここでは明かさないが、やっぱりこれぐらい書かねば。

教訓。締め切りよりずっと前に仕上げてはいけない。つまんない記事になる。ギリギリに追い詰められて書かないと気持ちの入った記事は書けないのだ。

身をもって体験したので、今後、締め切り直前まで書かないことにした。ええと、そういうことで、今後ともよろしく。

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頭の中を飛び交ったイメージ。

 

2023/07/21

セミの棲む庭

朝の庭巡回。そこで発見したのがこれ。

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セミの脱け殻である。ほかにもいくつか。

ようするに我が庭で幼虫期を過ごしたセミがいたわけだ。種類によるが数年間を地中で過ごし、晴れて変態を果たしたことになる。でも、何日生きるのか。

別におかしくはない。だが、なんか、感動するなあ。こちらが知らない間、産卵して幼虫と蛹の時期を地中で過ごしたのか。

これまで脱け殻を発見したことがないから、もしや初見参? でも、成虫のセミはどこへ行ったか。たまにけたたましい鳴き声を聞くけれど。

今年の庭は、ゴーヤが鈴なりで、ほかキュウリにトマト、とうがらし。ピーマンもなった。青ジソは生えずぎ。アジサイにアサガオと花もよく咲く。昨年の反省から、あまり植えなかったのだが。

池にテグスを張ったら、金魚も無事でよく泳ぐ。ただクモの巣が張って、庭を歩くと体にクモの巣がまとわりつく。

これが日常の庭の生態系である。




2023/07/20

Y!ニュースに「森は雨を遮断して洪水を…」を執筆した後の裏事情

Yahoo!ニュースに「森は雨を遮断して洪水を防いでいた」を執筆しました。

このネタは、少し前から書こうと思っていた。最初は、公表された研究成果をお知らせするような記事を考えていたのだが、何度も論文やプレスリリースを読んでいるうちに、「これ、一般の人は興味持たないわ」となった。難しいし細かいし、結果的に目を引かないのだ。

むしろ、前提となる「遮断蒸発」そのものが世間に知られていない。つまり、雨は地面に落ちる前に蒸発する分が結構多いのだよ、という点が興味を引くのではないか。

そう思って、テーマを全面的に見直して書き直したのである。

ところが。ツイッターの反応やコメントを見ると、全然わかっていない!そもそも遮断を葉っぱと思っていない!そして土壌がどうの、と反応している。そしてメガソーラーの話題につなげようとしているものが多い。ようするに記事を読んでいないのではないか?

イヤになるなあ。自分の主張に引っ張りたいたけではないか。

今回は、土壌は関係ないのである。

※タイトル変更しました。現在は、「森は雨を地上に落ちる前に蒸発させていた」です。こちらの方が伝わりやすくない?

2023/07/19

再造林マイスターって?

このところ、再造林ブーム。といっても、再造林をすべしという声のブームなんで、本当に再造林が進むかどうかはこれからだが……。私も、何かと再造林しろ!という記事をたくさん書いた気がする。

そこで目に止まったニュース。

秋田県では、再造林の適地選定と事業支援を行う森林資源造成課を設置し、2020年度の実績332ヘクタールの再造林面積を、25年度に倍以上の750ヘクタール確保することをめざすとか。

ちょっと驚いたのは、再造林適地を県が認定するという点。えらく県が前面に出ている。どんな条件を適地とするのか知りたいものだ。

昨年度には、再造林の知識を持った技術者を「あきた造林マイスター」として認定する制度を開始している。こちらは民間の事業体の中から選ぶようだ。その上で県が認定した再造林に適したエリアを、マイスターが在籍する事業者に情報を提供する。マイスターのいる事業体は、今年5月時点で34。

マイスターは県の情報を元に、森林所有者に再造林を働きかけ、所有者が植栽や下刈りなどの森林管理を事業者に10年間委託する契約を結ぶ。このように再造林にこぎ着けた場合、県は事業者に1ヘクタール当たり15万円、森林所有者に5万円を助成する……というものだ。

この10年契約というのも面白い。下刈りだけなら5、6年でよいかと思うが、10年間も委託するのは、除伐や初期の間伐まで含むのだろうか。秋田県は雪どころだから、それも関係しているのかもしれない。でも長く一つの事業所が担当するのはよいね。他人の山でも、10年間世話を見たら、自身の山のような気分になれる。10年経てば、かなり木も育って森のようになっているだろう。
そんな気分醸成も、これからの林業に必要ではないか。1作業ごとに依頼した担当者が変わるという現状が森づくりのモチベーションを下げている気がするのだ。自分の山ではないけど自伐型、みたいに、自分の山ではないけど自分の山気分で森づくりしなければ(笑)。

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よ~く見ると、植林が行われている皆伐地。

2023/07/18

山の新道で発見した危険

我が町には生駒山とは別に矢田丘陵も南北に横たわっており、そこも遊歩道が築かれて散策向きだ。

先日、炎天下にあえてふらついたのだが、メインルートから外れた道を発見。誰が切り開いたのか?
と思って足を向けた。以前も踏み分け跡程度の山道はあったのだが、そこを広げて支道にするのだろうか。

あまり個人的には喜ばしくないが(私は踏み分け跡程度の道を歩くのが好き)、何か里山のデザインを帰るのかもしれないなあ、と思って進む。

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すると皆伐地もあった。もう低木や草が繁っているが……。雑木林は定期的に切り開いた方がよいから、それ自体に反対はしないが、何をしたいのか誰が手がけたのか、わからない。まあ、明るい森になるのなら、よいか。

が、そこに見つけたのである。

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これ、ナンキンハゼではないか。街路樹などに多い外来種だが、それが里山の中に苗が育っている。見れば、そこかしこに苗がある。急に繁殖を始めたか。

ナンキンハゼは驚異的な繁殖力・成長力がある。あっと言う間に森を変えるのだ。種子だけでなく、切った枝をおいといたら、そこから根が出て伸びたという話もある。奈良公園では、ナンキンハゼが街路樹から広がって問題になってきた。

しかし、里山にナンキンハゼの種子がどうやって入り込んだのか。鳥が運ぶケースも考えられるが、もしかして伐採して道づくりや皆伐した業者?が持ち込んだ可能性だってある。道具類に種子をつけていることもあるからだ。

やばいよやばいよ。

ただナンキンハゼは、明るいところを好むので、ほかの植物に覆われてしまえば暗くなり育たないはずだ。草でもいいから早く生えることを望む。

ちなみに写真の苗は、撮影後に引っこ抜いた。

 

 

2023/07/17

『日本人はどのように自然とかかわってきたのか』評

このところ、書棚から日本の森林史、林業史にかかわる本を引っ張りだしては、内容をチェックしている。十分に読むヒマはないので斜め読みだが、私の求める情報はあるのかと見つけるために目を通している。あるテーマに関しての文献調査といったところだ。
そして今回開いたのがこれ。

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日本人はどのように自然とかかわってきたのか 日本列島誕生から現代まで』タットマン著 築地書館

コンラッド・タットマンと言えば『日本人はどのように森をつくってきたのか』が知られるが、アメリカ人が日本の歴史に通底して、日本人が描かなかった日本森林史を書くという点で驚かされたが……今回の著作も自然に焦点を当てている。森林に限らず日本の自然全般を地史的な面から人新世の日本人の活動まで概説したもので、上下二段組で、350ページを超える大部なもだ。

この本は高いのだが、購入する際は迷って悩んで逡巡して、ようやく買ったら、全然読まずに放置するという、我ながらなんなんだという性癖そのものの本である。が、こうした資料本は、急に必要となる時が来る。今回、ついにその時が来て、ページを開いたわけである。

さて、本書は原題はシンプルに「日本環境史」らしい。そして壮大なスケールで日本の数千年の歴史を描く。目次は以下の通りだが、もっと詳しいものが版元・築地書館のサイトにある。長大だが、各単元が細かく分かれているので、内容を把握しやすいし、1単元は短めになるので目を通しやすい。

第1章 日本の地理
地形的特徴
日本列島の生い立ち
地球上の所在地

第2章 狩猟採集社会――紀元前五500年頃まで
環境的背景――気候変動
最初の渡来人
縄文時代
まとめ
【付録】気温と海水面の変化率(1万8000~6500年前)

第3章 粗放農耕社会前期――紀元600年まで
農業の始まり
農耕初期の特徴
弥生時代――大陸から伝わった農業
拡大する社会――古墳時代まで
まとめ

第4章 粗放農耕社会後期――600~1250年
森林伐採――木材と農地のために
中央支配の成立(600~850年)
律令制が環境に及ぼした影響
後期律令時代(850~1250年)
律令時代後期のできごとが環境に及ぼした影響
まとめ

第5章 集約農耕社会前期――1250~1650年
地理
支配層――政治的混乱と再統一(1250~1650年)
生産者人口――規模と複雑さの増加
農業技術の動向
技術の変化が社会と環境に及ぼした影響
まとめ

第6章 集約農耕社会後期――1650~1890年
支配層――安定した政治、崩壊、方向転換
生産者人口――増加、安定低迷、変動
科学技術の動向
まとめ

第7章 帝国主義下の産業社会――1890~1945年
日本の産業時代を読み解く予備知識
国事――産業化と国家
社会と経済
科学技術と環境
まとめ

第8章 資本家中心の産業社会――1945年~現代
社会経済史の概要
人口の推移
物質消費
技術と環境
まとめ

終わりに
解説

さて、ここで私は本書の評する余裕はない。細部にはツッコミどころもあるし、概説ゆえもっと詳しく記してほしいと思う点もある。訳語に不満もある。(たとえば都をすべて帝都と訳さないでほしい。)ただ膨大な情報が詰まっており、それらは細かな事実の集積であること、その中には意外な日本の歴史を感じさせる点も多々あった。

たとえば鎌倉時代には都市の建設や大火もあり、膨大な森林が伐られたことが示されている。が、同時に鎌倉周辺の山林の所有者は、中国に大径木材を売って儲けていたとある。なんと木材輸出である。それは小規模でなく、毎年交易船40隻から50隻分の量だというのだ。しかも、売る木は直径が1・2メートルに達するスギやヒノキ。長さは41メートルから44メートルあった。それを板にして泉州(現在の福建省)まで売りに行ったそうだ。

この時代から多少の木材輸出・輸入があった事実は知っていたが、こんな規模とは思わなかった。もしかして、中世日本の森林破壊に木材輸出が影響しているかもしれない。

一方で、伐採に必要なノコギリは、1600年頃、つまり江戸幕府が始まる前には登場していた。ところが、その後木の伐採にノコギリは使用禁止になった。それは盗伐を防ぐためだというのだ。ノコギリだと静かに早く伐れるからである。オノなら時間もかかるが、音が響く。それを盗伐を防ぐ手だてにしていたというのだ。

これは意味深だ。盗伐禁止に「木一本首一つ」という厳罰主義だけでなく、道具から取り締まっていたのか。

同時に伐りすぎを抑える効用もあっただろう。生産性だけを高める道具の進歩は過剰な供給を生み出し、価格暴落の引き金になる。無駄遣いも生み出す。むしろ生産力を落とすことが持続的経済を可能とするのだ。これは現代にも取り入れるべき発想かもしれない。人新世真っ盛りの今こそ意味があるだろう。

たとえば現代の宮崎県は、ハーベスタもグラップルもフォワーダも禁止する。盗伐者が高性能林業機械を使えなければ、伐採搬出が大仕事になって、素早くできないから、盗伐は難しくなるはずだ。今の宮崎県の林業界にはもっとも必要ではないか? 取り締まりや厳罰化をする気がないのなら、それぐらいやったらどうだ。

ともあれ、温故知新、古きを温めて新しきを知るの精神で、日本史を見直すと、新たな発見とチャンスの芽を見つけられる。

ちなみに著者は、現代日本の姿に絶望しているのかもしれない。

 

2023/07/16

強制?共生?ど根性!

「鉄腕DASH!」を見ていたら、なんと川上村が舞台で、さらに大淀道の駅も登場して、なんだか昨日の私が歩いたところと重なったのであった。ちなみに私は道の駅で檜のまな板を購入したのである。

さて、私が川上村の森で見てきたものを少し紹介。

ヤクザなツル植物が巻きついた樹木などいくらでも見るが、これはかなり強烈。ツルも太い。スギは枯れるかもね。異種間で強制的に接触する(巻きついている)事例である。

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一方で、こちらは何? この赤茶けたテカテカした樹肌は、ヒメシャラかなあ。サルスベリかもしれん。なかなか木肌が美しい木なのだが、それがモミの木と合体? 共生している模様。ちょっと異種間でここまで癒着してよいのか? まあ、仲良くしているみたいだ。

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こちらは石垣の間から芽を出したスギのようだが、まずは重力にしたがって下に伸びた? しかし、ハッと気付いてUターンしたおかげで、しっかり上に向かって伸びた。根曲がりだけど、幹は真っ直ぐである。根性あるぜ。

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ともあれ、植物はたくましい。同時に苛烈だ。

 

2023/07/15

巨木の森ふたたび

川上村に山登り……というか、山歩き、森歩き。

そこで見たもの体験したことは、また改めてだが、そこまでの道筋に想定外のものを見てしまった。

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これ、1本1本が樹齢200年から250年、もしかしたら300年に達していると見た。直径は全部1m超え。吉野杉は見た目以上に年を食っているww
それが数百本は並んでいるのではないか。
さすがに、これだけの巨木は川上村でも少なくなっている。以前、わりと人里に近いところにあったのだが、伐られてしまった。が、人目に触れないところにまだまだあるんだねえ。壮観です。ようするに、これは人工林だからね。単木で300年以上、400年を超える木というのもあるが、これだけ文字通り林立していると、別の驚きがある。

ちなみに林床がきれいだ。まさかこの林齢の森で下刈りはしないから、シカくんのボランティアだろうか。舌刈りとか。

そして、もう一つ。

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車を走らせていると、突如飛び出したものが。これがシカなら珍しくないしクマなら怖いが以前見たことがあるのだが、なんとカモシカであった。実は、カモシカを奈良県では見たことがなかった。昔、カモシカを観察しようと山にこもったことがある。全然見つからない(> <;)。当時と違って今はわりと数も増えて見やすくなっているのだが、改めて見つけると、やはり感激。大急ぎで写真を撮る。

行けば、何かと出会えるのであった。

 

 

2023/07/14

「広葉樹活用のすすめ」で勧める施業法

森林総研関西支所が主催した「広葉樹活用のすすめ」という講演会に顔を出してきた。

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なかなかの盛況。コロナ禍明けもあるのだろうが、広葉樹に関しては関心が高いのだね。実際、会場では覚えのある人の顔がたくさん。なかには東京や岐阜ほか、関西から遠いところから参加した人も多くいた。またNPO関係者も多かったように思う。里山などにかかわる人が興味を持っていたのだろう。

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さて、その講演内容だが。広葉樹材をいかに使うかという点に特化した内容である。伐採方法やその生産コスト、曲がりくねって枝分かれの多い広葉樹からどれだけ用材が採れるか、その値段は……とわりとマジな研究。いや、マジでなければいけないのだが、よく調べたなあ、そもそもデータを集めるのが大変だったろうなあ、と思わせるものもある。

結果として、「チップにして製紙原料やバイオマス燃料にしたら赤字だよ」とか「用材になる2mの直材はこれだけ採れるよ」など面白い点は多数あるのだが、そこで浮かんだ疑問が。

なぜ皆伐するのが前提なのだ? すべての施業が、皆伐、つまり広葉樹林を全部伐る方式なのだ。しかし、それは全部同じ樹種樹齢を生やしている人工林なら、それなりの意味はあるが、多種多様な樹種樹齢の広葉樹では逆効果だろう。無駄に木を伐りロスが出過ぎ。燃料費や労務費が高くつく。
ならばチップにしたら赤字なら、用材を採れる木だけを択伐したらいいではないか。その方が森林生態系にも優しい。持続的でもある。今は細い木を残して、数年後に用材にできるかもしれない。そもそも昔の薪炭林も択伐だった。

皆伐しないとコスト高? 果たしてそうか。作業道も入れず重機も使わなければ、コストは劇的に安くなるはず。単木を搬出する方法は、ワイヤーロープで引っ張る小型集材機もある。馬搬だってある(笑)。択伐は難しいという人もいるが、私の取材したところでは、数か月でなれて問題なくできるという意見が多かった。

また木材利用も小物(カトラリーや器など)なら枝の部分も使える。家具材料でも1mから利用できるはずだ。広葉樹1本から30万円分の商品をつくれると計算した木工家もいる。
そして薪こそ、もっとも簡単で高く売れる商品であるが、どうも計算には入っていないみたい。すでに薪生産は、大きな産業になっている。1社で年間数億円の売り上げる例もある。もはやスギやヒノキより利益率は高い。

むしろ広葉樹の森のある地域に広葉樹材を製材乾燥できる製材所があるか、木工職人は何人いるか、薪窯を持つ料理店、薪ストーブの設置台数なんて調査をしてみても面白い。意外や多くて、需要を見込めるかも。

ようは、木材生産する前に、需要先を見つけて契約しておけばロスが出ない。これは人工針葉樹林業でも同じことである。

それにしても、心残りがある。会場で会った女性陣に、終了後の飲み会に誘われたのだ。だが、私は某氏の所を訪ねる約束をしてしまっていた……。涙を呑んで、断る。いや「早く終わったら、そちらに向かうよ」と未練の言葉を残したっけ。残念無念。断る方を間違えた(笑)。

 

2023/07/13

CO2を食べる?自販機の謎

自動販売機がCO2を吸収する……アサヒ飲料は、大気中のCO2を吸収する「CO2を食べる自販機」による、CO2の資源循環モデルの実証実験をしているそうだ。

「CO2を食べる自販機」が話題! 吸収したCO2はどうなるの? アサヒ飲料に聞いた

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まあ、別に難しいことではなくて、庫内にCO2を吸収するカルシウム系の物質を搭載し、大気中のCO2のみを吸収する。そして自販機内の飲料を温めたり冷やしたりすることで電気を消費し、排出しているCO2分を吸収してプラマイゼロにする発想だ。関東・関西エリアを中心に、屋内のほか屋外も含め約30台設置し、CO2吸収量や吸収スピードなどを比較・検証する……とか。

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まあ、面白い試みだとは思うが、私が興味を示したのはそこではない。

「1台当たりのCO2年間吸収量は稼働電力由来のCO2排出量の最大20%の見込みで、スギ(林齢56-60年)に置き換えると約20本分の年間吸収量に相当する」というプレスリリースの部分に目が止まったのだ。1台がスギ約20本分なのか。この計算方法が面白く感じた(笑)。

排出量の20%ということは、完全に炭素の排出をゼロにするには100本のスギが必要で、逆に言えば、自販機は100本分のスギの成長を御破算にするCO2を排出していることなのか。(スギの吸収量の計測はちょっと怪しい気がするが。)将来的にはCO2排出量と吸収量が同等となる自動販売機にしたいという。

仮に1ヘクタール50年生スギ1000本が生えるとして、自販機10台分である。ちょっと密か。ならば間伐進めてスギ500本を成長をよくして育てるとして5台分。それが毎年伐られている状態? かなり甘い計算だけど。案外、木造建築物より効率がよいような気がする。
ちなみに吸収したCO2は、セメントなどの材料にするようである。

なおネーミングが「CO2を食べる自販機」というのも、いかにもなキャッチコピー(^_^) 。本格展開は2024年からを予定しているそうである。そのうち都市の炭素貯蔵は「自販機の森」で、と売り出すのかもしれない。

 

 

2023/07/12

石版印刷と吉野林業全書

朝ドラ「らんまん」で、石版印刷が登場する。ドラマでは槙野万太郎(モデル牧野富太郎)が、植物学雑誌、そして、いよいよ植物図鑑の刊行をめざして動き始めるのだが、そこで当時もっとも精密な印刷ができる印刷機として石版印刷が紹介される。実際、牧野も印刷所に通って印刷技法を身につけたらしい。

実は、私も石版印刷には興味を持っていた。というのも、「吉野林業全書」がその技法で出版されているのだが、肝心の石版とはどんなものかわからなかったからである。ドラマでは、わりと細かく説明されていて、だいたい理解できた。石版の上に毛筆で絵や文章を書いて、それを撥水させる方法で印刷するようなのだ。現在のオフセット印刷に近い原理ではないか。

ただ枚数を重ねると、石版を削って描き直すらしい。また原盤の保管もしない。大量印刷には向かないのか。原盤が残っていたら面白いのだが。

「吉野林業全書」のあるページ。

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少し拡大してみる。

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土倉屋敷もしっかり描かれている。部屋の配置や植木までわかる。また門前から河原には、筏を組むところが設けられている。柵があるのは何だろうか。魚の生け簀ではもいだろうが。

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そして右ページにあるのが、割滝だ。吉野川の岩を削って筏を流せるように水路である。ちなみに道を歩く一間で描くのは、画工のこだわりか。
こうした細かな点まで描けるのが、当時石版印刷が一世風靡した理由だろう。ドイツ製とか言っていたが、世界的に広がったのかもしれない。

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写真では、こんな具合。

この割滝について、毎日新聞に記事を書いた。

124 林業遺産を訪ねて/1 土倉翁の足跡・磨崖碑と割滝 /奈良 

ほとんと読めないけど(笑)。

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小さくしておいたけど、頑張れば読めなくない(^^;)。

「らんまん」では、いよいよ石版印刷機を購入することになった。当時の1000円というのは、現在の2000万円ぐらいか。大奮発である。

「吉野林業全書」は、森庄一郎著で土倉庄三郎は校閲だが、450ページで挿絵102枚、筆工は中邨芳水、画家は小林芳崖、彫刻は田無瀬芳嶺である。そして出版費用は、土倉家が負担している。

 

2023/07/11

再造林ビジネスの狙いは何?

たまにミョーな依頼が来る。

このほどあったのは、再造林のビジネス化についての聞き取りだったのだが……聞き取りを専門とする業者がいて、そこに私への依頼があったわけだ。だから具体的なビジネス主体は誰かわからない(申込時点では秘匿されている)。というのも、途中で御破算になったからである。

ただ、最初の説明からすると、どうやらビジネス主体は林業に素人のようだ。にもかかわらず、再造林ビジネスへの参入を考えているらしい。儲かる、という判断というか仮説を立てたらしい。林業界では再造林は儲からない、労的にも経費的にも引き合わないという判断が一般的だと思うのだが、正反対に考え、あえて参入しようとビジネスプランを立てようとしている。

儲かるという判断は、どうも補助金が入るからようだ。

まあ、私が「造林補助金がいくら出ても、業界も山主もやりたがりませんぜ」(もっと口調は礼儀正しい)と言ったから御破算になったのかもしれないが、部外者からすると、林業界の補助金は垂涎の的らしい。

もちろん、私が紹介した某森林組合のように、再造林100%のところもある。そして再造林に伴う5年間の事業を請け負って儲けている。それを成り立たせるには、いろいろ仕掛けが必要なのだが、それを理解したわけではなさそうだ。

そこで、ちょっと再造林について林野庁はどう考えているか調べてみた。

そうすると「再造林ガイドライン」的なものが5年前に都道府県宛に林野庁森林整備部整備課長から出ている。具体的には、伐採と地拵え・造林を同時にやりなさい、という一貫システムの推奨のようだ。そして補助金のスキームまで紹介している。5パターンある。

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気になるのは、再造林が進まない理由をどのように捉えているか。

山元立木価格の低迷から森林所有者の施業意欲が減退しており、森林所有者が伐採事業者に立木を販売し主伐が行われた後に、再度、造林に投資し林業経営を継続していくことを望まないケースも見られるようになっている。

まあ、わかるんだけどねえ。一般にもそう言われているんだけどねえ。

私がイマイチ納得しがたいのは、造林補助金は、国だけでも7割以上、そこに都道府県や市町村の補助まで足せば、8~9割はすでに出ているんじゃないの、ということだ。まさに再造林ビジネスに参入したくなる構造である。だが、現実はあまり再造林が進まない。

再造林したくない理由は、もっと別のところにあるのではないか、というのが私の仮説である。

残り1~2割を出し惜しんでいるからなのか。それとも再造林してまた50~60年も待つのがイヤなのか。その頃には自分は生きていなくて、林業事業の後継者がいないからかもしれない。補助金の申請や請負業者を見つけて依頼するのが面倒くさい、そもそも林業界が嫌い、興味ない、という可能性だってある。

どうなんだろうね。

 

2023/07/10

炎天下散歩の発見

相変わらず酷暑の中でも散歩を続けている。短時間でも外を歩くというのは、何かと精神衛生上よろしい。

炎天下ばかりではなく、チョー蒸し暑い空気の日々も、パラパラ雨の降る日もあるが、幸い土砂降りにはならない。おかげで、歩けば何かと発見もある。

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これ、竜田川のほとりを歩いて発見。どこがどう伸びたのやら。もともと1本の木だったのか、別々の木が接触して癒着したのか。クロスしたようにも見え、どちらがどちらの幹か枝か。派手に空洞化も進んでいるし、樹暦(木の一生)を知りたくなる。

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こちらは、たまには大阪側のイオンモールに行こうと思って地図アプリを開くと、イオンから少し離れたところに緑地が。周りは完全に市街地なのに、なぜ結構な面積が緑地になったのか。と思えば「治水緑地」の名が。

どうやら川が合流する地点に、あふれた水を溜める遊水池として設けられたらしい。ただ通常は、緑地公園になっている。

行ってみようと思うが、どうも駐車場がないらしい。有料でもいいのだが、それも見当たらない。それでも緑地の周りを一周しつつ、ごり押しで勝手に駐車する。そして足早に訪問。

なるほど、水を溜めるために盆地状になっているから、中に入ると、周りを土手に囲まれて、ほとんど市街地の車や建築物が見えなくなる。おかげで静かだし、別天地気分。ほんの横にトラックがぶんぶん走っていることを忘れる。

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ここの写真は池の中州だが、シロサギが群れていた。あまりサギが増えると犯罪、じゃない獣害が起きるが、自然界のオアシスでもあるのだろう。

それにしても木は繁っているが、ほとんど陸地は見えない。水位が上がっているのだろうか。でも最近の災害級大雨が降ったら、ここれ沈んで緑地全体が貯水池になるのだろう。

あまり長居はできなかったが、こうした土地を歩くことで、いろいろ頭の中が整理されていく。次の記事や出版のアイデアが湧く。

2023/07/09

家構えから農村と山村の違いを感じる

このところ酷暑が続くが、できるかぎり出歩くことにしている。雨の日はショッピングモールとか(^^;)。

そして炎天下も散歩に出る。その度にコースを変えるが、このほど選んだのが奈良県立民俗公園。博物館もあるのだが、敷地全体が山を囲い込んだ状態で木陰を歩くのにちょうどいい。

この公園内には、奈良県内の古民家が移築されている。つまりフィールドミュージアムとして、近世の各地の建築が見られるわけだ。
なかでも国中(くんなか)と呼ぶのは、奈良盆地の農耕地帯。よく国中の豪農が吉野の山を買って所有者になった。一方で、吉野の集落もある。この吉野は十津川から吉野川沿いまで含む、今の吉野郡全体だが、ようするに山間部。山村の家屋だ。

時代は200年を越える江戸後期、近世から明治・大正当たりの近代のものと幅はある。が、思ったね。

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これ、国中の庄屋筋の家。

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こちら吉野の名主の家らしい。

一目で思うのは、吉野の方が立派。だいたい藁葺きと板葺きの差もあるし,家屋内を見ても、国中の方が見すぼらしい……といっては失礼だが、狭くて柱も細くて。山村の方が大黒柱や梁の立派なこと。それに広さも違う。畳は国中にはある。吉野背はフローリング(笑)。

もちろん、住む地域以上に、家の造りは身分とかも影響するだろうし、山の方が木材をたっぷり使えるのも当たり前だが、今の価値基準からすると、山村の方が豊かに感じてしまった。

実際、山村は貧しく見せつつ、実は暮らしは豊かで財産をかなり持っていたという研究もある。山中では米はあまり食えないが、焼畑で陸稲やソバ、ヒエ、ムギなどの穀物は十分に採れたらしい。川魚や獣肉も手に入った。そして、たまに木を切り出すと一財産になる。

平地の基準で「米が採れないから貧しい」とか、平地がないから生産力がないと決めつけられん。

 

 

2023/07/08

Y!ニュース「夏のクマは飢えている?…」を書いた裏事情

Yahoo!ニュースに「夏のクマは飢えている?都会に出没するのはなぜだ」を執筆しました。

最初は「今秋、ブナが大凶作」という記事を書こうかと思ったのだけど、いざ画面を前にすると、どんどん考えてしまい、その場で情報収集も始めてしまった。

そして次が、山形県では市街地でも銃による駆除ができるようにするという動きがあると知り、それは冬に書いたイタリアの市街地のイノシシ駆除の話につながると思ったのだけど、これは賛否両論で難しい。そして興味は、いつしか「初夏はクマの餌が少ない」に。

この事実そのものは以前から知っていて、それなりに疑問に思っていたことなのだ。しかし、夏は緑も濃くてもっとも食べる餌があると言えるのは、シカなどの植物なら何でも食べられる動物だけで、クマはそうはいかないのだと気付いた。

その点は人間も一緒かもしれないなあ。山で食料調達とかいうと、意外や夏は難しいかも。

もう一つ。クマが市街地に出没するのか。あるいは進出するのか。

私はあえて「進出」という言葉を使ったのだよ。それも「侵出」ではなく「進出」。これはクマさんの立場に立ってみようと思ったからである(^_^)。

 

 

 

 

2023/07/07

クッキングバナナの楽しみ

たまには、いつもじゃないところに買い物に行こう。

というわけで、車で30分くらいかかるところのショッピングセンターに行った。ここ、京都府に入ってるか。

店はいろいろあるが、私の普段の行動圏にはない店もあるから、なかなか珍しいものを目にできる。また書店もあるが、そこはさほと大きくはないが、専門書なども充実しているし、何か選書が私の好みに合うから、わりとお気に入り。

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しっかり『山林王』もあったよ。感謝、感謝。

ぶらぶら見て回って楽しんだ上で、食品スーパー部門にも。そこでも、見慣れない商品が目に入るのだが、なかでも驚いたのはこれ。

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この、分厚くてへしゃげた形のバナナは……クッキングバナナだ!

一般に生食するバナナと違って、料理用というか、加熱して食べるのだ。実はバナナはもともと調理しないと食べられないものだった。それを品種改良して生食できるまでに甘く種子をなくした実に変えたもの。そしてこのバナナこそ、栽培植物の起源とされる。熱帯アジアでは、バナナを主食として栽培を始めたというのだ。

ま、これは私が高校生時代に読んだ本(「栽培植物と農耕の起源」中尾佐助著)で読んだ話。果たして今も、この説は生きているかな?
なお、もっとも古い農耕は、約1万2000年前に、ニューギニア島から始まったとされる。その頃の主食は、バナナか、タロイモだろう。

ともあれ、私は若い頃訪れた東南アジアで見かけた。そして知らずに生でかじって渋さで食えなかったのである。。。。その後、火を通して食べたこともあるはずだが、あまり味は記憶にない。たしか芋のような感じではなかったか。

だから、見かけてすぐに買ってしまったよ。懐かしいじゃないか。

そこで今回は、しっかり火を通すことにした。シンプルにバター焼きにする。

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さて、お味は。。。フォークとナイフで恐る恐る口に運ぶ。乗せたのは青じその若葉と、シナモン。

甘い! なんだ、生食と変わらないほど甘いよ。もったりして、芋や穀物に近いボリュームだが、甘いからお菓子ぽくもある。これは、正確には以前私が食べたクッキングバナナとは違って生食も可なのかもしれない。が、イケるよ。工夫次第でバナナの新たな料理がいろいろ生み出せるのではないか。

今後、こうしたバナナ品種も日本で流行るかもしれない。世界中のグルメが集まる国としては、輸入が増えるか、栽培に挑戦するのもいいかもしれない。

 

 

2023/07/06

中国の木材輸入元はどこ?

ネタがなくなると、林野庁のモクレポの統計を見る。

ウッドショック後の木材価格の動向を探る……なんてマジメなことはせず、何か面白い発見があればよし。

今回見つけたのは、中国の木材輸入動向だ。22年度は激減しているが、これはコロナ禍の影響で中国経済が沈滞したからだろう。

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中国の木材調達は、20年前までほとんど自給していたのが、今や世界一の木材輸入国だ。日本はあっさり抜かれた。では、どこから?

針葉樹丸太は、カナダが一番多い。そしてドイツなのである。3位がアメリカだが、一昨年まではロシアだったのが消えている。そして意外なのはウルグアイが入っていること。南米の小国が、針葉樹をそんなに生産していたっけ。牧畜の国のイメージがあるのだが。

というわけで、ウルグアイの林業について少し調べると、2000年以降、猛烈に植林していることがわかる。主にユーカリやテーダマツ、スラッシュマツなどのようだが、どうも排出権取引を意識しているようだ。持続可能な森林経営のための取組の一つモントリオール・プロセスにも参加していた。意外な新興林業国なのかもしれない。どんな森林ができているか。この国、もっと注目すべし。

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Googlemapで見ると、実に平坦で、ほとんどが農地と放牧地であるとわかるが、森林も点在する。そこを拡大すると、人工林ぽい木々の並びまであった。平坦で天然林もなく、農業不適地に植林しているらしい。ブエノスアイレスとも近いし、輸出しやすいかもね。

中国は、何を輸入しているのか? 20年生ぐらいで使える丸太になるのだから、早生樹なのだろうが、製材用とは思いにくい。チップにする?どうもボード類の原料のようだ。

そこで隣の製材輸入のグラフを見ると、なんと丸太で姿を消したロシアが圧倒的に多い。ロシア材丸太の輸入を止めたのであった。そしてフィンランド、ウクライナ、ブラジルという国が登場する。フィンランドはともかく、ウクライナは戦争が始まるまで輸出していたのか。ブラジルも製材輸出の国のイメージはないが。。

というように、統計からもなかなか楽しめるのである。ちなみに日本の姿はまったくない。「その他」である。日本は中国への輸出が伸びた伸びたと喜んでいるが、実は中国にとってもっとも近い国の一つである日本より、地球の裏側から輸入している方が多いことを認識しておこう。

 

2023/07/05

樹木葬じゃない“循環葬”

ちょっとまたミョーなお墓を見つけた。循環葬?

〝死〟を森林保全に。日本初*人と地球にやさしい循環葬®︎の森が大阪・能勢妙見山にて6/30グランドオープン 

パッと見には、樹木葬みたいなのだが……樹木葬墓地と言わないのは? 

「樹木葬」という名の墓地は、まだ始まって古くはない。21世紀に入ってからなのだ。日本で最初の樹木葬墓地は、岩手県一関市の知勝院が始めた。ところが人気を呼ぶと知って、お墓メーカーが売れ筋と思ったのか参入多数。
今では樹木葬と呼ばず、樹林墓地とか、庭園葬、桜葬とか……さまざまなものが出ている。樹木葬そのものを商標登録しなかったうえに、知勝院を視察さえせずに、そのめざすところを知ろうともしないで、形だけ真似た墓地が各地に誕生した。さらに形も真似ない、樹木葬が乱立して現在に至っている。だから、ひどいものになると木のない樹木葬もあるし、墓石の代わりに小さな樹木を植えただけの墓、しっかり墓石のある墓まで出てきて、もはや看板に偽りあり、状態だ。

が、これは初っぱなに「森林保全」なんて謳っている。主宰元が、at FOREST株式会社。森をかなり意識した墓のようだ。Return to natureなんて文言も入れている。期待できるのか?

日本全国の寺院所有の森(墓地)を拠点に、墓標も何も残さず埋蔵するサービス循環葬®︎「RETURN TO NATURE」は、ご遺骨を土に還りやすく加工し、自然との循環を促す方法で埋蔵。売上の一部は、RETURN TO NATUREを通じて拠点となる森の保全活動に充てると共に森林保全団体に寄付。誰にでも訪れる〝死〟を森づくりにつなげ、自然豊かな未来に貢献します。

ちなみに知勝院が樹木葬を始めたのは、荒れた森を墓地にすることで森を蘇らせる発想だった。墓石の代わりに樹木の苗を植えて、木が育てば森になる。墓標は木材などで次第に朽ちて消えるし、宗教宗派を問わず、生前契約が多くて埋葬後の管理費もいらないのも魅力であった。まあ、その後、真似たところは、それぞれの流儀で展開するものだから違いは出るのだが。

私は、そうした自然を守る思想を持ち「死して森になる」お墓を「緑の埋葬」と定義づけた。

『樹木葬という選択』

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というわけで、樹木葬評論家、樹木葬アドバイザーとしての私としては、この循環葬なるものも気になるのである。

ただ、ねえ。このプレスリリースに目を通すと。どうも本来的な樹木葬を理解しているようには見えないのだよ。

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こんな一覧を載せて差別化を図ろうとしているが、ここにある樹木葬の定義がまったくずれている。それこそ墓石メーカーの樹木葬もどきをそのまま採用したかの中身。いや埋葬そのものより、森づくりに関しても素人ぽい。

日本発の森林浴は、欧米では自然療法として医療現場で実用化されており、ストレスホルモンを低下させ、ナチュラルキラー細胞(がん細胞やウイルス感染細胞などを見つけ攻撃するリンパ球)を増加させることが明らかになっています。

これ、森林浴ではなく、森林療法のことのようだけど。このデータ自体が偽装に近いのだよ。こんないい加減なことを書かれたらなあ。薬事法違反じゃないか(笑)。

肝心の埋葬の方法も、「細かくパウダー状にしたご遺骨を、自然環境に配慮した方法で土に還します。

とあるが、これは散骨である。骨を粉にして森や海などに散布するのは、樹木葬、いや埋葬にも区分されない。ここで埋葬法の適用外となる。せめて法的な面もはっきり理解しておいてほしい。さもないと、地元住民から苦情が出るよ。

私が樹木葬の取材で全国を巡った頃とはかなり世相も変わり、また数も爆発的に増えて自己流というか、それぞれの流儀で行うものだから、もはや定義などドーデモよくなっているのかもしれない。しかし、押さえるべき点は押さえてほしい。

そもそも樹木葬は、一定期間は故人の眠る土地が特定できる。だから遺族も訪問できる。だが、樹木が育つにつれて木の墓標もなくなり、やがて森の中に埋もれゆく。この時間が別れを告げ気持ちの整理をつける期間なのである。散骨が、骨の粉を撒いたら終わるのとは違うのである。

日本唯一の樹木葬アドバイザーがいうのだから間違いない(⌒ー⌒)。

私の近隣にも、樹木葬墓地をつくれないかな。私の入る墓を今から確保したいのだ。

 

2023/07/04

環境省が出すのは「環境白書」ではなかった!

環境省が毎年発行する白書。当然ながら「環境白書」だと思っていた。いや、昔はたしかに「環境白書」というさっぱりした名だったと思う。

ひょんなことで検索してみてびっくり。

今や「環境・循環型社会・生物多様性白書」というのだそう。いつのまに、こんな長くなっていたのか。どんどん付け足して行ったのかね。林野庁の白書は、かつて「林業白書」だったが、現在「森林・林業白書」になっているが、そんなに違和感なかった。しかし、ここまで長いと……。

最新版は、これ。

令和5年版 環境・循環型社会・生物多様性白書

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表紙はなかなかイイネ! である。森林・林業白書の表紙はそっけないからね。

なお「令和5年版」となっている。森林・林業白書は、今年発行分が「令和4年度」なのだが。環境省の方が未来を描いている? こうした年代の使い方は、各省庁に任せられているのか。なんとも混乱する元をつくっているように思うが。

目次を拾い読みするだけでも、なかなか興味深い。カーボンニュートラル、生物多様性、里山、木質バイオマス、持続可能な農林水産業……。

そのうち林業部部分を引用する。

(2)林業

森林・林業においては、持続可能な森林経営及び森林の有する公益的機能の発揮を図るため、造林や間伐等の森林整備を実施するとともに、多様な森林づくりのための適正な維持管理に努めるほか、関係省庁の連携の下、木材利用の促進を図りました。

また、森林所有者や境界が不明で整備が進まない森林も見られることから、意欲ある者による施業の集約化の促進を図るため、所有者の確定や境界の明確化等に対する支援を行いました。

ほかにも森林保全や持続的な経営の項目もある。

5 森林の保全と持続可能な経営の推進

世界の森林は、陸地の約31%を占め、面積は約40億haに及びます。一方で、2010年から2020年の間に、植林等による増加分を差し引いて年平均470万ha減少しています。1990年から2000年の間の森林が純減する速度は年平均780万haであり、森林が純減する速度は低下傾向にありますが、減速ペースは鈍化してきています。地球温暖化や生物多様性の損失に深刻な影響を与える森林減少・劣化を抑制するためには、持続可能な森林経営を推進する必要があります。我が国は、持続可能な森林経営の推進に向けた国際的な議論に参画・貢献するとともに、関係各国、各国際機関等と連携を図るなどして森林・林業分野の国際的な政策対話等を推進しています。
(どこがや!とツッコミを入れたい)

「国連森林戦略計画2017-2030」は、国連森林フォーラム(UNFF)での議論を経て2017年4月に国連総会において採択され、我が国もその実施に係る議論に参画しています。

国際熱帯木材機関(ITTO)の第58回理事会が2022年11月に神奈川県横浜市にて開催され(オンライン併用)、ITTOの設置根拠であり、2026年まで延長中の「2006年の国際熱帯木材協定」について、2027年以降の再延長等の必要性について加盟国間で議論を行いました。また、加盟国等から総額約400万米ドルのプロジェクト等に対する拠出が表明され、我が国からは、タイ及びインドネシアにおける持続可能な木材利用の促進等計約1億500万円の拠出を表明しました。

 

ともあれ、今後は環境白書(と、ほか2つ)にも目を通すべきだろう。森林、そして森林保続原則に従う林業に目を向けるのなら。さもないと林業しか視界に入らず、(世界が滅んでも)林業さえ栄えたらいい、という業界脳になるよ。

 

2023/07/03

リンゴジャム顛末記

庭のリンゴの木が実を鈴なりにつけている。

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今年はリンゴの果実として収穫せずに様子を見ようかな、と思っていたが、あまりに数が多く、枝が垂れ下がり始めた。これでは木自体にもよろしくないだろうと、いくつかの実付きの枝を切り落とす。

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かなりの実の数だ。直径は2~3センチ程度だが、20以上もある。これを捨てるには惜しい。

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とはいえ、今食べてもマズいのは間違いないので、何か調理しようと考える。リンゴのコンポートにしようかな、と思い検索してみると、皮をむいて芯を抜いて……とある。こんな小さな実をそんな面倒なことやってられるかい! とそのまま煮込むことにした。さすがに丸のままでは無理があったので半分に割り、煮込むと溶けだす。このままジャムにするか、と砂糖とシークワーサー汁を添加。ぐつぐつ煮込む。皮も溶けてしまった。

おお、ちゃんとジャムになったぞ。味見をしてみると、甘酸っぱくてよろしい。

が。芯は残ったのである。それも種子までできていて、口の中でガサガサする。これではジャムとして使うのも厄介だ。

仕方ないので裏ごしすることにした。ドロドロのリンゴジャムを目の細かな金網を通して濾す。こりゃ大変だ。しかもアチコチ飛び散るし、食器もカトラリーも流しもドロドロ。後片付けで泣かされる。これほと手間がかかるなら、最初から皮むきと芯を抜いておけばよかった……。

ようやく半分以下の量になったリンゴジャム。

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うむ。口当たりもよろしい。甘さ控えめ酸っぱさ少し。立派なリンゴジャム……いや、これは餡だ。リンゴ餡だよ。。。。いきなり和風になってしまった。

まだリンゴの実はかなりあるので、また未熟な実を剪定しなくてはならないだろうが、使い道しっかり考えてからやろ。

そういやキュウリにトマト、ゴーヤ、ピーマンも稔りだした。

 

2023/07/02

EUの森林破壊規制と盗伐市場

先日、「欧州の木材DD(デューデリジェンス): 違法伐採から拡大 - CW法改正の参考」という(長いタイトルの)セミナーをオンラインで受講した。講師は、籾井まりさん・ディープグリーンコンサルティング代表。

テーマは、日本のクリーンウッド法が改正されることになったのに合わせて、EUで起きている動きとして、EU木材規則(EUTR)から「森林破壊防止のためのデューディリジェンス義務化に関する規則 」(EUDR)へと移行というか進化しようとしていること。日本ではEU森林破壊防止法と呼ばれているかと思う。

これまでのEUTRは、違法伐採木材の取引を取り締まってきたが、それでは足りないとして、より森林破壊を引き起こす産物の取引規制をめざしたものだ。ここでは相手国にとって合法かどうかではなく、これらの産物のため森林を破壊していないことを証明しなければならない。森林認証を受けていても、自ら確認しなければならないという。具体的には木材や木製家具のほか、大豆やパーム油、牛肉、コーヒー、カカオ、ゴム……までが対象となる。

Photo_20230702130701セミナーで使われた概念図

日本のクリーンウッド法なんて、EU木材規則の足元にも及ばない、中身のないブルシット(くそどうでもよい)法律だった。任意の登録制で罰則もないのだから。それを多少改正して義務化へ向かうことになった(それでもクソだが)ものの、EUはさらに先へと進んでいるのである。

それでもセミナーを聞いていると、必ずしもEUの規制が万全なわけではなく、抜け道もある(グレーな場合はリスク緩和措置を設けるとOK)ようだが、日本はいまだに「違法木材」を禁止せず、合法木材を使いましょうね、と呼びかけているレベル(違法木材とわかっても輸入してOKです!と林野庁は法改正の説明会で連呼していた模様)なのに対して、その意識の差は大きすぎる。

ただ私は、セミナーで「結局、国産材使えば大丈夫でしょ」なんて声が出たのに驚愕した。日本で違法木材がないとでも思ってるの?
私は、盗伐はもちろん、提出した伐採計画に記してある再造林を無視しているケースも違法だと捉えているが、そういう意識がないらしい。私に言えば、日本は世界に冠たる違法木材大国ですよ。

どうも違法木材は、だいたい発展途上国で行われるもので、欧米や日本は国内ではしっかり持続的な林業を行い、違法木材問題とは問題のある木材を輸入することだとでも思っているのか?

アメリカやカナダでも盗伐が深刻化している。年間10億ドルの木材が違法に伐採されているというデータもあるのだ。それも、直径3㍍級、高さ50㍍級の大木が狙われている。アメリカの公共地の伐採される木の10本のうちの1本が盗伐だという推定もある。世界全体では、違法木材市場は推定1570億ドル、20兆円以上だ。

こうした盗伐などを取り締まるのは取引規制だけでは限界ではないかと思える。

さらに言えば、イギリスでは「生物多様性ネットゲイン」政策が進められている。これは開発(森林伐採だけでなく、住宅や道路などの建設も含む)際に、元からの自然より増やす(ネットゲイン)ことが義務づけられたものだ。事業ごとに生物多様性を10%純増させる目標が環境法に明文化されている。移行期間を経た2023年11月からは必須となる。違法だとか合法のレベルではなく、より開発前より自然を増やすことが求められているのだ。

どうやら日本の木材製品をヨーロッパに輸出することは難しくなりそう。ともあれ、時代の意識は先へと進む。日本は……まあ、後ろからついて行く? 行ける?のかな。

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アメリカのレッドウッド国立公園でかつて行われていた伐採

2023/07/01

ナショジオの社内ライター、どうなる?

私は以前、GEOというドイツの出版社が発行していた自然科学雑誌の日本版を定期購読していた。ナショナルジオグラフィック誌に対抗して出版したような雑誌だったが、ほぼ全部そろっている。わりと早く休刊したからね(^^;)。

で、ナショナルジオグラフィック誌も、定期的ではないが目についた特集記事が気になったら講読している。どちらも大自然や民族などの自然科学がテーマで写真が売り物。ただ最初に読んでしまえば、その後再び目を通すことはほぼなく、溜まってきたから選り分けして、資料的に残したいものを抜き出して、その他のは処分するつもりだ。ほかにも、創刊後、一瞬で消えてしまった自然科学雑誌は幾種類かあるのだけど、みんな同じ運命だな。

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そんなときに目に止まったニュース。

ナショナル ジオグラフィック、最後に残ったスタッフライターを解雇 

135年間科学と自然界を調査してきたワシントンに本拠を置く同誌は、最後に残ったスタッフライター全員を解雇し、またも困難な局面を迎えた。 

なんと! あのナショジオの社内ライターがいなくなるのか。秘境に何カ月もこもって撮影したような写真とルポが売り物だったが、それをフリーランスで行うのは無理すぎる。社内ライターとカメラマンだからできる面がある。逆に言えば、思い切りコストをかけて製作される記事群だったのだ。それを経費削減のため首切りをしたということのようだ。

現在のナショジオのオーナーはウォルト・ディズニー社だが、人員削減は過去9カ月間で2回目で、2015年に一連の所有権変更が始まって以来4回目となった。9月、ディズニーは同誌の編集業務の異例の再編でトップ編集者6人を解任したとのこと。
やはりネットに圧されて経営は苦しいのか。
世界中で売れているようで、部数は減少傾向らしい。その代わりナショジオTVなんかもやっているけど。 ディズニー映画とランドで儲けているだろうに。。。。

私もフリーランスライターの一人としていわせてもらうと、取材記事を書く際に、もっとも嬉しいのは取材費を潤沢に出してくれる媒体。もちろんギャラが高ければそれはそれで有り難いというか嬉しいのは当たり前だが、取材経費は別途であること。込みにされると、取材しなければしないほど純益が増えるわけで、言い換えれば手を抜きたくなる。そんな記事はどうか。アホみたいに取材して、でも記事にはできなかった情報も仕入れて、さらりと短編記事を仕上げる……のが一番よろしい。なんなら取材だけさせてくれて記事は書かなくてもよければ、もっと嬉しいヾ(- -;)。

まあ、私ほどのベテランになると( ̄^ ̄)、趣味で取材して、ギャラより高く使ってしまうケースもあるのだが、そうして仕入れた情報は、どこかで使い回し、いや活かす場を見つけるものなんだがね。書籍なんかはそうして生まれる。

と、ともあれナショジオの今後はどうなるか。日本版の発行元は日経BP社だけど、日本が自前で取材する記事に、そんなに金はかけないだろうな。

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