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森と林業と田舎の本

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2023/07/05

樹木葬じゃない“循環葬”

ちょっとまたミョーなお墓を見つけた。循環葬?

〝死〟を森林保全に。日本初*人と地球にやさしい循環葬®︎の森が大阪・能勢妙見山にて6/30グランドオープン 

パッと見には、樹木葬みたいなのだが……樹木葬墓地と言わないのは? 

「樹木葬」という名の墓地は、まだ始まって古くはない。21世紀に入ってからなのだ。日本で最初の樹木葬墓地は、岩手県一関市の知勝院が始めた。ところが人気を呼ぶと知って、お墓メーカーが売れ筋と思ったのか参入多数。
今では樹木葬と呼ばず、樹林墓地とか、庭園葬、桜葬とか……さまざまなものが出ている。樹木葬そのものを商標登録しなかったうえに、知勝院を視察さえせずに、そのめざすところを知ろうともしないで、形だけ真似た墓地が各地に誕生した。さらに形も真似ない、樹木葬が乱立して現在に至っている。だから、ひどいものになると木のない樹木葬もあるし、墓石の代わりに小さな樹木を植えただけの墓、しっかり墓石のある墓まで出てきて、もはや看板に偽りあり、状態だ。

が、これは初っぱなに「森林保全」なんて謳っている。主宰元が、at FOREST株式会社。森をかなり意識した墓のようだ。Return to natureなんて文言も入れている。期待できるのか?

日本全国の寺院所有の森(墓地)を拠点に、墓標も何も残さず埋蔵するサービス循環葬®︎「RETURN TO NATURE」は、ご遺骨を土に還りやすく加工し、自然との循環を促す方法で埋蔵。売上の一部は、RETURN TO NATUREを通じて拠点となる森の保全活動に充てると共に森林保全団体に寄付。誰にでも訪れる〝死〟を森づくりにつなげ、自然豊かな未来に貢献します。

ちなみに知勝院が樹木葬を始めたのは、荒れた森を墓地にすることで森を蘇らせる発想だった。墓石の代わりに樹木の苗を植えて、木が育てば森になる。墓標は木材などで次第に朽ちて消えるし、宗教宗派を問わず、生前契約が多くて埋葬後の管理費もいらないのも魅力であった。まあ、その後、真似たところは、それぞれの流儀で展開するものだから違いは出るのだが。

私は、そうした自然を守る思想を持ち「死して森になる」お墓を「緑の埋葬」と定義づけた。

『樹木葬という選択』

Photo_20230705165901

というわけで、樹木葬評論家、樹木葬アドバイザーとしての私としては、この循環葬なるものも気になるのである。

ただ、ねえ。このプレスリリースに目を通すと。どうも本来的な樹木葬を理解しているようには見えないのだよ。

Photo_20230705164501

こんな一覧を載せて差別化を図ろうとしているが、ここにある樹木葬の定義がまったくずれている。それこそ墓石メーカーの樹木葬もどきをそのまま採用したかの中身。いや埋葬そのものより、森づくりに関しても素人ぽい。

日本発の森林浴は、欧米では自然療法として医療現場で実用化されており、ストレスホルモンを低下させ、ナチュラルキラー細胞(がん細胞やウイルス感染細胞などを見つけ攻撃するリンパ球)を増加させることが明らかになっています。

これ、森林浴ではなく、森林療法のことのようだけど。このデータ自体が偽装に近いのだよ。こんないい加減なことを書かれたらなあ。薬事法違反じゃないか(笑)。

肝心の埋葬の方法も、「細かくパウダー状にしたご遺骨を、自然環境に配慮した方法で土に還します。

とあるが、これは散骨である。骨を粉にして森や海などに散布するのは、樹木葬、いや埋葬にも区分されない。ここで埋葬法の適用外となる。せめて法的な面もはっきり理解しておいてほしい。さもないと、地元住民から苦情が出るよ。

私が樹木葬の取材で全国を巡った頃とはかなり世相も変わり、また数も爆発的に増えて自己流というか、それぞれの流儀で行うものだから、もはや定義などドーデモよくなっているのかもしれない。しかし、押さえるべき点は押さえてほしい。

そもそも樹木葬は、一定期間は故人の眠る土地が特定できる。だから遺族も訪問できる。だが、樹木が育つにつれて木の墓標もなくなり、やがて森の中に埋もれゆく。この時間が別れを告げ気持ちの整理をつける期間なのである。散骨が、骨の粉を撒いたら終わるのとは違うのである。

日本唯一の樹木葬アドバイザーがいうのだから間違いない(⌒ー⌒)。

私の近隣にも、樹木葬墓地をつくれないかな。私の入る墓を今から確保したいのだ。

 

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コメント

いつも楽しく読ませていただいてます。
田中さんもご存じのように、わが国では墓地の経営は、地方公共団体が原則でそれ以外は宗教法人か公益法人に限られています。
このプレスリリースと公式ページを見る限りでは、株式会社運営となっていますが、その点はどうなのでしょうかね?(運営は所有ではないということか)

そうなんです。墓地をつくれるのは宗教法人か公共団体(自治体や公益法人)だけなんですが、この墓地経営は、その姿が見えない。

墓地と言っても地目が埋葬地になっていないんじゃないかと想像します。散骨なら、その許可がいらないことを利用しているのかもしれません。
骨の粉を散布する森の所有は「日本全国の寺院所有の森(墓地)」なんて書き方をしています。全国展開を予定しているのかもしれませんが、トラブルが起きないか心配です。

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